2013年度:アジア太平洋経済展望

木村 幹

研究プロジェクト

少子高齢化をめぐる問題に北東アジアの社会レベルで協力して対処するための提言研究

[ 2013年度/アジア太平洋経済展望 ] AUTHOR木村 幹 DATE2013-03-08

Abstract/Keywords

非伝統的安全保障

目的

日本とアジア太平洋地域諸国との経済的関係の緊密化にともない、気候変動・自然災害、食糧・水、エネルギー・資源、感染症等の非軍事的脅威からこの地域の経済活動や市民生活の安全・安心を守るための仕組みの構築が喫緊の課題となっている。課題は、一国内の技術的解決策の範囲を超え、国際的な協力の可能性にまで広がっている。

期待される成果と社会還元のイメージ

関西地域のシンクタンクとして、アジア太平洋地域の発展を阻害しかねない様々な脅威への対応策を提案し、同地域の持続的成長に貢献する。 リサーチリーダー 神戸大学大学院国際協力研究科教授 木村 幹 リサーチャー 金沢大学医薬保健研究域医学系准教授 杉本 直俊 リサーチャー 金沢学院大学経営情報学部准教授 酒井 亨
林 万平

研究プロジェクト

アジアの自然災害リスク

[ 2013年度/アジア太平洋経済展望 ] AUTHOR林 万平 DATE2013-03-08

Abstract/Keywords

アジア、自然災害、間接被害、GRP、パネルデータ、カウンターファクチュアル

研究成果概要

 本研究では、Hsiao et al. (2010)の手法により、東日本大震災の被災三県(岩手県、宮城県、福島県)の、同震災が発生しなかった場合に実現されていたであろう名目及び実質GRPの推計を行いました。これと、速報的に発表されている被災三県GRPとの比較を行い、同震災が被災地の経済活動に与えた影響の定量把握を試みました。 阪神・淡路大震災以降、復興計画の重要な目的の一つとして、間接経済被害の極小化が挙げられます。そのため、産業連関分析や一般均衡分析を駆使した先行研究の蓄積は多くあります。しかし、全体として復興政策や被災地の回復過程が間接被害の軽減にどの程度貢献しているか知るためには、それらの影響を含んだ被災地GRPの実測値と、大規模自然災害が発生しなかった場合に達成されていたであろう被災地GRP(カウンターファクチュアル値)の比較を行う必要があります。 近年、そのようなアプローチにより災害の間接被害を計測する手法が提案されてきています。Dupont and Noy (2012)は、Abadie et al. (2010)が提案しているSynthetic Control Methodを用いて阪神・淡路大震災の間接経済被害の推計を行いました。その結果、先行研究の主張に反して、被災後15年が経過しても、兵庫県GRPには負の影響があることを発見しています。 本年度は、Hsiao et al. (2010)の手法に基づき東日本大震災の2011年GRPのカウンターファクチュアル値を推計し、実測値との差分を計測しました。なお、同手法により2010年以前の被災三県GRPのシミュレーションも行いましたが、名目及び実質GRPの両方において実測値との誤差が少ない良好な結果が得られました。分析の結果、岩手県、宮城県では、カウンターファクチュアルGRPと実測値の差分は小さいことが分かりました。被災後の復旧活動や需要増等による効果が大震災によるストック滅失や取引機会の逸失等による効果が相殺しあっている様子がうかがえます。しかし、福島県においては、GRP実測値がカウンターファクチュアル値を大きく下回り、原発事故等による復興政策の遅れが間接経済被害を拡大させていることが分かりました。詳細はこちら 

目的

アジア地域は自然災害多発地域である。途上国における災害被害には、人的被害や構造物被害の規模が大きいという特徴がある。防災インフラの建設や避難計画等の整備とともに、自然災害による被害を軽減する上で地域社会の社会的脆弱性を減じることの重要性が明らかになってきた。本研究では、アジア各国における自然災害被害と経済・社会的要因の関連性についての実証分析をもとに、災害被害の軽減に有効な経済・社会的要因を検討する。主な読者は、各国の政策関係者、企業家、地域コミュニティの参加者を想定する。

内容

アジア地域の自然災害とその被害、経済・社会統計を国別に整理し、各国の災害被害と経済・社会的要因の関連性について分析する。アジア地域における大規模災害等について、その被害の実態と復興政策のあり方、及びその問題点について調査する。 復興政策の目的を経済発展の問題として捉え、阪神・淡路大震災や東日本大震災といった先進国型の大規模災害を経験してきた日本の知見を踏まえた研究を行うことで、特徴のある研究プロジェクトとする。

期待される成果と社会還元のイメージ

アジア各国では防災・減災政策に対する関心が高いため、アジア諸国の災害によるカントリーリスク、および取り上げる国の社会的脆弱性による地域リスクに関する情報を、相手国政府および自治体に提供することによって、関西企業の立地交渉の一助とすることができる。
劉 洋

研究プロジェクト

中国における賃金および所得格差の分析と中国景気モニター

[ 2013年度/アジア太平洋経済展望 ] AUTHOR劉 洋 DATE2013-03-08

Abstract/Keywords

目的

近年、中国では大都市部の経済の減速にもかかわらず、多くの中小都市や農村部で依然として高成長が続いている。近年、特に先進地域で労働力不足の声が上がっている。特に、高度な人的資本の役割が高まっており、それを活用できる賃金システムが重要である。また、世界の市場としては所得格差縮小が必要である。 本研究プロジェクトは、中国経済を定期的にモニターしたうえで、中国における賃金および所得格差の分析を行う。より正確な中国の経済分析を、中国に進出・貿易を行う企業、日本経済の先行きと関る中国経済変動に関心を持つ企業・経済団体、さらに中国経済に興味を持つ専門家・一般個人などに提供する。

内容

中国マクロ経済をモニターすると共に、賃金の動向と決定要因の分析をテーマとして取り上げる。 具体的には、 中国のマクロ経済データ、特に月次データを用いて、中国経済のトレンドと最新動向をレポートする。関西エコノミックインサイトと日本経済の景気予測と連動する。 項目として① 経済全体現状② 部門別現状(家計部門、企業部門、対外部門、公共投資)③対日政策、人民元動向など。

期待される成果と社会還元のイメージ

2013年度に中国最新動向のモニターを定期レポートで企業・経済団体に提供する。また、賃金と所得格差の決定要因を明らかにし、研究会、ディスカッション・ペーパー、学会発表などの形で発信する。  中国が内需牽引型の経済に移行していくかについては今後の賃金、所得動向、所得格差等の分析が必要となるが、これに一定程度の見通しを与える。これは企業の対中戦略判断にも役立つ。 中国景気モニターは日本や関西の企業にとって重要な課題であり、適切な情報の理解を提供する。
林 敏彦

研究プロジェクト

世界の人口と経済に関する超長期データベースの作成

[ 2013年度/アジア太平洋経済展望 ] AUTHOR林 敏彦 DATE2013-03-08

Abstract/Keywords

目的

OECDが発表した2060年までの加盟国の実質GDPに関する予測によれば、中国およびインドは、GDPにおいて21世紀中葉にアメリカを凌駕し一人当たりGDPも順調に上昇すると推定されている。英国エコノミスト誌も、2050年までの世界の経済、人口、社会構造等に関する長期予測を発表するなど、世界的に長期予測に関心が高まっている。この研究においては、2100年までの世界160カ国について、人口、実質GDP、および一人当たりGDPを予測し、それをデータベースとして広く一般に提供することを目的とする。

内容

初めに、アンガス・マディソンの歴史統計(西暦1年~2006年)によって、各国の人口と実質GDPの統計的関係性を推定する。次いで、国連の人口推計を手がかりとして、160カ国について、2100年までの実質GDPと一人当たりGDPの年次推定を行う。最後に、それらのデータを公表するための、簡易データベースを構築し、APIRデータとしてホームページ上に英文で公表する。国連の人口推計もIMF経済展望も定期的に改訂されるため、このデータベースも再推定した結果を継続的にアップデートすることとする。

期待される成果と社会還元のイメージ

・人口動態が経済に与える影響を明示する。100年におよぶ超長期予測のベースとなる変数は人口であることにもとづく。 ・世界の中には人口増加に伴って一人当たりGDPが低下するという「マルサスのわな」に陥っている国もあることを明らかにする。 ・21世紀の中央まで一人当たりGDPの国別格差が縮小する方向に動くが、それ以降再び国別格差が拡大することを示す。 ・2100年時点の世界経済においてもアメリカの優位性は保たれ、中国やインドは人口減少でマイナス成長に転移すると予想する。 ・ASEAN(+6)、TPP参加予定国、EUなどの地域経済の長期的展望についても明らかにする。 ・APIRでの各研究の基礎データとなるとともに、投資先を検討する企業にも、カントリーリスク推定などに利用価値が高いと思われる。
熊坂 侑三

研究プロジェクト

日米の超短期経済予測とASEAN への適用可能性

[ 2013年度/アジア太平洋経済展望 ] AUTHOR熊坂 侑三 DATE2013-03-08

Abstract/Keywords

ASEAN

研究成果概要

 本プロジェクトの一部として、ASEAN 諸国の超短期経済モデル(CQM*)構築に必要なハイフリークエンシー(High Frequency)統計と国民所得・生産勘定表(NIPA)のデータインフラの整備を調査しました。*:「Current Quarter Model」 日米のCQM はすでに構築されており、このプロジェクトにおいては毎週、毎月末に日米のCQM 予測が行われ、その結果をもとに日米経済の景気動向に関するCQMレポートがアジア太平洋研究所のホームページに掲載されました。これらの日米のCQM予測に見られるように、CQM 予測は景気の現状を常に数値とトレンドで表すことができ、また景気の転換点を市場のコンセンサスより少なくとも1 ヶ月早く指摘できるなどの特徴があります。これは、政策当局(特に、金融政策者)、エコノミスト、投資家、経営者などの政策決定に価値ある情報となります。特に、経済のグローバル化が急速に進展し、各国の相互依存が高まる中で、ハイフリークエンシー統計を用いた現状の景気判断は欠かせません。それ故、日米経済のCQM をASEAN 経済にまで拡大する日米―ASEAN CQM LINK 構想が生まれました。その第1ステップとして、2012年度においてASEAN の中のマレーシア、フィリピン、タイのそれぞれの経済に対してCQM 構築の可能性を調査しました。(報告書はこちら)第2ステップとして、2013年度においてシンガポール、インドネシア、ベトナムのそれぞれの経済に対してCQM構築の可能性を調査し、その結果をまとめました。詳細はこちら

目的

・超短期経済モデル(CQM)により、毎週日米経済の現状を捉える。 ・ASEAN経済の今後の重要性を考え、日米 + ASEAN-CQM-LINK構築への準備を行う。 ・日米経済に関しては毎週と月末にCQM予測をWeeklyレポートに、月末にはMonthlyレポートを作成して、APIRのwebsiteに掲載。 ・経済政策担当者(特に金融)、経営者、エコノミスト、投資家と彼ら自身のそれぞれの経済政策、経営・投資戦略に使用できる。

内容

・活用できるHFD(High Frequency Data)を使用し、景気の現状・転換点を市場コンセンサスよりも1,2ヶ月早く捉えることが一つの特長。 ・現地調査においては、各国でHFDのavailabilityが非常に異なることから、それらに詳しいマクロエコノミストとの議論を行う。 ・毎週日米経済の現状を捉え、金融政策当局の政策判断もできる。 ・景気の転換点を捉えるのに市場のコンセンサスより、1,2ヶ月は早い。 ・経済政策担当者、経営者、投資家などの政策、投資戦略に役立つ。

期待される成果と社会還元のイメージ

・毎週、日米経済の現状を数値とトレンドで捉え、また景気の転換点を早く捉えられることから、企業、経済団体の経営戦略に役立つ。昨年度のこのProjectの開始時期早々にも、APIRに関して1年先の円安を見越して、1ドル70円台でのドル預金を提唱していた。 ・常に、日米経済の現状を把握できていることは、長期の企業戦略を打ち立てる場合にも重要な情報となる。 ・ASEANのCQM調査は、これらの国々の経済発展の進歩を捉えることができる。 精度の高い、High Frequency Dataが十分にそろっている国の経済発展には希望がもてる(マレーシア、フィリピン)。
山本 隆三

研究プロジェクト

東南アジアにおける電力市場の発展と日本企業

[ 2013年度/アジア太平洋経済展望 ] AUTHOR山本 隆三 DATE2013-03-08

Abstract/Keywords

東南アジア、タイ電力需給、再生可能エネルギー、気候変動、ガス火力発電、水力発電

研究成果概要

 東南アジアにおける電力市場の発展と日本企業研究会は、2013年度タイの電力需給見通しを調査しました。その目的の一つはタイに進出する日本企業の現地工場に将来も安価で安定的な電力供給が可能かどうかを見極めることにありました。また、タイ国内の電力供給のかなりの部分を、国内の太陽光、バイオガス発電などの再生可能エネルギーが担う一方、隣国ミャンマーとラオスも将来水力、火力発電から供給を行うことになると見られています。既に中国企業が両国では水力発電所建設に乗り出しているが、日本企業も発電設備納入を含め発電所建設に携わるチャンスがあるように思われます。本レポートは、タイに進出する日本企業の方に電力インフラの基本的な問題を理解いただく資料として活用いただけるものと思います。詳細はこちら

目的

日本企業は競争力の高い製造拠点を求めて、中国に加え東南アジア諸国に進出している。現地生産には「電力供給」というインフラが欠かせない。さらに現地生産を支える電力供給は生活水準の向上にも欠かせない。生活水準が上がり電力供給が潤沢になると、家電を中心に電気製品の販売も上向くと予想される。 東南アジアの主要国、特にベトナムとフィリピンを中心に今後の電力供給力の増加を調査し、①企業進出を支えるインフラの有無 ②日本企業の発電設備、工事への関与の可能性、を探る。

内容

現地調査と現地官公庁、企業からのヒアリングを中心にレポートをまとめ、将来の発電設備導入計画を明らかにする。また、発電設備に加え、地球温暖化問題に関する専門家も加えることにより温暖化問題を考慮した設備導入の見通し、また日本企業との協力による地球温暖化問題への取り組みの可能性も探ることになる。

期待される成果と社会還元のイメージ

・企業の現地生産検討でのインフラに関するデータとして活用可能 ・将来の日本製発電設備売り込みの可能性 ・日本製家電製品売り込みの可能性 地球温暖化防止事業に関する現地企業との共同取組の可能性 既にベトナムについては、前年度に調査を終えている。25年度はベトナムと対比できる国を対象にさらに調査を実施し、上述の3点を中心にレポートを作成する。東南アジアで現地生産を検討している企業、発電設備を製造する重電メーカー、ダム工事などに関与可能な建設会社、家電メーカーの現地でのマーケティングの参考になるレポートを想定している。
大矢根 聡

研究プロジェクト

環太平洋経済協力をめぐる日・米・中の役割

[ 2013年度/アジア太平洋経済展望 ] AUTHOR大矢根 聡 DATE2013-03-08

Abstract/Keywords

環太平洋経済、TPP、RCEP、米国、中国、経済・安全保障連関

研究成果概要

本研究では、主要国において政権交代後に一定の傾向を示しつつある通商政策を把握し、TPP(環太平洋連携)協定やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)協定の交渉の動向を考察して、アジア太平洋地域における経済協力の枠組みの変化を説明した上で、日本が果たすべき役割を提示しました。詳細はこちら

 目的

この研究の背景には、日・米・中・韓で2012年に政権選挙と、政治的指導者の交代が相次いだことがある。政権交代によって、主要国の環太平洋経済協力を巡る対応はどのように変化するか。地域貿易協定(RTA)に関するTPPのような契約型アプローチと、ASEAN型の合意型アプローチの間で、日本はどのような役割を果たすことができるか。この研究では、地域経済協力の可能性と限界について、国際関係、歴史、政治経済学的視点から分析する。 本研究では、政権交代の通商政策への影響とそれを踏まえた日本の役割への提言を、企業関係者と一般市民を対象にまとめる。

内容

関西を代表する米・中・韓各国政治および国際政治、国際政治経済の専門家で研究会を構成し、それぞれが各国及び国際関係の情勢を調査・分析し、それを会員企業及び一般市民に開かれたオープンなワークショップ・シンポジウムを通じて知見の共有と発展を図る。現地調査にはアメリカで関係学会への出席及び政府関係者へのヒアリングを予定する。  政治学的なテーマでのオープンなワークショップ・シンポジウムの開催は、会員企業、市民に対する関西発の特徴ある社会還元となる。

期待される成果と社会還元のイメージ

アジア太平洋地域における地政学的分析を踏まえ、日本がTPP、日中韓間FTA、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉にどのような態度で臨むべきか明らかにする。 2012年に日、米、中、韓で改まった政治指導体制が2013年には本格的に始動する。2013年体制がもたらすアジア太平洋地域の新たな政治秩序と、経済協力との関係についての展望を明らかにする。アジア太平洋地域における経済協力と政治的安定性との間の因果関係を分析し、国際政治的リスクの視点から、日本企業が留意すべきポイントを明らかにする。
阿部 茂行

研究プロジェクト

東アジアの輸出志向型工業化の落とし穴

[ 2013年度/アジア太平洋経済展望 ] AUTHOR阿部 茂行 DATE2013-03-08

Abstract/Keywords

東アジア

目的

・東アジアの高度成長は輸出志向型工業化に依存してきたが、水平貿易による付加価値の低下、空洞化の懸念、外国企業の景気や政治情勢に大きく影響される投資などから、いまアジア各国では内需主導型経済への転換の兆しがみられる。 ・その変化をサプライチェーンの実態と変化から明らかにして、日本企業が進出する際に予想される落とし穴について警告を発し、より健全で頑健なアジア地域成長のための施策を考える。 ・想定するメインの読者は、ビジネス関係者でアジアの今後に興味を持つ人たちである。

 内容

・関西の企業への聞き取り調査、現地調査、文献調査、統計分析を行う。現地調査はベトナムに焦点を定め、進出のモチベーションや技術移転のやり方、製品の変化、サプライチェーンの現状 ・将来などについて聞き取り調査を実施し、新しい知見を纏める。 ・顕示比較優位指数、産業内分業などを計算し、貿易実態を統計的に明らかにする。最終財と部品貿易を区別し、経済統合の進展に伴うサプライチェーンの構築を明らかにする。 ・製品群の推移を雁行形態的に観測し、同時に空洞化の雁行形態も明らかにする。

 期待される成果と社会還元のイメージ

(1)輸出入港別月次輸出入データを活用し、アジアにおけるサプライチェーンの動態を俯瞰する。これは企業・経済団体にとっても企業経営の参考に資するデータとなる。 (2)近い将来海外進出を考えている関西企業にとって、進出地域、進出形態を検討する上での判断材料を提供する。とりわけ、情報入手が難しい中小企業に対し有用である。 (3)関西企業とベトナムとの経済交流発展に貢献する。
大野 泉

研究プロジェクト

中小企業の東南アジア進出に関する実践的研究

[ 2013年度/アジア太平洋経済展望 ] AUTHOR大野 泉 DATE2013-03-08

Abstract/Keywords

中小企業、東南アジア、海外展開支援、タイ、ベトナム、つながり力

 

研究成果概要

本研究は、日本の中小企業が「ものづくり」を東アジア諸国で展開するために相手国および日本側でとるべき施策・体制を検討し、提言を策定することを目的としています。2013 年度は関西及び国内他地域の産業集積地を訪問し、地域の特色を活かした中小企業の海外展開支援の取り組みについて調査しました。また、ベトナムと並んで日系中小企業の関心が高いタイで現地調査を実施し、昨年度焦点をあてたベトナムとの比較分析を行いました。本研究が強調している点は、①日本型ものづくりの将来ビジョンを策定する必要性とその指針の提示、②海外進出支援のめざす方向として、国内ビジネス支援機能と海外展開支援機能、及び現地支援機能を連携させる仕組みをつくる必要性、そして国内の産業集積地における好事例の紹介、③相手国との共創プロセスを通じた進出の促進、その意味で日本の産業政策と産業開発協力を調和化させ、相手国と「ものづくりパートナーシップ」ビジョンを共有する意義、です。研究を進めるにあたっては、実践とネットワーキング、政策的な働きかけを意識して、オープンな研究会の運営や問題意識を共有する組織とのコラボレーション企画に取り組みました。本報告書の分析と提言、及び研究プロセスで構築された知的ネットワークが、関係者の皆様に役立つことを願っています。詳細はこちら

目的

日本の中小企業が東アジア諸国で展開するために、日本および投資受入れ国でとるべき具体的施策・体制について提言する。その背景には、近年の事業環境変化によって中小企業の取引が多様なものに変化していることがある。特に現地人材を育成し、パートナー国を戦略的に増やしていくための実効的な施策が重要となる。 研究成果は報告書・セミナー等を通じて政策担当者・支援組織・協力機関・企業・研究者等を主な対象とする。

内容

前年度のベトナムを事例とした提言をフォローし成果を発信するとともに、本年度は、日本のものづくりパートナー先行国であるタイに焦点をあてる予定である。これらを通じて、政策インパクトを高めていく。 本研究の特徴は、実践(「Do」)とネットワーキング、政策的働きかけを意識した取組みを行うことにある。

期待される成果と社会還元のイメージ

(1)前年に大阪・関西で構築した産学官のネットワークを関西広域および東京を含む他地域にも広げることで、発信力や政策インパクトを高めることができる。 (2)他地域の中小企業の海外展開の好事例を調べ、関西の支援機関や企業にとって参考になる情報を提供する。 (3)タイ進出に関心ある中小企業に対し、両国の受入れ体制等について具体的な情報提供ができる。 (4)本年度の早い時期に、研究報告書を商業出版し、政策担当者・中間支援組織・経済協力機関・企業・研究者等を主対象に幅広く発信することをめざす。
鈴木 洋太郎

研究プロジェクト

日本企業立地先としてのアジアの魅力とリスク

[ 2013年度/アジア太平洋経済展望 ] AUTHOR鈴木 洋太郎 DATE2013-03-08

Abstract/Keywords

日本企業のアジア立地、サプライチェーン、市場開拓、国際分業

研究成果概要

 本研究は、国際産業立地といった地理的・空間的な側面から、日本企業のアジア進出や国際分業進展について検討することで、アジア地域の発展と並立しうる日本企業の真のグローバル化の道を探ることを目的としています。繊維・アパレル、電機、自動車、外食など産業別の分析に、中国、タイ、ベトナム、インドネシアなど市場(地域)の視点を絡め、企業の実践的な海外展開戦略立案に資する研究を行いたいと考えております。本年度は、前年度の成果を踏まえながら、広い意味でのサプライチェーン(ビジネスチェーン)にとくに注目しながら、日本企業のアジア立地展開や日本企業立地先としてのアジアの魅力とリスクについて考察しています。詳細はこちら

 目的

繊維・アパレル産業、自動車産業、食品産業等の中小企業のアジア立地戦略を点検し、収益率とリスクの形態について明らかにする。日本企業がアジアでの事業活動の成功とともに、国内事業活動の国際競争力を向上させ、日本・アジアにおける国際分業を進展させることが望ましい。そのためには、日本企業にとってアウェー市場であるアジアの立地環境上の魅力とリスクについて十分に把握する必要がある。 市場の大きさでは中国立地の重要性は軽視できない。アジア諸国・諸地域の立地環境上の魅力とリスクを比較検討し、日本企業の立地戦略のあり方を考察することにより、企業のアジア進出を経済団体・行政が政策的に支援する際の参考に資する。

内容

・まず、産業別にそれぞれアジアの立地環境上の魅力とリスクを明らかにする。現地調査の対象は、中国、韓国、タイ、ベトナム、インド等とする。 ・次に、地域別に日本企業立地先としてのアジアの諸国・諸地域を地理的にいくつか区分し、立地環境上の魅力とリスクを比較検討する。たとえば、産業集積形成が一定程度みられるアジアの新興地域と、裾野産業が未熟な「新新興地域」とに区分して、重層的に検討する。

期待される成果と社会還元のイメージ

・中国、韓国、タイ、ベトナム、インドを中心とするアジア諸国を「アウェー市場」ととらえ、立地上の魅力とリスクを明らかにする。 ・多国籍にまたがって海外展開する大企業について、政治的リスク、災害リスク、経済変動リスク、労務管理リスクなどの視点から、グローバルなリスク管理上の課題と解決策を明らかにする。 ・研究成果は、アジア立地戦略の検討において、特に自社とは異なった産業での状況について、参考になる。