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「中国経済」の検索結果

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.130-景気は足下局面変化、先行きは悪化の兆し: 自動車生産停止と中国経済減速がリスク要因

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 関 和広 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 吉田 茂一 / 宮本 瑛 / 新田 洋介 / 壁谷 紗代

    ABSTRACT
    • 関西の景気は、足下局面変化、先行きは悪化の兆しがみられる。足下、生産は3カ月ぶりの増産だが、10-12月期で均せば低調。雇用環境は失業率が4カ月連続で改善したが、有効求人倍率は悪化が続く。消費は年末商戦や好調なインバウンド需要で堅調。貿易収支は12カ月ぶりに赤字に転じた。自動車生産停止や中国経済減速のリスクもあり、先行き悪化の兆しがみられる。
    • 12月の生産は3カ月ぶりの前月比上昇だが、10-12月期では3四半期ぶりの減産。生産は低調である。
      23年通年の失業率は前年比横ばいだが、労働力人口と就業者数はともに増加し、雇用の回復は順調に進んだ。しかし、10-12月期は労働力人口と就業者数が前期よりいずれも減少し、就業率は低下した。足下では雇用回復の勢いがやや弱くなっている。
    • 11月の現金給与総額は24カ月ぶりの前年比減少。インフレの高止まりにより実質賃金は減少が続き、減少幅は前月より拡大した。
    • 12月の大型小売店販売額は27カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店はインバウンド需要の増加や身の回り品などの好調で、22カ月連続のプラス。スーパーも15カ月連続で拡大した。
    • 12月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前月比増加した。持家、分譲は減少したものの、貸家は増加となったためである。
      堅調な公共工事の影響もあり、12月の建設工事は24カ月連続の前年比増加。しかし、1月の公共工事請負金額は前年比減少に転じている。
    • 1月の景気ウォッチャー現状判断は3カ月ぶりに悪化。令和6年能登半島地震の発生によりサービス関連を中心に悪影響を及ぼした。一方、先行き判断は3カ月連続の改善。春節によるインバウンド需要増加の期待が寄与した。
    • 1月の貿易収支は12カ月ぶりの赤字だが、赤字幅は前年比大幅縮小。輸出は9か月ぶりに同増加に転じた。ただし、春節の時期のずれの影響もあるため、注意が必要である。一方、輸入は10カ月連続で同減少した。
    • 1月の関空経由の外国人入国者数は2カ月連続で70万人超の水準となり、インバウンド需要は堅調に推移している。
    • 1月の中国経済は、前月より大きな改善が見られなかった。消費者物価指数の低下傾向が顕著になっており、不動産市場の不況も続いている。また、企業の景況感も低迷している。ただし、2月の春節連休は例年より1日多くなっており、観光などレジャーの消費は前年より伸びる可能性が高いため、1-3月期の景気は10-12月期よりわずかな改善が見込まれる。
    【関西経済のトレンド】

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  • 稲田 義久

    ゼロコロナ政策による中国経済減速と関西経済への影響

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    1. 2022年に入り中国におけるCOVID-19陽性者数が急増している。1-3月期では吉林省が全陽性者数の約6割を、4-6月期では上海市が約7割強を占めるなど、陽性者数の増加が顕著な省及び直轄市で、厳格なロックダウンが行われた。7-9月期は一旦感染状況が落ち着いたが、10-11月期では広東省、北京市、重慶市で感染が拡大しており景気への悪影響が懸念される。
    2. ゼロコロナ政策によるロックダウンの影響は非常に大きい。特に制限が厳しかった上海市や吉林省では、いずれも実質GDP成長率がマイナスとなった(2022年1-9月期、それぞれ前年同期比-1.4%、同-1.6%)。また、広東省(同+2.3%)、江蘇省(同+2.3%)など経済規模が最大の2省(対GDPシェア21.1%)は、中国全体のGDP成長率(同+3.0%)を下回っている。
    3. 中国ゼロコロナ政策による経済的影響を考える上で関西および日本経済の対中貿易シェアは重要である。2021年における対中輸出をみれば、関西(26.2%)の方が全国(21.6%)より全体に占めるシェアは高い。すなわち、関西は全国に比べ対中輸出シェアが高いがゆえに、中国経済の減速は貿易を通して大きな影響を受ける。
    4. 中国経済の減速が関西の輸出を通じて関西経済全体にどのような影響をもたらすかについて、輸出関数を推定した。結果は中国の実質GDPが1%下落すると、関西の実質輸出は0.46%程度下落すると試算される。
    5. シミュレーションでは、標準予測における関西の実質輸出が2022-24年度にわたって0.462%減少する結果、関西の実質GRPは2022年度-0.12%、23年度-0.13%、24年度-0.13%減少する。金額ベースでは年度当たり943億円~1,082億円程度減少する。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.115-景気は足下、先行きともに改善を見込む: 民間消費は持ち直しも、リスクは消費者物価加速と中国経済減速-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 山守 信博

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下、先行きともに改善を見込む。足下、生産は増産だが、回復のペースは遅い。雇用環境・消費・センチメントは持ち直しが続く。サービス消費を中心に引き続き改善を見込むが、先行きは消費者物価加速と中国経済減速による景気の下押しリスクに注意が必要である。
    ・COVID-19の新規陽性者数は11月に入り増加傾向が顕著である。またインフルエンザの感染者数もコロナ禍である昨年、一昨年と比べ増加してきており、同時感染に注意が必要である。
    ・9月の生産は輸送機械などの増産もあり、2カ月連続の前月比上昇。結果、7-9月期は2四半期ぶりの前期比上昇だが、回復のペースは全国に比して遅い。
    ・9月の完全失業率は3カ月連続で改善。就業率もコロナ禍前の水準を超えている。また、有効求人倍率は6カ月連続で改善した。7‐9月期は、失業率は2四半期ぶりに改善し、就業率と有効求人倍率も3四半期連続で上昇した。総じて、雇用情勢は改善傾向にある。
    ・8月の関西2府4県の現金給与総額は、名目で18カ月連続の前年比増加。一方、消費者物価指数の上昇により、実質では6カ月連続の減少となった。物価高は当面続くと見込まれるため、実質賃金はマイナスで推移し続けるだろう。
    ・9月の大型小売店販売額は12カ月連続の前年比増加。うち、百貨店は前年の営業時間短縮や行動制限の反動に加え、高額品と秋冬衣料品の販売が好調で7カ月連続の増加。一方、スーパーは2カ月連続の減少となった。
    ・9月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりの前月比減少だが、7-9月期は2四半期連続で前期比増加した。建設資材の高騰による価格転嫁が進んでおり、先行き売上への影響が懸念される。
    ・9月の建設工事出来高は9カ月連続の前年比増加。うち、公共工事出来高は15カ月連続の同増加。公共工事・民間工事ともに増加基調が続いている。また、10月の公共工事請負金額も2カ月ぶりに同増加した。
    ・10月の景気ウォッチャー現状判断DIは3カ月連続で前月比改善した。全国旅行支援事業の開始もありサービス関連を中心に回復。一方、先行き判断DIは物価高による消費への悪影響が懸念されることから3カ月ぶりに悪化した。
    ・10月の貿易収支は2カ月連続の黒字だが、黒字幅は前月から縮小。輸出入ともに過去最高額を更新したものの、輸出の伸びは前月より減速し、輸入の伸びが加速したため。
    ・10月の関空への外国人入国者数は前月から大幅増加し単月で10万人を超える水準まで回復。入国者数の上限撤廃など水際対策の大幅緩和が影響した。
    ・10月の中国経済は、COVID-19の感染拡大に応じて一部の都市で行動制限が厳しくなった影響もあり、生産の回復が減速したことに加えて、個人消費は減少した。11月に感染は急激に拡大しており、今後多くの都市で厳しい行動制限が課されることが予想されるため、10-12月期の景気は悪化するだろう。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.110-景気は足下、先行きともに改善を見込む: 中国経済の減速リスクもサービス支出中心の回復に期待-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 郭 秋薇 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 山守 信博

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下、先行きともに改善を見込む。足下、行動制限がない大型連休(GW)で人流が回復し、センチメントは改善。先行きは、中国のゼロコロナ政策による経済減速と原材料高等は海外からのリスク要因だが、国内的にはサービス支出中心の回復が期待される。
    ・COVID-19の新規陽性者数はGW後減少傾向で推移してきた。しかし6月中旬以降、減少の推移に鈍化がみられる。
    ・4月の鉱工業生産は2カ月ぶりの前月比上昇。生産用機械や輸送用機械などの増産が影響した。
    ・4月は経済活動の正常化を受け、労働需給双方が拡大した。ただし、労働力人口の増加に比して、就業者数の回復が小幅にとどまったため、完全失業率は3カ月ぶりに前月から上昇。また、有効求人倍率は2カ月ぶりに改善した。
    ・3月の関西2府4県の現金給与総額は、名目で13カ月連続の前年比増加し、3カ月連続でコロナ禍前の水準を超えた。一方実質では、消費者物価指数の上昇により、3カ月ぶりの減少となった。
    ・4月の大型小売店販売額は7カ月連続の前年比増加となったが、全国に比して消費の回復は弱い。うち、スーパーは内食需要が鈍化し3カ月ぶりの減少。百貨店は前年の営業時間短縮や休業の反動で2カ月連続の増加となった。
    ・4月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりの前月比減少。貸家は増加したが持家、分譲が減少に寄与。うちマンションは前月の反動で大幅減少した。
    ・4月の建設工事出来高は2カ月連続の前年比増加。公共工事出来高は3カ月連続の増加となった。5月の公共工事請負金額も3カ月連続で増加しており、減少傾向が続く全国に比して好調が続いている。
    ・5月の景気ウォッチャー現状判断DIは3カ月連続で前月比改善。行動制限のないGWによる人流の大幅増加で景況感は改善した。先行き判断DIも4カ月連続改善だが、中国のゼロコロナ政策による悪影響には注視が必要である。
    ・5月の貿易収支は4カ月ぶりの赤字。燃料価格の高騰により輸入が過去最高額を更新したことによる。地域別にみれば、中国の物流停滞解消により対中輸入が増加したことで、対中貿易赤字は拡大した。
    ・5月の関空への外国人入国者数は入国者数上限引き上げの影響もあり、2万7,161人と2カ月連続で2万人超の水準となった。
    ・5月の中国経済は、上海市で経済活動が段階的に再開されたため、生産再開の動きが見られ、工業生産は前月からプラスに転じ、輸出も拡大した。一方、雇用に改善は見られず、内需が低迷している。6月にもゼロコロナ政策の影響が続くと見られるため、4-6月期の中国経済には下押し圧力となろう。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.109-景気は足下局面変化、先行きは改善を示唆: 消費回復期待も中国経済減速による景気下振れに注意-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 郭 秋薇 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 山守 信博

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下局面変化、先行きは改善を示唆。足下、感染状況が落ち着きセンチメントは改善した。先行きについては、中国の「ゼロコロナ政策」堅持による景気の下振れリスクには注意が必要である。
    ・COVID-19の新規陽性者数はGW後の再拡大も懸念されたが、5月18日現在6,168人となっている。3回目のワクチン接種については、若年層の接種率の低さが課題である。
    ・3月の鉱工業生産は電子部品・デバイスや電気・情報通信機械などの減産が影響し3カ月ぶりの前月比低下。1-3月期は1-2月の増産が影響し、3四半期ぶりの前期比上昇となった。
    ・3月の完全失業率は2カ月連続で前月から改善。また、有効求人倍率は前月から横ばい。1-3月期は、完全失業率と有効求人倍率ともに2四半期ぶりに改善した。雇用情勢は総じて回復が見られるが、力強さを欠く。労働力人口と就業者数はともにコロナ禍前の水準に及ばず、休業率も高止まりしている。
    ・2月の関西2府4県の現金給与総額は、名目で12カ月連続の前年比増加でコロナ禍前とほぼ同水準となった。一方、消費者物価指数の上昇により、実質での増加幅は前月より縮小し小幅にとどまった。
    ・3月の大型小売店販売額はまん延防止等重点措置の解除もあり、6カ月連続の増加となった。うち、スーパーは内食需要が依然堅調で2カ月連続の増加。百貨店は衣料品や身の回り品が好調で2カ月ぶりの増加となった。
    ・3月の新設住宅着工戸数は8カ月ぶりの前月比大幅増加で、コロナ禍前の19年12月以来の水準。ただし、1-3月期では2四半期連続で前期比減少した。
    ・3月の建設工事出来高は2カ月連続の前年比増加。公共工事出来高は30カ月連続の同増加と堅調である。4月の公共工事請負金額も2カ月連続で増加しており、出来高、請負金額ともに減少傾向が続く全国に比して好調が続いている。
    ・4月の景気ウォッチャー現状判断DIは2カ月連続で前月比改善。人流の回復もあり飲食業や旅行業などが改善した。先行き判断DIは3カ月連続の改善だが、ロシアのウクライナ侵攻や原材料高の影響が懸念されている。
    ・4月の貿易収支は3カ月連続の黒字だが、輸出入ともに伸びは前月から減速していることに注意。地域別にみれば、対中貿易は上海市をはじめとする各地のロックダウンの影響を受け、輸出入ともに前年比大幅減少している。
    ・4月の関空への外国人入国者数は2万1,616人。1日当たり入国者数の上限が緩和された影響もあり、2020年3月以来の水準となった。
    ・4月の中国経済は、「ゼロコロナ政策」に伴う厳格な行動制限により、多くの経済指標は武漢のロックダウン以来の冷え込みとなっている。中国政府は同政策を堅持しており、このため4-6月期の中国経済への下押し圧力となろう。

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  • 梶谷 懐

    中国経済の現状と動向

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2019年度 » アジア太平洋地域軸

    RESEARCH LEADER : 
    梶谷 懐

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    主席研究員 梶谷 懐 神戸大学大学院経済学研究科教授

     

    研究目的

    ビジネスの観点から中国を捉えようとすると、「習近平第2期政権」「一帯一路」「AIIB」「深圳を中心とするイノベーション」等、さまざまな論点があり、相互の関連性や重み付け、注視すべき変化点等を俯瞰した判断が必要だが、俯瞰した情報がなかなか得られないのが実情である。そこで、梶谷教授を中心とした中国の専門研究者とともに、企業側の問題意識も反映させつつ俯瞰的に中国を捉える為、会員企業も参加した「オープン研究会」を開催する。

     

    研究内容

    研究会を5回開催しテーマに従い専門の研究者からのプレゼン後、APIR研究員、会員企業も参画して、リサーチリーダーの進行によるゼミ形式を想定。

    研究会はAPIR会員企業担当者、所内研究員、出向者が参加するゼミ形式とし、中国研究第一人者のリサーチリーダー、リサーチャーより直接学ぶと共に企業側の問題意識等も共有の上、議論し、参加者がインタラクティブに学び理解を深める場とする。

     

    研究体制

    研究統括

    本多佑三  APIR研究統括、大阪学院大学教授、大阪大学名誉教授

    リサーチリーダー

    梶谷 懐  APIR主席研究員、神戸大学大学院経済学研究科教授

    リサーチャー

    川島富士雄 神戸大学大学院法学研究科教授

    陳 光輝  神戸大学大学院国際協力研究科教授

    伊藤亜聖  東京大学大学院社会科学研究所准教授

    加茂具樹  慶應義塾大学総合政策学部教授

    劉 亜静  広島修道大学経済科学部准教授

    三竝康平  帝京大学経済学部経営学科講師

    藤井大輔  大阪経済大学経済学部講師

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    会員企業等向けに研究会での議論概要を年次報告書にとりまとめる。

    研究会でのプレゼンテーション並びに議論の概要を期末に報告書にまとめAPIRホームページに掲載する。

     

    <研究会の活動>

    研究会

    ・2019年 7月 8日           第1回研究会開催

    ・2019年 9月12日          第2回研究会開催

    ・2019年11月14日         第3回研究会開催

    ・2020年 1月17日          第4回研究会開催

    ・2020年 3月10日          第5回研究会開催

     

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  • 劉 洋

    地域間成長率格差から見る中国経済の潜在力

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    劉 洋

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  • -

    中国経済緊急レポート

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2008年度

    ABSTRACT

    (関西社会経済研究所)北浦義朗、丸山喜茂、島章弘
    中国経済は急激に減速している。過去数年間は年率10%を超える経済成長を実現してきたが、今後は10%を大きく 下回るものと見られる。世界金融市場の混乱に端を発する世界同時不況の影響に加え、経済政策の方針転換も経済減速の要因となっている。KISERでは11 月下旬に約1週間の現地調査を実施した。詳細は添付ファイルをご覧ください。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.131-景気は足下局面変化、先行きは下げ止まりの兆し: 生産回復の遅れが景気下押しリスク-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 関 和広 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 吉田 茂一 / 新田 洋介 / 宮本 瑛 / 壁谷 紗代

    ABSTRACT
    • 関西の景気は、足下局面変化、先行きは下げ止まりの兆しがみられる。足下、生産は大幅減産となった。雇用環境は失業率が小幅悪化したものの、労働力人口と就業者数はともに増加していることもあり、持ち直している。消費は初売りセールやインバウンド需要の増加で好調。貿易収支は2カ月ぶりの黒字だが、黒字幅は大幅縮小。先行きは令和6年能登半島地震の影響が和らぎつつあるものの、生産回復の遅れが景気の下押しリスクとなろう。
    • 1月の生産は自動車生産の停止が影響し、大幅減産となった。正常化にはしばらく時間を要することもあり、1-3月期は大幅減産となる可能性が高い。
    • 1月の失業率は前月より小幅悪化したが、労働力人口と就業者数はともに増加。また、就業率も前月より上昇した。雇用情勢は持ち直している。なお、一部の産業を除いて、足下では労働需給の動きはともに低調である。
    • 12月の現金給与総額は2カ月ぶりの前年比増加となり、伸びは前月より大きく拡大した。結果、実質賃金の減少は続いているが、減少幅は前月より縮小した。
    • 1月の大型小売店販売額は28カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店はインバウンド需要の増加や身の回り品などの好調で、23カ月連続のプラス。スーパーも16カ月連続で拡大した。
    • 1月の新設住宅着工戸数は2カ月連続で前月比増加。貸家は減少したものの、持家、分譲は増加となったためである。
    • 1月の建設工事は公共工事がマイナスに転じた影響で25カ月ぶりの減少。2月の公共工事請負金額も2カ月連続の前年比減少となった。
    • 2月の景気ウォッチャー現状判断は2カ月ぶりに前月比改善。令和6年能登半島地震の影響が和らいだことやインバウンド需要の増加が景況感に好影響となった。また、先行き判断は賃上げへの期待もあり、4カ月連続で改善した。
    • 2月の貿易収支は2カ月ぶりの黒字だが、黒字幅は前年比大幅縮小。春節の時期のずれから、対中輸出が減少に転じた影響とみられる。一方、輸入は11カ月ぶりに前年比増加となった。
    • 2月の関空経由の外国人入国者数は春節休暇の影響もあり、単月としては過去最高を記録。インバウンド需要は堅調に推移している。
    • 1-2月の中国経済は、前月より大きな改善が見られなかった。工業生産は前月比で減速となったうえ、個人消費の回復も勢いを欠いている。中国政府は今年の実質経済成長率の目標を「5%前後」と定めたが、個人消費を直接支援する景気刺激策の実施には慎重である。そのため、1-3月期の景気は10-12月期より大きな改善が見込まれないと予想される。
    【関西経済のトレンド】

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  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:12月レポート No.55

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、12月の訪日外客総数(推計値)は273万4,000人、2019年同月比+8.2%と2カ月ぶりのプラス。2023年通年では年後半の回復が影響し、2,506万5,862人となり、コロナ禍前の8割程度(19年比-21.4%)を回復した。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば10月は251万6,623人。観光客は224万5,892人でコロナ禍前(19年同月比+3.1%)を回復した。

    ・訪日外客の先行きについては、回復が遅れている訪日中国人客の動向が気になるところである。2月は10日から春節が始まり、中国人客の増加が期待されている。一方で、中国経済減速の影響もあるため、大幅な増加は見込めず、緩やかな回復にとどまる可能性が高い。

    【トピックス1】

    ・関西12月の輸出は8カ月連続で前年比減少。また、輸入は9カ月連続で減少し、8カ月連続で2桁のマイナスであった。結果、輸入の減少幅が輸出のそれを大きく上回ったため、貿易収支は11カ月連続の黒字となった。

    ・12月の関西国際空港への72万1,677人となり、12月単月で過去最高を記録。2023年通年では652万5,158人となり、コロナ禍前の8割弱(19年比-22.1%)を回復した。

    ・11月のサービス業の活動は悪化傾向が続く。第3次産業活動指数は3カ月連続の前月比低下。また、対面型サービス業指数は2カ月ぶりに同低下した。観光関連指数も飲食店、飲食サービス業や宿泊業が低下に寄与し、3カ月連続の同低下となった。

    【トピックス2】

    ・10月の関西2府8県の延べ宿泊者数は11,417.1千人泊、2019年同月比では+10.1%となった。前月に引き続き外国人宿泊者の増加が延べ宿泊者全体の増加に寄与した。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は7,709.1千人泊、2019年同月比+4.7%と2カ月連続の増加。また、外国人延べ宿泊者数は3,708.0千人泊となり、同+23.1%と3カ月連続で増加した。

    【トピックス3】

    ・2023年10-12月期における訪日外国人消費額(1次速報、全目的ベース)は1兆6,688億円、19年同期比+37.6%と2四半期連続のプラス。23年通年では5兆2,923億円となり、過去最高額を更新した。

    ・2023年10-12月期の1人当たり旅行支出(全目的)は21万201円となった。2019年同期比+28.0%と、4四半期連続のプラス。1人1泊当たり旅行支出でみれば、2万5,493円となり、2019年同期比+30.5%増加した。費目別では、宿泊費、飲食費、交通費、娯楽等サービス費、買物代いずれも増加した。

     

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.128-景気は足下局面変化、先行きは悪化の兆し: 海外経済減速による輸出停滞が景気下押しリスク-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 関 和広 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 新田 洋介 / 宮本 瑛

    ABSTRACT

    ・関西の景気は、足下局面変化、先行きは悪化の兆しがみられる。足下、生産は3カ月ぶりに減産し、一進一退の動きが続く。雇用環境は失業率が2カ月連続の改善だが、求人倍率は横ばい。消費は好調なインバウンド需要の増加もあり百貨店を中心に増加。貿易収支は黒字だが、輸出入とも減少が続いており、貿易活動は停滞しつつある。先行きについては、海外経済減速による輸出停滞の景気下押しリスクもあり、悪化の兆しがみられる。
    ・10月の生産は3カ月ぶりの前月比低下。生産用機械、化学(除.医薬品)、鉄鋼・非鉄金属や電子部品・デバイス等が減産した。10月生産を7-9月平均と比較すれば、小幅低下しており、生産は一進一退の動きが続く。
    ・10月の失業率は前月から改善した一方、労働力人口と就業者数はいずれも減少に転じた。また、就業率も低下した。雇用情勢は一時的な足踏みとなった。なお、足下求職活動の低調と新規求人数の増加から、労働需給の逼迫度合いが幾分強まった。
    ・9月の現金給与総額は22カ月連続の前年比増加となり、伸びは4カ月ぶりに拡大した。一方、実質ベースでは減少が続いているが、減少幅は前月より縮小した。
    ・10月の大型小売店販売額は25カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店はインバウンド需要が高まり、身の回り品と衣料品などの好調で、20カ月連続のプラス。スーパーも13カ月連続で拡大した。
    ・10月の新設住宅着工戸数は3カ月連続の前月比増加だが、2カ月連続で1桁の伸びにとどまった。持家の着工戸数の減少も影響が大きい。
    ・10月の建設工事は前年比増加となった。6月以降伸びは低迷していたが8月に底を打ち、足下の伸びは低いものの2カ月連続で加速した。また、11月の公共工事請負金額は前年比大幅増加だが、前月の大幅減を回復できていない。
    ・11月の景気ウォッチャー現状判断は、好調なインバウンド需要と在阪球団のセールもあり3カ月ぶりの前月比改善。先行き判断は、クリスマス・年末商戦での売上増加への期待が好影響し、4カ月ぶりに改善した。
    ・11月の関西の貿易は輸出入ともに7カ月連続で前年比減少した。輸出は米国向けの停滞が顕著。輸入は前年に高騰していたエネルギー価格が落ち着いた影響で7カ月連続の2桁の減少。結果、貿易収支は10カ月連続の黒字となった。
    ・11月の関空経由の外国人入国者数は66.4万人と2カ月連続で60万人を超えたが、コロナ禍前の水準は幾分下回った。
    ・11月の中国経済は、雇用回復の遅れと不動産市場の不況は依然として改善が見られない。一方、生産と消費は緩やかに持ち直しているものの、ゼロコロナ政策が続いていた前年同月に対する反動の影響もあると思われる。10-12月期の経済成長率は前期より幾分加速するだろう。

     

    【関西経済のトレンド】
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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.127-景気は足下局面変化、先行きは悪化の兆し: 長引く消費者物価高と対中貿易停滞が景気下押しリスク-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 吉田 茂一 / 新田 洋介 / 宮本 瑛

    ABSTRACT

    ・関西の景気は、足下は下方への局面変化、先行きは悪化の兆しがみられる。足下、生産は2 カ月連続の増産だが、緩やかな回復にとどまっている。雇用環境は失業率が3 カ月ぶりに改善したが、求人倍率は低下傾向が続く。消費は在阪球団優勝セールの影響もあり百貨店は好調だが、景況感は物価の高止まりもあり悪化。貿易収支は黒字だが、輸出入ともに減速が続く。先行きについては、消費者物価の高止まりと対中貿易停滞から、悪化の兆しがみられる。

    ・9月の生産は2カ月連続の前月比上昇。電子部品・デバイス、化学(除.医薬品)やプラスチック製品等が増産した。7-9月期は2四半期連続で前期比上昇だが、生産全体は緩やかな回復にとどまっている。

    ・9月の失業者数は前月から横ばい。一方、労働力人口と就業者数はいずれも増加に転じた。7-9月期は失業率が悪化したが、就業者数と労働力人口は減少せず、コロナ禍前の水準を上回っている。雇用情勢は改善を維持している。ただし原材料価格の高騰による影響もあり、足下労働需要の弱さが続く。

    ・8月の現金給与総額は21カ月連続の前年比増加となり、伸びは3カ月連続で縮小した。一方、実質ベースでは減少が続き、減少幅は前月より拡大した。

    ・9月の大型小売店販売額は24 カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店は衣料品と身の回り品などが好調で、またインバウンド需要と在阪球団の優勝セールも寄与し、19カ月連続のプラス。スーパーも12カ月連続で拡大した。

    ・9月の新設住宅着工戸数は2カ月連続の前月比増加。7-9月期を前期と比較すれば2四半期ぶりに増加したが、小幅にとどまった。

    ・9月の建設工事は前年比増加だが、民間工事の減速が影響し前月からわずかな加速にとどまった。また、10月の公共工事請負金額は、前年の大幅増加が影響し2カ月ぶりの減少。

    ・10月の景気ウォッチャー現状判断は、気温高や物価の高止まりが影響し2カ月連続で前月比悪化。先行き判断は、円安進行や原材料価格高騰の影響もあり、3カ月連続の悪化となった。

    ・10月の関西の輸出は6カ月連続の減少。対中や対米など、輸出の停滞が顕著であった。また、輸入は7カ月連続の減少で6カ月連続の2桁減となった。結果、貿易収支は9カ月連続の黒字となった。

    ・10月の関空経由の外国人入国者数は65.6万人と単月で初めてコロナ禍前の水準を上回った。

    ・10月の中国経済は、雇用回復の遅れと不動産市場の不況は依然として改善が見られない。一方、生産と消費は緩やかに持ち直しているものの、ゼロコロナ政策が続いていた前年同月に対する反動による影響もあると思われる。10-12月期の経済成長率は前期より加速するだろう。

    【関西経済のトレンド】
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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.125-景気は足下改善、先行きは足踏みの兆し: 輸出停滞と生産伸び悩みによる景気下押し圧力に注意-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 新田 洋介

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下改善、先行きは足踏みの兆しがみられる。足下、生産は2カ月ぶりの減産となり、低調な動きとなった。雇用環境は失業率が悪化したが、労働力人口と就業者数の増加で、持ち直しの動きを維持している。消費は百貨店を中心に回復しており、景況感はインバウンド需要の増加もあり改善。先行きは海外経済悪化による輸出の停滞と生産の伸び悩みが景気の下押し圧力となっており、足踏みの兆しがみられる。
    ・7月の生産は2カ月ぶりに前月比低下。生産用機械、汎用・業務用機械や化学(除.医薬品)等が減産に寄与しており、生産は低調な動きとなった。
    ・7月の失業率は4カ月ぶりに悪化したが、労働力人口と就業者数はいずれも増加した。雇用情勢は持ち直しの動きを維持している。また、新規求人数と新規求職者数がともに大幅増加し、足下労働需給の動きが活発となっている。
    ・6月の現金給与総額は19カ月連続の前年比増加となり、伸びは前月より縮小した。一方、実質ベースでは減少が続き、減少幅は前月より拡大した。
    ・7月の大型小売店販売額は22カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店は衣料品とその他の商品などが高い伸びを示し、インバウンド需要も堅調。スーパーは10カ月連続で拡大した。
    ・7月の新設住宅着工戸数は2カ月連続で前月比減少。マンションの大幅減少により全体が押し下げられた。
    ・7月の建設工事は前年比増加が続くものの、関西は減速、全国は加速となった。うち公共工事については依然として全国より関西のほうが伸びは高いが、減速が目立つ。また、8月の公共工事請負は、前年比減少に転じた。
    ・8月の景気ウォッチャー現状判断は2カ月連続の前月比改善。インバウンド需要の増加や行動制限のない夏祭り等のイベントの開催が好影響した。一方、先行き判断は円安進行や原油価格高騰への懸念から2カ月ぶりに悪化した。
    ・8月の関西の貿易は輸出入ともに前年比減少だが、どちらも減少幅は前月から縮小となった。輸出は4カ月連続で1桁の減少にとどまる。なお、対中食料品輸出の動向については、p.14【BOX】において分析を行っている。
    ・8月の関空への外国人入国者数はコロナ禍前の9割に迫る水準となり、コロナ禍前をほぼ回復した。
    ・8月の中国経済は、生産と消費はともに増加し、回復ペースは前月より加速した。ただし、住宅販売の不振による影響で耐久財消費の低迷が続いている。長引く雇用情勢の悪化と不動産市場の不況は景気回復の足かせとなっているため、7-9月期の経済成長率は前期より減速する可能性が高い。

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  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:7月レポート No.50

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、7月の訪日外客総数(推計値)は232万600人となり、2カ月連続で200万人を超え、コロナ禍前の8割に迫る水準まで回復。なお、中国人客を除いた総数ではコロナ禍前を回復した。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば5月は189万9,176人。うち、観光客は165万6,118人、商用客は9万5,468人、その他客は14万7,590人であった。

    ・訪日外客の先行きについては、中国人客がどの程度回復するかが気になるところである。中国人客の団体旅行が解禁されたものの、日中関係の変化や中国経済の減速などのリスク要因で回復のペースが緩慢となる可能性がある。今後の課題は、団体旅行解禁による消費単価の低下を避けるとともに、急増するインバウンド需要に対して日本の労働供給制約をいかに解消するかである。

     

    【トピックス1】

    ・関西7月の輸出は3カ月連続の前年比減少。また、輸入は4カ月連続で同減少し、3カ月連続で2桁のマイナスとなった。輸入の減少幅が輸出のそれを大きく上回ったため、貿易収支は6カ月連続の黒字となった。

    ・7月の関西国際空港への60万1,246人となり、コロナ禍前の8割に迫る水準まで回復。

    ・6月のサービス業の活動は前月から悪化したが、持ち直し傾向は維持。第3次産業活動指数、観光関連指数はいずれも3カ月ぶりの前月比低。一方、対面型サービス業指数は2カ月ぶりに同上昇した。

     

    【トピックス2】

    ・5月の関西2府8県の延べ宿泊者数は10,486千人泊。2019年同月比では5カ月連続の減少だが、前月から減少幅は縮小。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は7,818.9千人泊と2カ月連続で2019年同月の水準を下回った。一方、外外国人延べ宿泊者数は2,667千人泊で、2019年同月比-8.6%と減少幅は前月から縮小。日本人延べ宿泊者の回復は停滞した一方で、外国人延べ宿泊者数は回復しているようである。

     

    【トピックス3】

    ・2023年4-6月期の関西の国内旅行消費額は1兆2,052億円であった。2019年同期比-15.7%と3四半期ぶりのマイナス。4-6月期の観光関連指数が示すように、低調な国内旅行消費と指数の動きとは整合的である。うち、宿泊旅行消費額は8,389億円と3四半期ぶりにコロナ禍前を下回った。また、日帰り旅行額は2,109億円となり、19年同期比で減少幅が1-3月期から拡大した。

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  • 野村 亮輔

    中国人客の回復とインバウンド戦略について

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    2023年8月10日に中国政府は日本への団体旅行を解禁した。そのため、23年後半以降、インバウンド需要の加速が期待される。本稿では中国人客の団体旅行解禁が日本及び関西に与える経済的影響を一定の仮定を置き分析した。分析内容を整理し、得られた含意は以下の通りである。

    1.  水際対策が大幅緩和された2022年10月以降訪日外客数は急拡大し、中国人客を除けば23年7月に2019年同月の水準を上回った。この間、回復には3四半期程度を要した。

    2.  中国人客の回復については、2023年8月の団体旅行解禁から3四半期をかけて中国人客が100%回復するCase1を想定。なお、回復パターンについてはこのベースラインに対して中国経済や対日関係の変化の影響をも考慮し、回復が遅れる2つのケースを想定した。

    3.  各Caseに基づいて訪日中国人旅行消費額を推計すれば、2023年度においてCase1では全国で1兆7,631億円、関西で6,044億円となる。Case2では全国で1兆4,926億円、関西で5,114億円。Case3では全国で1兆2,222億円、関西で4,183億円と試算される。

    4.  中国人客の回復は、コロナ禍により鮮明になってきた労働供給制約の課題を一層強く意識させる。このため、生産性向上を目指し、DX推進に向けた投資の一層の拡大が必要となろう。

    5.  今回のケースはこれまでのインバウンド戦略を再考するにあたり重要な教訓となる。団体旅行解禁により、上昇した消費単価を低下させないよう、高付加価値サービスを提供することが一層重要となろう。すなわち、これまでのモノ消費からコト消費への転換を一層推進する仕組みづくり(インバウンド戦略)が必要となろう。

    6.  また、団体旅行客の増加による観光地におけるオーバーツーリズム現象の解消も課題である。観光地への観光客集中を避けるためにも、他地域への周遊促進が一層重要となる。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.65 -緩やかな回復が続くが力強い回復には未だ至らず:米欧中の経済動向に注視が必要-

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    1. 2023年4-6月期の関西経済は、緩やかな回復が続いている。家計部門では一部弱含みとなっているが、総じて緩やかに持ち直している。企業部門では、生産や景況感は底堅く推移しており、設備投資計画も旺盛である。海外部門では、中国経済の停滞が影響し輸出・輸入ともに前年を下回った。インバウンド需要はコロナ禍前の水準をほぼ回復した。先行きは、物価の動向および米欧中の経済動向に注視が必要である。
    2. 家計部門は前期に引き続いて緩やかに持ち直している。センチメント、大型小売店販売は堅調に推移している。ただし物価高に伴う実質所得の減少や節約志向の高まりにより、本格的な回復には至っていない。所得・雇用環境、住宅市場などでは回復に一服感が見られ、弱含みとなっている。
    3. 企業部門は、製造業・非製造業ともに底堅く推移している。製造業は、原材料価格の高騰や海外経済の減速などから弱含みではあるが、緩やかに改善している。非製造業は、経済活動再開やインバウンド需要の回復で、宿泊・飲食など対面型サービスを中心に総じて復調している。また23年度の設備投資計画は製造業・非製造業とも旺盛で、増勢となった前年度からさらなる加速が見込まれている。
    4. 対外部門のうち、財の貿易については輸出・輸入ともに前年を下回った。輸出を地域別に見ると、欧米向けは前年比プラスを維持し堅調であったが、中国向けは低調で2四半期連続のマイナスとなった。インバウンド需要は順調で、関空経由の外国人入国者数や免税売上高はコロナ禍前の水準をほぼ回復した。
    5. 公的部門は前期から引き続き、堅調に推移している。特に4-6月期は前年比で大幅増加となった。
    6. 関西の実質GRP成長率を2023年度+1.6%、24年度+1.4%と予測。21年度以降は1~2%の緩やかな回復基調を維持し、23年度にコロナ禍前(19年度)のGRP水準を回復する。前回予測(5月30日公表)に比べて、23年度は+0.3%ポイントの上方修正、24年度は-0.3%ポイントの下方修正とした。
    7. 成長に対する寄与度を見ると、民間需要は23年度+1.0%ポイント、24年度+1.2%と成長の牽引役となる。また公的需要も23年度・24年度ともに+0.4%ポイントと成長を下支える。域外需要は23年度+0.2%ポイント、24年度-0.1%ポイントと低調に推移する。
    8. 日本経済予測と比較すると、23年度の外需では、足下での中国向け輸出の停滞を反映し、関西では日本経済予測より小幅の寄与にとどまる見通し。24年度は次年度に万博開催を控えていることから公的需要の押し上げが大きく、日本経済を上回る成長となる。
    9. 今号のトピックスでは、「コロナ禍と関西のホテル建設」および「インバウンド戦略と中国人客の回復」を取り上げる。

     

     

    ※説明動画は下記の通り5つのパートに分かれています。

    ①00’00”~02’37”: Executive summary

    ②02’37”~24’43”: 第144回「景気分析と予測」

    <財輸入の減少、サービス輸出の拡大で実質GDPはコロナ禍前のピークを超える>

    ③24’43”~34’38: Kansai Economic Insight Quarterly No.65

    <緩やかな回復が続くが力強い回復には未だ至らず:物価高と米欧中の経済動向に注視が必要>

    ④34’38”~39’20”: トピックス<コロナ禍とホテル建設>

    ⑤39’20”~44’26”: トピックス<インバウンド戦略と中国人客の回復>

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.124-景気は足下改善、先行きは足踏みの兆し: インバウンド需要回復も輸出減速が景気下押しリスク-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 新田 洋介

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下改善、先行きは足踏みの兆しがみられる。足下、生産は3カ月ぶりの増産だが、回復のペースは緩慢。雇用環境は失業率が改善した一方で、求人倍率は悪化しており鈍化がみられる。消費は百貨店売上を中心に好調で、景況感はインバウンド需要の増加もあり改善した。先行きは海外経済悪化による輸出減速が景気下押しリスクとなっており、足踏みの兆しがみられる。
    ・6月の生産は3カ月ぶりの前月比上昇。4-6月期は3四半期ぶりの前期比上昇だが、1-3月期の落ち込みを回復できていない。
    ・6月の失業率は3カ月連続で低下した。4‐6月期は失業率、労働力人口と就業者数はいずれも前期より改善。雇用の回復が進んでいる。ただし、原材料価格の高騰や海外景気の減速による影響もあり、足下新規求人数が減少した。
    ・5月の現金給与総額は18カ月連続の前年比増加となり、伸びは前月より拡大した。春季労使交渉の結果が名目賃金の上昇に反映されているようである。結果、実質ベースでの減少は続いているが、減少幅は前月より縮小した。
    ・6月の大型小売店販売額は21カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店は外出機会の増加で、衣料品と化粧品などが好調。スーパーは9カ月連続で拡大した。
    ・6月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前月比減少。持家、貸家と分譲はいずれも減少した。
    ・6月の建設工事出来高は18カ月連続の前年比増加。伸びは前月から大きく減速したものの、全国に比して関西の伸びが大きい状態が続いている。また、7月の公共工事請負は、前月に続き大幅増加した。
    ・7月の景気ウォッチャー現状判断は3カ月ぶりの前月比改善。インバウンド需要の増加や夏物商材の売上が好調だったこともあり、小売関連が改善した。また、先行き判断も4カ月ぶりに改善した。
    ・7月の関西の貿易は輸出入ともに前年比減少となった。輸出は3カ月連続で1桁の減少にとどまっているが、輸入は3カ月連続で2桁の減少となっている。そのため、貿易収支は前年同月から改善となった。
    ・7月の関空への外国人入国者数は60万人を超え、コロナ禍前の8割に迫る水準まで回復した。
    ・7月の中国経済は、生産と消費はともに回復が続いているが、その勢いが鈍化した。住宅市場の冷え込みが進み、関連産業の需要を下押ししており、景気回復の足かせとなっている。そのため、7-9月期の経済成長率は前期より減速する可能性が高い。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.122-景気は足下改善、先行きは足踏みの兆し: 消費は緩やかな増加も生産と輸出に陰り-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 新田 洋介

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下改善、先行きは足踏みの兆しがみられる。足下、生産は3カ月ぶりの減産となり、回復のペースは依然緩慢。雇用環境、消費は持ち直しているものの、景況感は食料品価格高騰の影響もあり悪化した。消費は緩やかに増加しているものの、欧米を中心とした海外経済減速リスクから生産と輸出の下振れが懸念されており、先行きは足踏みの兆しがみられる。
    ・4月の生産は3カ月ぶりに前月比低下。電気・情報通信機械や汎用・業務用機械等が減産に寄与した。生産の回復ペースは依然緩慢である。
    ・4月は失業率が前月から低下したと同時に、就業率の上昇が見られた。また、有効求人倍率は4カ月ぶりに上昇した。雇用情勢は前月より持ち直した。
    ・3月の現金給与総額は25カ月連続の前年比増加となったが、実質では13カ月連続で減少した。物価上昇が止まらず、実質賃金の低下が続いている。
    ・4月の大型小売店販売額は19カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店は外出機会の増加とマスク着用ルールの緩和もあり、衣料品などの需要が増加し、売上をけん引した。スーパーは7カ月連続の増加となった。
    ・4月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前月比減少。貸家と分譲が大幅に減少した。
    ・4月の建設工事出来高は16カ月連続の前年比増加となった。伸びは3カ月連続で2桁の伸びが続く。うち公共工事は4カ月連続で2桁の伸びとなった。また、5月の公共工事請負をみれば、大学法人や万博に関連する発注が影響し、2カ月ぶりの大幅増加となった。
    ・5月の景気ウォッチャー現状判断は6カ月ぶりの前月比悪化。物価高の影響により小売関連が悪化したようである。また、先行き判断も2カ月連続で悪化。食料品の値上げやコストの価格転嫁などが悪影響した。
    ・5月は輸出入ともに前年比減少となったため、貿易収支は4カ月連続の黒字。輸出は4カ月ぶりに前年比減少に転じたが、輸入の減少幅が大幅に拡大したため黒字を維持した。
    ・5月の関空への外国人入国者数は50万人超の水準となり、インバウンド需要は回復傾向を維持。ただし、依然として中国からの団体旅行が認められていないため、先行き回復のペースは緩やかなものとなろう。
    ・5月の中国経済は、前年のロックダウンに対する反動増が弱まったため、生産と消費の回復は前月より減速した。その上、雇用と所得の改善は緩慢であるため、耐久財や住宅など高額消費支出は低迷している。そのため、4-6月期の経済成長率は前期より小幅加速にとどまろう。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.121-景気は足下改善、先行きも改善を見込む:消費は持ち直しも海外経済減速が下押しリスク-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 新田 洋介

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下改善、先行きも改善を見込む。足下、生産は依然コロナ禍前の水準を下回るが、2カ月連続の増産。雇用環境は持ち直しの動きに一服感がみられるが、消費・景況感は持ち直している。消費の持ち直しから先行きは改善を見込むが、欧米などの海外経済の減速が景気下押しリスクとなろう。
    ・3月の生産は2カ月連続の前月比上昇。電気・情報通信機械や電子部品・デバイス等が増産に寄与した。ただし、1-3月期でみれば、1月の大幅減産が影響し、2四半期連続の低下。また水準は依然コロナ禍前を下回っている。
    ・3月は失業率が前月から上昇したと同時に、就業率の低下が見られた。また、有効求人倍率は3カ月連続、新規求人倍率は2カ月連続でいずれも低下した。1-3月期は雇用環境の回復が一服したとみられる。
    ・2月の現金給与総額は24カ月連続の前年比増加となったが、実質では12カ月連続で減少した。電気・ガス料金の抑制策にもかかわらず依然として消費者物価指数の上昇率は名目賃金の伸びを上回っているためである。
    ・3月の大型小売店販売額は18カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店は外出機会の増加で、衣料品と身の回り品の需要が増え、売上をけん引した。スーパーは6カ月連続の増加となった。
    ・3月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前月比増加した。1-3月期は分譲の寄与もあり、4四半期連続の増加となった。
    ・3月の建設工事出来高は15カ月連続の前年比増加となった。伸びは4カ月ぶりに減速したものの、うち公共工事は2カ月連続で大幅な伸びが続いている。なお、4月の公共工事請負金額は4カ月ぶりの減速となった。
    ・4月の景気ウォッチャー現状判断は5カ月連続の前月比改善。経済社会活動の正常化に加え、インバウンド需要の回復が好影響した。一方、先行き判断は5カ月ぶりに小幅悪化。生活必需品などの値上げが景況感に悪影響した。
    ・4月の貿易収支は3カ月連続の黒字となった。輸出は3カ月連続の前年比増加だが、小幅の伸びにとどまった。一方、輸入は27カ月ぶりに前年比減少に転じたためである。
    ・4月の関空への外国人入国者数は2カ月連続で40万人超の水準となった。先行きについては水際対策の終了で入国者数の回復が続くと見込まれるが、重要なのはこれまで遅れていた中国客の戻りである。
    ・4月の中国経済は、前年実施されたロックダウンに対する反動による影響もあり、生産と消費の回復は加速した。しかし、雇用の持ち直しが緩慢であるため、耐久財や住宅の回復は依然緩やかである。4-6月期は小幅な成長加速が見込まれるが、今後景気回復が持続的になるためには雇用回復が欠かせない。

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