東アジアの輸出志向型工業化の落とし穴

2013-03-08

目的

・東アジアの高度成長は輸出志向型工業化に依存してきたが、水平貿易による付加価値の低下、空洞化の懸念、外国企業の景気や政治情勢に大きく影響される投資などから、いまアジア各国では内需主導型経済への転換の兆しがみられる。

・その変化をサプライチェーンの実態と変化から明らかにして、日本企業が進出する際に予想される落とし穴について警告を発し、より健全で頑健なアジア地域成長のための施策を考える。

・想定するメインの読者は、ビジネス関係者でアジアの今後に興味を持つ人たちである。

 内容

・関西の企業への聞き取り調査、現地調査、文献調査、統計分析を行う。現地調査はベトナムに焦点を定め、進出のモチベーションや技術移転のやり方、製品の変化、サプライチェーンの現状

・将来などについて聞き取り調査を実施し、新しい知見を纏める。

・顕示比較優位指数、産業内分業などを計算し、貿易実態を統計的に明らかにする。最終財と部品貿易を区別し、経済統合の進展に伴うサプライチェーンの構築を明らかにする。

・製品群の推移を雁行形態的に観測し、同時に空洞化の雁行形態も明らかにする。

 期待される成果と社会還元のイメージ

(1)輸出入港別月次輸出入データを活用し、アジアにおけるサプライチェーンの動態を俯瞰する。これは企業・経済団体にとっても企業経営の参考に資するデータとなる。

(2)近い将来海外進出を考えている関西企業にとって、進出地域、進出形態を検討する上での判断材料を提供する。とりわけ、情報入手が難しい中小企業に対し有用である。

(3)関西企業とベトナムとの経済交流発展に貢献する。

著者

関連論文

阿部 茂行
研究プロジェクト

関西企業とアジアの経済統合

[ 2012年度/アジア太平洋経済展望 ] AUTHOR阿部 茂行 DATE2012-04

Abstract/Keywords

関西企業

リサーチリーダー 阿部 茂行 同志社大学教授 研究成果概要 TPPが動き出すことによりアジア大の経済統合が現実味を帯びてきました。もとより「世界の工場」アジアは、デファクトに統合をすすめ、広範囲の生産ネットワークを築いてきたのです。2011年のタイ洪水はそうしたネットワークの中心にあったタイに甚大な被害を与え、世界の自動車・電機電子産業への影響も強いものがありました。このプロジェクトでは、タイ経済の回復過程、そして今後起こりうる変化を分析することにより、今後の経済統合の進展が及ぼす関西企業(ことに中小企業)への影響を考察しました。多国籍企業は人件費等の安さだけで立地決定をしているわけではなく、業種によっては裾野産業が育っていることが重要です。その意味でタイは、関西中小企業に格好の進出機会を与えてくれる、というのが結論です。詳細はこちら 研究目的 関西企業の東アジアに進出するモチベーション、技術移転、経済統合への対応、アジアへの貢献等を産業分野別に調査分析し、アジアの枠組みの中で関西経済を見直し、関西経済復権への具体的提言につなげる研究を行う。 研究内容 ○専門家、企業人を招いた研究会を開催 ○関西企業のFTA/EPAに関するヒアリング ○タイにおいて現地企業から聞き取り調査を実施 ○経済統合の進展とともに、どのようにサプライチェーンが構築されたか、今後の経済統合がどのようにサプライチェーンを変質させるか等のデータ分析 メンバー Eric D.Ramstetter (国際東アジア研究センター) 上田曜子 (同志社大学) 後藤健太 (関西大学) 久保彰宏 (富山大学) 阿部良太 (神戸大学大学院生) 期待される研究成果 ・日本・アジアにおける関西企業の立ち位置を統計的に明示 ・タイ洪水がもたらした生産ネットワークへの被害実態と対策について客観的に評価 ・アジアにおける産業別生産ネットワークの実態の解明により、今後の方向性とリスク回避方法を探究 ・日本企業の貢献に関する現地側の評価の明確化 ・TPP等経済連携についての関西企業の取組み・期待に関するサーベイ ・関西経済復権につながる具体的な政策研究