研究成果

research

第61回 景気分析と予測

Abstract

「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
(主査: 稲田義久・甲南大学経済学部長・教授
高林喜久生・関西学院大学経済学部教授 )

当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
大阪大学伴金美教授から稲田教授への主査交替に伴い、2005年度より四半期予測作業においても、甲南大学日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
5月17日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受けた2005-2006年度の改訂経済見通しとなっている。
ポイントは以下の通り。

* 2004年度の日本経済実績‥‥2005年1-3月期のGDP成長率は前期比+1.3%、年率換算で+5.3%となり、市場エコノミストの予測平均の2% 台半ばを大きく上回った。この結果、2004年度の成長率は+1.9%となり、3年連続のプラス成長を記録した。もっとも、この高成長は前期の反動的増加 という側面が強く、モメンタムは持続しない。超短期モデル(CQM)の予測によれば、2005年4-6月期の成長率は年率1%台の低調にとどまる。

* 2005年度、2006年度の予測‥‥雇用環境は緩やかながら引き続き改善し、消費者心理の悪化は見られない。交易条件の悪化により企業収益の伸びは低下 するも、企業設備の増加基調は続く。中国経済の高成長は持続するものの、日本の対中輸出は減速する。これらの状況から、2005年度の成長率は1.4%の 伸びとなろう。より停滞色を強める2006年度の実質GDP成長率は0.9%に低下する。