第89回 景気分析と予測(2011年11月22日)

2011-11-22

「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
(主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、
直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。

ポイントは以下の通り。

*7-9月期GDP1次速報値を織り込み、2011年度実質GDP成長率を+0.4%、2012年度を+2.5%、新たに2013年度を+1.1% と予測。2011年度は前回から0.5%ポイント下方に、2012年度は0.7%ポイント上方に、それぞれ修正した。前回予測より景気回復のパターンが後 ずれしているのは、足下の景気回復の鈍化と第3次補正予算執行パターン見直しを反映したためである。

*実質民間需要の寄与度は2011年度に+0.4%ポイント、2012年度は+1.5%ポイント、2013年度は+1.5%ポイントと徐々に景気を 押し上げる。実質公的需要の寄与度は、第3次補正予算効果が2012年度に後ずれすることから、2011年度+0.5%ポイントにとどまり、2012年 度+1.0%ポイントと拡大するが、2013年度は反動で-1.0%ポイントとなる。実質純輸出の寄与度は2011年度に震災の影響により-0.4%ポイ ントとマイナスに転じる。2012年度はEUを中心に世界経済回復の遅れから0.0%ポイントと横ばいにとどまり、回復に転じるのは2013年度 (+0.7%ポイント)である。

*タイ大洪水の日本経済に対する影響は限界的とみている。日本の対タイ輸出入シェア(2010年)は4.4%、3.0%と大きくはないが、輸出入ともに中間財のシェアが高く、混乱が長期化すれば日本経済への影響が危惧される。

*2011年度、2012年度のコア消費者物価指数はともに前年度比-0.1%、2013年度は+0.1%となる。プラス反転するのは2013年度 とみている。国内企業物価指数は同+1.7%、同+0.2%、同+0.8%となる。GDPデフレータは同-2.0%、同+0.2%、同-0.2%と予測し ている。

*前回に引き続き電力供給制約の影響を検討した。電力供給制約を回避するためのコストは、節電を考慮して年当たり2.5兆円程度と試算される。燃料 代替による追加的輸入増加の影響で、日本経済の成長率は0.2%-0.3%程度低下し、インフレ率は消費者物価指数で0.3%-0.6%、国内企業物価指 数で0.5%-1.0%程度引き上げられる。

*以下のような景気下振れリスクが想定される。(1)電力不足、(2)超円高の国内生産活動への影響、(3)EU発の金融危機と世界経済への伝播懸念である。

関連論文

稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Monthly Vol.72 – 景気は足下悪化傾向、先行きは改善の兆しか –

[ Monthly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 野村 亮輔 / 馬 騰 / KARAVASILEV, Yani / CAO THI KHANH NGUYET DATE2019-04-23

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Abstract/Keywords

KEIM, 月次レポート, 関西経済

- 景気は足下悪化傾向、先行きは改善の兆しか - ・2月の生産は4カ月ぶりの前月比プラスだが、1-2月の生産は10-12月平均比-3.0%下落し、生産は依然低調である。近経局は生産の基調判断を「足踏みをしている」と前月から据え置いた。 ・3月の貿易収支は2カ月連続の黒字だが、前年比縮小した。輸出・輸入はともに減少しており、内容がよくない。世界経済減速の影響もあり、特に中国向けの科学光学機器、半導体等電子部品等が減少した。 ・3月の景気ウォッチャー現状判断DIは、2カ月ぶりに前月比悪化し、4カ月連続で50を下回った。月後半の気温の低下により春物商材の動きが芳しくなかったことがマイナスに寄与した。 ・1月の関西コア実質現金給与総額は2カ月ぶりの前年比改善だが、伸びは小幅にとどまった。 ・2月の大型小売店販売額は4カ月連続の前年比マイナス。百貨店はインバウンド需要の伸びがプラスに寄与したが、スーパーは野菜の相場安と冬物衣料の不調によりマイナスに寄与した。 ・2月の新設住宅着工戸数は4カ月ぶりの前年比減少。持家は増加したものの、貸家の減少の影響が大きい。 ・2月の有効求人倍率は5カ月ぶり、新規求人倍率は2カ月連続で前月比小幅改善した。完全失業率も3カ月連続で改善しており、引き続き雇用情勢は堅調である。 ・3月の公共工事請負金額は3カ月ぶりの前年比減少。結果、1-3月期は5四半期ぶりに前年比増加した。 ・3月の関空の外国人入国者数は6カ月連続で前年比増加したが、依然一桁台の伸びに留まっている。国籍別にみると、1月の台湾は8カ月ぶりに前年比増加したものの、韓国・香港からの入国者数は8カ月連続で同減少している。 ・中国1-3月期実質GDP成長率は好調な第2次産業に支えられ、前年同期比6.4%となった。また、3月の製造工業PMIは2カ月ぶりに改善し、4カ月ぶりに50を上回った。
稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Monthly Vol.71 – 景気は足下悪化傾向、先行きは改善の兆しか –

[ Monthly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 生田 祐介 / CAO THI KHANH NGUYET / 馬 騰 DATE2019-03-26

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Abstract/Keywords

- 景気は足下悪化傾向、先行きは改善の兆しか - ・1月の生産は3カ月連続の前月比マイナス。10-12月平均比でも低下し、1-3月期の最初の月としては低調である。近畿経産局は生産の基調判断を前年9月以降始めて下方修正した。 ・2月の貿易収支は2カ月ぶりの黒字となり前年比拡大したが、輸出と輸入はともに減少。輸出については、中国を始めとする世界経済の減速には注意が必要である。 ・2月の景気ウォッチャー現状判断DIは、4カ月ぶりの前月比改善だが、3カ月連続で50を下回った。暖冬の影響や、生活防衛意識の高まりから消費の勢いは鈍い。中国EC法の影響は前月から緩和したものの、インバウンド需要の増勢は鈍化している。 ・12月の関西2府4県の実質現金給与総額は2カ月ぶりの前年比減少。結果、2018年の実質現金給与総額は3年ぶりに減少した。 ・1月の大型小売店販売額は3カ月連続の前年比マイナス。インバウンド需要減少の影響で百貨店は2カ月ぶりのマイナス、スーパーは野菜の相場安のため4カ月連続のマイナスであった。 ・1月の新設住宅着工戸数は3カ月連続の前年比増加。利用関係別に見れば、マンションの急増が全体を押し上げた。 ・1月の有効求人倍率は3カ月ぶりに前月比小幅悪化したが、完全失業率は2カ月連続の改善。引き続き雇用情勢は堅調である。 ・2月の公共工事請負金額(季節調整値)は前月比2カ月連続のプラスとなり、持ち直しつつある。 ・2月の関空の外国人入国者数は5カ月連続で前年比増加したが、一桁台の伸びが続いている。国籍別では、2018年は自然災害の影響もあり、台湾、香港では前年比減少し、韓国はほぼ同横ばいとなった。 ・中国2月の製造業PMIは3カ月連続で景気分岐点を下回った。うち、生産指数は2009年1月以来の低水準となった。また、米中貿易摩擦の影響を受け、中国の対米貿易黒字は前年同月比-29.8%と大幅縮小し、11カ月ぶりのマイナスであった。