2017年度:経済予測・分析軸

後藤 孝夫

研究プロジェクト

関西圏の交通ネットワーク整備とインフラストック効果の検証

[ 2017年度/経済予測・分析軸 ] AUTHOR後藤 孝夫 DATE

Abstract/Keywords

交通インフラのストック効果, 道路課金, 交通インフラの経営

リサーチリーダー

主席研究員 後藤孝夫 近畿大学教授  

研究目的

関西国際空港と大阪国際空港のコンセッション方式による経営統合,北陸新幹線の敦賀以西のルート決定,大阪市営地下鉄の民営化および近畿圏の高速道路の料金制度の変更など,関西圏の交通ネットワークにおいて昨年度は大きな転換点を迎えた。このため,ボトルネックとなっている交通インフラの整備は進める一方で,既存の交通インフラの有効活用の視点が従来よりも今後いっそう重要になると考えられる。

したがって,交通ネットワーク整備時の事業評価だけではなく,インフラストック効果を定量的に測定することは,経済活動を支える交通ネットワークの重要性を鑑みれば引き続き重要であると考えられる。

 

研究内容

本研究が想定するアウトプットは次の通りである。第1に,交通ネットワーク整備を担当する関西の行政担当者・道路事業者に対して,交通ネットワークのインフラストック効果に関する推計枠組みについて,その分析結果を引き続き提供することである。第2に,昨年度までは高速道路整備を主な対象として研究を進めてきたが,今年度は引き続き道路を分析対象の中心としながらも,鉄道事業あるいは空港整備など,その他の交通ネットワークも分析対象とすることで,関西に本社を置く企業に対して,関西の今後の交通ネットワーク整備の方向性やその効果について提示することができる。そして第3に,既存の交通インフラの有効活用の観点から,主に関西の行政担当者・道路事業者を対象として,道路に対する混雑課金の導入可能性について検討を行う。

本研究では、主に関西に本社を置く企業あるいは交通ネットワーク整備にかかわる行政担当者・道路事業者に対してインタビュー調査を実施し,交通ネットワークのインフラストック効果に関する推計枠組みを補強し,かつ交通渋滞緩和策についても調査を進める。あわせて,交通インフラ整備の経済効果を定量的に把握するための基礎的なデータ収集を実施し,交通インフラの整備が関西全体に与えるインパクトを引き続き定量的に推計する。セールスポイントは以下の通り。

・  交通インフラ整備のストック効果を定量的に把握するための手法を整理すること

・  交通インフラ整備の経済効果を定量的に把握するためのデータ収集を行うこと

・  交通インフラに対する混雑課金の効果を定性的あるいは定量的に把握すること

 

統括

稲田義久 APIR数量経済分析センター センター長  

リサーチャー

入江啓彰 近畿大学短期大学部准教授 下田 充 日本アプライドリサーチ研究所主任研究員  西村和芳 関西経済連合会地域連携部長 島 章弘 APIRシニアプロデューサー  

期待される成果と社会還元のイメージ

研究成果については、関西発信の政策提言を補強する基礎的資料として利用可能であると考えられる。 

・  交通インフラ整備の経済効果を定量的に把握するための基礎的なデータ収集を実施し、そのデータから読み取れることを政策論として提示すること

・  交通インフラの整備が関西に与えるインパクトを定量的に推計すること

・  交通インフラ整備と企業行動に関する個別事例(例:交通インフラ整備の遅れが在阪企業の行動に与える影響分析)について1つ取り上げて、基礎的な分析枠組みを提示すること

松林 洋一

研究プロジェクト

ビッグデータを利用した新しい景気指標の開発と応用

[ 2017年度/経済予測・分析軸 ] AUTHOR松林 洋一 DATE

Abstract/Keywords

テキストマイニング, ネットワーク分析, 景気ウォッチャー

リサーチリーダー

主席研究員 松林洋一 神戸大学大学院経済学研究科教授  

研究目的

昨今の情報技術(Information Technology)の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能となり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、必要不可欠であると考えられる。 

研究内容

本研究プロジェクトでは、ビッグデータの分析手法の一つであるテキストマイニングに注目し、2つの研究成果が得られることを予定している。第1は、日本銀行による「景気動向調査」のデータ・マイニングの手法の高度化と改善である。第2は、関西の特徴を出せるようなデータ・マイニング手法の開発である。

上記2つの分析視点をもとに以下の分析を試みていくことにする。「1.データ・マイニングの手法の高度化と改善」では、他の(日銀以外の)データ・マイニング手法の調査により、現在の日銀分析手法の評価、および、改善を行うことにする。さらにネットワーク分析手法の高度化(ネットワーク構造の通時的な構造変化の探索)を試みることにする。「2.関西独自のテキストマイニング開発」では、現在の日銀手法で関西の特性が出せるかの有効性を確認するとともに、関西の特徴を出せるようなデータ・マイニング手法の開発を行っていくことにする。

第1のポイントは、データ・マイニング手法において核ともいえる「ネットワーク分析」(言語間の相互連関の構造)に関する手法の高度化である。テキストマイニングでは、ある時期の経済活動を規定する諸要因の関係(例えば原油価格と景気など)が、頻出する語彙(テキスト)の相互連関構造=ネットワークとして描写される。このネットワークの構造は通時的に変化するはずであり、構造変化を解析的にしていくことは極めて興味深い試みである。第2のポイントは、関西独自のテキストマイニングの開発である。関西経済の特徴をテキストマイニングによって析出していくためには、データソースの探索が不可欠である。日本銀行では内閣府の「景気ウォッチャー」をベースとして分析が行われているが、本研究プロジェクトではより広範な情報ソース(業界紙など)にもとづいて、関西経済の特徴を浮き彫りにしていくことにする。

 

統括

稲田義久 APIR数量経済分析センター センター長  

リサーチャー

青山秀明 APIR上席研究員、京都大学教授 池田雄一 京都大学教授 生田祐介 APIR研究員 木下裕輔 APIR研究員兼調査役  

期待される成果と社会還元のイメージ

 「1.データ・マイニングの手法の高度化と改善」では、経済構造の変化をテキストマイニングの枠組みにおいて的確に抽出することができるネットワーク分析の開発を進めていき、その手法の適用可能性を探っていくことにする。「2.関西独自のテキストマイニング開発」では、主要日刊紙の関西欄に記載されている記事、関西圏の業界紙に掲載されている記事をもとにテキストマイニングの手法を用いて、関西経済の特徴を定量的、定性的に把握することにする。 テキストマイニングの手法を用いて関西経済の情勢判断(現状)と足元予測(先行き)を、これまでの手法とは異なる形で定期的に公表していくことができる。こうした成果は、企業の経営戦略(関西経済の現状把握やマーケティング戦略)において有力な情報源となりえるはずである。また関西の政策当局においても、従来の数量ベースの経済変数だけではなく、テキストマニングによる新たな指標に基づいてより柔軟かつ精緻な情勢判を行うことができるはずである。  

<研究会の活動>

研究会 ・2017年4月7日  キックオフミーティング開催 ・2017年6月30日  第1回研究会開催