第118回景気分析と予測<企業部門中心の緩やかな回復が続くが成長率は低下>(2018.8.29revised)

2018-08-28

企業部門中心の緩やかな回復が続くが成長率は低下-消費増税後の景気については不確実性が高まる-

1.実質GDPは2016年1-3月期から8四半期連続のプラス成長、特に、17年1-3月期から2%超のプラス成長が続き、1%と推計される潜在GDP成長率を3四半期連続で上回った。このため、17年度は景気の回復を久方ぶりに実感できる年となった。この背景には、純輸出の回復とそれに続き内需(特に、民間企業設備)が回復するという好循環があり、しばらくはこの好循環が続くとみる。

2.8月10日発表のGDP1次速報値によれば、4-6月期実質GDPは前期比+0.5%(同年率+1.9%)と2四半期ぶりのプラス成長となった。4-6月期の実績は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト8月調査)の前期比年率+1.46%より上振れたが、CQM最終予測(支出サイド)の同+2.0%とほぼ同じ結果となった。

3.4-6月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比+0.6%ポイント(同年率+2.4%ポイント)と好調で2四半期ぶりのプラス、純輸出は前期比-0.1%ポイント(同年率-0.5%ポイント)と2四半期ぶりのマイナスとなった。結果、1-3月期の景気の落ち込みは一時的なものであることを確認した。

4.4-6月期GDP1次速報値を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+1.1%、19年度を+0.9%、新たに20年度を+0.6%と予測した。前回(第117回)予測に比して、19年度を+0.2%ポイント上方修正した。緩やかな回復を維持するという予測シナリオに大きな変化はないが、消費増税後の景気については不確実性が高い。

5.ベースライン予測では、消費増税が予定通り実施されると想定。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回に比して、税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であること、政府の経済対策、オリンピック需要の影響もあり19年度のマイナス成長は避けられよう。

6.消費増税の影響は2020年に顕在化する。増税に伴う駆け込み需要増とその反動減は相殺されるが、増税に伴う実質所得減や消費者心理への悪影響は看過できない。前年比でみて、20年の最初の3四半期はゼロないし小幅のマイナス成長が続く。

7.米国と中国の間で、貿易摩擦が進行している。トランプ政権は6月15日に中国の知的財産権侵害への制裁措置として500億ドルの中国製品に対して25%の追加関税を決定し、中国も同規模の報復関税発動を打ち出した。この直接の影響は今は限定的と見ているが、報復合戦が世界経済に波及すればその影響は大きい。

8.この状況をシミュレーション(2018-20年に実質世界輸出の伸びが半減し、株価が20%低下)すると、名目世界輸出は2,780-1兆2,280億ドル程度減少し、結果、日本の実質GDPは標準予測から0.3%-0.6%程度減少する。1%程度の潜在成長率が続く日本経済にとって、小さくないインパクトである。

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稲田 義久
インサイト

「訪日外国人消費動向調査」個票データ分析から得られる関西インバウンド戦略へのインプリケーション(2)-訪日外国人の移動パターン-

[ トレンドウォッチ ] AUTHOR稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔 DATE2019-01-11

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インバウンド, 訪日外国人消費動向調査, 個票データ, 移動パターン

本稿では、『訪日外国人消費動向調査』の個票データの観察に基づき、訪日外国人の移動パターンについて得られる特徴を整理、検討し、関西インバウンド戦略に向けての含意(インプリケーション)を導出する。今回の報告では、特に訪日外国人の滞在日数と移動パターンについて詳細(国籍別)に検討する。 観察結果より、(1)アジア地域からの観光・レジャー目的での滞在日数は概ね1週間以内である一方で、欧米からの観光客は滞在日数が10日以上の長期型となっている。(2)ビジネス目的での訪日外国人の滞在日数はアジア、欧米にかかわらず、長期研修目的を除けば概ね4泊5日以下の短期滞在型が主流である。(3)注目すべきはインバウンド需要が本格化する2015年から足元の移動パターンは、観光・レジャー目的のみならずビジネス目的においても広域化しており、入国先が関西であったとしても、その後の移動先はほぼ全国に広がっていることが確認できた。 インバウンド需要が関西経済を拓く新たな原動力と捉えるならば、こうした現象・傾向はインバウンド産業戦略を考える上での重要な点であり、検討すべき課題と言える。この分析をもとに、今後は関西から入国した後の訪日外国人の移動パターンを、個別地域に特化してより詳細に観察することが可能となろう。また、ミクロデータを用いてインバウンド需要の決定要因について定量的に分析することが可能である。
稲田 義久
経済予測

第120回景気分析と予測<120回予測:18年7-9月期2次速報値反映 緩やかな回復だが、減速傾向は強まる>

[ Quarterly Report(日本) ] AUTHOR稲田 義久 DATE2019-01-07

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日本経済, 四半期レポート, 経済予測

120回予測:18年7-9月期2次速報値反映 緩やかな回復だが、減速傾向は強まる 1.CPB World Trade Monitor(2018年12月)によれば、2018年4-6月期の世界輸出(数量ベース)は前期比+0.4%と1-3月期の同+0.9%から減速した。7-9月期は同+1.3%増加し、一転回復したように見える。地域別に見れば、先進国は同-0.4%と2四半期ぶりのマイナスだが、新興国は同+3.1%と2四半期ぶりのプラス。米中貿易摩擦高進の影響を受け、新興国では駆け込み輸出が出ているようである。このため18年後半から19年にかけて世界貿易減速リスクが高まるとみてよい。 2.12月10日発表のGDP2次速報値によれば、7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率-2.5%と1次速報値(同-1.2%)から大幅下方修正された。最大の要因は民間企業設備の下方修正であり、7-9月期法人企業統計が反映されたためである。過去に遡ってデータが改訂された結果、2017年成長率は4四半期のうち3四半期が上方修正されたが、18年は3四半期すべてが下方修正された。また17年度の第一次年次推計値、16年度の第二次年次推計値が公表された。結果、16年度の実質GDP成長率は下方修正(+1.2%→+0.9%)されたが、17年度は上方修正(+1.6%→+1.9%)された。 3.7-9月期GDP2次速報を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+0.7%、19年度を+0.6%、20年度を+0.8%と予測した。7-9月期GDP成長率が大幅下方修正された結果、前回(第119回)予測に比して18年度を-0.3%ポイント下方修正した。一方、19年度、20年度は前回予測から横ばい。緩やかな回復を維持するという予測シナリオに大きな変化はないが、低い成長率にとどまろう。 4.標準予測では、消費増税が予定通り実施されると想定。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であること、政府の経済対策、オリンピック需要の影響もあり19年度はマイナス成長を避けられよう。ただ前年同期比でみると、19年10-12月期と20年の最初の3四半期はほぼゼロ成長が続く。 5.緩やかな回復を維持するが、成長の減速傾向が強まるもう一つの理由は米中貿易摩擦の高進である。これまで日本経済が享受してきた財とサービスの「2つの輸出」による景気回復への下押し圧力となろう。緩やかな回復シナリオが海外状況に大きな影響を受けるようになってきた。 6.12月1日の米中首脳会談で、90日かけて中国の知的財産権やサイバー攻撃、技術移転の強要などの是正を協議することとなり、この間追加関税の発動を猶予した。この決定は米中の関税合戦の緩和に期待を抱かせるが、協議がすべて合意可能となる可能性は低い。むしろ貿易戦争は長期化し、今後その影響は2019年以降に発現してくる。
稲田 義久
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Kansai Economic Insight Monthly Vol.68 – 景気は足下横ばいも、先行きは悪化を見込む -

[ Monthly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 生田 祐介 / CAO THI KHANH NGUYET / 馬 騰 DATE2018-12-25

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関西経済, 月次レポート, KEIM

- 景気は足下横ばいも、先行きは悪化を見込む - ・10月の生産は7-9月平均比+3.1%と上昇し、9月の挽回生産の影響もあり好調な結果だが、持続性については注意が必要。 ・11月の貿易収支は10カ月連続の黒字となったが、黒字幅は前年同月比縮小した。米中貿易摩擦の影響で、中国向け半導体関連(通信機、科学光学機器)輸出が大幅減少した影響が大きい。 ・11月の景気ウォッチャー現状判断DIは、2カ月連続の前月比改善。関空の機能が平常に戻ったことでインバウンド需要や百貨店の売上が堅調に伸びていることなどが改善に寄与した。 ・9月の関西2府1県の「関西コア」賃金指数は17カ月ぶりの前年比減少。消費者物価上昇もあり、実質現金給与総額は2カ月連続で減少しており、実質賃金を巡る環境に悪化が見られる。 ・10月大型小売店販売額は4カ月ぶりの前年比プラスだが小幅にとどまった。百貨店は国内向け高額品が好調で2カ月ぶりのプラス。スーパーは季節商材の低調で2カ月ぶりのマイナス。 ・10月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりの前年比減少。持家と分譲は好調を維持しているが、貸家は大幅減少し、全体を押し下げた。 ・10月の有効求人倍率は有効求人数と有効求職者数が共に増加した結果、6カ月ぶりの前月比悪化。完全失業率は2カ月連続で小幅悪化したが依然低水準であり、雇用情勢は堅調である。 ・11月の公共工事請負金額は前年比4カ月ぶりの、前月比2カ月連続のいずれもプラスで、持ち直しの動きが見られる。 ・10月の建設工事出来高は8カ月連続の前年比増加。インバウンド・復興関連作業で今後も増加すると期待される。 ・11月関空の訪日外客数は2カ月連続で前年比増加し、伸びも加速。入国者数は回復している。国籍別では、9月は台風で関空が一時閉鎖されたため、いずれの国・地域でも大幅に減少した。 ・中国11月の製造業購買担当者景況指数(PMI)は3カ月連続で前月比下落し、28カ月ぶりに景気分岐点の50となった。米中貿易摩擦の影響を受け、輸出新規受注指数は6カ月連続で50を下回った。また、工業生産は10年ぶり、社会消費品小売総額は15年ぶりの低い伸びとなった。   ※英語版はこちら  
稲田 義久
経済予測

日本経済(月次)予測(2018年11月)<支出、生産両サイドからの10-12月期実質GDP成長率予測は前期比年率1%後半に上昇>

[ Monthly Report(日本) ] AUTHOR稲田 義久 DATE2018-12-03

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Abstract/Keywords

日本経済, 超短期予測, 月次レポート

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