経済フォーキャスト

リサーチリーダー

数量経済分析センター長 稲田義久 甲南大学教授

 

研究目的

企業や政策主体(中央政府及び地方政府)にとって、正確で迅速な景気診断が、各主体の意思決定や政策判断にとって決定的に重要となる。本プロジェクトは、日本経済及び関西経済の高頻度の定点観測とともに、超短期予測モデル(CQM)や四半期マクロ計量モデルを用いてタイムリーで正確な短期経済見通しの提供に加え、刻一刻変化する経済に対する適切なコメントならびに政策評価を行うことを意図している。

 

研究内容

1. 月次レポートの作成

経済の月次見通しに加え、関西経済の月次レポート(Kansai Economic Insight Monthly)を所内研究員の協力を経て毎月中旬以降に作成している。また翌月の初旬には関経連向けに『関西経済レポート』を提出している。この作業を通して所内エコノミストの分析力の向上を図っている。

2. 日本経済予測・関西経済予測の四半期レポートの作成

超短期予測の足下の正確な予測成果を反映し、QE(四半期GDP一次速報値)発表の1週間後に日本経済の四半期予測とともに関西経済の年次予測の四半期改訂が発表される。予測結果や予測改訂は、『景気分析と予測』と『Kansai Economic Insight Quarterly』として発表され、プレスリリリースされる。

3. 府県別GRP早期推計と超短期予測

各府県の県民経済計算確報値が発表され次第、5月予測では関西2府4県経済の成長率予測がアップデートされる。11月には、当該年度の月次指標を基にして超短期予測を行なう。

4. 関西DSGEモデルの開発と関西GRP四半期QEデータベースの作成

DSGEモデルの特性を活かし、地域固有の構造的課題の抽出や各種政策シミュレーションを行う。その際、DSGEモデルの実用にあたって考えられる課題に十分配慮する。またこのとき、関西の四半期データが必要になると思われるが、足りないところは線形補間や推定によって補い、必要に応じて新しい関西データの指標を作成する。

また8月予測では関西2府4県経済の成長率予測がトッピクスとして発表される。これらの成果は関西各府県の早期推計として注目されている。また11月予測を受けて景気討論会を企画している。

 

リサーチャー

入江啓彰 近畿大学短期大学部准教授(早期推計、関西モデル、DSGEとデータベース)

小川 亮 大阪市立大学大学院経済学研究科・経済学部准教授(早期推計、関西モデル)

下田 充 日本アプライドリサーチ主任研究員(日本モデル、早期推計、関西モデル)

松林洋一 神戸大学大学院経済学研究科 教授(DSGEとデータベース)

岡野光洋 大阪学院大学講師(DSGEとデータベース)

井田大輔 桃山学院大学経済学部 准教授(DSGEとデータベース)

 

期待される成果と社会還元のイメージ

研究成果はHP上で高頻度に提供。プレスリリースを行うことでマスコミに周知。一部成果はマクロモデル研究会やその他学会でも報告予定である。

モデルを用いた関西経済の経済予測・構造分析の結果を客観的かつ定量的に示すことで、足元の経済情勢判断の材料として用いることが可能であるとともに、企業の経営戦略や自治体の政策形成を構築するうえでの重要な指針となり、関西経済の現状および構造的特徴を内外において説明する際の貴重な資料となりうる。

関連論文

稲田 義久
経済予測

日本経済(月次)予測(2019年5月)<4-6月期実質GDP成長率予測は、徐々に下方トレンドへ>

[ Monthly Report(日本) ] AUTHOR稲田 義久 DATE2019-06-03

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Abstract/Keywords

日本経済, 超短期予測, 月次レポート

稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Quarterly No.43 <一部底堅さも見られるが、先行き不安で弱含み>

[ Quarterly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 入江 啓彰 / 野村 亮輔 DATE2019-05-30

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Abstract/Keywords

関西経済, 四半期予測, 早期推計,

一部底堅さも見られるが、先行き不安で弱含み-米中対立の行方や消費増税の影響など不透明要素が重荷- 1.2019年1-3月期実質GDP成長率は前期比+0.5%(年率換算+2.1%)と2四半期連続のプラス成長となった。内需で成長率を押し上げたのは民間在庫変動と公的固定資本形成で、民間最終消費支出や民間企業設備はともにマイナスとなった。純輸出(外需)はGDP成長率に対してプラスに寄与した。対中国取引が停滞して輸出が減少したが、輸入が輸出を上回るマイナスとなったためである。 2.2019年1-3月期の関西経済は、一部にはまだ底堅さも見られるが、景気後退懸念が高まってきている。中国経済の減速から、対中輸出や生産は停滞している。また消費者センチメントや企業の景況感などマインドに関する指標の悪化も目立つ。この背景には、米中対立の行方や消費増税の影響など景気の先行きに対するリスクの高まりがある。 3.関西の実質GRP成長率を2019年度+0.7%、20年度+0.4%と予測する。前回の予測結果と比べて、19・20年度とも下方修正とした(それぞれ-0.1%ポイント、-0.2%ポイント)。域外需要、特に輸出を見直したためである。なお標準予測に対するリスクとして、米中対立に伴う中国経済の鈍化および影響の長期化、消費増税の影響が考えられる。 4.実質GRP成長率に対する各需要項目の寄与度を見ると、2019年度は民間需要が+0.5%ポイントと、前年度に比べると幾分小幅となるが、景気を下支えする。また公的需要も政府の消費税対策の影響から+0.3%ポイントと成長に貢献する。一方域外需要は-0.1%ポイントと成長抑制要因となる。20年度は民間需要+0.3%ポイント、公的需要+0.3%ポイント、域外需要-0.1%ポイントとなる。前年度と似た傾向の成長パターンとなるが、民需の貢献はやや小さくなる。 5.地域経済統計の確報値公表について、時期の遅れや頻度がしばしば課題となる。APIRでは、足下の経済のタイムリーな状況把握を目的として、確報値発表に先行する経済データの作成に取り組んでいる。今回は都道府県別訪日外客数と県内総生産の早期推計を紹介する。
稲田 義久
経済予測

第122回景気分析と予測<高まる輸出・投資の縮小スパイラル・リスク>

[ Quarterly Report(日本) ] AUTHOR稲田 義久 / 下田 充 DATE2019-05-30

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Abstract/Keywords

日本経済予測, 四半期レポート, 超短期予測

高まる輸出・投資の縮小スパイラル・リスク 1.CPB World Trade Monitorによれば、2019年1-3月期の世界輸出(数量ベース)は前期比-0.3%低下した。15年7-9月期以降18年7-9月期まで13四半期連続で増加したが、足下の2四半期は連続で減少している。1-3月期の機械受注(外需)は2四半期ぶりのマイナス成長、4-6月期も低調が見込まれている。機械受注の先行性を考慮すれば、19年後半も輸出市場は低迷が続く。 2.5月20日発表のGDP1次速報によれば、1-3月期実質GDPは前期比年率+2.1%と2四半期連続のプラス成長となった。1-3月期実績は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト5月調査)の同-0.06%を大幅に上回った。一方、CQM最終予測は、支出サイドが同+0.1%、生産サイドが同+0.8%、平均同+0.5%とかろうじてプラス成長を予測したが、実績から下振れた。 3.1-3月期の結果はポジティブサプライズとなったが、内容は決してよくない。民間最終消費支出、民間企業設備、輸出が前期比減少する一方で、民間在庫変動の増加、輸入の大幅減が成長率を押し上げたからだ。実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比+0.1%ポイント(うち、民間在庫変動は同+0.1%ポイント)と2四半期連続、純輸出は同+0.4%ポイント(うち、輸入は同+0.9%ポイント)と4四半期ぶりの、プラスとなった。 4.1-3月期GDP1次速報を織り込み、2019年度の実質GDP成長率を+0.6%、20年度を+0.6%と予測した。前回(第121回)予測に比して、19年度は変化なし、20年度は-0.1%ポイント下方修正した。米中貿易摩擦の長期化予想の影響を受け、20年度は下方修正となっている。 5.標準予測では消費増税が予定通り実施されると想定している。このため19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年央であること、政府の手厚い経済対策、オリンピック需要の影響もあり、19年度はマイナス成長を避けられよう。 6.標準予測に対して、最大のリスク要因は米中貿易摩擦の激化と長期化である。これまで日本経済が享受してきた2つの輸出による景気回復に一段と下押し圧力が高まってきている。輸出の減少が企業収益縮小につながり企業設備を抑制するという、輸出・投資の縮小スパイラルに転じる瀬戸際に日本経済は位置している。 7.物価の先行きについては、エネルギー価格の動向と消費税増税の影響に加え教育無償化の影響が重要だ。これらを考慮し、コアCPIのインフレ率を、19年度+0.7%、20年度+0.8%と予測する。
稲田 義久
インサイト

都道府県別訪日外客数の月次推計と予測

[ トレンドウォッチ ] AUTHOR稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔 DATE2019-05-30

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Abstract/Keywords

戦略策定には、それにふさわしい主要業績評価指標(KPI)が必要となる。インバウンド・ビジネス産業戦略を例にとると、都道府県別訪問率や訪日外客数といったデータが重要である。戦略担当自治体やDMO(Destination Management/Marketing Organization)にとっては、これら2指標とその積である都道府県別訪日外客数が重要な指標となる。具体的には当該自治体が特定の海外プロモーション政策を実施した場合、数カ月後、その成果を各府県への訪日外客数や彼らの消費の変化から読み取ることができれば、その指標は戦略のPDCAサイクルを回すうえでも客観的で有益なものとなる。ただこれらのデータはタイムリー(ここでは月次ベースで公表には1カ月程度のラグ程度)に利用可能となることが望ましいが、現実にはそうなっておらず解決すべき課題である。これらの望ましい条件を満たす指標作成の可能性検討が本稿作成のモチベーションである。 具体的には、(1)四半期データである都道府県別訪問率を月次変換することで公表頻度の課題を解決し、(2)その月次指標を時系列モデル(ARIMA)で特定化を行い足元の予測(早期推計)を行うことで公表に伴うタイムラグの課題を解決した。結果、ほぼリアルタイムで都道府県別訪日外客数を推計することができた。このようなタイムリーなKPIの開発は戦略のダイナミックな展開に役立ち、今後の分析適応範囲を拡大するものとなろう。 APIR_Trend_Watch_54
稲田 義久
経済予測

Kansai Economic Insight Monthly Vol.73 – 景気は足下悪化、先行きも悪化の兆しか –

[ Monthly Report(関西) ] AUTHOR稲田 義久 / 豊原 法彦 / 野村 亮輔 / 馬 騰 / KARAVASILEV, Yani / CAO THI KHANH NGUYET DATE2019-05-24

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Abstract/Keywords

・3月の生産は2カ月ぶりの前月比マイナス。結果、1-3月期は前期比-3.1%下落し、2四半期ぶりのマイナス。なお、近経局は生産の基調判断を「足踏みをしている」と前月から据え置いた。 ・4月の貿易収支は3カ月連続の黒字だが、前年比縮小した。米中貿易摩擦の影響を受け、対中貿易収支が10カ月連続の赤字で赤字幅は前年比大幅拡大した。 ・4月の景気ウォッチャー現状判断DIは、2カ月ぶりに前月比改善だが、5カ月連続で50を下回った。好調なインバウンド需要に加え、レジャー関連を中心に改元に伴う消費者心理が影響した。 ・2月の関西実質現金給与総額は2カ月連続の前年比プラスだが、伸びは小幅にとどまった。 ・3月の大型小売店販売額は5カ月ぶりの前年比プラス。百貨店はインバウンド需要の影響でプラスに寄与したが、スーパーは、気温の影響もあり、季節品の不調によりマイナスに寄与した。 ・3月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前年比増加した。結果、1-3月期は4四半期連続のプラス。うち、貸家は減少したものの、持家と分譲は増加した。 ・3月の有効求人倍率は前月比横ばい、新規求人倍率は4カ月ぶりに同悪化。完全失業率も4カ月ぶりに悪化し、雇用情勢に一服感がみられる。 ・3月の建設工事出来高は13カ月連続の前年比増加となった。結果、1-3月期は4四半期連続で前年から増加した。また、4月の公共工事請負金額は2カ月ぶりの前年比増加。 ・4月の関空の外国人入国者数は7カ月連続で前年比増加だが、一桁台の伸びが続いている。国籍別にみると、2月の台湾からの入国者は2カ月ぶりに前年比減少し、韓国・香港は9カ月連続で同減少しており、依然伸びは低調である。 ・4月の製造業購買担当者景況指数は2カ月ぶりの悪化だが、2カ月連続で景気分岐点を上回っている。米中貿易摩擦の影響を受け、中国の工業生産は低調な伸びにとどまっている。また、社会消費品小売総額は3カ月ぶりに下落し、16年ぶりの低水準となった。 APIR_KEIM_Vol73