地域DSGEモデルの応用可能性:家計の異質性を考慮して

2016-02-01

本稿の目的は、Okano et al. (2015)の地域版の動学的一般均衡(DSGE)モデルにGali et al. (2007)の流動性制約家計を考慮することで地域DSGEの応用可能性を探ることである。本稿の分析からは以下のことが確認された。まず、政府支出の増大は実質金利の上昇を通じて非耐久財投資を減少させるが(クラウディング・アウト効果)、一方で、政府支出増の耐久財投資増加の効果によって耐久財需要が増大する。総需要はこの両者の相対関係で決定されるが、ベンチマーク経済では、政府支出増の耐久財投資増の効果がクラウディング・アウト効果を上回るので、政府支出は総需要の拡大を促す。流動性制約家計の導入に加え、Blanchard (1985)の「視野の有限性」を考慮すると、関西と関東の住宅投資の違いを上手く説明することができた。よって、関西と関東の住宅投資の違いをみるには、流動性家計の存在に加えて、視野の有限性を考慮することが必要であることが示唆された。

関連論文

岡野 光洋
インサイト

関西経済が抱える長期的課題とは?―新しいタイプの「関西経済モデル」の探求から ―

[ トレンドウォッチ ] AUTHOR岡野 光洋 / 井田 大輔 DATE2015-04-13

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Abstract/Keywords

関西経済,地域DSGEモデル,全要素生産性

アジア太平洋研究所『2014年版 関西経済白書 ―KANSAI発のイノベーションとは何か―』(以下、関西経済白書)では、関西経済が長期低迷に陥っていることを指摘し、その要因分析と打開策の検討を中心に議論を展開してきました。関西経済をマクロの視点から、さらに長期的な視点で眺めたとき、国内の他地域経済とはどのような違いがあるのでしょうか。もちろん様々な要因を考えることができますが、本稿では特に、「民間企業設備(以下、設備投資)」「民間住宅投資(以下、住宅投資)」「全要素生産性」の3つに注目します 。
岡野 光洋
ディスカッションペーパー

Development of a Regional DSGE Model in Japan: Empirical Evidence of Economic Stagnation in the Kansai Economy

[ ディスカッションペーパー ] AUTHOR岡野 光洋 / 井田 大輔 / 北野 重人 / 松林 洋一 DATE2015-04-13

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Abstract/Keywords

Kansai economy, Area DSGE, productivity, residential investment

Using a dynamic stochastic general equilibrium model, this study empirically examines Japan’s Kansai Region to ascertain causes of its long-run economic stagnation. Simulations and the empirical investigation demonstrate that stagnant private residential and equipment investments and productivity persistency are structural problems responsible for Kansai’s unique economic fluctuations.