2008年度の文献一覧(39件)

熊坂 侑三
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今月のトピックス(2009年3月)

[ コメンタリー ] AUTHOR熊坂 侑三 DATE2009-03-23

Abstract/Keywords

日米超短期予測(月次)

<大不況脱出にはGDP比2%の財政規模で大丈夫か?> 予測のアウトライン 関西社会経済研究所(KISER)は2月22日、10-12月期GDP1次速報値を織り込んだ第77回景気予測を発表した(HP参照)。予測結果(ベー スライン)を要約すれば、2009-10年度の実質GDP成長率を-3.7%、+1.5%と見込んでいる。ここでいうベースラインは、予測期間において景 気対策が含まれないケースである。 ベースラインでは、日本経済は2008年4-6月期から2009年4-6月期まで5期連続のマイナス成長を経験して、7-9月期に小幅のプラス成長に転 じるものと予測している。この間、景気(実質GDP)のピークから底までの落ち込み幅は約8%である。ピークから約8%の需給ギャップが発生するとみてよ い。 麻生内閣の経済対策の内容 景気対策については不確実性が高いが、現時点での情報で麻生内閣の3次にわたる景気対策(いわゆる3段ロケット)の効果を推計してみよう。金額でみる と、(1)第1次補正予算は11.5兆円程度、(2)第2次補正予算案は27兆円程度、(3)12月19日閣議決定の「生活防衛のための緊急対策」は財政 上の対応10兆円程度と金融面の対応33兆円程度の計37兆円程度(「生活対策」のための財政措置6兆円除く)の規模である。総額75兆円(財政措置12 兆円程度、金融措置63兆円程度)が景気対策にあてられる。真水である財政措置は対GDP比では2%程度である。(下図参照。総理官邸HPより) 景気対策の効果を推計するために、KISERモデルでは二次補正、21年度予算のうち事業規模のはっきりする4つの経済政策の効果を検討した。具体的に は、(1)定額給付金(2兆円)、(2)住宅ローン減税(3,400億円)、(3)法人企業税制(4,300億円)、(4)その他財政支出(2.54兆 円)である。 いずれも住宅ローン減税を除き、2009年4-6月期から実施されるものとする。住宅ローン減税は1-3月期から遡及して実行されると想定している。モデ ルにおける操作は以下のようである。 政策変数の設定:景気対策シミュレーション  規模  時期 ①定額給付金  民間最終消費支出関数の定数項修正  3,200億円  2009年2Q ②住宅ローン減税  民間住宅投資関数における金利の引下げ  0.14%ポイント  2009年1Q以降 ③法人税減税  法人税率の引下げ  0.7262%ポイント  2009年2Q以降 ④その他の財政支出  政府最終消費と公的資本形成を増加  2.54兆円  2009年2Q、3Q ⑤景気対策  政策①から④の同時実施 景気対策の効果:2009年度への影響 現時点で想定される景気対策を反映したシミュレーションによると、2009-10年度の実質GDP成長率はそれぞれ-2.9%、+0.6%となる。すな わち景気対策(シミュレーション−ベースライン)は2009年度の成長率を0.8%ポイント引き上げる効果を持つことになる。2009年度経済に与える個 別対策の効果を見ると、(1)定額給付金は、実質GDPを6,450億円、0.12%押し上げる。 (2)住宅ローン減税は、実質GDPを2,120億円、0.04%引き上げる。(3) 法人税減税により、実質GDPを2,570億円、0.05%上昇させる。(4)その他財政支出(2.54兆円)は、実質GDPを4.191兆円、 0.80%の引き上げることになる。合計で実質GDPを4.7兆円、0.9%引き上げることになる。 財政措置GDP比2%の合理的根拠 現在までに想定できる麻生内閣の景気対策は、真水規模5.31兆円で2009年度の実質GDPを0.9%押し上げることになるが、問題は個別の政策効果 である 。われわれのシミュレーションから得られる含意は、政策をより効果的にするには、定額給付金のようなメニューではなく、より直接的な財政支出が必要である ことを示唆している。KISERの調査によれば、2兆円の定額給付金は3,200億円の追加的消費しか生み出さず、実質GDPを0.12%引き上げにとど まる。一方、2.54兆円がより直接的な支出に向かうと実質GDPを0.8%引き上げる。両者の政策効果の差は明瞭である。すなわち、高い乗数効果が期待 でき、中期的にも生産力効果を持つ環境インフラ、エネルギー関連に、より直接的な財政支出が振り向けられるべきということである。 最後に、簡単な試算を示そう。第1の試算は2009年度にマイナス成長から脱却するためにはどの程度の財政規模が必要か。もし財政がより直接的な支出に 振り向けられたならば、約11.7兆円[直接的な財政支出の規模(2.54兆円)×マイナス成長脱却に必要な成長率(3.7%)/景気対策による実質 GDP成長率上昇(0.8%)=必要な財政支出規模(11.7兆円)]の規模が必要となる。 第2の試算は2008年1-3月期のピークから2009年4-6月期の底まで8.0%の需給ギャップの解消には、同様に25.4兆円[2.54兆円×(8.0%/0.8%)]が必要となる。 日本経団連は25兆円の財政出動を提唱しているが、それなりの根拠があるといえよう。またG20では米国は各国にGDP比2%の財政支出を要請したとされているが最低限の線として十分な根拠を持つといえよう。 日本 <1-3月期実質GDP成長率は前期を上回る2桁のマイナス> 3月16日の超短期予測では、2月の物価関連の一部のデータと1月のほとんどの月次データが更新された。また10-12月期のGDP2次速報値が追加さ れた。2次速報値では、実質GDPの伸び率は、1次速報値の-12.7%(前期比年率)から-12.1%(同)へと小幅の上方修正にとどまった。成長率の 上方修正の主因は実質民間在庫品増加が上方修正されたことによる。決して明るいニュースではない。 データを更新した結果、支出サイドモデルは1-3月期の実質GDP成長率を前期比-4.1%、同年率換算-15.5%と予測している。この結果、2008年度成長率を-3.1%となろう。また4-6月期の成長率を前期比-1.3%、同年率-5.3%と見込んでいる。 実質成長率(前期比-4.1%)への寄与度は、内需は-2.0%ポイント、純輸出は-2.1%ポイントである。民間需要では、実質民間最終消費支出は前 期比-0.4%、実質民間住宅は同-6.8%、実質民間企業設備は同-10.1%と、いずれもマイナスの伸びを予測している。公的需要では、実質政府最終 消費支出は同+0.1%、実質公的固定資本形成も同+0.1%と小幅のプラスを見込んでいる。外需では、実質輸出は同-19.2%、実質輸入は同 -6.2%といずれも低調である。 一方、主成分分析モデルは、1-3月期の実質GDP成長率を同年率-13.2%と予測している。 4-6月期については同-7.4%と予測している。 この結果、支出サイド、主成分分析モデルの平均でみると、実質GDP成長率(前期比年率)は1-3月期-14.3%、4-6月期は-6.9%といずれも マイナス成長が予測されている。現時点では、1-3月期の経済は10-12月期を上回る2桁のマイナス成長になろう。4-6月期はマイナス幅が縮小する が、依然として厳しい状況にある。ただ1-3月期に大規模な在庫調整が進展すれば、年後半にはマイナス成長から脱却できる可能性がある。 [[稲田義久 KISERマクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]] 米国 今の景気を判断するのに実質GDPのみに頼ると、現実の景気の深刻さをも見間違える。グラフに見るように、2009年1-3月期の実質GDP伸び率は2月 2日まで急速に悪化し、その後2月20日まで回復傾向にあった。しかし、2月20日以降、再び景気は下降し始めたものの、3月13日の超短期予測では実質 GDP伸び率を支出サイド、所得サイドからそれぞれ+0.1%、-1.8%と予測し、その平均値は-0.9%となっている。 確かに、1−3月期もマイナス成長を予測しているが、約-1%の落ち込みではそれほど深刻な経済状況とはいえないであろう。しかし、これは米国、そして 海外諸国の深刻なリセッションから米国の実質輸出が前期比年率で40%、実質輸入が50%と大幅に下落すると予想されているためである。景気を実質総需要 (=GDP+輸入)からみると、超短期モデルはその伸び率を-10%と予測している。また、実質国内需要(=GDP-純輸出)と国内購買者への実質最終需 要(GDP-在庫増-純輸出)の伸び率はそれぞれ-5.5%と予測されている。このように、経済をGDPとその他のアグリゲート指標で見ることによって、 今の景気状況は-1.0%から-10.0%と非常に幅広いものになることを理解しておくことが重要である。 [[熊坂侑三 ITエコノミー]]
著者不明
研究プロジェクト

米国経済最新事情(2009年3月)

[ 2008年度 ] AUTHOR- DATE2009-03-19

Abstract/Keywords

米国経済

(財)関西社会経済研究所 政策提言グループ 長尾正博 このショートペーパーは、関西発展戦略構築の一助とすべく「米国のタウンマネジメント手法に学ぶ」をテーマに、3月8日より1週間、大阪市立大学の嘉 名先生、矢作先生、金先生に同行して、ニューヨーク、クリーブランド、ボストンへ出張した時に体感した米国経済最新事情についてのレポートです。その主要 な部分は、UniCredit Markets & Investment Banking の主席エコノミストである Roger Kubarych 氏のご教授によるものであり、紙面を借りてあらためて御礼申し上げます。 現在世界が直面している経済恐慌の引き金をひいた米国そのものの経済事情は次の3点に要約できます。すなわち1点目は、直近の特に消費行動を中 心とした経済事情についてです。労働省が発表した雇用統計によれば、先月(2009年2月)の失業率が25年振りに8%を超え、昨年12月の小売りも最悪 の状態となりました。しかし、今年に入って車関係の販売を除けば、1〜2月の売り上げは前月比プラスに転じた様です。季節要因を除いた小売りの前月比推移 は、昨年12月がマイナス3.2%だったのに対して、今年の1月がプラス1.6パーセント、2月がプラス0.7パーセントとなりました。クリスマス商戦で 大幅に増えた在庫を販売店が値下げをしたことは大きな要因のひとつですが、必需品を中心に需要の回復が見られます。エレクトロニクス分野では、趣味趣向度 の高いビデオカメラやデジカメの販売は依然苦戦を強いられているものの、カラーテレビの販売は前年を上回る兆しが見られます。旅行や外食などの贅沢を慎む 代わりに、家に居てテレビ番組を楽しむというライフスタイルでは、テレビはなくてはならないものなのです。DVDの次世代技術であるブルーレイも自宅で映 画などの高画質映像を楽しみたいということから、プレーヤーならびにソフトも好調のようです。出張日最後の14日の土曜日は、ジョージ・ワシントン・ブ リッジを渡って、ニュージャージー州の代表的なショッピングセンターであるガーデン・ステート・モールを訪問してみました。すると、モールの周りの駐車場 は買い物客で一杯で、今回の様に時間的に余裕の少ない出張では、パーキングスペースが空くのを待って、モールの中を覗いてみるということはできませんでし た。 但し、米国内でも地域別にみると、経済事情は違っています。今回の訪問先の一つであるオハイオ州のクリーブランド市は、Kubarych 氏も指摘された様に、シュリンキングシティの代表格であり、その落ち込みは相当ひどい様です。私たちが泊まったクラウンプラザホテルの専用バス運転手も、 そこで25年働いているそうですが、今年に入って宿泊客ががた減りで、現在は週の内、3日間しか出勤させてもらえないとのことでした。各州はそれぞれ独自 の対策(失業保険の上積み等)に追われているようです。 2点目は、米国の消費者が「自分達は貧乏(poor)である。」ことを真に自覚し、お金の使い方(expenditure habit)を根本的に変えてきているという構造的な側面です。持ち家は彼らの「金の成る木」でした。常に売買益が期待でき、結婚すれば、小さいながらも 家を買います。家族が増えるにつれ、また、給料が上がるにつれて、大きな家に買い換えていく訳です。このキャピタルゲインが旺盛な消費を呼んできました。 また株や色々な証券商品も彼らの財産であり、これを充てに借金をしながらも、ふんだんにお金を使い、ある意味では、世界経済の牽引役となってきたと言えま す。これらの前提が、特に昨年10月を境に大きく崩れたのです。典型的なサラリーマンでそろそろ引退しようかと思ってた人も、401K(確定拠出年金) で、老後の生活に備えてきた例えば40万ドルが、ある日突然その半分の20万ドルに減った訳です。持ち家は、特に若い年代で最近家を買った人、または買い 換えたという人々は、キャピタルロスに直面しています。住居の次にお金が掛かるのが子供の教育です。年間の授業料はいい私立大学の場合、4〜5万ドル掛か ります。奨学金をもらえる子供でないと大変です。これまで新車にどんどん買い替えてきた人も、もっと長く乗ることになるでしょう。ニュージャージ州に住ん でいる私の友人は車の修理工場を経営されていますが、最近は小さな修理が減って大きな修理が増えている、何とか今の車を乗り続けようとしているとコメント されていました。 以上を要約すると、これまで謳歌していた土地や金融商品による資産効果(wealth effect)が、現在逆効果(negative wealth effect)となって現れているということです。 可処分所得に対する貯蓄率は、昨年の7〜9月は1.3パーセントであり、それ以前も1パーセント以下の状況が続いていました。それが、昨年12月は3.9 パーセントに上昇し、今年1月は5.0パーセントへと、急速に増えています。一方、日本の貯蓄率(家計調査による)も、最近は5パーセント程度にまで減っ ておりますが、20年前は、12パーセント程度と高率でした。現在米国で起こっている土地価格下落によるさまざまの影響は、1990年代初頭の日本の類似 していることもあり、私たちの経験が米国再生のヒントになるのは間違いないと思います。 最後の3つ目のアジェンダは、この状態がどれだけ続くかということです。 Kubarych 氏による米国経済の予測は、実質GDPの伸び率でみて、今年はマイナス2.1パーセント、2010年は、プラス1.3パーセントでした。景気先行きの鍵を 握る家(housing)の動向ですが、2月の新規着工件数が前月比(年率、季節修正値)22%上昇したとニュースが帰国後入ってきました。ところが同氏 によれば、これは2月だけの一時的な数字で新規着工件数の下落は年末まで続くとのことです。家の価格が底をうつのは来年一杯まで掛かるという予測もありま す。私は家の価格が景気上昇のきっかけになると考えていましたので、同氏の予測は、オバマ政権の景気対策を考慮し、上積みされたものであることを改めて認 識しました。先行き不透明感の強い個人消費、家計とは対称的に、企業業績は雇用調整などを通じて比較的早く回復する可能性があるとのことですが、前項で述 べたように、「これまでの不況とは構造的に違っている。例えば失業率の動きから説明すれば、2007年7月以降から直近までの数字は、1973年7月以降 の数字と、ほぼ同期している.....。」とのこと、今回はnegative wealth effectという構造的な変化は根強いものがあり、悪い状態が一層長期化するかもしれません。 当研究所の「日本経済」の最新予測は、2009年度マイナス3.7パーセン ト、2010年度プラス1.5パーセントと、Kubarych 氏による「米国経済」の予測に比べると更に悪いが、これは、政府の経済対策の違いに起因すると思われます。私はこれまで、30年以上も米国を見てきました が、この国は本当に「問題解決型」思考が根付いており、情緒的で「問題座視型」が主流を占める日本との違いを痛感させられます。今回の出張の主目的である 「タウンマネジメント」手法でも、それが如実に出ており、「問題解決型」思考を取り入れグローバル市場で活躍する日本の製造業に対し、日本の公的機関、公 共政策の復活がない限り、本当に日本は取り残されてしまうでしょう。
著者不明
研究プロジェクト

にぎわう関西に向けた地域観光戦略 -実態調査に基づく分析- (2009年3月)

[ 2008年度 ] AUTHOR- DATE2009-03-09
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Abstract/Keywords

地域観光

(主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授、高林喜久生・関西学院大学経済学部教授 ) 当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加による研究会を組織し、稲田主査指導のもとマクロ計 量モデルによる景気予測を行なうとともに、高林主査指導のもと時宜に適ったテーマを取り上げ、特別研究を実施している。2008年度の特別研究は関西の魅 力ある観光資源の活用というテーマに取り組み、2009年3月5日にその成果を公表した。 <<要旨>> 【関西の観光をとりまく状況】 (1)観光資源の量・質ともに充実 ・特AおよびAランクの観光資源(日本交通公社「観光資源評価台帳」による)の件数。 ①関西91件(23%),②関東63件(16%),③東北58件(15%), 全国399件(100%) (2)アジア人観光客、欧米人観光客両方の嗜好に対応できる観光資源 ・アジア人はショッピング・テーマパーク、欧米人は伝統文化・歴史的施設を嗜好。 (3)修学旅行のメッカ ・関西以外の国民の72%が修学旅行で関西を訪問した経験あり。 (4)外国人観光客への対応は発展途上(当研究所アンケートによる) ・駅・バス停標記や案内板標記の外国語表記は大手・関東が先行。 駅・バス停の英語表記:関西75%,関東100%, 同 中国語表記:関西13%,関東33%。 ただし、関西は大手5社に限ると英語は100%。 ・「外国人向けサービスを今後強化する方針」と回答した割合は関西25%,関東50%。 【観光の経済効果】 (1)2010年に向けて行われる平城遷都1300年記念事業が奈良県に与える経済効果は990億円。 (2)奈良県を含む関西全体への効果は1560億円。内訳は大阪府320億円、兵庫県95億円、京都府74億円等。 (3)産業別にみると、いずれの府県でも食料品・飲料部門への影響が大。 【にぎわう関西に向けた観光戦略のカギ −連携−】 (1)「地域住民・民間・行政の連携を」 ・心斎橋筋商店街と周辺店舗、他業種(金融機関等)、行政等が取り組む「大阪ミナミおい でやすプロジェクト」の成功。 (2)「同業種間の連携を」 ・大型小売店舗での外国語ホームページの充実や、交通機関における外国語表示などの整備。 (3)「自治体間の連携を」 ・トップセールスによるプロモーションや、道路・空港などのインフラ整備。
著者不明
研究プロジェクト

中国ビジネスの課題(2009年3月)

[ 2008年度 ] AUTHOR- DATE2009-03

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中国ビジネス

講演会『中国ビジネスの課題』の記録 1.日時 平成21年3月12日(木曜)15時〜17時 2.会場 リーガロイヤルNCB「雪の間」(中之島センタービル3階) 3.講師 竹内 常善 大阪産業大学経済学部教授 同   アジア研究センター研究員 中国江蘇省社会科学院客座研究員 広島大学名誉教授 北浦 義朗 関西社会経済研究所副主任研究員 4.講演会 ◇中国経済の現状とリスク 北浦氏から最近の中国経済に関する状況が示された。 殆どの指標が下降を示しているが、株式市場など一部の指標が 年明け以降に上昇している点がリマインドされた。 ◇中国進出企業の課題 最初に、中国と日本の社会経済システムの違いが説明された。 日本では融資の際の担保は不動産であることが多いが、中国では 「経営者の人物」が評価されるケースも多いなど。 中国に進出している日系企業の経営課題が示された。 代金回収の困難さは日系企業の殆どが直面する課題であるが、 これは中国文化そのものへの対応と考えるべき。 「Cash on Delivery」は中国では当然と考えるべき。 中国の発展パターンは日本と異なる可能性が高いと考える。 日本では、経済発展により中間層が拡大し市場も拡大、そして社会が安定するというのが大方の見方。中国はそうではないパターンと考える。 **講演会で使用した資料は下記をご参照ください
著者不明
経済予測

第77回 景気分析と予測(2009年2月24日)

[ Quarterly Report(日本) ] AUTHOR- DATE2009-02-24
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Abstract/Keywords

景気分析,景気予測

「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告 (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部長・教授 高林喜久生・関西学院大学経済学部教授) 当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。 「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。 2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。 2月16日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受け、2008-2009年度の改訂および2010年度の最新経済見通しとなっている。 ポイントは以下の通り。 * 2008年度10-12月期実績の評価‥‥当期の実質GDP成長率(一次速報)は、前期比▲3.3%、同年率▲12.7%と、第一次オイルショック期 1974年1-3月期に次ぐ急激な落ち込みとなり、3期連続のマイナス成長となった。これまで景気の牽引役であった輸出の急激な落ち込みと、低調な民間需 要が原因であり、輸出に大きく依存する日本経済成長モデルの脆弱性が示唆される。 * 2008年度、2009年度の改訂見通し‥‥2008年度の実質GDP成長率は▲2.8%と7年ぶりのマイナス成長に転じよう(前回予測▲1.3%から大 幅下方修正)。主要貿易相手国である米国・EU経済のマイナス成長、消費の減速および企業設備の減少による民需の落ち込みの影響である。民需の回復が停滞 し、世界経済の不況が深化するため、2009年度の実質GDP成長率は▲3.7%(前回予測▲1.4%から大幅下方修正)と2年連続のマイナス成長とな る。 * 2010年度の見通し‥‥2009年後半に一旦プラス成長に戻るが、緩やかながら持続的なプラス成長に転じるのは2010年以降となろう。2010年度の実質GDP成長率は+1.5%となろう。 * 以上の標準予測に対して、追加的経済対策として定額給付金、住宅ローン減税、法人税減税、その他の財政支出の4つの政策を同時に実施した場合の効果は2009年度の実質GDPを約0.9%程度拡大させると検証された。 * 関西経済は急激に悪化しており、成長率は2008年度▲2.2%、2009年度▲3.1%、2010年度+1.6%と予測している。
熊坂 侑三
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今月のトピックス(2009年2月)

[ コメンタリー ] AUTHOR熊坂 侑三 DATE2009-02-17

Abstract/Keywords

日米超短期予測(月次)

<日本経済は底割れするのか?-中国・米国のデータからは外需回復の兆しも‐> リーマン・ショック以降、鉱工業生産指数の落ち込みは未曾有のものである。2008年10-12月期の同指数の落ち込みは前期比-11.9%と戦後最悪を 記録した。図からわかるように、落ち込み幅は第1次石油危機の時期を大きく上回っている。かつてないスピードと下落幅である。まるで金融指標の変化(株価 のフリーフォール)を見ているようである。生産市場の急激な変化は労働市場に負荷を与え始めてきている。まずは非正規労働者の解雇から始まり、大幅な生産 調整が続けば、次に正規労働者の調整につながることは容易に想像できる。このような急激で大幅な落ち込みは何を意味しているのであろうか。 まず(1)今回の生産の落ち込みが、世界同時不況と関連していることである。次に(2)企業の売上減少に対する対応が過去に比べてすばやくなったことである。 内閣府によれば、最近の景気の山は2007年10月である。景気後退後1年も経て急激に落ち込むというのは世界経済の同時不況が大きく影響している。それ は輸出市場の大幅落ち込みを意味するから、成長を輸出に大きく依存している国にとってはその影響は大きい。韓国やシンガポールでは10-12月期の生産が 2桁の落ち込みを経験していることからもよくわかる。 企業の需要の変化に対する対応が早くなってきた点を見ていこう。出荷と生産のずれは在庫となって表れるが、その対応の変化の時系列、すなわち在庫循環図 (在庫指数と出荷指数の相関図)を見れば一目瞭然である。以下に、鉱工業、電子部品・デバイス工業、輸送機械工業(除く船舶・鉄道)の在庫循環図(四半期 ベース)を示してある。鉱工業全体で見れば2008年10-12月期は第4象限に、すなわち意図せざる在庫の積みあがり局面にあることがわかる。しかし業 種別に在庫調整を見ると、異なる局面が表れてくる。例えば、電子部品・デバイス工業は全体と同じ局面にあり、足元の需要(出荷)減が急激であり在庫が大幅 に積みあがっていることがわかる。一方、輸送機械工業では、足元は第3象限にあり出荷の大幅減に在庫調整が進んでいる局面にある。 急激な鉱工業生産の落ち込みを反映して、10-12月期の経済成長率は2桁のマイナスになった。このためマーケットは悲観的なムード一色である。近視眼的 な見方をすれば、日本経済は底割れするのではないかと。しかし、上で見たようにすべての業種で意図せざる在庫が積み上がっているわけではない。日本のリー ディング産業の中には、在庫調整がかなり進捗している業種もある。問題は全体としていつ在庫調整が進むかである。答は外需(海外市場)の回復の時期次第と いうことになるが、中国では4-6月期に在庫調整が終わるとも予測されているし、米国のISM新規受注も回復の兆しを見せている。これらはよいニュースで ある。自動車のような産業では、海外の需要が持ち直せば国内生産はすぐに回復することを示唆している。急激な経済の落ち込みは、急激な回復の可能性がある のである。16日に発表された10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率-12.7%と悲惨な結果になったが、それは過去の経済パフォーマンスである から、悲観色をいっそう強める必要はない。 日本 <1-3月期実質GDP成長率は2期連続で2桁のマイナス?> 米国と中国の10-12月期実質GDP成長率の発表(1月)についで、2月13日にEU(27ヶ国)、16日に日本の実績が発表された。10-12月期の EUの実質GDP成長率は前期比-1.5%、日本のそれは同-3.3%と大幅なマイナス成長となった。日本の実質成長率は年率換算で-12.7%となり、 3四半期連続のマイナス成長。また減少率は第1次石油危機時の1974年1-3月期の年率-13.1%につぐ35年ぶりの大きさとなった。この結果、 2008暦年の実質成長率は-0.7%と9年ぶりのマイナス成長となった。 10-12月期の実質成長率(前期比-3.3%)への寄与度を見ると、内需が-0.3%ポイント、純輸出が-3.0%ポイントとなっている。世界同時不況 の影響で輸出が過去最大の落ち込みとなったことが影響している。たしかに第1次石油危機時には今回を上回るマイナス成長を記録したが、74年4-6月期に はプラス成長に戻っている。今回の問題は先行き回復の兆しが見えないことである 10-12月期GDP統計を更新した超短期(支出サイド)モデルによれば、2009年1-3月期の実質GDP成長率を前期比-2.4%、同年率換算 -9.4%と予測している。2期連続で2桁のマイナス成長となる可能性が高い。この結果、2008年度の成長率は-2.8%となろう。 1-3月期の実質成長率(-2.4%)のうち、内需が-0.5%ポイント、純輸出が-1.9%ポイントと輸出減が内需減につながる悪循環となっている。内 需のうち、実質民間最終消費支出は前期比+0.3%増加し、実質民間住宅は同5.3%減少する。実質民間企業設備も同3.0%減少する。実質政府最終消費 支出は同横ばい、実質公的固定資本形成は同1.3%減少する。財貨・サービスの純輸出は引き続き縮小する。実質輸出は同10.6%減少し、実質輸入は同 2.9%増加するためである。 4-6月期の実質GDP成長率についても、内需拡と純輸出は引き続き縮小するため、前期比-1.3%、同年率-5.1%と予測している。 内需のうち、実質民間最終消費支出は前期比+0.2%増加し、実質民間住宅は同2.2%減少する。実質民間企業設備は同1.0%減少する。実質政府最終消 費支出は同0.6%増加し、実質公的固定資本形成は同1.4%減少する。純輸出のうち、実質輸出は同4.9%減少し、実質輸入は同3.4%増加すると予測 している。 日本政府は先進国で一番早く不況から脱出すると宣言したが、逆に一番遅くなる可能性が高まっている。政治的混乱でタイムリーな財政政策は期待薄であり、結 局、海外市場の回復に依存せざるをえないからである。今こそ政治休戦をしてでも、成長戦略を意識した経済政策が望まれる。 [[稲田義久 KISERマクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]] 米国 <最悪期を過ぎた米国経済?> 2008年10-12月期実質GDP成長率(速報値)は前期比年率-3.8%となり、マイナス幅は市場コンセンサス予測(-5.4%)や超短期モデル(支 出サイドモデル)の予測(-4.9%)より小幅となった。超短期モデル予測のマイナス成長が政府公表値より大きかった理由は、輸入を過大に予測したことに ある。実際、商務省経済分析局(BEA)は12月の名目輸入を前月比で5.4%減少すると仮定した一方、超短期モデルはARIMA(時系列モデル)から 6.9%の増加になると予想した。そのため、超短期モデルは実質輸入(NIPA(国民所得生産計算)ベース)を1,110億ドルも過大に推定した。 今回の超短期モデル予測ではBEAの仮定した12月の名目財輸出入を実績値として用いている。また、連邦政府の雇用者所得以外の消費支出を推定するのに、 超短期モデルでは、連邦政府支出をブリッジ方程式の説明変数として使用している。ところで、TARP(Troubled Asset Relief Program: 不良債権救済プログラム)からの2,430億ドルの資産購入(2008年10-12月期)は、GDP推計には計上されないことから、その分を10-12月 期の連邦政府支出から差し引いて、連邦政府の雇用者所得以外の消費支出を推定している。 その結果、今週の超短期予測では2009年1-3月期の実質GDP成長率(年率換算)を支出サイドから-1.0%、所得サイドから+0.4%と予測してお り、少なくとも現時点では米国経済の最悪期は過ぎたものと考えられる。しかし、今期の経済成長率も2008年7-9月期、10-12月期と同じようにマイ ナスになる可能性は十分に考えられる。オバマの景気刺激策が緊急に実施されることが望まれるが、減税政策が少なく景気刺激パッケージ(Stimulus Package)というよりも民主党議員に都合のよい支出パッケージ(Spending Package)の色合いが濃くなっている。そうなると、景気刺激策が十分でないにもかかわらず、政府の累積債務が膨張するだけとなる。 [[熊坂侑三 ITエコノミー]]
熊坂 侑三
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今月のトピックス(2009年1月)

[ コメンタリー ] AUTHOR熊坂 侑三 DATE2009-01-20

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日米超短期予測(月次)

<2009年度の日本経済・関西経済> 年末年始にかけて、関西社会経済研究所では、リーマン・ショック以降の急激に変化する足下の状況を織り込み、昨年11月に発表した予測を改定するとともに、新たに関西経済の予測を行った。(予測改定の詳細は研究所HPに掲載) 2009年度の日本経済 今回の景気回復(2002年2月-07年10月)のメイン・エンジンは純輸出であり、かつ戦後の日本経済の景気回復局面でも最も寄与度が高い項目であっ た。今や成長のメイン・エンジンが逆回転し始めている。これを印象付ける象徴的なイベントは、2008年11月の貿易統計と鉱工業生産指数の落ち込みで あった。10-12月期の実質GDP成長率は2桁に届くほどのマイナスが予測されており、かつてない景気後退となりそうである。 7-9月期GDP2次速報値を織り込み予測を改訂し、実質GDP成長率を2008年度-1.3%、2009年度-1.4%とした。前回(11月)予測から 2008年度は1.1%ポイントの、2009年度は1.5%ポイントの大幅な下方修正である。前回予測では捉えきれなかった、リーマン・ショック以降の急 速な経済の悪化が反映されている。 2008年度の実質GDP成長率は前年の+1.9%から-1.3%へと7年ぶりのマイナス成長に転じる。民間需要の寄与度は-0.7%ポイントと、前年度 の+0.5%ポイントから大きく低下する。公的需要は-0.2%ポイントの寄与となり、純輸出の寄与度は前年の+1.2%ポイントから-0.4%ポイント へと大幅低下する。 日本の主要貿易相手国のうち米国とEU経済の成長率は2009年にはマイナス成長となり、新興諸国の成長率も減速する。このため2009年度には純輸出の寄与度のマイナス幅は拡大する。 2009年度の実質GDP成長率は-1.4%と2年連続のマイナス成長となる。民間需要の回復は期待できず、純輸出の寄与はさらに低下する。内外需の寄与 度を見ると、民間需要は前年の-0.7%ポイントから-0.8%ポイントと小幅悪化、公的需要は+0.1%ポイントとなる。純輸出の寄与度は前年の -0.4%ポイントから-0.7%ポイントへと更に低下する。 幸いなことに原油価格や商品価格が大幅に下落しており、これが徐々に最終財価格に波及するであろう。このため、2008年度のコア消費者物価指数前年 比+1.3%となるが、2009年度は-0.4%とデフレに転じる。国内企業物価指数は同+3.6%、同-3.7%、GDPデフレータは同-0.7%、 同+0.9%と予測している。物価上昇率がプラスに転じるのは2010年度に入ってからである。 景気回復は2010年度と見込んでいるが、景気回復が感じ取れるのは2010年後半からと予測している。2009年度の成長率の四半期パターンは一様な落 ち込みの後の回復の様相を呈さず、2008年末から2009年初にかけて経済は大がかりな生産調整が起こり、2009年央に一旦落ち着くものの、2009 年後半から2010年初にかけて再び落ち込むという、いわばダブルディップ型のリセッションを予測している。2009年度は非常にBumpy(荒っぽい) な経済となろう。 2009年度の関西経済 関西経済は、全国と比較して設備投資が相対的に底堅いことや、アジア向け輸出が緩やかな減速にとどまることから、昨年後半時点では、2009年度は緩やか な調整にとどまるとみていた。しかし、足下この想定には疑問符がつき始めた。2009年度の関西経済は前年度の-0.7%に続き、-0.8%と2年連続の マイナス成長となると見込まれる。 雇用・所得環境の悪化、金融危機の深刻化を背景とした株安などから、個人消費および住宅投資のマインドは低調に推移するとみられる。企業の収益環境が厳し さを増すなか、投資意欲の低下に伴い、鈍化傾向であるものの、既に確定している大型投資が下支えとなると考えられる。近畿地区の企業短期経済観測調査をみ ても関西の投資計画は全国と比べ底堅さを維持している。ただし、パナソニックの薄型テレビ用パネル投資の約1,300億円の削減(2009年1月9日発 表)にも見られるように、今後下振れする可能性もある。 これまで米国、EUの景気減速により、関西以外の地域では純輸出が減少し始めていたが、関西はアジア向けの割合が高く比較的持ちこたえていた。2009年 に入り、新興諸国および国内他地域の景気減速が顕著となり、タイムラグを持って関西に影響が出てきた。関西の地域別輸出動向をみると、2008年11月に は北米・EU向けよりもアジア向けの減少幅が大きい結果となっている。このような状況から、今後関西の輸出も減速していくとみられ、他地域よりも急激に悪 化するリスクがある。 日本 <10%近い下落が予想される10-12月期実質GDP成長率> 今回の日本経済超短期モデル予測では、一部の12月データと多くの11月データが更新されている。最新の(支出サイドモデル)予測によれば、10-12月 期の実質GDP成長率は、前期比-2.4%、同年率-9.3%と見込まれる。前月の予測(-4.3%)から大幅の下方修正となった。 今回の大幅下方修正を象徴的に示唆するデータは、2008年末に発表された11月の鉱工業生産と貿易収支である。11月の鉱工業生産指数は前月比8.1% 低下し、2ヵ月連続のマイナスとなった。下落幅は、政府が比較可能なデータを公表して(1953年2月)以来、最大となった。業種別に見ると、輸送機械工 業、一般機械工業、電子部品・デバイス工業等の輸出関連産業で落ち込みが大きかった。製造工業生産予測調査によると、12月の生産は前月比-8.0%、1 月は同-2.1%と予想されている。10-12月期の鉱工業生産指数は4期連続のマイナスになるのは確実で、かつてない景気後退になりそうである。 11月の貿易収支は2ヵ月連続の赤字を記録した。輸出額は2ヵ月連続で前年の水準を下回り、下げ幅は月次統計が比較可能な1980年以来の最大(前年同月 比-26.5%)となった。輸入額も前年比14ヵ月ぶりのマイナス(同-13.7%)となった。輸出入の大幅減少は内外の市場が急速に収縮していることを 意味する。 これらのデータを反映した12月末の超短期予測によれば、実質GDP成長率予測はそれまでの前期比年率-3%〜-4%程度から、一気に同-9%程度に低下 した(図参照)。5%ポイントという大幅な予測の修正は、1993年から開始した週次ベースの超短期予測で初めての経験である。かつてないスピードで景気 の減速が起こっているのである。 10-12月期の国内需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比-0.3%となる。実質民間住宅も同-5.5%と、ともに2期ぶりのマイナス。実質民間 企業設備も同-1.6%となる。一方、実質政府最終消費支出は同+0.6%、実質公的固定資本形成は同+0.5%、それぞれ増加する。このため、国内需要 の実質GDP成長率(前期比-2.4%)に対する寄与度は-0.4%ポイントとなる。 財貨・サービスの実質輸出は同6.1%減少し、実質輸入は同8.9%増加する。名目ベースの輸出入がそれぞれ同-15.1%、-12.1%と同程度の減少 にとどまっているが、円高の影響を受け輸出デフレータが同-9.6%と下落する以上に、輸入デフレータが円高に加え国際商品市況の急下落により同 -19.3%と輸出デフレータの下落幅を大きく上回るためである(交易条件の改善)。このため、実質純輸出の実質GDP成長率に対する貢献度は-2.0% ポイントとなる。 2009年1-3月期の実質GDP成長率については、内需拡大は小幅にとどまり、純輸出は引き続き縮小するため、前期比-1.6%、同年率-6.1%と予測している。この結果、2008年暦年の実質GDP成長率は-0.3%、2008年度は-2.0%となろう。 [[稲田義久 KISERマクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]] 米国 <両刃の剣: 景気刺激策と財政赤字> 1月9日の超短期モデル予測は、2008年10-12月期の米国の実質GDP成長率を-5%〜-6%と予測している。これは市場のコンセンサスより約1% 低い。また2009年1-3月期もマイナス成長が見込まれている。このようななか、1月20日にワシントンに入る次期大統領のオバマは1月8日、できるだ け速やかに景気刺激対策を議会で通過させるために、“米経済の回復と再投資計画”を発表した。景気刺激策の主な内容は次の通りである; ・ 3年間に代替エネルギーの生産を2倍にする。 ・ 連邦政府の建物の75%を近代化する。 ・ 200万戸に対してエネルギーの効率化を促進する。 ・ 5年以内にすべての医療記録をコンピューター化する。 ・ 学校に新しいコンピューターと技術を供給する。 ・ 代替エネルギー供給のためのスマートグリッドの導入。 ・ 全米におけるブロードバンドの拡張。 オバマは更に労働者家計の95%に対して1,000ドルの減税を考えている。オバマはスピーチの中で景気刺激策の規模について明言はしていないが、約8,000億ドルと推定されている。 一方、連邦議会予算局(CBO)は1月7日、“2009、2010財政年度の予算と経済見通し”を発表した。CBOは現在決まっている政策にのっとって予 算・経済予測をすることから、オバマの景気刺激策によるコストは考慮されていない。にもかかわらず、その内容は以下のように市場にとってショッキングな内 容であった。 ・ 財政赤字は2009年度には1.2兆ドルにまで拡大する。GDP比率でみれば8.3%になる。 ・ 実質GDP成長率は2009年に2.2%の下落となる。 ・ 失業率は2009年、2010年度にはそれぞれ8.3%、9.0%にまで上昇する。 ・ 2008年Q3−2010年Q2の期間において住宅価格は更に14%低下するだろう。 オバマは景気刺激策による財政赤字拡大というジレンマを熟知しているため、景気刺激策を長期の経済成長の基盤に向けている。しかし、金融危機回避のために は、まだ住宅ローン貸し手のバランスシートの改善、住宅の抵当化の低減など課題が残っており、新大統領の船出は経済問題だけでも困難を極めている。 [[熊坂侑三 ITエコノミー]]
著者不明
経済予測

第76回 景気分析と予測(2008年12月29日)

[ Quarterly Report(日本) ] AUTHOR- DATE2008-12-29
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景気分析,景気予測

「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告 (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部長・教授 高林喜久生・関西学院大学経済学部教授) 当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。 「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。 2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。 12月9日の政府四半期別GDP二次速報の発表を受け、2008年末までに公表されたデータを織り込んだ、2008-2009年度の改訂および2010年度の最新経済見通しとなっている。 ポイントは以下の通り。 * 2008年度の改訂見通し‥‥2008年度の実質GDP成長率は▲1.3%と7年ぶりのマイナス成長に転じよう(前回予測▲0.2%から大幅下方修正)。 今回の景気回復(2002年2月-2007年10月)のけん引役は純輸出であったが、米国およびEU経済の減速により純輸出が大幅に減速、また雇用環境の 悪化により民間最終消費支出が低迷するため、民需の寄与もマイナスに転じる。 * 2009年度の改訂見通し‥‥世界経済がゼロないしマイナス成長に陥る可能性が高く、新興諸国の成長率も減速するため、純輸出はさらに低下する。また民需 の回復も期待できず、2009年度の実質GDP成長率は▲1.4%と2年連続のマイナス成長となる。また、原油価格や商品価格の下落によりデフレ圧力が強 まり、2009年度のコア消費者物価指数は前年比▲0.4%、国内企業物価指数は同▲3.7%とデフレに転じる。 * 2010年度の見通し‥‥2010年度の実質GDP成長率は+1.2%と予測している。物価上昇率がプラスに転じるのは2010年に入ってからとなるであろう。
著者不明
研究プロジェクト

中国経済緊急レポート

[ 2008年度 ] AUTHOR- DATE2008-12-25

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Abstract/Keywords

中国経済

(関西社会経済研究所)北浦義朗、丸山喜茂、島章弘 中国経済は急激に減速している。過去数年間は年率10%を超える経済成長を実現してきたが、今後は10%を大きく 下回るものと見られる。世界金融市場の混乱に端を発する世界同時不況の影響に加え、経済政策の方針転換も経済減速の要因となっている。KISERでは11 月下旬に約1週間の現地調査を実施した。詳細は添付ファイルをご覧ください。
熊坂 侑三
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今月のトピックス(2008年12月)

[ コメンタリー ] AUTHOR熊坂 侑三 DATE2008-12-15

Abstract/Keywords

日米超短期予測(月次)

<不況の深化とセンチメントの悪化> 9月のリーマンブラザースの破綻を契機とする世界金融危機の深化は、世界の実物経済に大きな影響をもたらしている。また、その影響が及ぶスピードはかつて ないほど急速である。日本経済にとって、主要な輸出市場である米国やEUの経済がマイナス成長に陥り、もう一つの柱である新興市場諸国の経済成長率も減速 傾向が目立ってきている。 今月の日本経済の見通しで述べているように、最近の経済動向を要約すれば、生産の大幅減少、純輸出の収縮と特徴付けられる。今回の不況は海外発の要因が大 きく影響している。世界経済はこの間急速に悪化し、同時不況となっている。これに抗するために、主要諸国は先進国も新興国も金融緩和と財政拡大にむけて協 調しているが、これが明確な効果を生み出し、世界経済が底打ち反転することが、日本経済の回復に決定的に重要である。 このような性格を持つ今回の不況に対して、政府の打つ経済政策はおのずと限定されてこよう。重要なのは景気の底割れを防ぐことであり、生産の大幅削減や雇 用の調整が家計の本格的な消費削減につながらないような工夫が必要となる。そこで最近の消費者や景気ウォッチャーたちのセンチメントの動向を見てみよう。 11月の消費動向調査によれば、一般世帯の消費者態度指数は28.4となり、2ヵ月連続で過去最低を更新した。前年同月比では11.4ポイント下落して 24ヵ月連続の悪化を記録した。11月は世界経済の急激な落ち込みと輸出の収縮を背景に、国内の雇用の先行きや所得減への懸念が強く表れた結果となった。 指数を構成する4項目の意識指標はすべて前年から悪化したが、インフレ期待の低下から暮らし向きや耐久消費財の買い時判断に関する意識指標では底打ちや改 善の傾向が見られた。しかし、雇用環境に関する意識指標は21.1(前年同月比-22.0ポイント)で、悪化幅の拡大が目立った。 また同月の景気ウォッチャー調査によれば、現状判断DIも過去最低を更新した。前年比では17.8ポイント低下し25ヵ月連続の悪化となった。指数構成指 標の1つである雇用関連DIは同26.2ポイント低下し、27ヵ月連続で悪化している。2001年10月の悪化幅40.7ポイントまで至っていないが、今 後急速な悪化幅の拡大が予想される。 このように消費者や景気ウォッチャーたちの雇用のセンチメントは夏以降急速に悪化している。年度末にかけては生産の大幅削減の確率が非常に高くなってい る。実際、15日に発表された日銀12月短観では大企業の業況判断DIは前回調査から21ポイント悪化した。これは1974年9月調査以来の悪化幅 (-26ポイント)となっている。これから生産削減、雇用削減は避けられないであろうが、この動きが消費減退に繋がる負の連鎖を断ち切らねばならない。す なわち、消費者のセンチメントの大幅悪化を防ぐ工夫が必要である。消費者には、今回は前回のように本格的なリストラにはならないという安心感を与えるよう な政策を準備し、また、生活の安心を取り戻すため一定の生活防衛のためのセーフティーネットを充実しなければならない。11月の「今月のトッピクス」で追 加経済対策(10月30日決定)の効果をあまり評価しなかったが、今回新たに出てきた政府の経済対策のうちで、職を失った人に対する住宅支援などは評価で きる。要は消費者のセンチメントの悪化を防ぎ、生産・雇用の削減から消費の本格的削減という負の連鎖を断ち切ることがもっとも重要で、世界景気が底打ちす るまでの政策課題となる。 日本 <不況感が強まる10-12月期経済> 今回の予測では一部の11月データと10月のほぼすべてのデータが更新されている。これらの動向を要約すれば、生産の大幅減産、純輸出の収縮と特徴付けられる。 今週の超短期モデル(支出サイド)は、10-12月期の実質GDP成長率を、内需は小幅拡大にとどまり純輸出が大幅に縮小するため、前期比-1.1%、同 年率-4.3%と予測している。予測は6週連続で下方修正が続いている。この結果、2008年暦年の成長率は+0.1%にとどまろう。 10-12月期の国内需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比+0.1%となる。実質民間住宅は同-4.4%と2期ぶりのマイナス、実質民間企業設備 は同+1.2%となる。実質政府最終消費支出は同+0.4%、実質公的固定資本形成は同2.0%減少する。このため、国内需要の実質GDP成長率(前期比 -1.3%)に対する寄与度は+0.2%ポイントとなる。 財貨・サービスの実質輸出は前期比2.3%増加し、実質輸入は同15.3%増加する。不況下の経済で実質輸入が大幅増加するのは不思議な気がするが、理由 は以下のとおりである。まず名目ベースの輸出入は輸出が同-6.2%、輸入が-5.7%と同程度の減少にとどまっている。一方、デフレータは急激な円高と 国際商品市況の大幅下落により異なった動きを見せている。輸出デフレータが同-8.3%下落するが、輸入デフレータは円高に加え国際商品市況の急下落によ り同-18.2%と輸出デフレータの下落幅を大きく上回っている。このため、実質純輸出は前期から大幅に縮小し、実質GDP成長率に対する寄与度は -1.3%ポイントと大きなマイナスの貢献となる。 2009年1-3月期の実質GDP成長率については、内需拡大は小幅にとどまり、純輸出は引き続き縮小するため、前期比-0.7%、同年率-2.9%と予測している。この結果、2008年度の実質GDP成長率は-1.1%となろう。 このように、2008年度の経済成長率は4-6月期の前期比年率-3.7%、7-9月期同-1.8%に続き、年度後半もマイナス成長が持続し、当面は回復の展望が描けない厳しい状況となっている。 [[稲田義久 KISERマクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]] 米国 <NBERの苦しいリセッション宣言‐significant な落込みが a few months 続くこと‐> 12月1日に全米経済研究所(NBER)の景気基準日付け決定委員会は2001年3月から始まった今回の景気拡大が2007年12月に終わり、リセッショ ンに入ったことを宣言した。通常のリセッションの定義は2四半期連続しての実質GDPのマイナス成長であるが、NBERはリセッションを「経済全体におけ る景気活動のsignificant(?) な落ち込みが、a few months (2,3ヵ月?)以上続くこと」と定義し、それらは生産、雇用、実質所得、その他の経済指標に表れると付け加えている。リセッションを定義するときは、 significantなどと言う恣意的な言葉は使わないほうがいい。超短期モデル予測は2007年12月から2008年4月まで景気がスローダウンして きたことは認めるが、景気は2008年4月-6月に急速に拡大していたことを示している。実際に2008年4-6月期の経済成長率は超短期モデル予測とほ とんど同じ+2.8%と高いものであった。 また超短期モデルは2008年6月以降再び景気がスローダウンしていることをはっきりと認めている。特に2008年10-12月期において、9月12日以 降、支出サイドからの実質GDP成長率は-5%を下回っている。まさに、現在は大不況(グレート・リセッション)とも呼べる状況である。 NBERがリセッションの公式宣言を行った日に株価のダウ平均が700ドル近く下落したように、NBERの決定は市場に大きな影響を与える。もしも、リ セッションをNBERの定義に従うならば、米経済は2007年12月-2008年4月、2008年6月-現在 とダブル・ディップ・リセッションにあることをNBERは認めることである。むしろ、従来のリセッションの定義に矛盾することなく、リセッション入りを宣 言するならば2008年6月をリセッションの開始年月とすべきである。 [[熊坂侑三 ITエコノミー]]