第107回景気分析と予測<牽引力不足の脆弱な回復>

2015-02-24

〈予測のハイライト〉

  1. GDP1次速報値によれば、10-12月期実質GDP成長率は前期比年率-1.4%(前期比-0.4%)と2期ぶりのマイナスとなった。市場コンセンサスから下振れたがCQM予測とほぼ同じとなった。1月に入りCQMはマイナス成長を予測したが、足下の景気の悪さを確認した結果といえよう。
  2. 10-12月期実質GDP成長率(前期比年率ベース)への寄与度を見ると、内需は-2.0%ポイント減少し2四半期ぶりのマイナス。民間企業設備を除き内需は総崩れとなった。一方、純輸出は+0.6%ポイントと2四半期連続のプラスとなったが、輸入の減少が輸出の減少を上回った結果であり、内容はけっしてよくない。
  3. アベノミクスがスタートして3年がたった。実質GDP成長率は12四半期のうち5四半期がマイナス成長であり、消費増税後に集中している。内訳を見れば、民間最終消費支出や民間住宅がこの3年でマイナスの伸びを記録したのに対し、企業設備や輸出、政府支出がプラスの伸びを示しているのが大きな特徴である。企業の生産、雇用や企業設備の増加の成果(trickle-down effect)が家計に十分行きわたっていないことは明瞭である。
  4. 10-12月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2015年度+0.6%、16年度+1.1%、17年度を0.0%と予測する。前回(第106回)予測に比して、15年度を0.2%ポイント、16年度を0.4%ポイントいずれも下方修正、17年度は0.2%ポイント上方修正した。
  5. 15年度は予想以上に実質所得が低迷したことと海外経済の減速で、民間最終消費支出と輸出が下方修正されたが、民間住宅と民間企業設備は上方修正されている。このため実質GDP成長率は小幅下方修正にとどまった。
  6. 16年度については、前回予測より回復がより緩やかと見ている。純輸出の寄与度は横ばいで、民間需要を中心とする回復パターンだが脆弱なものとなる。年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年から加速する。17年度は4月に2%ポイントの再増税を想定しているため経済は減速する。今回の上方修正は、軽減税率を考慮し消費増税の影響をより緩やかに見たためである。
  7. 中国経済の先行き不安や年初来の世界的な金融・資本市場の混乱で景気の下方修正リスクが高まっている。足下の原油安、株安、円高の水準が今後も維持された場合のシミュレーションを行った。円高のマイナス効果が、原油安のプラス効果を上回る結果、実質GDPは1年目に-0.1%、2年目に-0.2%程度引き下げられる。

関連論文

稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Monthly Vol.58-景気は足下悪化傾向も、先行きは横ばいで推移か-

[ Monthly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 生田 祐介 / CAO THI KHANH NGUYET / 馬 騰 DATE2018-02-23

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月次レポート, 関西経済, KEIM

-景気は足下悪化傾向も、先行きは横ばいで推移か- ・12月の鉱工業生産指数は2カ月ぶりの前月比上昇。結果、10-12月期は2四半期ぶりに拡大した。近畿経産局は12月の生産の基調判断を前月から上方修正した。 ・1月の貿易収支は12カ月ぶりの赤字となったが、赤字幅は前年同月と比べ縮小した。中国の春節休暇に備えて輸入が増加したものの、スマホ関連需要により輸出が大幅に伸びたため。 ・1月の景気ウォッチャー現状判断DIは5カ月ぶりの前月比悪化。堅調なインバウンド消費や年始の初売りが好調であった一方、厳しい寒さによる外出の手控えや生鮮食品の価格上昇などが悪化に寄与した。 ・11月の関西2府4県の現金給与総額は9カ月連続の前年比増加。実質現金給与総額も4カ月連続で上昇しており、所得環境は全国を上回る改善が続いている。 ・12月の大型小売店販売額は2カ月連続の前年比プラス。百貨店は高額品を中心に依然好調であり、スーパーは野菜価格の高騰もあり、農産品が好調であったため。 ・12月の新設住宅着工戸数は4カ月連続の前年比減少。利用関係別にみると、持家、貸家、分譲のいずれも減少が続いており、低調である。 ・12月の有効求人倍率は3カ月連続の前月比上昇。2017年通年では関西の改善幅が全国を上回った。一方、完全失業率は2カ月連続で悪化したものの、雇用環境は引き続き堅調である。 ・1月の公共工事請負金額は4カ月連続で前年比増加した。新名神高速道路や阪神高速道路の工事が増加に寄与したとみられる。 ・12月の建設工事出来高は5カ月ぶりの前年比増加。2017年通年では、関東ではオリンピック・パラリンピックの影響もあり大きな伸びとなったが、関西の伸びは小幅にとどまった。 ・1月の関空への訪日外客数は11カ月連続で前年比増加。また、10カ月連続で2桁増が続いており好調である。 ・中国1月の製造業購買担当者景況指数(PMI)は2カ月連続で下落したが、18カ月連続で景気の分岐点である50を上回った。
稲田 義久
経済予測

日本経済(月次)予測(2018年1月)<10-12月期の実質GDP成長率の下方修正リスクは民間最終消費支出の予測に依存>

[ Monthly Report(日本) ] AUTHOR稲田 義久 DATE2018-02-06

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日本経済, 月次レポート、超短期予測

稲田 義久
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Kansai Economic Insight Monthly Vol.57-景気は足下、先行きともに悪化の兆し-

[ Monthly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 生田 祐介 / CAO THI KHANH NGUYET / 馬 騰 DATE2017-01-24

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関西経済, 月次レポート, KEIM

-景気は足下、先行きともに悪化の兆し- ・11月の鉱工業生産指数は2カ月連続の前月比上昇だが、10-11月平均を7-9月平均と比べると小幅下落した。近畿経産局は「生産は横ばい傾向で推移している」と判断している。 ・12月の貿易収支は11カ月連続の黒字となったが、黒字幅は2カ月ぶりに前年比縮小。スマートフォン需要が旺盛なため輸出が伸びたが、一方でエネルギー輸入が増加したため。 ・12月の景気ウォッチャー現状判断DIは4カ月連続で改善した。好調な季節商品の売れ行き、堅調なインバウンド消費、株高による高額消費増加などが改善に寄与。なお、同月の消費者態度指数は3カ月ぶりに悪化。 ・10月の関西2府4県の現金給与総額は8カ月連続の前年比増加。実質現金給与総額も3カ月連続で上昇しており、所得環境は改善が続いている。 ・11月のスーパーは苦戦したものの、百貨店が依然好調な結果、大型小売店販売額は2カ月ぶりに前年比増加した。 ・11月の新設住宅着工戸数は3カ月連続の前年比減少。利用関係別にみると、持家は9カ月連続、貸家と分譲はそれぞれ3カ月ぶりにいずれも減少した。 ・11月の有効求人倍率は2カ月連続の前月比上昇。完全失業率は2カ月ぶりに小幅悪化したものの、労働力人口と就業者数の増加がみられ、雇用環境は好調である。 ・12月の公共工事請負金額は3カ月連続で前年比増加し、結果10-12月期は5四半期ぶりに増加した。 ・11月の建設工事出来高は4カ月連続の前年比減少。オリンピック・パラリンピックの影響で、増加が続いている関東と異なり、低調で推移している。 ・12月の関空への訪日外客数は10カ月連続で前年比増加し高水準を維持。結果、2017年は716万人となり、6年連続の前年比プラス。 ・中国10-12期の実質GDP成長率は前年比+6.8%となり、前期と同じ伸び。結果、2017年実質GDP成長率は+6.9%となり、政府の目標である6.5%成長を上回った。
稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Monthly Vol.56-景気は足下、先行きともに足踏み基調で推移か-

[ Monthly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 木下 祐輔 / 生田 祐介 / CAO THI KHANH NGUYET / 馬 騰 DATE2017-12-27

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KEIM, 関西経済, 月次レポート

-景気は足下、先行きともに足踏み基調で推移か- ・10月の鉱工業生産指数は2カ月ぶりに前月から上昇したものの、7-9月平均と比べると下落した。近畿経産局は「生産は横ばい傾向で推移している」と判断している。 ・11月の貿易収支は10カ月連続の黒字であり、黒字幅は2カ月ぶりに前年比大幅拡大。アジアのスマートフォン市場の好調により、輸出では半導体等電子部品が増加し、輸入では通信機等が増加した。 ・11月の消費者態度指数は2カ月連続、景気ウォッチャー現状判断DIは3カ月連続で改善。気温が低く季節商品が好調だったこと、堅調なインバウンド消費などが上昇に寄与。一方、先行き判断DIはインバウンド消費の持続性への不安などから下落。 ・9月の関西2府4県の現金給与総額は7カ月連続の前年比増加。「関西コア」賃金指数も5カ月連続の同改善。実質賃金も2カ月連続で上昇しており、所得環境は改善がみられる。 ・10月の大型小売店販売額は3カ月ぶりの前年比減少。百貨店は化粧品や時計等の高額品が依然好調だが、スーパーは悪天候による来客数の減少と野菜の相場安を受け、低調であったため。 ・10月の新設住宅着工戸数は2カ月連続の前年比減少。利用関係別にみると、貸家は2カ月連続で増加したものの、持家と分譲は8カ月連続と2カ月連続でいずれも減少した。 ・10月の有効求人倍率、新規求人倍率ともに前月比改善。完全失業率も2カ月ぶりに同改善した。雇用情勢は依然堅調である。 ・11月の公共工事請負金額は2カ月連続で前年比増加したものの、季節調整値では5カ月ぶりの前月比減少となった。 ・10月の建設工事出来高は3カ月連続の前年比減少。全国と異なり、低調で推移している。 ・11月の関空を利用した訪日外客数は9カ月連続の前年比増加。また、8カ月連続で2桁増が続いており、好調である。 ・中国11月の製造業購買担当者景況指数(PMI)は2カ月ぶりに改善し、16カ月連続で景気の分岐点である50を上回っているが、工業生産は2カ月連続で減速している。