研究者紹介

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研究者紹介

高林 喜久生

高林 喜久生2024年4月現在

大阪経済法科大学 経済学部 教授

関西経済予測と関西経済構造分析
財政・公共経済、マクロ計量モデル

学歴

  • 1977年3月 京都大学経済学部卒業
  • 1989年3月 京都大学博士(経済学)

職歴

  • 1977年4月 住友信託銀行入行
  • 1985年   大蔵省(現・財務省)財政金融研究所主任研究官
  • 1990年   広島大学経済学部助教授
  • 1996年4月 関西学院大学経済学部教授
  • 2018年4月 関西学院大学産業研究所所長
  • 2022年3月 関西学院大学名誉教授
  • 2022年4月 大阪経済法科大学経済学部教授(現職)

主な著作物

  • 日本経済のマクロ・パフォーマンス—構造変化の実証分析—(東洋経済新報社、1988年)

主な論文

  • 地方財政制度から考える 地方自治体の資金調達手法 —TIF導入の可能性と地方交付税制度—(Eco-Forum/Vol.28,No.2,/財団法人 統計研究会、2012年7月)

所属学会

  • 日本財政学会
  • 日本地方財政学会
  • 日本経済学会
  • 日本金融・証券計量・工学学会
  • 進化経済学会

論文一覧

  • 稲田 義久

    大阪・関西万博の経済波及効果 -最新データを踏まえた試算と拡張万博の経済効果-

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 野村 亮輔 / 高林 喜久生 / 入江 啓彰 / 下山 朗 / 下田 充

    ABSTRACT

    本稿の目的は、万博関連事業費などの最新データを踏まえた大阪・関西万博の経済波及効果の試算を示すとともに拡張万博の重要性を主張するものである。今回の試算の背景にはCOVID-19パンデミックやロシアのウクライナ侵攻の影響によるインフレの加速と供給制約の高まりがある。このような環境下においても、大阪・関西万博を開催することには重要な意義があるとわれわれは考える。万博開催が、関西経済、ひいては日本経済の反転に向けてのチャンスであり、これを生かすことは、反転を実現するための将来への投資でもある。分析結果の要約と含意は以下のとおりである。

    1. 今回の最終需要は、万博関連事業費7,275億円、消費支出8,913億円と想定した。前回より前者は1,381億円(前回比+23.4%)、後者は1,047億円(同+13.3%)の上振れとなった。
    2. 上記最終需要をもとにAPIR関西地域間産業連関表を用いて経済波及効果を計算した結果、生産誘発額は夢洲会場のみで発生する基準ケースで2兆7,457億円、夢洲会場以外のイベントによる追加的な参加(泊数増加)を想定した拡張万博ケース1で3兆2,384億円、加えてリピーター増を考慮した拡張万博ケース2で3兆3,667億円。前回よりそれぞれ3,698億円(前回比+15.6%)、4,509億円(同+16.2%)、4,849億円(同+16.8%)と上振れた。
    3. 得られた試算値は、最終需要が発生した場合、その需要を満たすために直接・間接に一定の産業構造の下でどの程度の需要が諸産業に発生するかを計算したものであり、明瞭な供給制約がないことを前提としている。その意味で本試算値は一定の幅を持って理解される必要がある。
    4. また、試算結果を実現するためには供給制約の緩和は必須である。そのためにDXの活用が重要となり、それが日本の潜在成長率を高めることになる。加えて万博が海外の旅行者に興味を持ってもらうためには、万博と絡めた旅行コンテンツの磨き上げが重要となる。
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  • 高林 喜久生

    決定版:2023年阪神・オリックス優勝の地域別経済効果 -リーグ優勝、ポストシーズン、優勝関連セール及び優勝パレードの総合分析-

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    高林 喜久生 / 入江 啓彰 / 下山 朗 / 下田 充 / 稲田 義久 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    2023年のプロ野球は、セントラル・リーグが阪神タイガース、パシフィック・リーグがオリックス・バファローズ、ともに関西に本拠地を置く球団が優勝した。またクライマックスシリーズはセ・パ両リーグともリーグ優勝チームが勝ち上がり、59年ぶりに関西勢同士の対決、いわゆる「関西ダービー」が実現した。結果、日本シリーズは阪神が38年ぶり2回目の日本一に輝いた。
    本稿は、高林ほか(2023)、APIR関西地域間産業連関表プロジェクトチーム(2023)での阪神タイガースおよびオリックス・バファローズの優勝の分析に加え、クライマックスシリーズ、日本シリーズ、その後の優勝関連セール及び優勝パレードによる経済波及効果も含めた「決定版」となるレポートである。分析結果の概要は以下の通りである。

     

    1. 全国で発生する経済波及効果総計は1,607億3,300万円、うち直接効果は719億9,900万円、間接効果は887億3,300万円となった。

    2. 関西2府8県では経済波及効果は935億5,700万円であるが、関西を除くその他地域では671億7,600万円。うち、関西が58.2%、その他地域が41.8%を占めており、その他地域では大部分が間接効果となっている。これは、関西での需要を満たすため、関西以外の他府県で一定の需要が発生していることを意味している。

    3. 関西各府県での効果をみると、うち大阪府は427億2,200万円(26.6%)、兵庫県は250億8,700万円(15.6%)となっており、2府県で42.2%と関西地域(58.2%)の大部分を占める。

    4. 優勝関連セールについては、経済波及効果は大阪府(62.8%)が圧倒的な割合を、優勝パレードについては大阪府(42.1%)、兵庫県(35.4%)と2府県で効果の77.5%を占めている。

    5. 今回のリーグ優勝、ポストシーズン及び優勝パレードの2府4県の経済波及効果は関西の名目GRPを0.05%程度押し上げる。全国ベースでは名目GDPを0.01%程度押し上げる。

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  • 高林 喜久生

    2023年阪神・オリックス優勝の地域別経済効果-APIR関西地域間産業連関表による分析-

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    高林 喜久生 / 入江 啓彰 / 下山 朗 / 下田 充 / 稲田 義久 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    2023年のプロ野球は、セントラル・リーグは阪神タイガース、パシフィック・リーグはオリックス・バファローズと、ともに関西に本拠地を置く球団が優勝した。本稿では、高林ほか(2023)に引き続き、阪神タイガースおよびオリックス・バファローズの優勝による経済波及効果について、APIR関西地域間産業連関表を用いて計測した。分析結果の概要は以下の通りである。

    1. 両球団の優勝により全国で発生する経済波及効果は1,283億7,300万円となった。うち阪神による効果は1,011億5,800万円、オリックスは272億1,400万円と、阪神優勝の経済波及効果はオリックス優勝の4倍程度となっている。

    2. 関西各府県での効果をみると、阪神の場合、大阪府268億7,000万円(効果全体の6%)、兵庫県172億1,800万円(同17.0%)。オリックスの場合、大阪府94億1,100万円(同34.6%)、兵庫県31億7,100万円(同13.0%)と、いずれも圧倒的に2府県に集中している。ただ阪神に比して、オリックスの経済波及効果は大阪府により大きく発生することがわかる。

    3. 関西二球団の優勝による経済波及効果は、関西以外の地域でも479億円発生する。これは、関西以外の地域のファンによる消費に加え、関西での直接需要を満たすために関西以外の地域で一定程度の需要が発生していることを意味している。

    4. 阪神のファン人数はオリックスの6倍であることを考慮すると、上記の数値から計算されるオリックスファンの1人当たり経済波及効果は阪神を上回っていることになる。この背景にはSNS等を通じたPR活動による着実なファン人口の増加に加え、より付加価値の高い消費単価の反映がある。

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  • 高林 喜久生

    2023年阪神タイガース優勝の地域別経済効果:速報版 -APIR関西地域間産業連関表による分析-

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    高林 喜久生 / 入江 啓彰 / 下山 朗 / 下田 充 / 稲田 義久 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    今回の阪神タイガース優勝は慶賀に堪えない。本稿では、阪神タイガース優勝により発生する新規需要を球場観戦時の消費及び球場外の消費(優勝セール含む)に分けて想定した上で、APIR関西地域間産業連関表を用いてその経済波及効果を計測した。その際、地域経済に与える影響という視点が重要であり、この観点から分析を行った。分析結果を整理し、得られた内容は以下の通りである。

     

    1. 阪神タイガースの優勝により全国で発生する経済効果総計は1,051億2,400万円、うち直接効果465億8,700万円間接効果585億3,800万円となった。

    2. うち、関西(2府8県ベース)の経済効果は686億9,600万円関西を除くその他地域では364億2,800万円となる。

    3. 地域間交易を考慮した関西地域間産業連関表の分析によれば、全体の効果は、関西に65.3%、その他地域に34.7%配分される。関西を除く地域では364億円の経済効果を発生させているが、その大部分は間接効果である。すなわち、関西での直接需要を満たすため、関西以外の他府県で一定程度の需要が発生していることを意味している。

    4. 次に関西各府県での効果をみると、大阪府は306億4,400万円(29.2%)兵庫県は172億7,000万円(16.4%)圧倒的に2府県に効果が集中している。

    5. 阪神のファン数は減少しているにもかかわらず、今回の優勝は一定の経済効果をあげている。これから得られる含意としては、新たなファン層の拡大やリピーター率の向上によりファン数の減少トレンドを抑制し、加えてファンサービスの高付加価値化による消費単価の引き上げにより一層の経済効果が期待できよう。

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  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表の利活用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 高林 喜久生 大阪経済法科大学経済学部教授

     

    研究の背景

    関西2府8県+1地域を対象地域とする唯一無二の地域間産業連関表である。当プロジェクトでは様々な事象による経済社会活動に対する影響について産業連関表を用いて府県別・産業部門別に推計してきている。今後関西においては大阪・関西万博をはじめとするイベント、さらにIRを機に新たな産業が予想され、産業連関表を用いた様々な経済分析が重要である。

     

    研究内容

    ・奈良県DATA取得後に正式版関西地域間産業連関表の作成:奈良県のDATAの差し替えを行い再度統合作業とバランス調整を行う

    ・昨年度算出した大阪・関西万博の経済波及効果の再算出:万博アクションプランVer3を反映し、さらに正式版関西地域間産業連関表完成後に再度試算する。

    ・分析結果を関西経済白書、APIRの各種レポートへの掲載、マスコミ取材時、セミナー等における経済波及効果試算のPR

     

    <研究体制>

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    高林 喜久生 APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授

    リサーチャー

    下田 充   日本アプライドリサーチ研究所主任研究員
    下山 朗   大阪経済大学経済学部教授
    入江 啓彰  近畿大学短期大学部商経科教授

    期待される成果と社会貢献のイメージ

    成果物である2015年表は、2011年表と同様、経済部門の一部をAPIRのホームページ上で発表する。また、分析成果は景気討論会や環太平洋産業連関分析学会やセミナー等で報告することを予定している。

    地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行う上での重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。