マクロモデル研究合宿を開催(2010年3月)

2010-03

テーマ:日本経済財政中期モデルの開発ならびに関西経済予測モデル(2010年版)の検討
開催日:平成22年(2010年)3月11日(木)〜13日(土)
会 場:兵庫県豊岡市城崎町 まつや会議室

今回の研究合宿は、関西社会経済研究所に設置された計量モデル研究会の活動の一環であり、日本経済財政中期モデルを新規構築するためのキックオフミー ティングとして実施された。当研究所は、1976年から短期モデルによる日本経済の四半期予測(短期予測)を公表しているが、近年は、税財政改革等の中期 的な経済問題への対応の必要性が高まっていた。そこでこの度、マクロ経済部門と財政部門の中期見通しおよび政策シミュレーションを目的とする、日本経済財 政中期モデルの構築を開始することとした。

2010年3月11日(木)
当研究所が管轄する複数の経済モデルについて、分析対象や分析期間、モデルの目的等の比較・検討が行われた。そのうえで高林主査からは、「財政の持続可 能性を明示化するのであれば、日本が高齢化のピークを迎える2025年ごろが重要なターゲットになる。そのためにはモデルのシミュレーション期間は 2030年ごろまでがよいのではないか」という意見が出された。
また、稲田主査からは参考文献として、環境政策分析用に開発された3Eモデルの概要が説明された。3Eモデルはオーソドックスなマクロ計量モデルにエネ ルギーバランス表とエネルギー需要ブロック、国内エネルギー価格ブロックが接続されており、原料価格やエネルギー税率、炭素税、エネルギー技術改善のシ ミュレーションが可能なモデルである。中期予測を前提としたモデルであるため、サブブロックとの直接手法を含め、本研究会が目指す中期モデル構築の参考と なると思われる。

2010年3月12日(金)
午前中は、当研究所が四半期ごとに公表する「関西エコノミックインサイト」の基盤となる、関西予測モデルについて議論が行われた。特に、モデルを構成す る方程式のうち、輸出関数の改訂が主な議題となった。アジア経済との結びつきを深める関西経済の特色を考慮し、輸出関数の説明変数をどのように設定するか について活発な意見交換がなされた。高林主査からは、「アジアで部材を組み立て、最終財を米国に輸出するという経路を考慮すると、対アジア輸出関数(除く 中国)の所得変数としては米国のGDPを追加するのはどうか」という提案がなされた。
なお、今回は中国、中国除くアジア、アジア除く世界をそれぞれ被説明変数とした場合の輸出関数の修正が行われた。これらの輸出の所得弾力性については、 後日、当研究所が公表する「日米中超短期予測(3月見通し)」および「エコノミックインサイト6号」で解説が行われる予定である。
午後からは下田委員が合流し、再び日本経済財政中期モデルについて議論がなされた。稲田主査からは、2003年に公表された電力中央研究所による財政モ デルの概要が説明された。内生変数が89本と中規模であり、制度の正確性も担保されていることから、本研究会が目指す日本経済財政中期モデルの財政ブロッ ク部分の参考となると思われる。特に、一般政府の部門別所得勘定表の説明は、SNAによる財政部門の理解には欠かせないものであった。
最後には、研究会として中期モデルのワーキングペーパーを1本完成させること、8-9月ごろをめどに一旦中期モデルを確定させることなどが確認された。
(文責 武者)