PPECC(Pacific Economic Cooperation Council)は、太平洋地域における経済的協力を推進するための国際組織で、1980年に当時の大平首相やフレーザー首相(豪州)らの呼びかけで発足した。現在24ヵ国/地域がメンバーとして加盟している(準加盟国を含む)。PECCの下には、種々の分野での協力活動の推進およびAPECへの政策提言を行うためにいくつかのプロジェクトが設けられている。具体的な活動はこれらプロジェクトにより行われ、その成果を2年ごとに開催されるPECC総会に報告する形をとっている。
PECCは産学官の三者で構成される組織で、各界の指導的立場にある人々が個人の資格で参加する。これはPECCの大きな特色で、政府間の協議とは違った柔軟で現実的な議論を可能にしている。また、PECCの研究成果はアジア太平洋経済協力(APEC)閣僚会議にも提供されており、両者の有機的な連携は太平洋協力の一層の進展につながるものである。
1960年代の日本経済の高度成長や、1970年代におけるNIEsのめざましい発展などを背景に太平洋協力の機運が高まる中、1980年1月に大平首相は、大来外相を伴って豪州を訪問し、フレーザー首相と懇談した。このときの両首相の合意に基づき、1980年9月に豪州のキャンベラにおいて、11ヵ国(日・米・加・豪・ニュージーランド・ASEAN5ヵ国および韓国)と太平洋島嶼諸国の代表を集め「環太平洋共同体セミナー」が開催された。各国からの参加は3名ずつで、官界、産業界、学界からそれぞれ1名ずつという三者構成であった。キャンベラ・セミナーの当時は「環太平洋共同体」という名称が用いられたが、1年半後にバンコクで開かれた会議で「太平洋経済協力会議(PECC)」という呼称が確立し、同セミナーは第1回PECC総会とよばれるようになる。
その後、ほぼ1年半ごとに太平洋の各地で総会が開催され(第12回以降2年毎)、メンバーの拡大、組織の確立、各種タスクフォースおよびプロジェクトの設置による活動の充実を経て、現在の姿にいたっている。
PECCのメンバー(※1)は各々、産学官三者構成の国内委員会を組織している。
この国内委員会は、各メンバーを代表する組織であると同時に、PECC活動に関連する国内活動を調整する機能を担っている。
※1
加盟メンバーは以下の24ヵ国
地域:豪州、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、コロンビア、エクアドル、香港、インドネシア、日本(※2)、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、太平洋諸島フォーラム、ペルー、フィリピン、シンガポール、チャイニーズタイペイ(台北)、タイ、米国、ベトナム、フランス(南太平洋地域)(※3)、モンゴル(※3)
※2
太平洋経済協力会議日本委員会[略称:JANCPEC]
委員長:野上 義二 (財団法人日本国際問題研究所理事長)
事務局:(財)日本国際問題研究所内に設置
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-8-1 虎ノ門三井ビル3F
TEL:03-3503-7744 FAX:03-3503-6707
※3
準加盟国
22年毎(第11回までは1年半毎)に開催されるPECCの主要会議。各メンバー委員会の代表のほか、その他の諸国やOECDなどの国際機関からのオブザーバーも招待される。
開催準備は、ホスト国が国際事務局との調整をはかりながら進めている。
2年毎(第11回までは1年半毎)に開催されるPECCの主要会議。各メンバー委員会の代表のほか、その他の諸国やOECDなどの国際機関からのオブザーバーも招待される。 開催準備は、ホスト国が国際事務局との調整をはかりながら進めている。
第1回 | 1980年 | 9月 | キャンベラ(オーストラリア) |
---|---|---|---|
第2回 | 1982年 | 6月 | バンコク(タイ) |
第3回 | 1983年 | 11月 | バリ(インドネシア) |
第4回 | 1985年 | 4~5月 | ソウル(韓国) |
第5回 | 1986年 | 11月 | バンクーバー(カナダ) |
第6回 | 1988年 | 5月 | 大阪(日本) |
第7回 | 1989年 | 11月 | オークランド(ニュージーランド) |
第8回 | 1991年 | 5月 | シンガポール |
第9回 | 1992年 | 9月 | サンフランシスコ(米国) |
第10回 | 1994年 | 3月 | クアラルンプール(マレーシア) |
第11回 | 1995年 | 9月 | 北京(中国) |
第12回 | 1997年 | 9月 | サンチャゴ(チリ) |
第13回 | 1999年 | 10月 | マニラ(フィリピン) |
第14回 | 2001年 | 11月 | 香港 |
第15回 | 2003年 | 9月 | バンダル・スリ・ブガワン(ブルネイ) |
第16回 | 2005年 | 9月 | ソウル(韓国) |
第17回 | 2007年 | 5月 | シドニー(オーストラリア) |
第18回 | 2009年 | 5月 | ワシントンD.C.(米国) |
第19回 | 2010年 | 10月 | 東京(日本) |
第20回 | 2011年 | 9月 | ワシントンD.C.(米国) |
第21回 | 2013年 | 6月 | バンクーバー(カナダ) |
各メンバー委員会の代表者からなる。 PECCの運営についての実質的な承認機関である。
PECC活動の円滑な推進のために、1990年、シンガポールに常設の国際事務局が設置された。常任委員会や実行委員会の開催など、PECCの運営に関する日常的な業務にあたっている。
常任委員会の総意により承認された11名のメンバーからなる。常任委員会の要請にしたがい、特別プロジェクトの選定・提案、事業計画の評価・調整、国際事務局の運営指導・業績評価、財源執行の監視・資金調達活動の先導など、PECCの諸活動を推進する。メンバーおよびプロジェクトのリーダー参加のもと年1回開催される。