インバウンド先進地域としての関西+MICE

リサーチリーダー

数量経済分析センター長 稲田義久 甲南大学教授

 

研究目的

日本経済が人口減少化の下で、将来に亘って持続的な経済成長を実現するためには、新たな成長戦略が必要となる。特に関西経済においては、インバウンド・ツーリズムの戦略的価値が高い。昨年度は、関西におけるインバウンド戦略を検討するための関西基礎統計の整理、マイクロデータによる分析に取り組んだ。

研究の3つの方向:2017年度に引き続き、関西におけるインバウンド戦略を検討するために、以下の4つの軸を中心にバランスよく研究を進める。

①  関西基礎統計の整理

②  マイクロデータによる分析

③  観光戦略の在り方

④  MICEに関する調査分析

特に研究の中心は、②である。具体的には、観光庁が訪日外国人客の消費実態等を把握し、観光行政の基礎資料とする目的で実施してきた訪日外国人消費動向調査個票・宿泊旅行統計調査個票(今年度データ取得予定)を用いたマイクロデータの分析である。

 

研究内容

<成長戦略立案のための実証分析>

産業としての「インバウンド・ツーリズム」を確立するために、近畿運輸局などの協力のもと、エビデンスにもとづいた戦略が議論できるための実証分析を行う。

具体的には「訪日外国人消費動向調査」等の個票データを用いて、消費品目別の需要関数を推定し、「爆買い」以降のインバウド需要決定の構造的要因を定量的に考察していく。

<成長戦略立案のための課題の認識>

政策担当官庁、推進組織、民間団体が認識する「爆買い」以降のマーケティング戦略をめぐる課題を議論できる場を提供し、その解決策を発信する。

 <関西のインバウンド需要の定量分析と他地域との比較分析>

今年度の個票データを活用した分析により、観光エリアとしての調査分析が可能となり、より詳細な成長戦略立案への具体的な資料提供が可能となる。

<観光施策についてより実現性のある研究>

本研究により観光DMOや観光庁、民間の事業方針とマーケティング分析や効果検証が実現できる。

 

リサーチャー

大井達雄 和歌山大学観光学部 教授 

松林洋一 APIR主席研究員、神戸大学教授 

研究協力者

柴谷淳一 国土交通省・近畿運輸局観光部計画調整官

森 健夫 関西観光本部 事務局長

濱田浩一 関西観光本部 事務局次長

角倉洋介 日本旅行業協会 事務局長

筒井千恵 関西エアポート㈱ グループリーダー

 

期待される成果と社会還元のイメージ

・関西インバウンド基礎統計の整備

・マイクロデータによる分析成果

・関西観光戦略の課題の共有化

 ・関西の観光産業の成長戦略の立案

・観光ハードとソフトのインフラ整備の選択・集中

・DMOのKPIとその検証

 

<研究会の活動>

研究会

・2018年9月   第1回研究会開催(予定)

・2018年11月   第2回研究会開催(予定)

・2019年1月   第3回研究会開催(予定)

・2019年2月   第4回研究会開催(予定)

・2019年3月   第5回研究会開催(予定)

関連論文

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経済予測

日本経済(月次)予測(2018年9月)<7-9月期GDPデフレータのインフレ率を、3四半期ぶりの前期比プラスと予測>

[ Monthly Report(日本) ] AUTHOR稲田 義久 DATE2018-10-01

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Abstract/Keywords

月次レポート, 日本経済, 超短期予測

稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Monthly Vol.65 – 景気は足下先行きともに悪化傾向が続く -

[ Monthly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 生田 祐介 / CAO THI KHANH NGUYET / 馬 騰 DATE2018-09-25

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Abstract/Keywords

関西経済, 月次レポート, KEIM

- 景気は足下先行きともに悪化傾向が続く- ・7月の鉱工業生産指数は2カ月ぶりに前月比マイナス。4-6月平均比でも低下し、7-9月期の最初の月としては低調であったが、近畿経産局は生産の基調判断を前月から据え置いた。 ・8月の貿易収支は7カ月連続の黒字となり、黒字幅も前年比拡大した。エネルギー価格高騰により輸入が伸びたものの、好調な半導体関連の需要で輸出の伸びがそれを上回ったため。 ・8月の景気ウォッチャー現状判断DIは、2カ月ぶりの前月比改善。相次ぐ自然災害に加え、8月は連日の猛暑で様々な業種に悪影響が出た。しかし、落ち込んでいたインバウンド需要が戻ったことが好感され、DIは改善した。 ・6月の関西2府4県の現金給与総額は16カ月連続の前年比増加。実質現金給与総額は同横ばいで、4カ月連続で1%未満の伸びにとどまっている。 ・7月の大型小売店販売額は2カ月ぶりの前年比マイナス。スーパーでは猛暑で飲食関連商品が好調だったが、百貨店では豪雨や台風、バーゲン前倒しによる買い控えの影響が大きかったため。 ・7月の新設住宅着工戸数は2カ月連続の前年比マイナス。個人向けアパートローン融資額の減少による貸家の着工の減少が影響した。 ・7月の有効求人倍率は2カ月連続の前月比改善。労働需給は引き締まった状態にある。完全失業率も2カ月ぶりに改善しており、雇用情勢は引き続き堅調である。 ・8月の公共工事請負金額は3カ月ぶりに前年比マイナスに転じた。大阪府北部地震や台風21号からの復旧・復興関連作業で、関西の公共工事は増加すると見込まれる。 ・8月関空の訪日外客数は18カ月連続で前年比増加したものの、大阪北部地震や西日本豪雨等による影響で、2カ月連続で1桁の伸びにとどまった。 ・中国の8月の貿易収支は5カ月連続の黒字となった。なお、対米貿易収支は、駆け込み輸出増の影響もあり黒字が拡大。米中貿易戦争の影響は年後半にかけて顕在化すると見られる。
稲田 義久
インサイト

台風21号の関西経済への影響について ―関西国際空港の被害に関連して―

[ トレンドウォッチ ] AUTHOR稲田 義久 / 藤原 幸則 / 木下 祐輔 DATE2018-09-07

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Abstract/Keywords

関西国際空港,インバウンド,輸出

今般の台風21号は関西を中心に大きな被害をもたらした。関西国際空港(以下、関空)においては、A滑走路や駐機場の冠水、タンカーの衝突による連絡橋の損傷等、想定外の被害に見舞われた。関空の早期再開に向け、昼夜を問わず懸命に尽力されている関係者の皆様に心からの敬意を表したい。 関西経済は、関西・日本の経済を支える基幹インフラである国際拠点空港・関空を基盤として、ここ数年2つの輸出、すなわち、成長著しいインバウンドというサービスの輸出(インバウンド消費は、統計上サービスの輸出に分類される)と電子部品・デバイス等の財の輸出に支えられ、好調に推移している。 この好調を持続可能なものとするためにも、関空の1日も早い復旧・再開が望まれる。現段階ではまだ被害の全容、全面再開の見通しが明らかではないが、今般の被害が今後の関西経済に与える影響、関空の早期再開の重要性について、現在把握できる範囲の情報に基づいて整理してみた。
稲田 義久
経済予測

日本経済(月次)予測(2018年8月)<7月の主要指標更新の結果、CQMは7-9月期実質GDP成長率を依然マイナスと予測>

[ Monthly Report(日本) ] AUTHOR稲田 義久 DATE2018-09-03

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Abstract/Keywords

日本経済, 月次レポート, 超短期予測

稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Quarterly No.39 <緩やかな改善を継続できるか、岐路に立つ関西>

[ Quarterly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / CAO THI KHANH NGUYET / 生田 祐介 / 馬 騰 DATE2018-08-28

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Abstract/Keywords

関西経済, 四半期予測, 早期推計

緩やかな改善を継続できるか、岐路に立つ関西-足下は踊り場、山積するリスクと課題 1.2018年4-6月期実質GDP成長率は前期比+0.5%(同年率+1.9%)と2四半期ぶりのプラス成長となった。実質GDP成長率への寄与度は、国内需要が前期比+0.6%ポイントと2四半期ぶりに成長を押し上げた。特に民間最終消費支出と民間企業設備の貢献が大きかった。一方純輸出は同-0.1%ポイントと2四半期ぶりのマイナス。結果、1-3月期の景気の落ち込みは一時的なものであることを確認した。 2.2018年4-6月期の関西経済は、おおむね緩やかに改善しているが、一部の指標には弱い動きも見られ、踊り場局面が続いている。家計部門は、所得環境や雇用環境など緩やかに改善しているが、消費者心理は悪化した。企業部門では景況感は改善が続き、今年度の設備投資計画は極めて旺盛であるが、生産は一進一退で足踏み状態。対外部門は輸出輸入とも拡大しており、インバウンド需要も堅調である。公的部門は、一進一退で停滞している。なお大阪北部地震の影響は限定的。 3.関西の実質GRP成長率を2018年度+1.8%、19年度+1.0%、新たに20年度+0.8%と予測する。前回予測と比較すると、18年度は+0.5%ポイント、19年度は+0.1%ポイントのそれぞれ上方修正。また過年度の実績見通しについて、16年度の成長率を+0.1%、17年度+2.5%とした。 4.実質GRP成長率に対する寄与度を見ると、2018年度は民間需要+1.1%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.6%ポイントと民需と外需がバランス良く成長を下支えする。19年度は民間需要+0.4%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.5%ポイントで、民需の寄与が小幅となる。20年度は民間需要+0.1%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.6%ポイントとなり、消費増税の影響が顕在化して、民需の寄与はさらに小さくなる。 5.全国と比較すると、18年度は、所得環境の回復やインバウンド需要の再加速により、全国を上回る成長率で推移する。19年度以降は、消費増税の影響から日本経済予測と同様に関西でも成長率は減速する。 6.2017年のインバウンド需要の経済波及効果を推計した。17年の関西インバウンド消費需要(直接効果)は前年比+16.4%増加し、その波及効果により関西のGRPに対して1%程度貢献できるようになった。急増するインバウンド需要に対応し、特に爆買いの2015年以降は、大規模で急速な宿泊施設への投資が進んでいる。稼働率等から見ていまのところ過剰投資の傾向はみられない。 ※英語版はこちら