APIR Commentary No.59<「魚か鉄か」― 台湾大手製鉄会社による海洋環境破壊事件からみた海外投資誘致と環境問題>

2016-08-25

2016年4月半ばにベトナムの中部沿岸で、台湾の製鉄工場の廃液による魚の大量死が500キロ以上にわたって発生した。この事件は、漁業を生業とする漁師にとって一大事であり、また観光産業を重視する地方政府にとっても、外資誘致に取り組んでいる政府にとっても、大きな出来事であった。今回の事件は、経済を発展させるために海外からの資本誘致をひたすら優先させる道を歩んできたベトナムの政策スタンスに対して、大きな警鐘を鳴らすものとなった。本稿では今回の出来事を中心に、海外投資の誘致による工業化の推進と、それによって起こりうる環境汚染問題について、いくつかコメントを述べてみたい。

関連論文

稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Monthly Vol.65 – 景気は足下先行きともに悪化傾向が続く -

[ Monthly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 生田 祐介 / CAO THI KHANH NGUYET / 馬 騰 DATE2018-09-25

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Abstract/Keywords

関西経済, 月次レポート, KEIM

- 景気は足下先行きともに悪化傾向が続く- ・7月の鉱工業生産指数は2カ月ぶりに前月比マイナス。4-6月平均比でも低下し、7-9月期の最初の月としては低調であったが、近畿経産局は生産の基調判断を前月から据え置いた。 ・8月の貿易収支は7カ月連続の黒字となり、黒字幅も前年比拡大した。エネルギー価格高騰により輸入が伸びたものの、好調な半導体関連の需要で輸出の伸びがそれを上回ったため。 ・8月の景気ウォッチャー現状判断DIは、2カ月ぶりの前月比改善。相次ぐ自然災害に加え、8月は連日の猛暑で様々な業種に悪影響が出た。しかし、落ち込んでいたインバウンド需要が戻ったことが好感され、DIは改善した。 ・6月の関西2府4県の現金給与総額は16カ月連続の前年比増加。実質現金給与総額は同横ばいで、4カ月連続で1%未満の伸びにとどまっている。 ・7月の大型小売店販売額は2カ月ぶりの前年比マイナス。スーパーでは猛暑で飲食関連商品が好調だったが、百貨店では豪雨や台風、バーゲン前倒しによる買い控えの影響が大きかったため。 ・7月の新設住宅着工戸数は2カ月連続の前年比マイナス。個人向けアパートローン融資額の減少による貸家の着工の減少が影響した。 ・7月の有効求人倍率は2カ月連続の前月比改善。労働需給は引き締まった状態にある。完全失業率も2カ月ぶりに改善しており、雇用情勢は引き続き堅調である。 ・8月の公共工事請負金額は3カ月ぶりに前年比マイナスに転じた。大阪府北部地震や台風21号からの復旧・復興関連作業で、関西の公共工事は増加すると見込まれる。 ・8月関空の訪日外客数は18カ月連続で前年比増加したものの、大阪北部地震や西日本豪雨等による影響で、2カ月連続で1桁の伸びにとどまった。 ・中国の8月の貿易収支は5カ月連続の黒字となった。なお、対米貿易収支は、駆け込み輸出増の影響もあり黒字が拡大。米中貿易戦争の影響は年後半にかけて顕在化すると見られる。
稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Quarterly No.39 <緩やかな改善を継続できるか、岐路に立つ関西>

[ Quarterly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / CAO THI KHANH NGUYET / 生田 祐介 / 馬 騰 DATE2018-08-28

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Abstract/Keywords

関西経済, 四半期予測, 早期推計

緩やかな改善を継続できるか、岐路に立つ関西-足下は踊り場、山積するリスクと課題 1.2018年4-6月期実質GDP成長率は前期比+0.5%(同年率+1.9%)と2四半期ぶりのプラス成長となった。実質GDP成長率への寄与度は、国内需要が前期比+0.6%ポイントと2四半期ぶりに成長を押し上げた。特に民間最終消費支出と民間企業設備の貢献が大きかった。一方純輸出は同-0.1%ポイントと2四半期ぶりのマイナス。結果、1-3月期の景気の落ち込みは一時的なものであることを確認した。 2.2018年4-6月期の関西経済は、おおむね緩やかに改善しているが、一部の指標には弱い動きも見られ、踊り場局面が続いている。家計部門は、所得環境や雇用環境など緩やかに改善しているが、消費者心理は悪化した。企業部門では景況感は改善が続き、今年度の設備投資計画は極めて旺盛であるが、生産は一進一退で足踏み状態。対外部門は輸出輸入とも拡大しており、インバウンド需要も堅調である。公的部門は、一進一退で停滞している。なお大阪北部地震の影響は限定的。 3.関西の実質GRP成長率を2018年度+1.8%、19年度+1.0%、新たに20年度+0.8%と予測する。前回予測と比較すると、18年度は+0.5%ポイント、19年度は+0.1%ポイントのそれぞれ上方修正。また過年度の実績見通しについて、16年度の成長率を+0.1%、17年度+2.5%とした。 4.実質GRP成長率に対する寄与度を見ると、2018年度は民間需要+1.1%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.6%ポイントと民需と外需がバランス良く成長を下支えする。19年度は民間需要+0.4%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.5%ポイントで、民需の寄与が小幅となる。20年度は民間需要+0.1%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.6%ポイントとなり、消費増税の影響が顕在化して、民需の寄与はさらに小さくなる。 5.全国と比較すると、18年度は、所得環境の回復やインバウンド需要の再加速により、全国を上回る成長率で推移する。19年度以降は、消費増税の影響から日本経済予測と同様に関西でも成長率は減速する。 6.2017年のインバウンド需要の経済波及効果を推計した。17年の関西インバウンド消費需要(直接効果)は前年比+16.4%増加し、その波及効果により関西のGRPに対して1%程度貢献できるようになった。急増するインバウンド需要に対応し、特に爆買いの2015年以降は、大規模で急速な宿泊施設への投資が進んでいる。稼働率等から見ていまのところ過剰投資の傾向はみられない。 ※英語版はこちら
稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Monthly Vol.64-景気は足下悪化も、先行きは足踏み-

[ Monthly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 生田 祐介 / CAO THI KHANH NGUYET / 馬 騰 DATE2018-08-23

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Abstract/Keywords

関西経済, 月次レポート, KEIM

- 景気は足下悪化も、先行きは足踏み- ・6月の鉱工業生産指数は2カ月ぶりに前月比プラスとなったものの、近畿経産局は生産の基調判断を前月から据え置いた。結果、4-6月期の生産は2四半期ぶりに上昇に転じた。 ・近畿圏の7月の貿易収支は6カ月連続の黒字となったが、黒字幅は前年比縮小した。なお、全国は2か月ぶりの赤字となった。 ・7月の景気ウォッチャー現状判断DIは、2カ月ぶりの前月比悪化。前月に続き自然災害による影響が百貨店や外食、ホテルなどに及んでいる。猛暑で夏物商材の販売は好調だが、出控えによる客足の減少もあり、総じてみると消費者のマインドは弱い。 ・5月の関西2府1県の「関西コア」賃金指数は13カ月連続の前年比増加。また、実質現金給与総額も3カ月連続の改善。所得環境は改善が見られる。 ・6月の大型小売店販売額は2カ月ぶりの前年比プラス。スーパーでは天候不順により夏物商材の売上が低迷したが、百貨店ではバーゲンの前倒しと免税品売上が好調であったため。 ・分譲マンションの急減により、6月の新設住宅着工戸数は、3カ月ぶりに前年比マイナスに転じた。しかし、4-6月期は前年同期比5四半期ぶりのプラスとなった。 ・6月の有効求人倍率は3カ月ぶりの前月比改善。労働需給は引き締まった状態が続いている。完全失業率は4カ月ぶりに悪化したものの、雇用情勢は引き続き堅調である。 ・7月の公共工事請負金額は2カ月連続の大幅増加。大阪北部地震の復興工事の影響もあり、今後も増加すると考えられる。 ・6月の建設工事は、4カ月連続で前年比増加した。結果、4-6月期は前年同期比4四半期ぶりの増加となった。 ・7月の関空を利用した外国人入国者数は17カ月連続の前年比増加。大阪北部地震や西日本豪雨が影響したものの、マイナスに転じるまでには至っていない。 ・中国7月の製造業の購買担当者景況指数(PMI)は、2カ月連続で悪化した。加えて、1-7月期の(累積)固定資産投資は5カ月連続で減速したが、うち高技術製造業と生態保全・環境規制に関する産業への投資は大きく伸びた。   ※英語版はこちら
稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Monthly Vol.63-景気は足下、先行きともに悪化基調で推移-

[ Monthly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 生田 祐介 / CAO THI KHANH NGUYET / 馬 騰 DATE2018-07-25

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関西経済, 月次レポート, KEIM

- 景気は足下、先行きともに悪化基調で推移- ・5月の鉱工業生産指数は4カ月ぶりに前月比大幅マイナスとなり、近畿経産局は生産の基調判断を前月から下方修正した。一方、4-5月平均は1-3月平均比で大幅上昇した。 ・6月の貿易収支は5カ月連続の黒字となり、黒字幅は前年比大幅拡大した。アジア向けの半導体関連による輸出の伸びが、原油高による輸入の伸びを上回ったためである。 ・6月の景気ウォッチャー現状判断DIは、6カ月ぶりに前月比改善。大阪北部地震の影響はあったが、サッカーW杯開催による家電の販売増や好天に恵まれたことなどから、総じてみれば改善した。 ・4月の関西2府1県の「関西コア」賃金指数は12カ月連続の前年比増加。実質現金給与総額も2カ月連続の改善。所得環境は改善が見られる。 ・5月の大型小売店販売額は3カ月ぶりの前年比マイナス。百貨店では気温低下による夏物衣料品の販売が低調となり、スーパーでは主に農産品価格が低下したため。 ・分譲マンションの好調により、5月の新設住宅着工戸数は、2カ月連続で前年比大幅増加。水準は2015年6月以来の最高値。 ・5月の有効求人倍率は前月比横ばい。労働需給が引き締まった状態が続く。完全失業率は4カ月ぶりの小幅改善。雇用情勢は好調である。 ・6月の公共工事請負金額は前月から大幅なプラスの伸びに転じた。結果、4-6月期、公共工事請負金額は2四半期ぶりのプラスであった。 ・5月の建設工事は、3カ月連続で前年比増加した。大阪府北部地震の影響もあり、今後は増加が期待される。 ・6月の関空を利用した訪日外客数は16カ月連続の前年比増加。15カ月連続で2桁増が続いており好調である。国籍別では、4月は花見のため中国からの訪日客が8カ月ぶりに最多となった。 ・4-6月期の中国実質GDPは前年同期比+6.7%となり、前期から‐0.1%ポイント減速した。6月の工業生産は2カ月連続で前年比減速し、(累積)固定資産投資は4カ月連続で同減速した。 ※ 英語版はこちら
稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Monthly Vol.62-景気は足下、先行きともに悪化基調-

[ Monthly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 生田 祐介 / CAO THI KHANH NGUYET / 馬 騰 DATE2018-06-22

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Abstract/Keywords

関西経済, 月次レポート, KEIM

-景気は足下、先行きともに悪化基調- ・4月の鉱工業生産指数は前月比大幅上昇し、3カ月連続のプラス。また、1-3月平均比でも大幅上昇した。近畿経産局は生産の基調判断を前月から据え置いた。 ・5月の貿易収支は4カ月連続の黒字となったものの、黒字幅は前年比縮小。アジア向けの半導体関連の輸出が伸びたが、原油高により輸入の伸びが上回ったため。 ・5月の景気ウォッチャー現状判断DIは、2カ月ぶりの前月比悪化。インバウンド消費は堅調だが、天候不順や3-4月に売上が好調だった衣料品の反動減などが悪化に寄与した。 ・3月の関西2府4県の現金給与総額は13カ月連続の前年比増加。実質現金給与総額は3カ月ぶりの改善となったものの、物価上昇の影響から伸びは小幅にとどまった。 ・4月の大型小売店販売額は2カ月連続の前年比プラス。スーパーでは農産品価格の低下により減少したが、百貨店では高額品と初夏物アイテムの好調により増加したため。 ・4月の新設住宅着工戸数は、分譲マンションの急増により、2カ月ぶりの前年比大幅増加。2015年6月以来の最高値となった。 ・4月の有効求人倍率は43カ月ぶりに前月比小幅悪化も、依然として高水準で推移。完全失業率は2カ月連続で横ばい。労働力人口と就業者数の増加がみられ、雇用情勢は好調である。 ・5月の公共工事請負金額は3カ月ぶりの前月比マイナス。基調は前月の持ち直しから減少に転じた。また、4月の建設工事は、2カ月連続で前年比増加した。 ・5月の関空を利用した訪日外客数は15カ月連続の前年比増加。14カ月連続で2桁増と好調が続く。国籍別にみれば、3月は韓国からの訪日客は7カ月連続で最多を更新した。 ・5月の中国経済は幾分減速感がみられる。工業生産は2カ月ぶりの前年比減速。1-5月期の(累積)固定資産投資は3カ月連続で減速。社会消費品小売総額は2カ月連続で前年比減速した。 ※ 英語版はこちら