Kansai Economic Insight Quarterly No.27 <緩やかな回復局面から踊り場を迎える関西経済 先行きは内外需とも弱含み、成長のカギは企業設備投資>

2015-08-28

  1. 2015年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率-1.6%と、3期ぶりのマイナス成長となった。内需は-0.5%ポイント減少し3期ぶりのマイナス。純輸出は-1.1%ポイントと2期連続のマイナス。内需のうち民間最終消費支出は4期ぶりに減少に転じ、実質成長率を大幅に引き下げた(-1.8%ポイントの寄与)。
  2. 足下の関西経済は、緩やかな回復局面から踊り場に移りつつあることを示唆するシグナルが出始めている。家計部門では所得環境の改善が進まず、消費者心理は足踏みが続いている。域外取引は中国経済の減速を契機とした不透明感が強い。企業部門の景況感は改善しつつあり、設備投資計画も積極的な姿勢がうかがえるが、家計や輸出の状況、株価の推移から判断すると、楽観視はできない。
  3. 最新の日本経済予測の結果を織り込み、関西の実質GRP成長率を2015年度+1.4%、16年度+2.0%、新たに17年度+0.7%と予測する。前回予測から15年度0.6%ポイント、16年度0.3%ポイントのいずれも下方修正となった。日本経済予測と同様に、足下の民需と外需の停滞を織り込んだことによる。
  4. 2015-16年度は民間需要、特に企業設備投資が成長を牽引する。しかし15年度は先行きの不透明感から回復のペースは緩慢で、16年度は駆け込み需要を織り込んだ成長である。17年度は反動減が表れるため、民間需要の貢献は小さい。公的需要は、財政制約から大幅な支出拡大は見込めない。外需も、輸出の低調から力強さに欠く。
  5. リスクシナリオ・シミュレーションとして、日本経済予測と同様に、中国経済や新興国経済の低迷により世界貿易の伸びが半減した場合の影響を検討した。結果、関西の実質輸出は1.3%程度減少し、実質GRPは0.5%程度低下する。日本での影響よりも関西での影響が幾分大きい結果となっている。
  6. 2015年度以降の関西経済は、民間企業設備投資の動向に大きく左右される。この点、日銀短観の設備投資計画の「修正率」や、その他アンケート調査統計を見ていくと、関西企業の設備投資に対する積極的姿勢が確認できる。

関連論文

稲田 義久
経済予測

日本経済(月次)予測(2018年9月)<7-9月期GDPデフレータのインフレ率を、3四半期ぶりの前期比プラスと予測>

[ Monthly Report(日本) ] AUTHOR稲田 義久 DATE2018-10-01

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月次レポート, 日本経済, 超短期予測

稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Monthly Vol.65 – 景気は足下先行きともに悪化傾向が続く -

[ Monthly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 生田 祐介 / CAO THI KHANH NGUYET / 馬 騰 DATE2018-09-25

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関西経済, 月次レポート, KEIM

- 景気は足下先行きともに悪化傾向が続く- ・7月の鉱工業生産指数は2カ月ぶりに前月比マイナス。4-6月平均比でも低下し、7-9月期の最初の月としては低調であったが、近畿経産局は生産の基調判断を前月から据え置いた。 ・8月の貿易収支は7カ月連続の黒字となり、黒字幅も前年比拡大した。エネルギー価格高騰により輸入が伸びたものの、好調な半導体関連の需要で輸出の伸びがそれを上回ったため。 ・8月の景気ウォッチャー現状判断DIは、2カ月ぶりの前月比改善。相次ぐ自然災害に加え、8月は連日の猛暑で様々な業種に悪影響が出た。しかし、落ち込んでいたインバウンド需要が戻ったことが好感され、DIは改善した。 ・6月の関西2府4県の現金給与総額は16カ月連続の前年比増加。実質現金給与総額は同横ばいで、4カ月連続で1%未満の伸びにとどまっている。 ・7月の大型小売店販売額は2カ月ぶりの前年比マイナス。スーパーでは猛暑で飲食関連商品が好調だったが、百貨店では豪雨や台風、バーゲン前倒しによる買い控えの影響が大きかったため。 ・7月の新設住宅着工戸数は2カ月連続の前年比マイナス。個人向けアパートローン融資額の減少による貸家の着工の減少が影響した。 ・7月の有効求人倍率は2カ月連続の前月比改善。労働需給は引き締まった状態にある。完全失業率も2カ月ぶりに改善しており、雇用情勢は引き続き堅調である。 ・8月の公共工事請負金額は3カ月ぶりに前年比マイナスに転じた。大阪府北部地震や台風21号からの復旧・復興関連作業で、関西の公共工事は増加すると見込まれる。 ・8月関空の訪日外客数は18カ月連続で前年比増加したものの、大阪北部地震や西日本豪雨等による影響で、2カ月連続で1桁の伸びにとどまった。 ・中国の8月の貿易収支は5カ月連続の黒字となった。なお、対米貿易収支は、駆け込み輸出増の影響もあり黒字が拡大。米中貿易戦争の影響は年後半にかけて顕在化すると見られる。
稲田 義久
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台風21号の関西経済への影響について ―関西国際空港の被害に関連して―

[ トレンドウォッチ ] AUTHOR稲田 義久 / 藤原 幸則 / 木下 祐輔 DATE2018-09-07

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関西国際空港,インバウンド,輸出

今般の台風21号は関西を中心に大きな被害をもたらした。関西国際空港(以下、関空)においては、A滑走路や駐機場の冠水、タンカーの衝突による連絡橋の損傷等、想定外の被害に見舞われた。関空の早期再開に向け、昼夜を問わず懸命に尽力されている関係者の皆様に心からの敬意を表したい。 関西経済は、関西・日本の経済を支える基幹インフラである国際拠点空港・関空を基盤として、ここ数年2つの輸出、すなわち、成長著しいインバウンドというサービスの輸出(インバウンド消費は、統計上サービスの輸出に分類される)と電子部品・デバイス等の財の輸出に支えられ、好調に推移している。 この好調を持続可能なものとするためにも、関空の1日も早い復旧・再開が望まれる。現段階ではまだ被害の全容、全面再開の見通しが明らかではないが、今般の被害が今後の関西経済に与える影響、関空の早期再開の重要性について、現在把握できる範囲の情報に基づいて整理してみた。
稲田 義久
経済予測

日本経済(月次)予測(2018年8月)<7月の主要指標更新の結果、CQMは7-9月期実質GDP成長率を依然マイナスと予測>

[ Monthly Report(日本) ] AUTHOR稲田 義久 DATE2018-09-03

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日本経済, 月次レポート, 超短期予測

稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Quarterly No.39 <緩やかな改善を継続できるか、岐路に立つ関西>

[ Quarterly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / CAO THI KHANH NGUYET / 生田 祐介 / 馬 騰 DATE2018-08-28

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関西経済, 四半期予測, 早期推計

緩やかな改善を継続できるか、岐路に立つ関西-足下は踊り場、山積するリスクと課題 1.2018年4-6月期実質GDP成長率は前期比+0.5%(同年率+1.9%)と2四半期ぶりのプラス成長となった。実質GDP成長率への寄与度は、国内需要が前期比+0.6%ポイントと2四半期ぶりに成長を押し上げた。特に民間最終消費支出と民間企業設備の貢献が大きかった。一方純輸出は同-0.1%ポイントと2四半期ぶりのマイナス。結果、1-3月期の景気の落ち込みは一時的なものであることを確認した。 2.2018年4-6月期の関西経済は、おおむね緩やかに改善しているが、一部の指標には弱い動きも見られ、踊り場局面が続いている。家計部門は、所得環境や雇用環境など緩やかに改善しているが、消費者心理は悪化した。企業部門では景況感は改善が続き、今年度の設備投資計画は極めて旺盛であるが、生産は一進一退で足踏み状態。対外部門は輸出輸入とも拡大しており、インバウンド需要も堅調である。公的部門は、一進一退で停滞している。なお大阪北部地震の影響は限定的。 3.関西の実質GRP成長率を2018年度+1.8%、19年度+1.0%、新たに20年度+0.8%と予測する。前回予測と比較すると、18年度は+0.5%ポイント、19年度は+0.1%ポイントのそれぞれ上方修正。また過年度の実績見通しについて、16年度の成長率を+0.1%、17年度+2.5%とした。 4.実質GRP成長率に対する寄与度を見ると、2018年度は民間需要+1.1%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.6%ポイントと民需と外需がバランス良く成長を下支えする。19年度は民間需要+0.4%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.5%ポイントで、民需の寄与が小幅となる。20年度は民間需要+0.1%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.6%ポイントとなり、消費増税の影響が顕在化して、民需の寄与はさらに小さくなる。 5.全国と比較すると、18年度は、所得環境の回復やインバウンド需要の再加速により、全国を上回る成長率で推移する。19年度以降は、消費増税の影響から日本経済予測と同様に関西でも成長率は減速する。 6.2017年のインバウンド需要の経済波及効果を推計した。17年の関西インバウンド消費需要(直接効果)は前年比+16.4%増加し、その波及効果により関西のGRPに対して1%程度貢献できるようになった。急増するインバウンド需要に対応し、特に爆買いの2015年以降は、大規模で急速な宿泊施設への投資が進んでいる。稼働率等から見ていまのところ過剰投資の傾向はみられない。 ※英語版はこちら