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「関西経済白書」の検索結果

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    2011年版関西経済白書「つながる関西パワーで新たな日本へ」(2011年9月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2011年度

    ABSTRACT

    財団法人関西社会経済研究所はこの度、「2011年版 関西経済白書?つながる関西パワーで新たな日本へ」を発行しました。

    2011年版白書は、3部構成になっており、第Ⅰ部は「日本経済、関西経済の見通しと課題」と題し、日本及び関西経済を解析するとともに、東日本大震災からの復興に向けての関西の役割を述べています。
    第Ⅱ部は、「新たな社会へ関西産業の力」と題し、関西発展のための「民」の方向性として、関西の設備投資と医療産業に焦点を当てて分析しています。
    第Ⅲ部では、「自治体改革先進地域・関西」と題し、関西発展のための「官」のありかたを、自治体運営と地域成長政策の2つの側面から分析、記述しています。

    ●第Ⅰ部 日本経済、関西経済の見通しと課題
    第1章 日本経済の動きと関西経済?復興における関西経済の役割?
    第2章 日本及び関西経済が抱える構造的課題から
    特集1 民主党政権の税制改革

    ●第Ⅱ部 新たな社会へ関西産業の力
    第3章 新たなグローバル時代への企業投資
    第4章 医療先進地域・関西を目指して
    特集2 KANSAIグリーン・イノベーション

    ●第Ⅱ部自治体改革先進地域・関西
    第5章 関西自治体運営のゆくえ
    第6章 関西成長に向けた地域デザイン
    資料編 データでみる関西

    2011年9月7日発売
    定価2,500円(税込み)

    政府刊行物センター及び関西の大手書店(旭屋書店、紀伊国屋書店、ジュンク堂書店など)で発売。

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    2010年版関西経済白書「関西らしさの繁栄に向けて」(2010年9月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2010年度

    ABSTRACT

    財団法人関西社会経済研究所はこの度、「2010年版 関西経済白書?関西らしさの繁栄に向けて?」を発行しました。
    2010年版白書は、2部構成になっており、第Ⅰ部は「金融危機からの脱出と関西発展の可能性」と題し、当面の関西経済を予測するとともに、第2章で、関西の発展基盤となる自治体の企業誘致策について立地魅力を分析しています。

    第Ⅱ部は、「関西発展戦略」と題し、激動する世界経済の中で関西が生き残り、発展するためのソリューションビジネスとして、第3章で住宅投資、第4章で環 境ビジネスを取り上げ関西の特徴および可能性を論じています。さらに、第5章では、発展の基盤となる自治体財政の健全性と生産性を検証し、持続的な自治体 運営における広域連携の重要性を説いています。

    ●第Ⅰ部 金融危機からの脱出と関西発展の可能性
    第1章 景気回復途上の世界経済と日本経済
    ・激動する世界経済と各国の今後の政策対応を概観し、日本が直面する基本問題を整理する。
    ・世界経済動向を踏まえ、2010年度及び2011年度の日本経済を予測する。

    特集 民主党の経済政策
    ・2009-2010年のトピックスとして、歴史的な政権交代を成し遂げた民主党の政策を検証する。
    ・菅政権の財政運営戦略の意図を説明、さらに子ども手当の家計収支や家計行動への影響を分析する。

    第2章 関西経済飛躍の可能性
    ・関西経済の現況と2011年度の見通しを推計するとともに、工業生産から府県別の金融危機からの回復度合いを分析する。
    ・関西経済の成長エンジンとして輸出と投資に焦点を当て、その構造を分析する。
    ・関西の投資を促し経済成長を高める自治体の企業誘致施策に焦点を当て、アンケート、ヒアリングにより現状を分析し、課題を明らかにして、各府県の地域資源を有効に活用するための自治体広域連携の必要性を論じる。
    ・世界の経済軸が欧米から新興国に移る中で、関西産業の発展のための戦略として「ソリューションビジネス」を提案する。白書はその典型として、①高齢化時 代のライフスタイルをデザインする「住宅産業」と②低炭素社会の企業活動をソリューションする「環境ビジネス」をⅡ部で取り上げる。

    ●第Ⅱ部 関西発展戦略?持続的発展をめざして?
    第3章 関西の投資 住宅投資の現状と促進に向けて
    ・なぜ関西の住宅投資が低迷しているのか?原因として関西の住宅ストックの質に注目し、空き家率が高く、公営住宅が多い構造を分析、住宅メーカーや関連産業が集積しているというポテンシャルを活かして「住宅先進地域」となるための方策を提言する。

    第4章 環境先進地域・関西の実像と可能性
    ・関西は本当に環境先進地域か?関西の環境ビジネスのポテンシャルをマップで整理するとともに、初めての試みとして関西の市場(生産)規模を推計する。環 境ビジネス全体では経済規模と同等のシェアだが、リチウムイオン電池など有望分野では優位性があることを確認。今後の発展へ向けての課題と方向性を検討す る。

    第5章 関西の自治体?戦略的対応?
    ・関西の自治体はサステイナブルか?地方財政の持続可能性がより問われる中で、健全性と生産性を自治体別に評価し、関西発展の基盤となる自治体財政の現状と課題を分析する。
    ・自治体財政の再生は、地域の再生と自治体経営によってこそ実現する。中長期サステイナブルな関西を目指して戦略的な自治体経営のあり方、広域連合の課題、その先にある道州制の意義を論じる。

    2010年9月15日発売
    定価2,500円(税込み)

    政府刊行物センター及び関西の大手書店(旭屋書店、紀伊国屋書店、ジュンク堂書店など31店舗)で発売。

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    2009年版関西経済白書「関西新時代への可能性」(2009年9月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2009年度

    ABSTRACT

    財団法人 関西社会経済研究所

    財団法人関西社会経済研究所(会長 下妻博、所長 本間正明)はこの度、「2009年版 関西経済白書?関西新時代の可能性?」を発行しました。2009年版白書では、先ず、金融危機の構造的要因に迫るとともに、世界同時不況下での日本経済、 関西経済の動向、並びに至近の見通しを示すことに努めました。その上で関西が自らの手で新時代へと向かうために①新時代の成長戦略の要となる「グリーン・ グロース(緑の経済成長戦略)」、②独自の高度な技術を有する中小企業、③地域の生活と産業を支えるインフラ環境整備を担う公的部門の姿、の3つのポイン トに注目し、編集しました。

    概要

    第1章 金融危機・世界同時不況と日本 
    米国発金融危機が発生した構造とその影響を解説しています。金融危機の背景として、重層的に仕組み債が組成され、リスク分散により高リスク商品への投資が 膨らんだこと、BIS規制の対象外である投資ファンドや投資銀行が「シャドー・バンク」としてレバレッジ(他人資本で利益をあげる)を高め信用バブルを発 生させたことなどをあげています。結果バブル崩壊により、分散していたリスクの大量同時破産に見舞われ、それが世界同時不況につながりました。

    第2章 日本経済・関西経済の危機と回復のゆくえ
    日本経済がまさに「フリーフォール」となった要因として外需依存経済を明らかにし、関西経済への影響、さらに回復へ向けてのシミュレーションをしていま す。また関西の府県別の構造分析も試みており、関西の02年?06年度の経済成長のうち、大部分が京都、大阪、兵庫の寄与(関西全体5.66%成長のうち 3府県の寄与は4.97%(約9割弱))にあることを視覚的に明らかにし、中でも大阪府の寄与が約4割弱となり、大阪府経済の動向が関西経済全体の浮沈に 大きく影響することがわかりました。

    第3章 関西復権のチャンス
    関西が自らの手で新時代へと向かうために注目される動きとして、新たな産業集積としての「パネル・ベイ」から「グリーン・ベイ」、技術力ある関西の中小企業、そして産業を支えるインフラ投資について最近の動向を示しています。

    第4章 関西発のグリーン・グロース?緑の経済成長戦略?
    「脱化石エネルギー」にむけての産業革命を「負担」ではなく「新たなビジネスチャンス」と捉え、発想の転換と新技術で経済成長をねらう「グリーン・グロー ス(緑の経済成長)戦略」を取り上げています。中でも新エネルギー産業(太陽光発電、風力発電、水力発電)、電気自動車産業、サービサイジング事業、再利 用事業(再資源化事業)などの有望産業について、現状と関西におけるポテンシャルを示しています。特に関西では太陽電池で国内の8割を生産しているほか、 電気自動車に使用されるリチウムイオン電池についても大きなポテンシャルを有しています。また関西では小型風車やマイクロ水力発電などユニークな発想と既 存の技術力を応用した中小ベンチャー企業の動きも注目されています。

    第5章 関西中小企業の実像?その強みと弱み?
    関西の中小企業をできるかぎり定量的に分析し、強み弱みを整理しています。関東や中部と比較して製造業の付加価値における中小企業比率が61.2%と最も 高いこと、また下請け比率が60.1%と最も低いこと、さらに部品から産業用最終製品、食品・生活用品まで多様な製造業がバランスよく存在していることな どから、関西中小企業の「独自性」「独立性」「多様性」を強みとして整理しています。一方、企業間信用が発達していることで、関西の中小企業は運転資金が 大きく資金繰りが厳しい状況にあり、売上に対する借入金や金融費用の比率も高く、財務体質が脆弱であることなどを弱みとして整理しています。

    第6章 関西自治体の行政改革への取組
    国の財政からの自立が求められる今日では、自治体も効率的な財政運営が求められます。本章では、自治体の経常収支から財政運営の健全性を、また労働コストから、生産性を分析しています。

    [ ご参考 ]
    *「2009年版 関西経済白書 発表会・シンポジウム」を開催いたしました(9/9)。

    大手書店で発売中。定価1,500円(税込み)。

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    2008年版関西経済白書「グローバル化に向けた関西の胎動」(2008年9月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2008年度

    ABSTRACT

    財団法人 関西社会経済研究所

    財団法人 関西社会経済研究所(会長 下妻博、所長 本間正明)は、この度「2008年版関西経済白書 グローバル化に向けた関西の胎動」を発行しました。本年の白書はグローバル化という大きな環境変化の 中で、関西が国内外から企業や人を惹き付ける魅力ある地域となるためには、地域の活力の基盤ともいえる産業の再生を図っていく必要があるとの認識を基本に 編集しております。本白書が、関西経済理解のための必読文献となることを目指し、今後とも内容の一層の充実に努めてまいります。

    <構 成>
    [本編]
    第1章 日本経済・関西経済への視点
    第2章 2007年度の動きと2008?09年度の見通し
    第3章 関西の注目産業とその課題
    第4章 企業立地と関西産業発展の方向性
    第5章 関西自治体の財政危機とその課題
    第6章 関西年表
    [資料編 I ]
    1. データでみる関西
    2. 関西年表
    [資料編 II ]
    1. シフトシェア分析からみた関西の産業構造の特徴
    2. 関西のプロジェクトの動向
    3. 関西の主要研究拠点の動向と課題
    4. 水都ジェントリフィケーション??柔らかな都市再生への転換に向けて
    [ 概 要 ]
    下記PDFよりご確認ください。
    [ ご参考 ]
    *「2008年版 関西経済白書 報告会・シンポジウム「グローバル化に向けた関西の胎動」を開催いたしました(9/3)。

    大手書店で発売中。定価1,500円(税込み)。

    PDF
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    2007年版関西経済白書「関西 その現況と次なる課題」

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2007年度

    ABSTRACT

    [ 概 要 ]
    6月1日に、2007年版『関西経済白書』の報告会を実施しました。当研究所では、1994年度より毎年発行していた『関西活性化白書』を今年度 より『関西経済白書』と改称し、関西経済の動向、並びに直面している課題についての分析・提言を拡充しています。本白書が、関西経済理解のための必読文献 となることを目指し、今後とも内容の一層の充実に努めてまいります。

    <構 成>
    第1章 関西経済の現況と見通し
    第2章 経済復活への課題と新たな挑戦
    第3章 改革を求められる関西の自治体
    第4章 関西のプロジェクトの動向
    第5章 グラフで見る関西
    第6章 関西年表

    以下では、報告会当日に行われた当研究所所長の本間正明による講演要旨、並びに次の3つの章(第2章、第3章、第4章)の概要について説明する(詳細資料は別紙参照)。

    * 講演「関西経済の新たな挑戦」(要旨) 関西社会経済研究所所長 本間正明
    6月1日白書報告会のおける講演要旨。
    * 第2章 経済復活への課題と新たな挑戦
    本年の特集テーマとして、バブル崩壊後の長期低迷からようやく抜け出した関西経済の軌跡を振り返り、人口減少と高齢化という大きな環境変化の中で新たに取り組むべき課題を分析している。
    * 第3章「改革を求められる関西の自治体」
    当研究所が2006年度に行った自治体に関する研究成果のエッセンスをまとめたもので、関西経済の復活のためには、公共部門の改革は不可欠のテーマであるとの基本認識に基づいている。
    * 第4章「関西のプロジェクトの動向」  1987年から毎年実施している調査。昨年の関西のプロジェクトの動きと内容を分析している。

  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表の利活用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 高林 喜久生 大阪経済法科大学経済学部教授

     

    研究の背景

    関西2府8県+1地域を対象地域とする唯一無二の地域間産業連関表である。当プロジェクトでは様々な事象による経済社会活動に対する影響について産業連関表を用いて府県別・産業部門別に推計してきている。今後関西においては大阪・関西万博をはじめとするイベント、さらにIRを機に新たな産業が予想され、産業連関表を用いた様々な経済分析が重要である。

     

    研究内容

    ・奈良県DATA取得後に正式版関西地域間産業連関表の作成:奈良県のDATAの差し替えを行い再度統合作業とバランス調整を行う

    ・昨年度算出した大阪・関西万博の経済波及効果の再算出:万博アクションプランVer3を反映し、さらに正式版関西地域間産業連関表完成後に再度試算する。

    ・分析結果を関西経済白書、APIRの各種レポートへの掲載、マスコミ取材時、セミナー等における経済波及効果試算のPR

     

    <研究体制>

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    高林 喜久生 APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授

    リサーチャー

    下田 充   日本アプライドリサーチ研究所主任研究員
    下山 朗   大阪経済大学経済学部教授
    入江 啓彰  近畿大学短期大学部商経科教授

    期待される成果と社会貢献のイメージ

    成果物である2015年表は、2011年表と同様、経済部門の一部をAPIRのホームページ上で発表する。また、分析成果は景気討論会や環太平洋産業連関分析学会やセミナー等で報告することを予定している。

    地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行う上での重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。

  • 稲田 義久

    拡張万博の経済波及効果:UPDATE

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 下山 朗 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    2022年関西経済白書の第6章3節において、拡張万博の経済効果について2015年関西地域間産業連関表(暫定版)を用いて分析した。本稿では、消費単価と日帰り客の新たな想定に基づき、大阪・関西万博の経済効果を再推計した。本試算は3つのケース(基準ケース、拡張万博ケース1、拡張万博ケース2)に分けて分析を行った。得られた分析結果と含意は以下のようである。

     

    1. 経済効果を生産誘発額でみれば、基準ケースでは2兆3,759億円、拡張万博ケース1では2兆7,875億円、拡張万博ケース2では2兆8,818億円と試算された。拡張万博の効果を考慮した場合、経済効果は約4千~5千億円程度の上振れが見込まれる。
    2. 拡張万博の経済効果は基準ケースに比べて、大阪府以外の地域ではかなり大きくなる。生産誘発額の地域別シェアをみれば、大阪府のシェアが基準ケースの74.5%から、拡張万博ケース2では62.4%まで低下する。すなわち、拡張万博の展開に伴う延泊と日帰り客の増加により、大阪府以外の地域での経済効果が相対的にも高まることになる。
    3. 関西広域にわたって拡張万博に類する様々な取り組みが広がり、観光客にとって魅力的なコンテンツ、滞在型消費を促すようなインセンティブが高まれば、本試算を上回る経済効果が期待できる。
    4. 大阪・関西万博に代表される大規模なイベントの経済効果は、特定の地域や特定の時期に留まるのではなく、関西広域で中長期的な取り組みがなされていくことが求められる。大阪・関西万博をひとつの「呼び水」として、関西経済の成長に繋げていくことが重要である。

    PDF
  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表2015年表の作成と利活用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2022年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 高林 喜久生 大阪経済法科大学経済学部教授

     

    研究目的

    これまで、本プロジェクトでは、COVID-19が経済社会活動にもたらした影響について、産業連関表を用いた分析を行ってきた。2020年度は,COVID-19感染拡大が関西のスポーツ関連産業に与えた生産減少額を「負の経済波及効果」として府県別・産業部門別に推計した。また、2021年度は,観光庁「旅行・観光サテライト勘定(TSA)」に基づき、独自の観光産業の分析を行うとともに、観光消費額減少が地域経済にもたらす経済波及効果や、観光関連消費回復のための需要喚起策として行われた「Go Toトラベル事業」の効果についても分析を行った。2021年度の研究成果は『アジア太平洋と関西―2021年関西経済白書』の「Chapter6 関西と観光産業:産業連関表を用いた分析」にまとめられている。

    また、APIRでは前身の関西社会経済研究所の時代から、関西における地域間産業連関表の作成や利活用に関する研究に継続して取り組んでいる。2021年度は2020年度に実施した基礎調査(関西居住者や関西への来訪者を対象に、消費費目や金額、消費場所などについて尋ねたWEBアンケート調査)の結果をまとめ、関西経済白書に掲載するとともに、2015年の関西地域間産業連関表(以下、2015年表)作成のために、統合中分類(107部門)をベースに統合・調整を行うなどの基礎作業を実施した。それを受けて、2022年度は,2015年表の完成を目指すとともに、その利活用を行う。

     

    研究内容

    1)「2015年 APIR関西地域間産業連関表」の作成
    2021年度、地域間表の作成に必要な関西2府8県(福井県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県)の「2015年地域産業連関表」をほぼ全て入手し、入手した府県については産業分類の統合・調整を行い、産業中分類(107部門)をベースに2015年表の作成作業を行った。2022年度はこの作業を継続するとともに、未公表の県については暫定版をAPIRで推計し、それを用いて地域間表の統合作業を行う(暫定版の作成)。その後、当該府県より2015年の産業連関表が公表され次第、差し替え・再度統合作業・バランス調整を行う(確定版の作成)という二段階の作業を行う(※1)。
    また、作業過程において必要な移出入等に関する情報について、APIRマクロ経済研究プロジェクト等のネットワークを活用して府県の統計担当者へのヒアリングを行う(※2)。
    (※1)本項を執筆している5月23日時点で、対象府県のうち、奈良県のみ未公表である。
    (※2)これまでに関係が深い大阪府、兵庫県、和歌山県などを予定している。
    2)「2025年大阪・関西万博 」の経済波及効果の分析
    足下で入手できる最新の情報に基づき、「2025年大阪・関西万博」の経済波及効果の推計を行う。
    なお、2025年大阪・関西万博の経済効果は2019年の関西経済白書で試算を行っているが、コロナ禍による訪日外国人の激減,予算額の変更等が報道されていることを受け、来場者数や訪日外国人の人数、工事費等について再検討を行う。必要な情報については、APIR所内の万博検討チームや万博関連プロジェクトとも連携して、効率的な把握に努める。
    3)インフラ整備の経済効果に関する勉強会
    2021年度に引き続き、「2025年大阪・関西万博」に関連した取り組みを行っている組織や、広域的な交通ネットワーク整備や今後備えるべき災害への対応など,関西で問題となっているインフラ課題について専門家を招聘し、勉強会を行う。
    2022年度は、事業整備を通じた生活の質向上や時間短縮による生産性向上といった「ストック効果」に着目するとともに、産業連関表やマクロ計量モデルを用いてどのように分析を行うかといった手法面についても議論を行う。年2回程度実施を検討している。
    4)対外的な成果報告
    メンバーは各々の立場で分析結果を報告することを通じて、積極的な対外発信に努める。。

     

    <研究体制>

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    高林 喜久生 APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授

    リサーチャー

    下田 充   日本アプライドリサーチ研究所主任研究員
    下山 朗   大阪経済大学経済学部教授
    入江 啓彰  近畿大学短期大学部教授
    藤原 幸則  APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授
    木下 祐輔  大阪商業大学経済学部専任講師

     

    期待される成果と社会貢献のイメージ

    成果物である2015年表は、2011年表と同様、部門を集約した上でAPIRのホームページ上で発表を行う。また、分析成果は景気討論会や学会や外部の研究会で報告することを予定している。
    地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行ううえでの重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。

  • 前田 正子

    関西における女性就業率の拡大に向けた提言

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2016年度 » 人口減少下における関西の成長戦略

    RESEARCH LEADER : 
    前田 正子

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    主席研究員 前田正子 甲南大学教授

     

    研究目的

    関西では、滋賀県と京都府以外の府県で女性の就業率が全国平均より低く、奈良県・大阪府・兵庫県でワースト3を占めている。関西の女性の就業率が全国平均まで高まれば、就業者数約25万人増加し、関西のGRPは約1.5兆円(約1.8%)増加すると、2014年の関西経済白書で分析した。さらに、アベノミクスの成長戦略では、「女性活躍推進」が目標として掲げられている。

    しかし2015年度の本研究会での分析によると、関西は保守的な意識が強く、女性の就業率が全国的に見ても低い一方で、未婚率が高く出生率も低い状況にある。関西から企業の流出とともに正規雇用の場が失われており、大卒女性は関西から流出し、主に首都圏に移動している。さらに、新卒時に正規の職に就けなかった女性は、著しく就業意欲が低く、支援策が講じにくい状況にある。他方で、一度でも正規就労したものの結婚・出産でやむなく離職した女性たちは就業意欲も能力も高い傾向にあり、支援のターゲットとして効果的である。女性の置かれている状況を丁寧に把握し、それぞれに対応する支援策や対策を講じることが必要だと指摘しており、こうした昨年度の分析と提案を深掘りし、地域ごとの状況・意識の違いを分析し、地域別・状況別にみた効果的な対応策を検討する。

     

    研究内容

    意識調査:インタビュー調査を、関西内の複数県の女性を対象に行い、地域ごとの違いを比較するとともに、必要な支援策について深掘りする。

    データ分析:国勢調査の詳細集計や就業構造基本調査を用い、配偶状態・就業状態などについて分析する。

    大阪府(都市部、若年無業女性が多い)、奈良県(周辺部、既婚無業女性が多い)、滋賀県(女性就業率は高いが管理職比率が低い)を取り出して分析することで、日本全体で応用することができる。状況別に課題と対応策を整理し、読者が自分の地域・会社に当てはまるところから取組みを考えることができる。

     

    リサーチャー

    長町理恵子 日本経済研究センター 大阪支所主任研究員

     

    オブザーバー

    藤原由美 大阪府 商工労働部女性の就業推進チーム課長補佐

    佐野由美 21世紀職業財団 関西事務所長

    梅村その子 関西経済連合会 労働政策部ダイバーシティ担当部長

    九後順子 阪急電鉄株式会社 経営企画部課長

    高木和彦 滋賀県 商工観光労働部女性活躍推進課課長補佐

    夏原二朗 奈良県 健康福祉部こども・女性局女性活躍推進課課長補佐

    幡 恵子 奈良県 健康福祉部こども・女性局女性活躍推進係係長

    期待される成果と社会還元のイメージ

    提案を含む報告書をまとめ、HPで公開し、成果報告会を行い、広く発信する。対応策は、昨年度の関西の女性の分類に基づき、地域ごとの課題や意識とクロスさせて提案する。各読者はそれぞれ、表の分類により自社や各自の地域で当てはまるところを見て、それぞれの取組に活かす。

    各自治体の政策立案、各企業・団体での女性活躍推進のための計画・目標策定や女性活躍推進の必要性の理解(男性も含めて)、教育機関でのキャリア教育やインターンシップ、就活指導などの際の参考となる。特に、関西での女性の長期就業に関する意識形成や、人手不足の企業と意欲ある女性のマッチング促進に資する。

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  • 岡野 光洋

    関西経済が抱える長期的課題とは?―新しいタイプの「関西経済モデル」の探求から ―

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    岡野 光洋 / 井田 大輔

    ABSTRACT

    アジア太平洋研究所『2014年版 関西経済白書 ―KANSAI発のイノベーションとは何か―』(以下、関西経済白書)では、関西経済が長期低迷に陥っていることを指摘し、その要因分析と打開策の検討を中心に議論を展開してきました。関西経済をマクロの視点から、さらに長期的な視点で眺めたとき、国内の他地域経済とはどのような違いがあるのでしょうか。もちろん様々な要因を考えることができますが、本稿では特に、「民間企業設備(以下、設備投資)」「民間住宅投資(以下、住宅投資)」「全要素生産性」の3つに注目します 。

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  • 稲田 義久

    日本及び関西経済の短期予測

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2014年度 » 関西の成長戦略

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    研究統括 稲田義久

     

    研究目的

    定点観測として関西経済の月次変化を捉え、アジアの中の関西を意識した経済分析月次レポートの作成。また四半期毎にマクロ計量モデルを用いた日本経済の景気の現状分析と予測を行う。それと連動し関西経済の短期見通しを改訂発表する。本プロジェクトは、日米超短期経済予測(リサーチリーダー、熊坂侑三)の成果を短期予測に反映させており、より精度の高い予測と分析を目指している。また関西独自景気指標開発をさらに継続して実施する。

    研究内容

    月次分析レポート(『関西経済月次分析』)はAPIR研究員を中心に作成されており、レポートの準備作成は同時にエコノミストを育てるトレーニングの場ともなっている。四半期レポート(『景気分析と予測』、『関西エコノミックインサイト』)では、日本経済・関西経済の四半期要約とともに、タイムリーなトピックスを取り上げ、経済政策や各種イベントの経済的影響を分析する。これらの成果はHP上でリアルタイムに発表され、またコメンタリー、トレンドウォッチ、関西経済白書などに反映される。また平成25年度より開始した関西2府4県のGDPの早期推計を日経DMとの共同プロジェクトで全国展開する。

    リサーチャー

    下田 充 日本アプライドリサーチ研究所 主任研究員

    入江啓彰 近畿大学短期大学部講師

    小川 亮 大阪市立大学経済学部 専任講師

    岡野光洋 APIR研究員

    林 万平 APIR研究員

    木下祐輔 APIR研究員

    期待される成果と社会還元のイメージ

    関西各府県の足下GDP速報値や、アベノミクスや東京オリンピック招致等影響分析のタイムリーな提供は、企業や自治体の関係者の経営・政策判断に資する。

  • 熊坂 侑三

    今月のエコノミスト・ビュー(2011年11月)

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    企業誘致を考える
    ?パナソニック尼崎工場の生産計画撤回を受けて

    先ごろ、パナソニックのプラズマパネル尼崎工場の生産計画の撤回が発表され、多方面で大きな衝撃を持って受け止められた。このパナソニックの決断は、企業誘致について多くのことを考えさせるものであった。
    第1に、企業の意思決定は極めて早くてドラスティックであることである。今回の件では、企業にとってはスピードが命であることを改めて思い知らされた。生産計画の中止や工場の処分は大きな損失を伴うが判断を少しでも遅らせればより巨額の損失が予想されたからである。
    第2に、プラズマパネルの最新鋭工場である第3工場の生産中止とともに、太陽電池の生産計画の撤回も明らかにされたことに関してである。プラズマパネル については、これほど早い撤退は予想できなかったとはいえ、近い将来、後続選手へのバトンタッチが必要と見られていた。新産業として有望視されていた電池 生産の撤退の方が長期的な影響は深刻といえるかもしれない。製造業拠点としての大阪湾岸も「パネルベイからバッテリーベイへ」と期待されていたのに黄色信 号がともったのだ。
    第3に、自治体や地域経済も経済のグローバル化の影響をストレートに受けることをあらためて示したことである。今回のパナソニックの決断の背景には、円 高や中国メーカーとの競争激化によるパネル価格の下落で事業採算が悪化したこと、太陽電池の最大市場である欧州各国が財政危機で補助金による普及策を縮小 したことの影響があった。いまや自治体の財政や地域経済は否応なしに世界経済の動向と直接にリンクしているのだ。
    今後、自治体や地域は企業誘致政策とどのように向かい合っていけばよいのだろうか。まず、確認しておきたいことは、雇用や需要を生む企業誘致が有力な地 域活性化策であることに変わりはないことである。しかし、今回の件は、撤退等の場合に備えての自治体側のリスク管理も重要であることを示した。
    企業誘致の自治体間競争も限界に来ている。他の自治体も同様の誘致策で対抗し、とくに補助金などのインセンティブ政策では大きな差がつかないからだ。パ ナソニック尼崎工場の誘致においても県・市挙げてのワンストップサービス(窓口の一元化)の実施が決め手になったと思う。自治体に企業誘致に関するアン ケートをとると最大の課題は他の自治体との競争が激しいということが突出している(下図)。
    グローバル化の波を特定の自治体・地域で受け止めることには限界がある。企業誘致も今までのように個別自治体ベースではなく、関西広域で対応すべきとい える。関西広域で戦略を練り、個別自治体の利害を調整する。関西全体として国内や海外の他地域と競争する。その方が自治体同士の過当な競争も減るし、リス クにもふところ深く対応できると考えるのだ。

    注)関西社会経済研究所が関西2府4県4政令市に対して実施した「企業誘致方針 と具体的な企業誘致関連事業に関するウエブアンケート調査」(2010年5月)に基づき、自治体の「生産拠点及び研究開発拠点の誘致を含む事業(37事 業)」ついて、事業推進に当たっての課題についての回答結果をとりまとめたもの。
    出所)2010年版「関西経済白書」p.116
    [高林喜久生 マクロ経済分析プロジェクト主査 関西学院大学]

    日本
    10-12月期日本経済は一時的な踊り場へ

    11月14日発表のGDP1次速報値によれば、7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+6.0%となった。4期ぶりのプラス成長となり、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト11月調査:前期比年率5.82%)とほぼ同じ結果となった。
    超短期モデルの(支出サイドモデルと主成分分析モデル)の最終週(11月8日)における平均成長率予測は同+5.9%であり市場コンセンサスとほぼ同じ であった。うち、支出サイドモデル予測は同+6.0%、一方、主成分分析モデル予測は同+5.9%。重視している支出サイドモデルの予測値は実績と同じピ ンポイントの結果となった。
    超短期モデルの予測動態を見れば、7-9月期の基礎月次データが発表されない7月初旬の段階では+2%台半ばを予測していたが、7月のデータが更新され る8月の初旬には5%台の高成長を予測した。7-8月のデータが出そろう9月初旬には6%近くの高成長を予測し、以降安定的に高成長を予測した。
    7-9月期の実質GDP成長率を最も引き上げたのは純輸出であった。純輸出の寄与度(年率ベース)は+1.7%ポイントと5期ぶりのプラスとなった。一 方、内需の寄与度も+4.2%ポイントと2期連続のプラス。特に、民需である民間最終消費支出、民間住宅、民間企業設備、民間在庫品増減がいずれも成長に 貢献した。
    11月15日の(支出サイドモデルによる)予測では、7-9月期GDP1次速報値と一部の10月データが更新されている。10-12月期の実質GDP成 長率は、内需は小幅縮小するが、純輸出は引き続き拡大するため前期比+0.2%、同年率+0.9%と予測する。日本経済は7-9月期の高成長から一時的な 踊り場へと局面を移すことになろう。2012年1-3月期の実質GDP成長率は、純輸出は横ばいとなるが内需が小幅拡大するため、前期比+0.6%、同年 率+2.5%と予測する。この結果、2011暦年の実質GDP成長率は-0.2%と小幅のマイナス成長にとどまろう。また2011年度は+0.5%と予測 する。
    10-12月期の国内需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比+0.2%へと減速する。実質民間住宅は同+2.1%増加、実質民間企業設備は同 -1.3%減少する。実質政府最終消費支出は同+0.6%、実質公的固定資本形成は同+0.6%となる。このため、国内需要の実質GDP成長率(前期 比+0.2%)に対する寄与度は-0.1%ポイントとマイナスの寄与となる。
    一方、財貨・サービスの実質輸出は同+1.7%と減速し、実質輸入は同-0.8%減少する。このため、実質純輸出の実質GDP成長率に対する寄与度は+0.4%ポイントと引き続き景気を押し上げる。
    以上のように超短期予測は10-12月期を一時的な踊り場局面と見るが、この見方を修正する2つのリスクが考えられる。欧州債務問題と第3次補正の執行の遅れである。

    [稲田義久 KISER所長・マクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]
    米国

    未だ悲観的なメッセージを送り続けるバーナンキ連銀議長

    グラフに見るように、景気は10月はじめから回復をしており、11月11日の超短期予測では今期(10-12月期)の実質GDP伸び率が+3.1%にま で達していることが示されている。その他の実質アグリゲート指標(総需要、国内需要、最終需要)も同じように10月はじめから上昇トレンドにあり、それら の成長率はいずれも2%?3%の範囲となっている。インフレ、デフレへの懸念は全くなく、ヘッドラインインフレ、コアインフレも1%?2%の範囲にある。 米国経済は堅調な回復を示している。
    しかし、バーナンキFRB議長は未だ悲観的なメッセージを市場・人々に送り、異常なゼロ金利政策の維持、更なる量的金融緩和の正当性を求めようとしてい る。11月10日のテキサス郊外の米軍基地におけるタウンホールミーティングでバーナンキFRB議長は次のように言っている。「FRBは失業率を引き下げ ることに専念する。欧州財政危機がグローバルな経済ショックになる可能性がある」、また「多くの人々が今のリセッションが永久に終わらないと感じているこ とを私は知っている」と。バーナンキFRB議長は今の失業の多くが彼の言うような循環的なものではなく構造的なものであることを認めるべきである。実際に 求人数の水準は今ではリセッション前の水準にまで戻っているが、求人と職を求める人々の間でのミスマッチが非常に多い。
    FRB議長に求められているのはマスメディアのような欧州財政危機のグローバル危機への発展予測・懸念ではなく、米国がそれを避けるために何をしている か、また欧州危機の米国経済への影響をどのように最小にすべきかの話である。バーナンキ議長自ら、今のリセッションが永久に続くと言う感覚を示せば、彼は いままで何をしてきたのだろうかと市場・人々は思う。市場がFRBへの信頼性を失うことは間違いない。政策当局者にとって大事なことはリセッションや金融 危機を予測することではなく、それらを避け、経済を望ましい状況にもっていくことである。その為には、正確に経済動向を分析し、できるだけポジティブな メッセージを市場・人々に送ることである。実際、米経済の回復は堅調になっているが、FRBはこれを見逃している。経済政策当局者は”Pessimism Never solves any problem”と言うことを忘れてはならない。

    [ 熊坂有三 ITエコノミー]

  • 熊坂 侑三

    今月のエコノミスト・ビュー(2011年7月)

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    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    地域のことは地域が責任と権限を持つ「地域主権」を確実なものとするため、国においては地域主権戦略会議が設置(平成21年11月)され、明治以来 の中央集権体質から脱却し、新たな役割分担に向けて、検討が進められてきている。こうした中、関西の自治体が全国に先駆けて立ち上がり、平成22年12月 に府県レベルでは全国初の組織「関西広域連合」が誕生した。関西広域連合は、関西全体の広域行政を担う責任主体を確立し、地域の自己決定、自己責任を貫け る分権型社会を実現することを目指しており、当然、産業振興面においても、新たな広域産業行政の主体となるものである。
    関西広域連合では、23年度末に向けて関西産業ビジョンの策定が進められている。これまでの産業施策では、広域施策は経済産業局等が担当し、各自治 体はそれぞれの施策を独自に推進するという形をとってきた。その結果、各自治体の政策はほぼ均質的であり、いわば、金太郎飴のような状況となっている。各 自治体のポテンシャルを最大限生かすという明瞭な政策体系にはなっていないのである。
    そのような状況下、今なぜ広域連合を推進しなければならないのか。この背景には、この20年日本の所得(名目GDP、すなわち各産業の付加価値の合 計)が減少してきているという厳然たる事実がある。結論を言えば、日本はこの間付加価値を高めるビジネスモデルの創出に失敗してきたのである。ITグロー バル下の「要素価格均等化」に抗するビジネスモデルの導入とそれを促す政策が着実に実現されてこなかったことが原因といえよう。もう一つの原因として、 マーケットの縮小に対して適切な対応ができていなかったことも挙げられる。以上は日本全体の競争力低下の原因として指摘したが、この問題は関西にもそのま ま当てはまる。
    経済活動は自治体の枠を超えて、関西地域、全国、アジア、世界へと広がっている。今後確実に進展する人口の大幅減少や激化する国際的な地域間競争下 において、関西産業の国際競争力を強化していくためには、関西広域連合は構成府県間のみならず、国や他の自治体、産学との協力と創造による “シナジー(相乗)効果”を発揮し、関西が国内外から認知される広域経済圏(メガ・リージョン)を形成していくことが不可欠と考えられる。自治体間でパイ を奪い合うのではなく、地域全体でパイを大きくしてこそ関西発展につながるのである。産学をはじめとした関係機関とも適切な役割分担と密接な連携を行い、 文字通り「オール関西」により、目指す将来像の実現に向けて取り組んでいかなければならない。
    なおグローバルな地域間競争下での関西経済発展に向けた政策を論じる際のキーワードは、(1)ブランド化、(2)海外所得の取り込み、(3)人材の 育成・活用、(4)広域連携の推進である。この点については、2011年度版『関西経済白書』第6章において展開している(9月発刊予定)。
    注:関西広域連合は、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、徳島県の7府県により構成されるが、「産業振興」事務については、鳥取県を除く6府県が参加する(平成23年7月現在)。

    日本
    <4-6月期経済はマイナス成長だが4月には底を脱する>

    今回(7月18日)の予測では、一部の6月データとほとんどの5月データが更新されている。予測結果は、サプライチェーンの混乱が想定を上回るス ピードで改善していることを示唆している。今月の支出サイドモデルは、4-6月期の実質GDP成長率を、内需はほぼ横ばい、純輸出は大幅に縮小するため前 期比-1.1%、同年率-4.1%と予測する。先月(6月20日)の予測(-7.8%)から3.7%ポイントの上方修正となっている。先月の予測は、4月の実績と5-6月の時系列モデルの予測からなるものであったが、今回の予測は、4-5月の実績と6月の予測から推計されている。したがって、上方修正は5月の実績と予測の差から来ており、足元の回復のスピードは予想を大幅に上回るペースで推移していることがわかる。ま たグラフ(予測動態)からわかるように、ほぼすべての4月のデータが更新された6月の半ばの予測は景気がすでに底を打っていることを示している。すなわ ち、4月に景気は底を脱し上昇のモメンタムがついてきたことを示唆している。今後の注目点は、6月データの回復スピードである。特に、依然成長にマイナス の寄与度となっている純輸出の動向が気になる。21日に発表される6月の貿易統計の結果は要注意である。
    先行き7-9月期の実質GDP成長率は、内需は拡大し純輸出のマイナス寄与度幅が縮小するため、前期比+0.5%、同年率+1.8%と予測する。先月の予測から小幅の上方修正にとどまっている。
    4-6月期の民間需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比-0.6%となる。実質民間住宅は同-4.1%減少し、実質民間企業設備は同+0.6%増加 する。一方公的需要では、実質政府最終消費支出は同+0.6%、実質公的固定資本形成は同-4.3%となる。このため、国内需要の実質GDP成長率(前期 比-1.1%)に対する寄与度は+0.1%ポイントとほぼ横ばいである。
    財貨・サービスの実質輸出は同-5.6%減少し、実質輸入は同+2.5%増加する。この結果、実質純輸出の実質GDP成長率に対する貢献度は-1.2%ポイントとなる。
    主成分分析モデルは、4-6月期の実質GDP成長率を前期比年率-4.4%と予測している。また7-9月期を同+1.4%とみている。この結果、支出サイ ド・主成分分析モデルの実質GDP平均成長率(前期比年率)は、4-6月期が-4.3%、7-9月期が+1.6%となる。

    [[稲田義久 KISER所長 マクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]]

    米国
    <4-6月期の成長率は1.0%?1.5%?景気回復のペースは更に弱まっている>

    前月のこのコラムで述べたように、支出・所得サイドから予測された実質GDP成長率の乖離は5月の輸出入を更新することで収束し始めた。超短期予測 と大きく異なり、5月の輸出が前月比-0.6%と下落した一方、輸入は同+2.6%と大きく伸びた。その結果、純輸出が大幅に下方修正され、支出(需要) サイドからの4-6月期の実質GDP成長率(前期比年率)は7月12日の予測では前週の2.65%から1.0%にまで大きく下方修正された(グラフ参 照)。一方、所得サイドからの実質GDP伸び率はGDP価格デフレーターが下方に修正されたことから前週の0.99%から1.15%へと上方修正された。 グラフは7月13日(6月の輸出入価格、連邦政府支出)、14日(5月の企業在庫、6月の小売販売、生産者物価指数)、15日(6月の消費者物価指数、鉱 工業生産指数)の日々の超短期予測の結果を示している(超短期予測は通常は週次ベースで予測を行っているが、今回は日次ベースで行った)。このグラフか ら、4-6月期の実質GDP伸び率は1.0%?1.5%と予測予想できる。この予測値は、市場のコンセンサスより幾分低い。超短期予測からみると、米経済 の回復力は1-3月期よりも4-6月期において、より弱まったといえる。
    これに対してバーナンキFRB議長は景気の見方を7月13日の議会証言で次のように述べている。

    - 経済は今もってソフトリカバリーを続けている。
    - ここ数ヵ月経済はモメンタムを失っている。
    - 経済成長に関して注意深くなるのは理解できる。
    - 景気回復のペースは7-9月期以降速まるだろう。
    - 我々は経済がどこに行こうとしているのか分からない。
    FRBとしては、景気回復のペースが4-6月期に入り前期より更に弱くなっているが、かといってバランスシートは拡大しレバレッジ比率がリーマン ショック時のベアースターンズより悪い50を超えていれば、簡単にQE3の導入を明言することもできない。FRBは経済成長率が3%を超えた時に出口戦略 を始め、政策金利をこれまでに0.5%?1.0%程度上げておけば、今の時点で0.5%の政策金利の引き下げができた。高い失業率に余りにもこだわり、出 口戦略を遅らせてきたことの付けが今に回っている。そのため、経済がどこに行こうとしているか分からないといいながら、7-9月期以降に景気回復のペース が速まるだろうと言わざるをえない。個人消費支出の伸び率(4-6月期)が前期比1.0%程度にまで落ちてきた今、7-9月期になって景気回復のペースが 速まるというのもおかしな話である。

    [[熊坂有三 ITエコノミー]]

  • -

    関西のプロジェクト動向調査

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2002年度

    ABSTRACT

    「関西のプロジェクト動向調査」は、関西の産業活性化推進への基礎資料として、当研究所において、1989年以来約21年にわたり継続実施している調査であり、関西(福井県を含む2府5県)のプロジェクトを一覧できる資料として各方面から高い評価を受けている。
    ここでいう「プロジェクト」の対象は、敷地面積1ha以上、総事業費が判明している場合には10億円以上の地域開発事業である。新聞、雑誌などの文献調 査を基にプロジェクトを抽出し、動向を把握するとともに、その内容や進捗状況を把握するためヒアリングやアンケート調査を行う。
    2009年の調査結果は、2010年6月7日に大阪経済記者クラブにて公表、「2010年版関西経済白書」の資料編に掲載した。

    担当: 関西活性化チーム