Kansai Economic Insight Quarterly No.34 <停滞を抜けて内外需とも好材料が見られる関西 先行きの力強い改善に期待>

2017-05-31

停滞を抜けて内外需とも好材料が見られる関西 先行きの力強い改善に期待

1.2017年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.2%(前期比+0.5%)となった。5四半期連続のプラス成長で、潜在成長率を超える成長率が続いている。GDP成長率に対する寄与度をみると、国内需要が+1.5%ポイント、外需が+0.6%ポイントとバランスの良い成長となった。特に輸出と消費が成長を牽引した。

2.2017年1-3月期の関西経済は、内需・外需の両方に好材料が見られはじめ、先行きの力強い改善に期待を持たせる内容となった。家計部門、企業部門ともに持ち直している。対外部門についても、対アジアを中心に輸出輸入とも持ち直してきており、貿易収支は黒字基調が続いている。一方、公的部門は、弱い動きとなっている。また所得環境については、前年割れが続き、全国の伸びと比べて低調である。

3.関西の実質GRP成長率を2017年度+1.4%、18年度+1.3%と予測する。足下での景気指標の持ち直しの動きを反映して、前回予測から17年度+0.3%ポイント、18年度+0.2%ポイントのそれぞれ上方修正とした。また過年度の実績見通しについては県内GDP早期推計の改定を反映し、15年度は修正なし、16年度は-0.6%ポイントの下方修正とした。

4.実質GRP成長率に対する各需要項目の寄与度は、2017年度は民間需要が+0.6%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.6%ポイント、各項目がバランスよく成長に貢献する。18年度も内需外需ともに成長を牽引するパターンが続き、民間需要+0.6%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.6%ポイントと見込む。

5.日本経済予測と比較すると、関西の成長率自体は全国に近い結果となるが、需要項目の寄与のパターンは異なる。民需は所得環境の回復の動きが緩慢であることから、民間消費の貢献が全国に比べて小さく、公的需要も日本経済予測に比べて小幅にとどまる。一方外需については、アジア向けを中心とした輸出の伸びが旺盛なことと純移出の貢献から、全国よりも寄与が幾分大きくなる。

6.2015-16年度の県内GDP早期推計を改定した。関西2府4県の実質GRP(生産側)の合計は、2015年度が84.98兆円、16年度が84.80兆円となり、実質成長率では2015年度-0.06%、16年度-0.21%と予測される。全国でプラス成長が続いたのとは異なり、15-16年度の関西経済は、横ばいで停滞したことになる。

関連論文

稲田 義久
経済予測

日本経済(月次)予測(2018年11月)<支出、生産両サイドからの10-12月期実質GDP成長率予測は前期比年率1%後半に上昇>

[ Monthly Report(日本) ] AUTHOR稲田 義久 DATE2018-12-03

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日本経済, 超短期予測, 月次レポート

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稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Quarterly No.40 <2つの輸出により足下景気は堅調も先行きに黄信号>

[ Quarterly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / CAO THI KHANH NGUYET / 生田 祐介 / 馬 騰 DATE2018-11-26

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関西経済, 四半期予測, 早期推計, 2つの輸出, インバウンド, 自然災害

2つの輸出により足下景気は堅調も先行きに黄信号自然災害と米中貿易摩擦高進で高まる景気減速リスク 1.2018年7-9月期実質GDP成長率は前期比-0.3%(年率換算-1.2%)と2四半期ぶりのマイナス成長となった。実質GDP成長率に対する寄与度は国内需要-0.8%ポイント、純輸出-0.3%ポイントとともにマイナスとなった。国内需要は相次ぐ自然災害の影響で伸び悩み、民間最終消費支出が-0.3%ポイント、民間企業設備が-0.1%ポイントと成長を押し下げた。また輸出は関空の一時閉鎖の影響もあり、-1.3%ポイントと5四半期ぶりのマイナスとなった。 2.2018年7-9月期の関西経済は、一部で自然災害の影響が見られたが、おおむね堅調を維持した。家計部門では、所得や雇用は改善が続いているが、センチメントや大型小売店販売は低調だった。企業部門では、景況感は堅調に推移し、設備投資計画は旺盛である一方、生産は弱い動きとなった。対外部門は、関空一時閉鎖により輸出入や外国人客数は一時的に前年割れとなったが、インバウンド需要は前年を上回る拡大を維持した。公的部門は弱い動きである。 3.関西の実質GRP成長率を2018年度+1.8%、19年度+0.7%、20年度+0.5%と予測する。前回予測と比較すると、18年度は修正なし、19年度・20年度ともに-0.3%ポイントの下方修正である。 4.全国の成長率と比較すると、18年度は、所得環境の全国を上回る高い伸びやインバウンド需要の加速により、全国より高い成長率で推移する。19年度以降は、消費増税の影響から日本経済予測と同様に関西でも成長率は減速し、全国並みの成長率となる。2020年度には、全国に比して関西では内需の貢献が小幅となり、日本予測の成長率が関西を若干上回る。 5.標準予測に対して、海外・国内とも様々なリスクが懸念される。海外リスクとしては、世界経済全体の鈍化が指摘できる。特に中国経済にスローダウンの兆しが見えつつある中で、米中間の貿易戦争の高進は、関西経済にも影響が波及するおそれがある。国内リスクとしては、消費増税後の民間需要の停滞がある。一方で、2025年の万博開催が大阪・関西に決定したことは、先行きの明るい材料となろう。 6.トピックスとして、自然災害の中でも、9月の台風21号による影響について検討した。9月の関空一時閉鎖によりインバウンド関連では317億円、財輸出関連では281億円となり、合計では約598億円の経済的損失が発生した見込み。これは輸出の0.3%、関西GRPの0.1%に相当する。関西に対する風評被害が履歴効果として蓄積しないよう、迅速かつ適切な情報発信が必要である。また、関西2府4県のGDP早期推計の改定結果および超短期予測の結果が示されている。   ※英語版はこちら
稲田 義久
経済予測

第119回景気分析と予測<成長牽引の2つの輸出に先行きリスク>

[ Quarterly Report(日本) ] AUTHOR稲田 義久 / 下田 充 DATE2018-11-26

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日本経済予測, 四半期レポート, 超短期予測, 自然災害, 貿易摩擦

成長牽引の2つの輸出に先行きリスク自然災害と貿易摩擦の高進が景気下押し 1.CPB World Trade Monitorによれば、2018年4-6月期の世界輸出(数量ベース)は前期比+0.1%と1-3月期の同+1.0%から減速した。7-9月期は前期比+1.3%増加し、回復したように見える。地域別に見れば、先進国は引き続き低下トレンドを示している。一方、新興国は増加に転じたが米中貿易摩擦高進の影響を受け、駆け込み輸出が出ているようである。このため18年後半から19年にかけて世界貿易減速リスクが高まる可能性が高い。 2.11月14日発表のGDP1次速報値によれば、7-9月期実質GDPは前期比年率-1.2%と2四半期ぶりのマイナス成長。実績は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト11月調査)の同-0.72%とCQM最終予測(支出サイド)の同-1.8%のほぼ間に収まった。CQM最終予測は幾分ペシミスティックであったが、3カ月前からマイナス成長を予測し続けた。一方、市場コンセンサスは最終予測を除きプラス成長を予測し続けた。 3.7-9月期は自然災害(7月の豪雨、9月の台風21号、北海道胆振東部地震)の影響が供給制約として色濃く出た。実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比年率-0.8%ポイントと2四半期ぶり、純輸出は同-0.3%ポイントと2四半期連続、ともにマイナスとなった。特に民間最終消費支出と輸出は影響を強く受けた。 4.7-9月期GDP1次速報値を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+1.0%、19年度を+0.6%、20年度を+0.8%と予測した。前回(第118回)予測に比して、18年度を-0.1%ポイント、19年度-0.3%ポイント下方修正、20年度を+0.2%ポイント上方修正した。緩やかな回復を維持するという予測シナリオに大きな変化はないが、18-19年度については自然災害と貿易摩擦高進の影響を強く見た。 5.自然災害と貿易摩擦の高進は、これまで日本経済が享受してきた2つの輸出による景気回復への下押し圧力となろう。緩やかな回復シナリオが海外状況に大きな影響を受けるようになってきた。 6.標準予測では、消費増税が予定通り実施されると想定。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であること、政府の経済対策、オリンピック需要の影響もあり19年度はマイナス成長を避けられよう。ただ前年同期比でみると、19年10-12月期と20年の最初の3四半期はゼロないし小幅のマイナス成長が続く。 7.先行き世界経済にとっての課題は米中貿易摩擦の高進である。11月米国中間選挙の結果はこの傾向に影響を及ぼさない。むしろ長期化の様相を呈し、今後影響は2019年以降に発現してくる。多くのシミュレーション結果が示すように、関税報復合戦の影響は当事者国のみならず世界にとって、誰も勝者たりえないマイナスの結果をもたらす。
稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Monthly Vol.67 – 景気は足下悪化が続くも先行きは改善の兆しか -

[ Monthly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 生田 祐介 / CAO THI KHANH NGUYET / 馬 騰 DATE2018-11-22

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関西経済, 月次レポート, KEIM

-景気は足下悪化が続くも先行きは改善の兆しか- ・9月の鉱工業生産指数は2カ月ぶりの前月比マイナスとなり、結果7-9月期は2四半期ぶりの前期比低下。近畿経産局は生産の基調判断を「緩やかな持ち直しの動きに一服感」と下方修正した。 ・10月の貿易収支は9カ月連続の黒字となったが、黒字幅は前年比縮小した。9月の台風の影響で一時閉鎖した関空の物流機能が回復しつつあり、輸出と輸入はともに増加した。 ・10月の景気ウォッチャー現状判断DIは、2カ月ぶりの前月比改善。関空の機能が平常に戻り、インバウンド需要や百貨店の売上が回復傾向にあることなどが改善に寄与した。 ・8月の関西2府4県の現金給与総額は18カ月連続の前年比増加だが、伸びは1%未満にとどまった。また、実質現金給与総額はガソリン等エネルギー価格の上昇から6カ月ぶりに減少した。 ・9月の大型小売店販売額は3カ月連続の前年比マイナス。百貨店は台風の影響もあり2カ月ぶりの同マイナス。スーパーは農産品価格の高騰が続いており2カ月ぶりの同プラスとなった。 ・9月の新設住宅着工戸数は貸家と分譲の急増により4カ月ぶりの前年比増加。結果、7-9月期は2四半期連続の前年比プラスとなった。 ・9月の有効求人倍率は4カ月連続の前月比改善。依然として労働需給は引き締まった状態が続く。完全失業率は3カ月ぶりに小幅悪化したが、雇用情勢は引き続き堅調である。 ・10月の公共工事請負金額は3カ月連続の前年比マイナスだが、前月比(季節調整値)では3カ月ぶりのプラスであった。 ・9月の建設工事出来高は7カ月連続の前年比増加。結果、7-9月期は2四半期連続のプラスと持ち直しの動きがみられる。 ・10月関空の訪日外客数は2カ月ぶりに前年比増加したが、小幅にとどまった。国籍別では、8月は韓国・台湾・香港からの入国者数が3カ月連続で減少した。 ・中国10月の製造業購買担当者景況指数(PMI)は2カ月連続で前月比下落。うち、生産指数も2カ月連続、輸出新規受注指数も3カ月連続といずれも悪化が続いている。   ※英語版はこちら
稲田 義久
経済予測

日本経済(月次)予測(2018年10月)<自然災害の影響で内需外需ともに停滞し、7-9月期はマイナス成長の可能性が高まる>

[ Monthly Report(日本) ] AUTHOR稲田 義久 DATE2018-11-05

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Abstract/Keywords

日本経済, 超短期予測, 月次レポート

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