研究成果

research

「第81回 景気分析と予測」および「関西エコノミックインサイト 第4号」(2010年1月20日)

Abstract

「日本経済のマクロ経済分析」
(主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
「関西エコノミックインサイト」については、関西経済現況の解説と、計量モデルによる将来予測を実施し、原則四半期ごとに発表している。関西経済の予測に あたっては稲田教授および高林教授の監修を得て、当研究所が独自に作成した地域マクロ計量モデル「関西経済予測モデル」を用いており、「景気分析と予測」 の日本経済予測と連動している。

今回は昨年12月に閣議決定された2010年度予算を織り込み、日本経済(2009/11/26公表)及び関西経済(2009/12/7公表)の予測をそれぞれ改訂している。

ポイントは以下の通り。

* 前回予測からの修正点‥‥実質GDP成長率(二次速報値)は、前期比年率+1.3%となり、一次速報値(+4.8%)から大幅下方修正された。また 2009年度二次補正予算および2010年度予算案が閣議決定したことに伴い、政策効果の規模および内容の見直しを行った。

* 日本経済の改訂見通し‥‥最新予測では、日本経済の09年度実質GDP成長率を▲2.6%、10年度+1.6%、11年度+1.9%と予測する。09年度 はGDP速報値改訂の影響、2010年度は予算の影響を受けている。予測の方向は、実績データが大幅下方修正されたにもかかわらず、大きな変化はない。

* 関西経済の改訂見通し‥‥関西経済については、09年度実質GDP成長率を▲3.4%、10年度+1.8%、11年度+2.1%と予測する。2009年度 は、公共投資の規模の見直しを行った影響と外需の下押しの影響で日本経済よりも低い成長となる。2010年度・2011年度は、民需の寄与は日本経済より も小さいが、外需が成長を押し上げ、日本経済よりもやや高い成長率となる。

* 前回予測から予算規模の見直しを行った結果、民主党政策によって、日本経済の実質GDPは2010年度0.09%、2011年度0.12%引き上げられ る。「コンクリートからヒトへ」の政策効果は色濃く出るが、景気拡大の効果は小さい。関西経済の実質GRPに対しては、個々の効果が相殺され、ほとんど影 響をもたらさない。関西経済は家計に対する所得支援中心の民主党の政策の影響が、他地域よりも出にくいという特徴がある。