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「東南アジア」の検索結果

  • 後藤 健太

    中所得国の新展開‐東南アジアが主導するグローバル・バリューチェーンの展開

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2017年度 » アジア太平洋地域軸

    RESEARCH LEADER : 
    後藤 健太

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    主席研究員 後藤健太 関西大学教授

     

    研究目的

    2017年度のプロジェクトでは、アジアの中所得国に注目し、こうした国々の企業が統括するグローバル・バリューチェーンがどのように形成され、展開しているのかを明らかにする。これまでグローバル・バリューチェーンといった場合、中所得国企業は先進国企業が統括するバリューチェーンの中で労働集約的な機能を担うことで参加し、高度化の機会を実現するという見方が中心だった。しかし近年、こうした国々でも購買力を持つ中間層が増加し、彼らを対象とした内需とその周辺を含む地域市場向けのビジネスが大きく伸びている。また、地場資源に根付いたバリューチェーンの場合、そうした資源を持つ中所得国の企業が、生産と流通をグローバルなレベルで組織化する事例も見られる。こうした中所得国アジアが生み出す新しいアジアのダイナミズムを前提とした場合、これまでの日本や欧米などの先進国企業が統括するバリューチェーンの分析だけでは、その地域に生まれる新しいビジネスチャンスや高度化の機会の可能性を把握することはできない。

    以上の問題意識から、本プロジェクトではタイとマレーシアといったアジア中所得国の企業が統括するバリューチェーンの展開に注目する。タイに関しては、内需向けのアパレルや農産物加工・食品などといった産業にフォーカスを当てる。そのうえで、現地企業主導型のグローバル・バリューチェーンの実態を明らかにし、それが日本企業にどのようなインプリケーションを持つのかを検討する。。

     

    研究内容

    本研究課題では、タイとマレーシアの各種公式統計などの二次資料を活用しながらも、分析の中心となるデータ・情報は現地企業の調査に依存する。現地調査については、8月にタイで1週間程度、11月にマレーシアで1週間程度で実施予定である。

     

    統括

    猪木武徳  研究統括

    リサーチャー

    小井川広志 関西大学 商学部教授

    夏田  郁 立命館アジア太平洋大学 国際経営学部准教授

    馬場 孝志 APIR調査役

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    研究報告書、ワーキングペーパーは、いずれも当研究所の会員企業をはじめ、関西を中心としたビジネス界が、今後アジア中所得国で国内・地場市場あるいはパーム油関連ビジネスを展開する際の参考資料として使ってもらえる?。

     

    <研究会の活動>

    研究会

    ・2017年4月21日   キックオフミーティング開催

    ・2017年6月2日    分科会開催

    ・2017年8月18~25日 タイ国地元企業現地ヒアリング調査(予定)

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  • 大野 泉

    中小企業の東南アジア進出に関する比較研究

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2014年度 » アジア太平洋地域の経済成長と発展形態

    RESEARCH LEADER : 
    大野 泉

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    主席研究員 大野 泉 政策研究大学院大学教授

     

    研究目的

    中小企業の東南アジア進出に関する実践的研究の成果を体系的にまとめ、総合的な政策提言として公開セミナーと出版を通じた対外発信を行うことを目的とする。

     

    研究内容

    本年度はベトナム、タイ等の受入れ体制の比較分析、日本国内各地の取組やベンチマークすべき東南アジア諸国の取組等について研究を実施する。これまでに大阪・関西及び国内各地域で構築した産学官のネットワークを基盤として、日本型ものづくりのアジア展開に関する戦略と提言について政策インパクトが高い発信をめざす。中小企業の海外展開における好事例を体系的に整理し、関西の支援機関や企業が現在進めている取組の参考になる情報を提供する。さらに中小企業の海外展開を積極的に推進している他国の取組を調べ、関西を含む日本の支援機関にとって参考になる情報を提供する。

     

    リサーチャー

    大野健一 政策研究大学院大学教授

    領家 誠 大阪府商工労働部中小企業支援室参事

    森 純一 前・JICAハノイ工業大学技能育成支援プロジェクト専門家

    関 智宏 阪南大学経営情報学部教授

    長嶌朱美 GRIPS専門職

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    上記をもとに研究成果を出版し、政策担当者・中間支援組織・経済協力機関・企業・研究者等を主対象に幅広く発信することをめざす。

  • 山本 隆三

    東南アジアの 170 兆円のインフラ投資が作り出す大きなビジネスチャンス

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    山本 隆三

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  • 山本 隆三

    東南アジアにおける電力市場の発展と日本企業

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2013年度 » アジア太平洋地域軸

    RESEARCH LEADER : 
    山本 隆三

    ABSTRACT

    研究成果概要

    東南アジアにおける電力市場の発展と日本企業研究会は、2013年度タイの電力需給見通しを調査しました。その目的の一つはタイに進出する日本企業の現地工場に将来も安価で安定的な電力供給が可能かどうかを見極めることにありました。また、タイ国内の電力供給のかなりの部分を、国内の太陽光、バイオガス発電などの再生可能エネルギーが担う一方、隣国ミャンマーとラオスも将来水力、火力発電から供給を行うことになると見られています。既に中国企業が両国では水力発電所建設に乗り出しているが、日本企業も発電設備納入を含め発電所建設に携わるチャンスがあるように思われます。本レポートは、タイに進出する日本企業の方に電力インフラの基本的な問題を理解いただく資料として活用いただけるものと思います。詳細はこちら

    目的

    日本企業は競争力の高い製造拠点を求めて、中国に加え東南アジア諸国に進出している。現地生産には「電力供給」というインフラが欠かせない。さらに現地生産を支える電力供給は生活水準の向上にも欠かせない。生活水準が上がり電力供給が潤沢になると、家電を中心に電気製品の販売も上向くと予想される。 東南アジアの主要国、特にベトナムとフィリピンを中心に今後の電力供給力の増加を調査し、①企業進出を支えるインフラの有無 ②日本企業の発電設備、工事への関与の可能性、を探る。

    内容

    現地調査と現地官公庁、企業からのヒアリングを中心にレポートをまとめ、将来の発電設備導入計画を明らかにする。また、発電設備に加え、地球温暖化問題に関する専門家も加えることにより温暖化問題を考慮した設備導入の見通し、また日本企業との協力による地球温暖化問題への取り組みの可能性も探ることになる。

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ・企業の現地生産検討でのインフラに関するデータとして活用可能

    ・将来の日本製発電設備売り込みの可能性

    ・日本製家電製品売り込みの可能性
    地球温暖化防止事業に関する現地企業との共同取組の可能性

    既にベトナムについては、前年度に調査を終えている。25年度はベトナムと対比できる国を対象にさらに調査を実施し、上述の3点を中心にレポートを作成する。東南アジアで現地生産を検討している企業、発電設備を製造する重電メーカー、ダム工事などに関与可能な建設会社、家電メーカーの現地でのマーケティングの参考になるレポートを想定している。

     

  • 大野 泉

    中小企業の東南アジア進出に関する実践的研究

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2013年度 » アジア太平洋地域軸

    RESEARCH LEADER : 
    大野 泉

    ABSTRACT

    研究成果概要

    本研究は、日本の中小企業が「ものづくり」を東アジア諸国で展開するために相手国および日本側でとるべき施策・体制を検討し、提言を策定することを目的としています。2013 年度は関西及び国内他地域の産業集積地を訪問し、地域の特色を活かした中小企業の海外展開支援の取り組みについて調査しました。また、ベトナムと並んで日系中小企業の関心が高いタイで現地調査を実施し、昨年度焦点をあてたベトナムとの比較分析を行いました。本研究が強調している点は、①日本型ものづくりの将来ビジョンを策定する必要性とその指針の提示、②海外進出支援のめざす方向として、国内ビジネス支援機能と海外展開支援機能、及び現地支援機能を連携させる仕組みをつくる必要性、そして国内の産業集積地における好事例の紹介、③相手国との共創プロセスを通じた進出の促進、その意味で日本の産業政策と産業開発協力を調和化させ、相手国と「ものづくりパートナーシップ」ビジョンを共有する意義、です。研究を進めるにあたっては、実践とネットワーキング、政策的な働きかけを意識して、オープンな研究会の運営や問題意識を共有する組織とのコラボレーション企画に取り組みました。本報告書の分析と提言、及び研究プロセスで構築された知的ネットワークが、関係者の皆様に役立つことを願っています。詳細はこちら

    目的

    日本の中小企業が東アジア諸国で展開するために、日本および投資受入れ国でとるべき具体的施策・体制について提言する。その背景には、近年の事業環境変化によって中小企業の取引が多様なものに変化していることがある。特に現地人材を育成し、パートナー国を戦略的に増やしていくための実効的な施策が重要となる。 研究成果は報告書・セミナー等を通じて政策担当者・支援組織・協力機関・企業・研究者等を主な対象とする。

    内容

    前年度のベトナムを事例とした提言をフォローし成果を発信するとともに、本年度は、日本のものづくりパートナー先行国であるタイに焦点をあてる予定である。これらを通じて、政策インパクトを高めていく。 本研究の特徴は、実践(「Do」)とネットワーキング、政策的働きかけを意識した取組みを行うことにある。

    期待される成果と社会還元のイメージ

    (1)前年に大阪・関西で構築した産学官のネットワークを関西広域および東京を含む他地域にも広げることで、発信力や政策インパクトを高めることができる。

    (2)他地域の中小企業の海外展開の好事例を調べ、関西の支援機関や企業にとって参考になる情報を提供する。

    (3)タイ進出に関心ある中小企業に対し、両国の受入れ体制等について具体的な情報提供ができる。

    (4)本年度の早い時期に、研究報告書を商業出版し、政策担当者・中間支援組織・経済協力機関・企業・研究者等を主対象に幅広く発信することをめざす。

  • 山本 隆三

    東南アジアにおける発電・送電事情と将来計画

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2012年度 » イノベーション

    RESEARCH LEADER : 
    山本 隆三

    ABSTRACT

    リサーチリーダー
    山本 隆三 富士常葉大学教授

    研究成果概要
    アジア諸国の経済は拡大を続けています。1人当たりの電力需要をみると、例えば、ミャンマーは日本の60分の1ですが、ベトナムは6分の1まで拡大しました。今後、さらに需要は伸びます。需要が拡大することにより、日本企業にはビジネスチャンスが生じます。発送電設備の導入、それに伴う工事、家電製品の販売増が見込めます。温暖化問題に対応するための原子力発電、省エネ設備等の導入でも日本の技術力が期待されています。日本政府も二国間の協定を通しこの動きを後押ししています。一方、将来の安定的な電力供給は、日本企業の進出をも左右する大きな要素でもあります。日本企業のビジネスに多くの影響を与えるベトナムの電力問題を現地調査も交えて分析し、結論として、温暖化対策での二国間協力の推進、発電設備売り込みのポイントなどを提言しました。詳細はこちら

    研究目的
    東南アジア各国の電力需要の伸びを調査し、温暖化問題も考慮したうえでの最適な発電設備の組み合わせを研究。さらに再生可能エネルギー導入の可能性、送電網整備も研究。結果として、日本の関連企業のビジネスチャンス形成につなげる。

    研究内容
    ○東南アジア諸国での現地調査
    ○各国の発電設備建設計画の調査と最適な発電設備の導入の検討、送電線網の建設の検討
    ○再生可能エネルギー導入の具体化に向けた調査、有力案件の具体的なプロジェクト推進方策の検討

    メンバー
    秋元圭吾 (RITE(地球環境産業技術研究機構))
    飯沼芳樹 (海外電力調査会)
    上野貴弘 (電力中央研究所)
    竹内純子 (国際環境経済研究所)
    渡里直広 (海外電力調査会)

    期待される研究成果
    ・東南アジア諸国の発電設備の最適化、送電技術の向上、電力供給安定化による国民生活向上・産業・観光振興などへの貢献
    ・日本企業が持つ発送電関連技術移転への貢献

    研究成果
    1月31日に第4回研究会を開催しました。
    10月16日に第3回研究会を開催しました。
    7月10日に第2回研究会を開催しました。
    4月17日に第1回研究会を開催しました。

     

  • 大野 泉

    中小企業の東南アジア進出に関する実践的研究

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2012年度 » アジア太平洋地域軸

    RESEARCH LEADER : 
    大野 泉

    ABSTRACT

    リサーチリーダー
    大野 泉 政策研究大学院大学教授

     

    研究成果概要
    本研究は、日本の中小企業が「ものづくり」を東アジア諸国で展開するために相手国および日本側でとるべき施策・体制を検討し、提言を策定することを目的としています。2012年度は、関西のものづくり中小企業のベトナム進出支援に関わる諸問題に焦点をあてて分析・検討を行いました。そして、ものづくり中小企業が海外進出の際に直面する途上国側と国内の課題を明確にし、政府・地方自治体、国内支援機関、経済協力機関、企業や研究者等の参考に資することを念頭に、日越の支援ネットワークの結合を含む提言をとりまとめました。研究を進めるにあたっては、実践とネットワーキング、政策的な働きかけを意識して、オープンな研究会を運営したり、ベトナムの工業団地に関する情報等、国内支援機関や企業に役立つ具体的情報を提供することに努めました。本報告書の分析と提言、及び研究プロセスで構築された知的ネットワークが、関係者の皆様に役立つことを願っています。 詳細はこちら

     

    研究目的
    わが国の中小企業の「ものづくり」がアジアに展開しつつある。また政府はそれを支援するための体制を構築している。この動きを現場レベルで実践・推進するために、日本および投資受け入れ国でとるべき具体的施策を検討し、提言をとりまとめる。

     

    研究内容
    ○国内での議論と海外調査(ベトナム)を組み合わせて実施
    ・中小企業の海外進出に関する考察
    ・現地工業団地の状況調査、誘致政策等の把握
    ・途上国における人材育成の課題の把握
    ○自治体、経済協力機関へのヒアリング
    ○国・自治体・企業・経済協力機関等のネットワーク構築
    ・近畿経済産業局をはじめとする近畿地域中小企業海外展開支援会議の構成機関等との連携にも努める

     

    メンバー
    大野健一 (政策研究大学院大学)
    森 純一 (JICA専門家)
    前田充浩 (産業技術大学院大学)
    領家 誠 (大阪府商工労働部)
    関係機関・企業・専門家等が参加するオープンな研究会方式

     

    期待される研究成果
    ・日本の中小企業が海外展開の際に直面する途上国側の課題を明確にし、今後の政策、企業の取組みに役立つ具体的な情報の提供
    ・ベトナムの現場の取組みを踏まえ、実効性と政策インパクトのある分析と提言
    ・国内外の知的ネットワークの構築への貢献

     

  • 稲田 義久

    DMOの観光誘客への取組-マネジメントエリア別の分析:滋賀県の事例から-

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 井原 渉 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    本稿では滋賀県にかかわる観光基礎統計を用いて、県の観光戦略に光をあて、観光地域づくり法人(以下、DMO)の活動に注目し抱える課題を分析した。得られた含意は以下のようにまとめられる。

    1. 滋賀県の各DMOにおける、それぞれの特徴や活動状況、マネジメントエリア、観光資源、誘客ターゲット層に対する取り組みを比較した。注目している観光課題に違いがあるものの、その活動内容から県内広域を活動エリアとするDMOと限定された地域(地場)に密着した活動を行うDMOに分けられる。

    2. びわこビジターズビューロー、近江ツーリズムボード、比叡山・びわこDMOは、滋賀県の認知度向上に向けた情報発信や持続可能な観光を実現させるための環境整備など、県内広域にわたり、周遊滞在型観光の活動に注力している。

    3. 近江八幡観光物産協会、長浜観光協会は、その地域ならではの食文化、暮らし体験や地域住民の郷土愛の醸成等、まちづくりを基軸とした地域密着の交流型観光の活動に注力している。

    4. DMOのマネジメントエリア別に宿泊施設数と稼働率の動向をみれば、宿泊施設数は大津市と高島市を除くエリアで微減ないしは横ばいで推移している。稼働率は、大津市では春と夏に上昇する傾向がある。また、近江八幡市、長浜市、米原市、彦根市では春、夏、秋に上昇する。一方、高島市では夏に高まる傾向がある。季節性の平準化が重要となろう。

    5. コロナ禍を経て観光スタイルが変化してきており、琵琶湖を中心に各地域の自然資源や歴史文化遺産をつなぐ宿泊滞在型観光の促進も重要である。上記季節性の平準化の課題を踏まえれば、各地域ならではの観光資源を活かした閑散期の新たなコンテンツの造成が必要であろう。また、県域DMOと地域連携及び地域DMOが連携し、各地域の観光資源を繋ぐことで、観光客の滞在日数を増やすなど、地域間の連携を意識したコンテンツの造成も必要となろう。

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  • 稲田 義久

    DMOのインバウンド誘客の取組とその効果(2) -マーケティング・マネジメントエリアに着目した分析:和歌山県の事例から-

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 古山 健大 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    本稿では和歌山県の主要な観光地域づくり法人(以下、DMO)を取り上げ、『観光客動態調査報告書』や観光庁の『宿泊旅行統計調査』の個票データを基礎統計として用いて、マーケティング・マネジメントエリア(以下、マネジメントエリア)別にインバウンド誘客の取組とその成果を分析する。分析を整理し、得られた含意は以下のようにまとめられる。

     

    1.和歌山県の外国人宿泊者比率をDMOのマネジメントエリア別にみれば、高野町では約5割程度となっている。田辺市熊野ツーリズムビューロー(以下、TKTB)地域では約9%程度となっている。また、白浜町では7~8%台で推移している。

    2.外国人宿泊者を国籍別にみれば、(1)高野町は、欧米豪のシェアが3割強と高く、一方、アジア地域のシェアも1割程度を占めている。(2)TKTB地域では、東アジア地域のシェアが5割程度と高い。しかし、(3)TKTB地域の一部である「熊野古道」ルートに限定すれば、欧米豪のシェアが5割弱に大幅上昇。この背景にはTKTBの欧米豪に対する同ルートへの誘客効果がみられる。(4)白浜町は、東アジアをターゲット層としているため、そのシェアは7割超と高い。一方、欧米豪のシェアは拡大しているが、高野町やTKTB地域と比較すると小さい。

    3.TKTB地域と熊野古道ルートの比較から、同ルートの起点旧田辺市、終点新宮市や那智勝浦町ではアジア地域のシェアが高い。これは白浜町からこれらへの地域へとアジア人が周遊している可能性が高く、一層の地域連携の高まりが周遊性を拡大させる可能性を示唆している。

    4.持続可能な経営の観点からすれば、これまで多くのDMOでは、単価の高い欧米豪へとインバウンドターゲット層をシフトさせてきたが、コロナ禍でこの戦略が変更を迫られている。インバウンド需要が完全に消滅している現在では、回復を見据えこれまでの内外比率を見直すことが喫緊の課題となっている。

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  • 郭 秋薇

    足下の関西・台湾間貿易に基づく台湾のCPTPP加盟による影響の考察

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    郭 秋薇

    ABSTRACT

    2021年9月22日、台湾が環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(以下CPTPP)への加盟申請を行った。台湾は関西にとって中国と米国に次ぐ重要な貿易相手である(ASEANとEUを除く)。本稿は、台湾の加盟が関西の産業に与える影響を考察した。

     

    具体的に、貿易統計のデータを詳細に分析することで、関西・台湾間における貿易の特徴を明らかにするとともに、台湾がCPTPPに加盟した場合、関税撤廃により関西の産業がどのような影響を受けるかを示した。加えて、関西企業のグローバル・サプライチェーン構築に台湾のCPTPP加盟が及ぼす影響について考察した。

     

    分析の結果、台湾がCPTPPに加盟した場合、電子部品・デバイス・電子回路製造業、機械器具製造業、電気機械器具製造業、化学工業、非鉄金属製造業、自転車・同部分品製造業等、関西の主要産業の多くは関税撤廃によって価格競争力が強化されることがわかった。関西の対台湾輸出の主要品目である電子部品・デバイス、電気機器及び機械類において、海峡両岸経済協力枠組協定によって低い関税率が適用されている中国は関西の最大の競争相手となるが、関税撤廃によって関西企業の対台湾輸出が拡大することが期待される。一方、化学工業、プラスチック製品製造業、卑金属製造業等は価格が低下した輸入品の増加による負の影響を受ける。なお、関税削減率を試算したところ、関西が輸出で得られる関税削減率の方が、輸入で台湾に与える関税削減率を上回ることから、加盟は台湾よりも関西に大きな関税削減効果を与える。

     

    また、関西と台湾は主要産業において産業内分業体制が築かれており、台湾がCPTPP加盟国となった場合、完全累積制度の下で原産地規則を満たすことがより容易になるだけでなく、輸出入のコスト削減と貿易手続きの簡素化が可能となろう。加えて、投資と通商に関するルールが共有されることで、台湾と連携したグローバル・サプライチェーンの構築がより容易となる。日台間の産業協力が更に促進されることで、産業の競争力が向上し、互いの利益増加に繋がることが期待される。

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  • 稲田 義久

    DMOのインバウンド誘客の取組とその効果 -マーケティング・マネジメントエリアに着目した分析:京都府の事例から-

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 古山 健大 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    京都府は訪日外客の偏在する京都市とそうでない地域を抱える典型的な自治体である。本稿では観光庁の『宿泊旅行統計調査』の個票データを基礎統計として用いて、その問題の解決を目指す京都府の3つの地域連携DMOと京都市を例にとり、マーケティング・マネジメントエリア別にその取組と成果を分析する。分析を整理し、得られた含意は以下のようにまとめられる。

    1.   府域及び京都市の宿泊施設の推移をみれば、府域においては宿泊施設数や宿泊者の収容人数が増加している地域がみられるものの、京都市の宿泊施設の急増が他エリアを圧倒している。

    2.   京都市やお茶の京都エリアに注目すれば、外国人宿泊者の急増や住宅宿泊事業法が施行されたこともあり、簡易宿所及びタイプ不詳の宿泊施設が急増している。今後は京都市と府域の宿泊施設の需給バランスを意識し、施設の質の向上を担保する政策が課題となろう。

    3.   外国人宿泊者を国籍別にみると、全エリア共通して、中国、香港、台湾等東アジア地域のシェアが高まっている。京都市では他エリアに比して観光消費額の拡大が期待される欧米豪地域のシェアが高く、一定程度占めている。今後は、欧米豪の府域への誘客と宿泊増が課題となろう。

    4.   各DMOが実施した観光プロモーション事業展開は重要である。例えば、海の京都DMOは台湾に向けてのプロモーションに力をいれた結果、同国のシェアが大幅に拡大した。しかし、実効的なプロモーション活動のためにも、KPI等に基づく指標管理が重要となろう。

    5.   これまでのプロモーション活動に加え、京都市から、各府域へも足を伸ばし、利用客が府域を観光したくなる魅力的な仕組みづくりが課題である。その際に留意すべきは、各府域DMOで宿泊を増加させるような仕組みづくりまたはプログラムを開発する必要があろう。

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  • 岩本 武和

    アジアにおける開発金融と金融協力

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2018年度 » アジア太平洋地域軸

    RESEARCH LEADER : 
    岩本 武和

    ABSTRACT

    上席研究員 京都大学教授 岩本 武和

     

    研究目的

    2017年度は、アジアにおける開発金融の実態について、(1)中国からの資本の純流出と外貨準備高減少の問題、(2)マイクロ・ファイナンスやイスラム金融などの新たな金融手法に焦点を当て、ゲストスピーカーを招聘し、足下の実態について考察した。

    中国に関しては、景気回復を企図とした人民元安が資本流出を招き、その対応策としての金融政策の引き締めが当初の景気回復策を打ち消してしまうという典型的な「国際金融のトリレンマ」に直面した状態が継続している。今年度においても、「生産能力の過剰」、「不動産在庫の過剰」及び「債務の過剰」という3つの過剰問題を中心とした中国の資本フローの研究を継続する一方で、2017年に続いてアジアの成長に資する開発金融のあり方に関して、カンボジアを中心とする途上国のドル化の問題や行政経験のある有識者を招聘して金融面からみたアジア経済の主要な課題についての検討を試みたい。

     

    研究内容

    アジアの開発金融(アジアの経済成長に資する投資のために動員される国内外の公的及び民間金融)について、以下のようなテーマを理論的かつ実証的に解明する。

    (1)リーマン・ショック後の中国経済の減速を背景にした「アジアの新興国、特に中国からの資本流出」についての昨年度の研究を継続する。

    (2)東南アジアの金融メカニズムの実態(カンボジアにおける基軸通貨のドル化)調査を実施。

    (3)東南アジアの国際機関の勤務経験を有する専門家を招聘し、金融面からみたアジア経済の主要な課題の検討を実施。

    (4)アジアインフラ投資銀行(AIIB)とインフラ開発及びアジアにおける金融システム改革や  銀行部門の資金調達等に関して、中国・ASEAN数カ国に現地調査を行う予定である。

    以下のようなテーマ、研究会、ワークショップ、フォーラムを行う予定である。

    (1)「東南アジアの金融メカニズムの実態」に関する研究会

    (2)「金融面からみたアジア経済の主要な課題を考える」ワークショップ

    (3)「ASEAN+3の枠組みによる金融協力の成果と今後の課題」に関する研究会

    (4)「人民元改革とアジアの金融統合」に関する研究会(3年間の研究成果のまとめ))

     

    統括

    本多佑三  APIR研究統括

    リサーチャー

    三重野文晴 京都大学 東南アジア研究所教授

    矢野 剛 京都大学 大学院経済学研究科教授

    青木浩治 甲南大学 経済学部教授

    中山健悟 APIR調査役・研究員

    リサーチアシスタント

    芦 苑雪 京都大学アジアアフリカ地域研究科

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    (1)中国における国際資本フローに関する報告(時系列などの金融市場データを含む)

    (2)『アジアにおける開発金融と金融協力』に関する報告書

    (3)本研究会の研究成果を踏まえた書籍の出版

    そのほか、政策立案、ビジネス戦略策定、将来予測の裏付けとなる理論的・実証的裏付け、公共財や研究インフラとなる研究成果やデータに資する。

     

    <研究会の活動>

    研究会

    ・2018年8月8日   第1回研究会開催

    「カンボジアのドル化:アジア開発金融への示唆」講師:一橋大学大学院 奥田英信 教授

  • 岩本 武和

    アジアにおける開発金融と金融協力

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2017年度 » アジア太平洋地域軸

    RESEARCH LEADER : 
    岩本 武和

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    上席研究員 京都大学教授 岩本 武和

     

    研究目的

    2016年度のプロジェクトでは、「アジア新興国における国際資金フロー」について、特に「中国からの資本の純流出と外貨準備の減少」に焦点を当て、「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)と「一帯一路」構想を、こうした文脈において考察した。現在の中国では、景気回復のための元安が資本流出を招き、それに対応するためには金融を引き締めざるを得ず、当初の景気回復策を打ち消してしまうという意味で、典型的なトリレンマに直面している。今年度においても、中国を中心としたアジアにおける国際資本フローの研究を継続する一方で、中国のみならず広く「金融協力」という側面から、アジアの成長に資する開発金融のあり方を検討する。

     

    研究内容

    アジアの開発金融(アジアの経済成長に資する投資のために動員される国内及び海外の公的及び民間の金融)について、以下のようなテーマを理論的かつ実証的に解明する。第一に、リーマン・ショック後の中国経済の減速を背景にした「アジアの新興国、特に中国からの資本流出」についての昨年度の研究を継続する。第二に、ASEAN+3の枠組みによる金融協力の成果を検証し、今後の課題を展望する。(3)アジアインフラ投資銀行(AIIB)とインフラ開発、およびアジアにおける金融システム改革や銀行部門の資金調達等に関して、中国およびASEAN数カ国に現地調査を行う予定である。

    具体的には、以下のようなテーマを取り上げ、以下のような研究会、ワークショップ、フォーラムを行う予定である。(1)「東南アジアの金融メカニズムと政策的取り組み」に関する研究会、(2)「リーマン・ショック後の中国の国際資本フロー」に関するワークショップ、(3)「ASEAN+3の枠組みによる金融協力の成果と今後の課題」に関する研究会、(4)「アジア太平洋における地域統合と金融統合」に関するフォーラム(「アジア太平洋地域におけるFTAとEPAのあり方」プロジェクト(木村福成上席研究員)とのジョイント・フォーラム)

     

    統括

    猪木武徳  研究統括

    リサーチャー

    三重野文晴 京都大学 東南アジア研究所教授

    矢野 剛 京都大学 大学院経済学研究科准教授

    青木浩治 甲南大学 経済学部教授

    Cao, Thi Khanh Nguyet APIR研究員

    辻 俊晴 APIR総括調査役

    研究協力者

    北野尚宏 国際協力機構 JICA研究所所長

    高野久紀 京都大学 大学院経済学研究科准教授

    伊藤亜聖 東京大学 社会科学研究所講師

    リサーチアシスタント

    芦 苑雪 京都大学アジアアフリカ地域研究科

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    (1)中国における国際資本フローに関する時系列データ

    (2)アジアにおけるよる金融協力の成果に関する報告

    (3)アジアのインフラ開発に時系列データ

    (4)マイクロ・ファイナンスに関する実験データ

    (5)アジアにおける開発金融と金融協力に関する報告書

    (1)政策立案、ビジネス戦略策定、将来予測の裏付けとなる理論的・実証的裏付け

    (2)公共財や研究インフラとなる研究成果やデータ

     

    <研究会の活動>

    研究会

    ・2017年5月18日   第1回研究会開催

    ・2017年8月3日   第2回オープン研究会(予定)

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  • 岩本 武和

    アジアの成長に資する開発金融

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2016年度 » アジア太平洋地域の経済的ダイナミズムと今後の行方

    RESEARCH LEADER : 
    岩本 武和

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    上席研究員 京都大学教授 岩本 武和

    研究目的

    2015年における新興国(主要30カ国)への資本流入は、対前年比で半減し、新興国から海外への資本流出も減少するが、ネットでは5,400億ドルの流出超過となる見通しである(IIF)。流出超は1988年以来27年ぶりである。中国経済の減速を背景に、国別では中国が4,775億㌦と過去最大の流出超過、アジアでは韓国743億㌦、マレーシア334億㌦、タイ216億㌦と続いている。新興国の外貨準備高は、過去15年間で11倍に増え、1997年の通貨危機のようなリスクは低いものの、海外からの資金を引き付け、それを原資として工業品の輸出で稼ぐ成長モデルは転換点を迎えている。こうした現状を背景に、本研究では、アジアにおける新しい成長モデルと開発金融のあり方を提示する。

    研究内容

    アジアの開発金融(アジアの成長・開発目的に資する投資のために動員される国内及び海外の公的及び民間の金融)について、以下のようなテーマを理論的かつ実証的に解明する。(1)アジア通貨危機、世界金融危機、中国経済の減速を画期として、「アジアの開発金融」がどのような影響を受けたか、(2)その課題をどのように克服しながら現在に至っているか、(3)「海外からの資金流入・海外への工業品輸出」に代わる将来のアジアの成長・開発モデルはどのようなものか。また、アジアインフラ投資銀行とインフラ開発、およびアジアにおける金融システム改革や銀行部門の資金調達等に関して、中国およびタイに現地調査を行う予定である。

    具体的には以下のようなテーマを取り上げ、各テーマについて1-2名のリサーチャーが担当。研究者のみならず、官民の現場で開発金融に携わっている実務家を招聘し、研究会やセミナーを開催する予定である。(1)アジア太平洋の資金フローの変化(主として研究者)、(2)東南アジアの銀行部門(アジアの民間銀行の在日支店、JBIC審査部)、(3)アジアのインフラ開発とアジアインフラ投資銀行(AIIB)の役割(JICA、中国関係の実務家)、(4)アジアにおける国際協力とABMI(アジア債券市場育成イニシアティブ)の現状(財務省、JBIC)、(5)マイクロ・ファイナンス(主として研究者)、(6)人民元改革とアジアの金融統合。

    統括

    林 敏彦 研究統括

    リサーチャー
    三重野文晴 京都大学 東南アジア研究所教授
    矢野 剛 京都大学 大学院経済学研究科准教授
    青木浩治 甲南大学 経済学部教授
    北野尚宏 国際協力機構 JICA研究所所長

    研究協力者
    高野久紀 京都大学 大学院経済学研究科准教授
    榊 茂樹 野村アセットマネジメント 運用調査本部チーフ・ストラテジスト

    リサーチアシスタント
    芦 苑雪 京都大学アジアアフリカ地域研究科

    期待される成果と社会還元のイメージ

    アジアにおける資本フローのパネルデータ(時系列とクロスセクションを統合したデータ)。アジアの民間企業・銀行部門の資金調達に関するパネルデータ。アジアのインフラ開発に関する州・県レベルのパネルデータ。マイクロ・ファイナンスに関する実験データ。マイクロ・ファイナンスに関する実験データ。アジアにおける新しい成長モデルと開発金融のあり方に関する報告書。
    政策立案、ビジネス戦略策定、将来予測の裏付けとなる理論的・実証的裏付け。公共財や研究インフラとなる研究成果やデータ。

    <研究会の活動>

    研究会
    ・2016年6月20日   第1回研究会開催  プレゼン資料はこちら
    ・2016年8月1日  第2回研究会開催?  プレゼン資料はこちら
    ・2016年10月17日  第3回研究会開催
    ・2016年11月21日  第4回研究会開催
    ・2017年2月13日  第5回研究会開催

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  • 後藤 健太

    中所得国の新展開

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2016年度 » アジア太平洋地域の経済的ダイナミズムと今後の行方

    RESEARCH LEADER : 
    後藤 健太

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    主席研究員 後藤健太 関西大学教授

     

    研究目的

    戦後の目覚ましい経済成長を通じ、アジアは世界経済の中で着実に存在感を高め、20世紀の終わりには「世界の工場」としてその地位を確立した。しかし21世紀に入ってからのアジアの隆盛を顧みたとき、今日のアジアが世界の工業製品のサプライヤーとしての立場から、消費と投資の側面を中心に、より重要なアクターへと変貌する萌芽的局面に差し掛かっているかのように見える。すでに所得水準で日本を越えてしまったシンガポールについて、そのポジションがアジアはもとより世界の中でも重要となった点はこれまでも言及されてきたことではあるが、中国をはじめマレーシア、タイ、インドネシアやベトナムなどといった「中所得国」がアジアで次々と台頭したことで、アジア域内の経済・ビジネス関係のあり方も一気に多極化・多様化した。こうした変化は、日本経済と企業にとって重要な意味を持つと思われる。つまり、これまで日本が一定のリーダーシップを発揮しながらアジアの国々と関わることで域内の発展を形作ることができた時代から、こうした「中所得国」の出現により、アジア域内でのこれまでのキャッチアップ型の序列、あるいは階層に準じた発展パターンに従わない、多様な発展ダイナミズムが起こりつつあることを示しているのではないだろうか。

    こうしたアジア観を前に、ますます深化する日本経済とアジアとの関係の多極化・多様化に注目し、まずはその現状を関西企業の立場から整理して理解することを試みる。その際、アジアの中でもダイナミックな展開を見せる、上述の「中所得国」に焦点を当てる。また、本研究案件ではさらに関西・アジア中所得国の双方にとってwin-winとなるような発展の可能性を、企業の戦略的な視点およびそれらを取り巻く制度的・環境的な視点から考察する。

     

    研究内容

    まずはアウトバウンド・インバウンドの双方で、現在どのような関係が日本経済・関西企業とアジア中所得国との間で展開しているのかを広くレビュー・分析し、可能であれば何らかの基準・方法で類型化する。

    具体的な研究方法としてはマクロレベルのデータの活用や先行研究の整理も必要に応じて実施するが、特に現在関西でアジアとの関わりを持っている企業や、これから持とうとする企業などへの個別インタビュー調査やフォーカス・グループ・ディスカッションなどを通じて、現場レベルの情報を汲み上げることで課題や可能性を考察する予定である。

    調査対象としては、関西在住の企業を中心とするが、場合によっては東南アジアへの出張調査もありうる(第1回目の研究会で検討予定)。

    東南アジアをはじめ、世界の中所得国についてはこれまで「中所得の罠」といったようなネガティブな観点からとらえたものが多かったが、本研究ではこれらの国々の展開可能性を日本(関西)経済との関係の中でポジティブにとらえなおしてみたい

     

    統括

    林 敏彦 APIR研究統括

    リサーチャー

    小井川広志 関西大学 商学部教授)

    夏田 郁 立命館アジア太平洋大学 国際経営学部准教授)

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    関西経済と中所得国東南アジアとの間で、アウトバウンド・インバウンドの双方でどのような関係が展開しているのかを広くレビュー・分析し、可能であれば何らかの基準・方法で類型化した概説的なレポートの作成を目指す。

    今後の東南アジアとのビジネス関係の構築の際の参考資料となるようにする。

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  • 大野 泉

    共創型の海外展開支援ネットワーキング

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2015年度 » アジア太平洋地域の制度インフラとリスク分析

    RESEARCH LEADER : 
    大野 泉

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    上席研究員 大野 泉 政策研究大学院大学教授

     

    研究目的

    地域に根ざした企業の海外展開(地域の産業技術、シニア人材・研修生・留学生等の人材等の活用)、及び相手国との共創プロセスを通じた海外展開に取組んでいる事例を集め紹介する。またセミナー開催や訪問を行い国内各地域・自治体とネットワーク構築を強化する。

    研究内容

    国内での調査、研究会・公開セミナー、海外調査を組み合わせて、以下の研究と発信活動を行う。

    リサーチャー

    継続的な研究会活動は行わず、有識者を交えての単発のフォーラム・意見交換会として行うため、リサーチャーは設定しない。

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    (1) 研究成果(町工場からアジアのグローバル企業へ~中小企業の海外進出戦略と支援策)

    の発信。

    (2) ILO、進出企業等との交流チャンネルの促進

  • 岩壷 健太郎

    邦銀のアジア展開と国際競争力

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2013年度 » イノベーション

    RESEARCH LEADER : 
    岩壷 健太郎

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    岩壷 健太郎 神戸大学経済学研究科・経済学部教授

    研究成果概要

    近年、中堅・中小企業の積極的な東南アジア進出に対応して、地域銀行(地方銀行及び第二地方銀行)や信用金庫の海外進出が盛んになっています。その現状と課題について、東南アジア、特にタイとシンガポールを中心に調査・研究を実施しました。預金・融資業務が許されていない地域銀行はタイの地場銀行と積極的に提携していますが、現在のところ、スタンドバイ融資やクロスボーダー融資は親子ローンほど魅力的ではありません。進出企業による現地通貨建て資金需要が増える中、これらの融資をどうやって増やしていくかが課題となっています。一方、各国に支店や現地法人を開設して包括的な業務を行っているメガバンクはリテールや地場企業向けの取引拡大を目指して、東南アジアの地場銀行に対して買収・資本参加を本格化させています。GSIFI(グローバルに重要な金融機関)になるためには企業風土・企業文化・人材の面で企業を大幅に変革させていくことが不可欠になっています。詳細はこちら

    目的

    企業と同様、日本の金融機関も成長著しいアジア地域への進出が本格化しようとしている。チャイナプラスワンが進む中、昨年実施した中国地域への邦銀の海外進出に関わる調査研究に引き続き、本年度は東南アジア地域での邦銀の進出や、企業進出を支援する資金調達の実態を把握する。これにより、課題やチャンスを調査研究し、アジア地域への邦銀および日本企業の進出に資する施策として発信する。

    内容

    下記の調査・分析を行う。

    1)タイ・シンガポールでの銀行、日系企業の調査

    2)アジア地域への進出で先進する地銀(山口、中国、横浜、名古屋等)へのヒアリング

    3)その他必要に応じて、企業・政府機関などへのヒアリングや、研究会への有識者の招へい等。

    昨年の東南アジア調査で得た課題等を勘案して本年度調査を行い、より具体的な実態把握と分析を行う。

    メンバー

    砂川 伸幸  神戸大学経営学研究科・経営学部教授

    猪口 真大  京都産業大学経営学部准教授

    梶谷 懐   神戸大学経済学研究科・経済学部准教授

    地主 敏樹  神戸大学経済学研究科・経済学部教授

    唐  成   桃山学院大学経済学部教授

    播磨谷 浩三 立命館大学経営学部教授

    三重野 文晴 京都大学東南アジア研究所准教授

    期待される成果と社会還元のイメージ

    メガ銀については国際競争力の現状を明らかにするとともに、更なる競争力向上に向けた課題と提言の実施、地銀については海外展開進展のための提言を行う。企業に対しては、特に中小企業に対し、従前から日本国内において取引のある地銀の海外進出の加速が、中小企業の海外進出支援につながる事を通じての支援を想定する。 これらは邦銀および海外進出企業の海外展開戦略立案、 行政の海外進出支援策に資する。

     

  • 地主 敏樹

    日本の金融機関の構造変化とアジア経済

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2012年度 » イノベーション

    RESEARCH LEADER : 
    地主 敏樹

    ABSTRACT

    リサーチリーダー
    地主 敏樹 神戸大学教授

    研究成果概要
    海外進出が中堅・中小企業にまで浸透し、メガバンクのみならず地方銀行も対応を迫られています。その現状と課題について、今年度は最大進出先である中国を中心に調査・研究を実施しました。その結果、中国進出企業の金融面での主要な障害は対外借入を抑制する「投注差」規制などであり、それら資本規制は人民元取扱の制限と相まって、邦銀にとっても大問題であることが判明しました。進出邦銀は支店網の制約からリテール預金に頼れないので預貸比率規制に左右されますが、利鞘は規制で守られています。ただ、そのような規制は突然に変更されるので、政策方針を察知することが重要です。海外進出への制約が経営上大きな負担となる地銀は中国リスクへ敏感とならざるを得ませんが、メガバンクは規制の緩和もにらんで中国での次のビジネスを模索中です。詳細はこちら

    研究目的
    邦銀の海外再展開や地銀による進出企業への総合的サービスのありかたや効果、進出する邦銀・企業の地元関西における金融構造の変化を分析。

    研究内容
    ○中国・東南アジアなど企業進出先の現地調査(邦銀等ヒアリング)
    ○関西における調査・ヒアリング
    ○関西の金融機関のデータ収集・分析
    ○大証・東証及び顧客企業の調査・ヒアリング

    メンバー
    猪口真大 (京都産業大学)
    三重野文晴(京都大学)
    梶谷 懐 (神戸大学)
    岩壷健太郎(神戸大学)
    金京拓司 (神戸大学)
    砂川伸幸 (神戸大学)
    播磨谷浩三(立命館大学)
    唐 成 (桃山学院大学)
    劉 亜静 (神戸大学大学院生)

    期待される研究成果
    ・関経連はじめ経済界への公表、フィードバックの受入れ
    ・アカデミックな研究論文の作成