関西エコノミックインサイト 第10号(2011年6月3日)

2011-06-03

「日本経済のマクロ経済分析−関西経済の現況と予測−」研究成果報告
(主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

「関西エコノミックインサイト」は、関西経済の現況の解説と、計量モデルによる将来予測を行ったレポートです。関西社会経済研究所が公表する日本経済予測と連動しており、原則として四半期ごとに公表いたします。

第10号(2011年6月)の概要は以下の通りです。
1.関西は東日本大震災の直接的な被害を受けなかったが、全国的な自粛・買い控えムードと風評被害によって消費が停滞し、さらに生産も、電力問題とサプライチェーンの寸断による供給制約の影響を少なからず受けた。

2.震災後、全国の輸出が減少する中、関西は小幅ながら増加を維持し、代替輸出の拠点としての機能を発揮した(4月シェア25.3%と26年ぶりの高水準)。
また、3月の鉱工業生産の減少幅も全国と比べて軽微に止まり、代替生産の機能も担った。
加えて関西では百貨店の増床等の影響もあり消費の落ち込みは避けられた。

3.東日本大震災の影響と日本経済の最新予測を織り込み、関西の実質GRP成長率見通しを2011年度+0.5%、2012年度+2.0%と改訂した。震 災の影響で11年度は前回よりも-1.6%ポイントの下方修正であるが、プラス成長を維持する。成長率寄与度をみると、全国とは異なり民需と特に外需が引 き続き関西経済の成長の牽引役となる。
公的需要は、被災地への重点配分により関西ではマイナス要因になる。

4.今後の関西経済へのリスク要因の一つとして電力不足にともなう生産への懸念がある。
7-9月に5%の電力供給減が生じたならば、関西のGRPは0.5%程度減少すると予想される。

5.東日本大震災からの復興における関西の役割としては、①学術研究・イノベーション、②観光産業、③新エネ・省エネビジネスの3つの強みを活かした取り組みを進めることが必要である。