『ズームイン奈良』(2011年6月)

2011-06-27

(主査:稲田義久・甲南大学経済学部教授、高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)
当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加による研究会を組織し、稲田主査指導のもとマクロ計 量モデルによる景気予測を行なうとともに、高林主査指導のもと時宜に適ったテーマを取り上げ、特別研究を実施している。2010年度の特別研究は、遷都 1300年記念事業で当初計画の約1.7倍の集客があり全国的に注目が集まった奈良県に着目した。その強みと弱みについて分析した結果を、『ズームイン奈 良』と題した報告書にとりまとめ2011年6月に公表した。

<要旨>
(1)本研究では、関西経済に占めるシェアは5%程度と小さいものの、
わが国最古の文化・歴史遺産を誇る奈良県の経済を分析対象として取り上げ、
アンケート調査、ヒアリング調査、公的データ等の活用により、奈良経済の強みと弱みを分析した。

(2)アンケート調査は2010年11月下旬、奈良県に居住する18歳〜69歳の男女500名に対しウエブ方式で実施。
消費や交通利用の実態、奈良県の強みと弱みに関する意識等の結果をとりまとめた。

(3)これらアンケートやヒアリング等から導き出された奈良の強みと弱みは
以下の通り。
(奈良の強み)
・歴史と自然が調和した独自の観光資源を有する。
・優れた住環境(昼間人口比率は88.5%と関西で最も低い)で
ゆとりある生活を享受している(1人当たり県民雇用者報酬は全国4位)。

(奈良の弱み)
・需要を満たすだけの宿泊施設や飲食施設が不足し、集客の経済効果を
享受できていない。
・交通の便が悪い。交通渋滞を引き起こしているほか、県南北間のアクセスを遮断し
中部・南部の経済発展にマイナスの影響を及ぼしている。
・奈良県民の所得が大阪府など近隣へ流出。
・産業が脆弱(大規模立地可能な工場用地が不足、など)

(4)アンケート結果を中心とする分析から、奈良県経済の抱える課題を克服し、強みを活かして関西全体の発展に役立てていくためには、(1)ブランド化と発信力の強化、
(2)関西広域連携の視点、の2点が重要と指摘している。