研究成果

research

テキストデータを利用した新しい景況感指標の開発と応用

リサーチリーダー

主席研究員 松林洋一 神戸大学大学院経済学研究科教授

 

研究目的

従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、リアルアイム性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究ではビッグデータの一つであるテキストデータに着目して、経済の動向を析出することを試みる。

 

研究内容

2018年度から引き続き、人工知能の一種である深層学習(ニューラルネットワークという人間の脳神経回路を模したモデルを構築し、コンピュータに機械学習させること)を、テキストマイニングに用いる。本年度も、深層学習における推定モデルの一つである、リカレント・ニューラル・ネットワーク(Recurrent Neural Network,以下RNN)を、基本の分析枠組みとする。

 

研究体制

研究統括

稲田義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学教授

リサーチャー

関 和広  甲南大学知能情報学部准教授

生田祐介  大阪産業大学経営学部講師

岡野光洋  大阪学院大学経済学部准教授

期待される成果と社会還元のイメージ

テキストデータから景況感を推定するモデルを構築する。政府による既存の景況感指数と比較することで、我々のモデルが有する特徴を明らかにする。その成果として「テキスト版景況感指数」を公表する。

「テキスト版景況感指数」を見ることで、消費者にとっての景況感を、より深く知ることができるようになる。まずは、企業の経営判断を行う際の議論に使えるようにする。そして、国や自治体に対しても、政策決定に活用して頂くことを検討する。

関連論文

  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:4月レポート No.23

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、4月の訪日外客総数(推計値ベース)は10,900人で、前月(12,300人)から減少したが、2カ月連続で1万人を超える水準となった。伸びはCOVID-19の影響がない前々年同月(2019年4月)比でみれば-99.6%で底這いの状況が続いている。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、2月の総数(暫定値ベース)は7,355人(前年同月比-99.3%)となった。うち、観光客は266人(同-100.0%)、商用客は776人(同-98.9%)、その他客は6,313人(同-94.4%)であった。

    ・世界のワクチン接種状況をみれば、欧米の主要国でワクチンの普及が進み、イタリアや英国では観光に対する規制緩和が行われている。一方、日本の接種状況は欧米各国と比較すると遅れており、入国緩和の目途も依然立っていない状況となっている。

     

    【トピックス】

    ・関西4月の輸出は中国や米国の景気回復もあり、2カ月連続のプラスとなり、伸びは前月から加速した。対中貿易動向をみると、輸出の伸びは11カ月連続のプラスだが、輸入は昨年のマスクの輸入の大幅増加の裏が出たため、3カ月ぶりのマイナスとなった。

    ・財貨の輸出入は回復を示しているが、サービスの輸出入は低迷している。

    4月の関西国際空港への訪日外客数は2,341人で前月から減少。また、同月の日本人出国者数は2,965人であった。インバウンド需要、アウトバウンド需要ともに消失した状況が続く。

    ・財貨の生産は持ち直しの動きがみられるが、サービス業の回復は遅れている。

    3月の第3次産業活動指数は97.5で5カ月ぶりの前月比プラス。1-3月期では3四半期ぶりの前期比マイナスとなり、水準は前年同期から低い状況が続く。

    ・第3次産業活動指数のうち、観光関連指数は68.8で2カ月ぶりの前月比プラス。1月の落ち込みが大きかったため1-3月期では65.4となり、3四半期ぶりの前期比マイナスとなった。前年同期の水準(92.7)と比較すれば27.3ポイント低く、回復が遅れていることがわかる。

     

    ・2月の関西2府8県の延べ宿泊者数は3,077.2千人泊で、伸びは13カ月連続の前年比マイナスとなり、大幅減少が続く。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は3,044.4千人泊で伸びは14カ月連続の前年比マイナス、外国人延べ宿泊者数は、32.8千人泊で13カ月連続の同マイナスとなった。

    ・関西の延べ宿泊者数を宿泊者の居住地別でみると、県内の延べ宿泊者数は853千人泊で伸びは3カ月連続の前年比マイナス、県外は2,063千人泊で伸びは15カ月連続の同マイナス。緊急事態宣言再発令により府県間を跨ぐ不要不急の移動が制限されたことから、特に県外の延べ宿泊者への影響が大きい。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:3月レポート No.22

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、3月の訪日外客総数(推計値ベース)は12,300人で、前月から増加したものの、水準は依然低い。伸びは前年同月比-93.6%と17カ月連続のマイナス。なお、昨年の水準が低いため、影響のない前々年同月(2019年3月)比でみれば、-99.6%と依然訪日外客は消失した状況が続いている。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、1月の総数(暫定値ベース)は46,522人(前年同月比-98.3%)となった。うち、観光客は547人(同-100.0%)、商用客は3,099人(同-97.3%)、その他客は42,876人(同-83.4%)であった。

    ・その他客をみれば、ベトナムがビジネス目的での往来が緩和されて以降、3カ月連続で1万人を超える水準となっている。しかしながら、1月14日以降、入国制限が厳格化されたため、ビジネス目的での往来緩和も一時停止されており、来月以降は低水準となろう。

     

    【トピックス】

    ・3月の関西国際空港への訪日外客数は3,129人で前月から増加。伸びは前年同月比-99.2%と14カ月連続のマイナスとなった。なお、前々年同月(2019年3月)比では-99.6%となっており、入国者は消失した状況が続いている。

    ・関西3月の輸出は中国を中心としたアジア向け輸出の好調もあり、前年同月比+14.6%で2カ月ぶりのプラス。また輸入は同+6.2%と2カ月連続のプラス。結果、関西の貿易収支は3,809億円と14カ月連続の黒字となった。

     

    1月の関西2府8県の延べ宿泊者数は12カ月連続の前年比マイナス。1月14日から京都府、大阪府、兵庫県に緊急事態宣言が再発令されたため、マイナス幅は前月から拡大した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は2,993.0千人泊で伸びは13カ月連続の前年比マイナスで、前月からマイナス幅は拡大。外国人延べ宿泊者数は、97.1千人泊で12カ月連続の同マイナスとなった。

    ・関西の延べ宿泊者数を宿泊者の居住地別でみると、20年5月に県内・県外(外国人宿泊者含む)ともに大底とし、Go To トラベルキャンペーン事業が開始された7月以降、中でも県外の宿泊者数の増加が特徴的である。21年1月ではCOVID-19感染再拡大(第3波)を受け、事業が一時停止されたこともあり、特に県外からの宿泊者が大幅に減少している。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:2月レポート No.21

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、2月の訪日外客総数(推計値ベース)は7,400人で17カ月連続の前年比マイナス。緊急事態宣言再発令の期間が延長されたことで、入国制限の措置も継続となったため、水準は前月から大幅減少した。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、12月の総数(暫定値ベース)は58,673人(前年同月比-97.7%)となった。うち、観光客は1,557人(同-99.9%)、商用客は4,051人(同-96.7%)、その他客は53,065人(同-51.8%)であった。

    ・2020年通年の訪日外客数(暫定値ベース)は、411万5,828人(前年比-87.1%)。うち、観光客は331万2,228人(同-88.3%)、商用客は21万6,028人(同-87.7%)、その他客は58万7,572人(同-68.5%)で、前年から大幅減少。落ち込み幅が大きい観光客は2004年以来の低水準となり、9年ぶりに前年比マイナスに転じた。

     

    【トピックス】

    ・2月の関西国際空港への訪日外客数は1,879人で前月から大幅減少。伸びは前年同月比-99.2%と13カ月連続のマイナスとなった。

    ・20年2月~21年1月の関空への入国者数の累計は31万2,548人で、前年同期(839万2,500人)と比較して-96.3%の減少となった。月平均70万人から、昨年は同2.6万人と激減。

    ・関西2月の輸出は中国の春節時期が2月にずれたため、3カ月ぶりの前年比マイナスとなった。一方、輸入は17カ月ぶりの同プラス。生産活動停止による大幅減少の反動で対中輸入が大幅増加したことによる。

     

    ・12月の関西2府8県の延べ宿泊者数は11カ月連続の前年比マイナス。Go To トラベルキャンペーン事業が一時停止された影響で、マイナス幅は前月から拡大した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は5,069.0千人泊で伸びは12カ月連続の前年比マイナスで、前月からマイナス幅は拡大。外国人延べ宿泊者数は、131.2千人泊で11カ月連続の同マイナスとなった。

    ・2020年通年の関西の延べ宿泊者数は、5,629万人泊と4年ぶりに前年比減少。うち日本人延べ宿泊者数は、5,170万人泊と3年ぶりに、外国人延べ宿泊者数は459万人泊と9年ぶりに、いずれも減少した。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:1月レポート No.20

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、1月の訪日外客総数(推計値)は16カ月連続のマイナス。12月下旬以降、入国制限が厳格化されたため、水準は前月から減少した。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、11月の総数(暫定値)は56,673人(前年同月比-97.7%)となった。うち、観光客は1,030人(同-100.0%)、商用客は4,793人(同-97.2%)、その他客は50,850人(同-59.0%)であった。11月にベトナムや中国との間でビジネスや留学目的などでの入国条件が緩和されたこともあり、その他客は前月から大幅増加している。

    ・11カ国・地域の間で例外的に認可されていたビジネス目的などでの往来が1月14日から一時停止となった。また2月2日に緊急事態宣言再発令の期間が3月7日まで延長されたことで、入国制限の措置も継続となった。このため訪日外客数の動向については厳しい状況が続こう。

     

    【トピックス】

    ・1月の関西国際空港への訪日外客数は10,919人で(前年同月比-98.5%)、伸びは12カ月連続のマイナス。マイナス幅は前月から幾分拡大した。

    ・関空への訪日外客数減少による12月のインバウンド需要の損失額は、2019年の関西での外国人消費額は1兆2,127億円(確報ベース)であるため、995億円(= 12,127/12 ×関空への訪日外客数の減少率)と推計される。結果、20年2月から21年1月までのインバウンド需要の損失合計は1兆1,662億円で、19年の外国人消費額の96%と推計される。

    ・関西1月の輸出総額は対中輸出の伸びの拡大もあり、前年同月比+13.3%で2カ月連続のプラス。対中輸出は昨年の春節が1月であったこともあり同+40.0%と前月から大幅上昇し、8カ月連続のプラスとなった。

     

    11月の関西2府8県の延べ宿泊者数は10カ月連続の前年比マイナスだが、Go To トラベルキャンペーンの影響もあり、マイナス幅は前月から縮小。ただし、12月14日にGo To トラベルキャンペーンが全国的に停止されたため、来月以降、マイナス幅が拡大する可能性が高い。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は6,835.9千人泊で伸びは11カ月連続の前年比マイナスだが、前月からマイナス幅は縮小。外国人延べ宿泊者数は、112.6千人泊で9カ月連続の同マイナスとなり、依然底這いの状況が続く。

    ・11月の延べ宿泊者数(関西2府8県ベース)の減少幅から(関西の)国内旅行消費額の損失額を推計すると、約508億円となる(=4.1兆円/12 ×関西の延べ宿泊者数の当月の減少率)。結果、3-11月期の損失額は約1.6兆円となる。

    ・12月速報値を考慮した延べ宿泊者数(全国ベース)の減少幅から(全国の)国内旅行消費額の損失額を計算すると、約4,459億円となる(=21.9兆円/12 ×全国の延べ宿泊者数の当月の減少率)。結果、3-12月期の損失額合計は約8.4兆円となる。

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  • 生田 祐介

    テキストデータを利用した新しい景況感指標の開発と応用(下)― 応用編:深層学習を利用したテキスト分析 ―

    ディスカッションペーパー

    ディスカッションペーパー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    生田 祐介 / 関 和広 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    本稿では、テキストマイニングに基づいて、新聞や雑誌の文字情報から景況感指数の計測を行う際の実践的な手続きについて解説していきます。テキストマイニングの基本的概念については、入門編において紹介しました。文字情報から景気動向を抽出するという試みは、魅力的ですが、基本的なテキストマイニングの手法には限界もあります。最も重要な問題点は、新聞記事等の文章に含まれている単語を単体として取り出して、その単語のみで景気の良し悪しを判定することは適当ではないということです。ここでは、深層学習の代表的な手法であるニューラルネットワークと呼ばれるモデル(およびその修正版)について丁寧に解説を行います。あわせて上巻で紹介した内閣府「景気ウォッチャー調査」をもとに、こうした新たな手法を用いた景況感指数の計測を紹介し、その特性を見ていくことにします。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:12月レポート No.19

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、12月の訪日外客総数(推計値)は15カ月連続のマイナス。2020年通年は411万5,900人で9年ぶりのマイナスとなり、1998年以来(410万6,057人)の低水準。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、10月の総数(暫定値)は27,386人(前年同月比-98.9%)となった。うち、観光客は760人(同-100.0%)、商用客は2,588人(同-98.4%)、その他客は24,038人(同-84.7%)であった。10月は一定条件下で中長期の在留資格を持つ訪日外客の新規入国が全面緩和されたこともあり、留学目的などを含むその他客が2カ月連続で1万人を超えた。

    ・国内でCOVID-19変異株が確認されたため、政府は、これまで条件付きで緩和していた全世界からの新規入国を12月28日に一時停止した。また、1月14日から例外的に認可されていたビジネス目的の往来も一時停止した。このため、1月の訪日外客数は反転減少の可能性が高い。

     

    【トピックス】

    ・12月の関西国際空港への訪日外客数は13,552人(前年同月比-97.9%)で、伸びは11カ月連続のマイナスで依然大幅な減少が続く。2020年通年は101万1,184人と、1996年以来の値(92万491人)となった。

    ・関空への訪日外客数減少による12月のインバウンド需要の損失額は、2019年の関西での外国人消費額は1兆2,127億円(確報ベース)であるため、989億円(= 12,127/12 ×関空への訪日外客数の減少率)と推計される。結果、2-12月期インバウンド需要の損失合計は1兆667億円となり、2019年ベースの外国人消費額の88%を損失したことになる。

    ・関西12月の輸出総額は前年同月比+5.2%で、2カ月ぶりのプラス。

     

    10月の関西2府8県の延べ宿泊者数は9カ月連続の前年比マイナスだが、前月よりマイナス幅は縮小。10月1日より、Go To トラベルキャンペーンの対象に東京都が加えれられたこともあり、マイナス幅は5カ月連続で縮小した。ただし、11月後半からのCOVID-19の感染再拡大(第3波)の影響もあり、先行きは不確実性が強く、注視が必要である。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は、5,634.4千人泊で伸びは10カ月連続の前年比マイナス。外国人延べ宿泊者数は、40.7千人泊で8カ月連続の同マイナスとなった。

    ・10月の延べ宿泊者数(関西2府8県ベース)の減少幅から(関西の)国内旅行消費額の損失額を推計すると、約807億円となる(=4.1兆円/12 ×関西の延べ宿泊者数の当月の減少率)。結果、3-10月期の損失額は約1.5兆円となる。

    ・11月速報値を考慮した延べ宿泊者数(全国ベース)の減少幅から(全国の)国内旅行消費額の損失額を計算すると、約2,873億円となる(=21.9兆円/12 ×全国の延べ宿泊者数の当月の減少率)。結果、3-11月期の損失額合計は約7.9兆円となる。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:11月レポート

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、11月の総数(推計値)は56,700人で、14カ月連続のマイナス(前年同月比-97.7%)。11月1日に日本政府が中国(香港、マカオ含む)、韓国やベトナムなど9カ国・地域の感染症危険度を引き下げたこともあり、訪日外客数は前月から増加した。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、9月の総数(暫定値)は13,684人(前年同月比-99.4%)となった。うち、観光客は497人(同-100.0%)、商用客は1,317人(同-99.1%)、その他客は11,870人(同-94.2%)であった。9月は在留資格を持つ訪日外客の再入国が全面緩和されたこともあり、特に留学目的などを含むその他客が前月から増加し、1万人を超える水準となった。

     

    【トピックス】

    ・11月の関西国際空港への訪日外客数は11,945人であった(前年同月比-98.2%)。伸びは10カ月連続のマイナスで依然大幅な減少が続いているが、2020年3月(35,696人)以来の水準。

    ・関空への訪日外客数減少による11月のインバウンド需要の損失額は、2019年の関西での外国人消費額は1兆2,127億円(確報ベース)であるため、993億円(= 12,127/12 ×関空への訪日外客数の減少率)と推計される。

    ・関西11月の輸出総額の伸びは対中輸出の伸びの鈍化が影響したこともあり、2カ月ぶりのマイナス(前年同月比-4.0%)となった。

    ・9月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は8カ月連続の前年同月比マイナス(同-52.1%)。COVID-19感染再拡大が落ち着いていたことに加え、9月後半の連休もあり、マイナス幅は前月(同-63.3%)から縮小した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数をみれば、4,665.2千人泊となり9カ月連続の前年同月比マイナス。外国人延べ宿泊者数をみれば、30.7千人泊となり8カ月連続の前年同月比マイナスとなった。

    ・9月の延べ宿泊者数(関西2府8県ベース)の減少幅から(関西の)国内旅行消費額の損失額を推計すると、約1,254億円となる(=4.1兆円/12 ×関西の延べ宿泊者数の当月の減少率)。結果、3-9月期の損失額は約1.4兆円となる。

    ・10月速報値を考慮した延べ宿泊者数(全国ベース)の減少幅から(全国の)国内旅行消費額の損失額を計算すると、約3,183億円となる(=21.9兆円/12 ×全国の延べ宿泊者数の当月の減少率)。結果、3-10月期の損失額合計は約7.6兆円となる。

     

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:10月レポート

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客数(推計値)によれば、10月総数は27,400人(前年同月比-98.9%)で、13カ月連続のマイナス。10月から一定条件の下、ビジネス等に限って全ての国・地域からの新規入国が可能となったため、2カ月連続で1万人を超える水準となった。

    ・JNTO訪日外客数(暫定値)を目的別にみれば、8月総数は8,658人(前年同月比-99.7%)となった。うち目的別にみれば、観光客は482人(同-100.0%)、商用客は702人(同-99.4%)、その他客は7,474人(同-96.3%)であった。8月から再入国許可保持者の再入国を一部認めたこともあり、商用客(241人)や留学目的などのその他客(3,123人)が前月から増加した。

     

    【トピックス】

    ・10月の関空への訪日外客数は前年同月比-99.2%大幅減少し、9カ月連続のマイナス。新たに2府8県ベースで推計(APIR)された2019年の関西での外国人消費額は1兆2,127億円(確報ベース)であるため、20年10月の損失額は1,002億円(= 12,127/12 ×関空への訪日外客数の減少率)と推計される。結果、2-10月期インバウンド需要の損失合計は8,685億円となる。

    ・10月はビジネスや留学目的の外国人を対象に限定的ではあるが、日本への新規入国が全面緩和された。政府は11月以降、更なる入国緩和を検討しているが、観光目的の入国は依然として厳しく規制されているため、訪日外客の急回復は期待しづらい。

    ・関西10月の輸出総額の伸びは好調な対中輸出の影響もあり、8カ月ぶりのプラス(前年同月比+2.3%)に転じた。

    ・8月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は7カ月連続の前年同月比マイナス(同-63.3%)。COVID-19の感染再拡大の影響もあり、マイナス幅は前月(同-64.7%)より小幅縮小にとどまった。

    ・うち日本人延べ宿泊者数をみれば、4,628.7千人泊となり8カ月連続の前年同月比マイナス。外国人延べ宿泊者数をみれば、41.8千人泊となり7カ月連続の前年同月比マイナスとなった。

    ・8月の延べ宿泊者数(関西2府8県ベース)の減少幅から(関西の)国内旅行消費額の損失額を推計すると、約1,830億円となる(=4.1兆円/12 ×関西の延べ宿泊者数の当月の減少率)。結果、3-8月期の損失額は約1.3兆円となる。

    ・9月速報値を考慮した延べ宿泊者数(全国ベース)の減少幅から(全国の)国内旅行消費額の損失額を計算すると、約6,840億円となる(=21.9兆円/12 ×全国の延べ宿泊者数の当月の減少率)。結果、3-9月期の損失額合計は約7.3兆円となる。

    ※英語版はこちら

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  • 生田 祐介

    テキストデータを利用した新しい景況感指標の開発と応用(上) ― 入門編:基礎的概念と分析手法の解説 ―

    ディスカッションペーパー

    ディスカッションペーパー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    生田 祐介 / 木下 祐輔 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    本稿では、テキストデータを用いて数量的考察を行う際の基礎的概念を紹介し、同データを用いて経済動向を分析する際の基本的な手続きについて、入門レベルの解説を行います。テキストデータとは、新聞や書籍に書かれるような文字列で表されている情報を数値化したものであり、経済のみならず様々な分野において新たなデータソースとして注目を集めています。ここでは、テキストデータの特徴、テキストマイニングの基本的手続きを平易に解説します。続いてテキストマイニングを用いることは、経済動向を理解する上で、有用な手法であることを説明します。
    後半では、内閣府の「景気ウォッチャー調査」のテキストデータを用いた簡単な分析結果を示し、テキストデータを用いた経済分析の一例を紹介し、経済分析においてテキストマイニングを用いることの難しさについても検討します。

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  • 稲田 義久

    インバウンド需要におけるキャッシュレス決済についての分析 -「関西における訪日外国人旅行者動向調査事業」アンケート調査から-

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 野村 亮輔 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    本稿では、「関西における訪日外国人旅行者動向調査事業」アンケート調査に基づいて、関西のインバウンド需要とキャッシュレス決済との関係を様々な角度から分析を行った。

    本アンケート調査から得られた興味あるfindingsは以下の通りである。

    ①キャッシュレス決済の利用頻度や形態は国・地域によって異なり、欧州や北米からの訪日外国人客(以下、訪日外客)はクレジットカード利用が多い一方で、中国人は現金もしくはQRコードの利用頻度が高い。

    ②キャッシュレス決済の利便性について、多くの訪日外客が交通機関や買い物・飲食代支払い時に十分享受していないと感じているようである。また場所別では、飲食店やホテルではおおむね使いやすいと感じているが、バス等の交通機関や寺社仏閣や美術館などにおいては不便であると感じている割合が高い。

    ③なお、本アンケートでは訪日外客に旅程を通じて為替レートを意識しているか否かも質問している。回答結果は「旅マエ」までは為替レートをある程度意識するが、「旅アト」時には意識しないと答える割合が高くなる傾向がみられた。訪日外客は「旅アト」において今回の旅行を振り返るとすれば、滞在中(「旅ナカ」)においてキャッシュレス決済で財・サービスを購入する際にあまり為替レートを意識しなかった、という興味深い情報を本アンケートは提供していることになる。

    今回のアンケート調査は、地域を関西に限定しているが、今後インバウンド需要を促進していくためにも、我が国のキャッシュレス決済をより一層充実させていくことが不可欠であることを示唆している。

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