研究成果

research

経済予測 : Quarterly Report(日本)

日本と米国の景気の現況と先行きについて、週間・月間ごとに予測します。特に日本と関西については、四半期ごとに景気分析と予測を行っています。

  • 稲田 義久

    第89回 景気分析と予測(2011年11月22日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 山本 周吾 / 村上 一真 / 岡野 光洋

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、
    直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。

    ポイントは以下の通り。

    *7-9月期GDP1次速報値を織り込み、2011年度実質GDP成長率を+0.4%、2012年度を+2.5%、新たに2013年度を+1.1% と予測。2011年度は前回から0.5%ポイント下方に、2012年度は0.7%ポイント上方に、それぞれ修正した。前回予測より景気回復のパターンが後 ずれしているのは、足下の景気回復の鈍化と第3次補正予算執行パターン見直しを反映したためである。

    *実質民間需要の寄与度は2011年度に+0.4%ポイント、2012年度は+1.5%ポイント、2013年度は+1.5%ポイントと徐々に景気を 押し上げる。実質公的需要の寄与度は、第3次補正予算効果が2012年度に後ずれすることから、2011年度+0.5%ポイントにとどまり、2012年 度+1.0%ポイントと拡大するが、2013年度は反動で-1.0%ポイントとなる。実質純輸出の寄与度は2011年度に震災の影響により-0.4%ポイ ントとマイナスに転じる。2012年度はEUを中心に世界経済回復の遅れから0.0%ポイントと横ばいにとどまり、回復に転じるのは2013年度 (+0.7%ポイント)である。

    *タイ大洪水の日本経済に対する影響は限界的とみている。日本の対タイ輸出入シェア(2010年)は4.4%、3.0%と大きくはないが、輸出入ともに中間財のシェアが高く、混乱が長期化すれば日本経済への影響が危惧される。

    *2011年度、2012年度のコア消費者物価指数はともに前年度比-0.1%、2013年度は+0.1%となる。プラス反転するのは2013年度 とみている。国内企業物価指数は同+1.7%、同+0.2%、同+0.8%となる。GDPデフレータは同-2.0%、同+0.2%、同-0.2%と予測し ている。

    *前回に引き続き電力供給制約の影響を検討した。電力供給制約を回避するためのコストは、節電を考慮して年当たり2.5兆円程度と試算される。燃料 代替による追加的輸入増加の影響で、日本経済の成長率は0.2%-0.3%程度低下し、インフレ率は消費者物価指数で0.3%-0.6%、国内企業物価指 数で0.5%-1.0%程度引き上げられる。

    *以下のような景気下振れリスクが想定される。(1)電力不足、(2)超円高の国内生産活動への影響、(3)EU発の金融危機と世界経済への伝播懸念である。

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  • 稲田 義久

    第88回 景気分析と予測(2011年8月24日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 高林 喜久生

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、
    直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。

    ポイントは以下の通り。
    *4-6月期GDP1次速報値を織り込み、2011年度実質GDP成長率を+0.9%、
    2012年度を+1.8%と予測する。
    2011年度は前回から1.0%ポイント上方に、2012年度は1.1%ポイント下方に、それぞれ修正した。2011年度は第3次補正予算の効果が上方修正に影響しており、2012年度は電力供給制約の高まりが下方修正に反映されている。

    *震災以降、原発問題は日本経済の成長制約に転じた。
    電力供給制約を短期的に回避(原発停止を火力発電で代替)するためのコストは、
    年当たり3兆円程度と試算される。燃料代替による追加的輸入増加の影響で、
    節電効果を考慮しても、日本経済の成長率は0.1%-0.3%程度低下する。

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  • 稲田 義久

    第87回 景気分析と予測(2011年5月26日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 高林 喜久生

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    ポイントは以下の通り。

    *GDP1次速報値によれば、1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率-3.7%と市場の見方を下回った。震災の影響により2期連続のマイナスと なったが、年初から回復の勢いが強かったので、2010年度の実質GDP成長率は前年度比+2.3%と3年ぶりのプラスとなった。2006年度以来の大き さである。

    *1-3月期GDP1次速報値を織り込み、2011年度実質GDP成長率を-0.1%、2012年度を+2.9%と予測する。前回から2.1%ポイ ント下方に、1.2%ポイント上方にそれぞれ修正した。ともに震災が影響しており、2012年度は復興需要による成長の加速が反映されている。

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  • 稲田 義久

    第86回 景気分析と予測(2011年2月23日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 高林 喜久生

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    ポイントは以下の通り。

    *10-12月期GDP1次速報値を織り込み、2010年度実質GDP成長率を+3.2%、2011年度+2.0%、2012年度+1.7%と予測する。前回から0.2%ポイント、0.4%ポイント、0.1%ポイント、それぞれ上方に修正された。
    2011年度が0.4%ポイント上方修正された理由は、いったん途切れた外需の再加速が今回予測に反映されたためである。

    *2010年10-12月期の一時的な踊り場局面から、日本経済は持ち直しに転じ比較的高い成長が2011年前半に実現しよう。
    前回予測では2011年前半の調整を経て海外経済の回復とともに、後半から日本経済は順調な拡張経路に復するとみていたが、景気回復は前倒しとなろう。

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  • 稲田 義久

    第85回 景気分析と予測(2010年11月25日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 高林 喜久生

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    11月15日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受け、2009-2011年度の改訂経済見通しとなっている。

    ポイントは以下の通り。
    *7-9月期GDP速報値を受け、2010年度実質GDP成長率を+3.0%、2011年度+1.6%、2012年度を+1.6%と予測。
    前回から2010年度は0.8%ポイント上方修正、2011年度は0.1%ポイントの下方修正となった。
    さらに2010年度補正予算を含む緊急経済対策の効果を、2010年度+0.38%、2011年度+0.53%と予想した。

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  • 稲田 義久

    第84回 景気分析と予測(2010年08月24日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 高林 喜久生

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    8月16日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受け、2009-2011年度の改訂経済見通しとなっている。

    ポイントは以下の通り。
    *2010年度および2011年度の改訂見通し…2010年度の実質GDP成長率は+2.2%、11年度も+1.7%と予測する。前回から2010年度は0.6%ポイント下方に、2011年度は0.3%ポイント上方に修正された。
    下方修正の理由としては、2010年度への成長率のゲタが0.2%ポイント下がったこと、民需の見通しが前回から下方修正されたためである。
    *2010年度後半経済の四半期成長パターンは乱高下(bumpy)の様相を示す。政策の変更に伴う駆け込み需要とその後の反動が発生するためであ る。エコカー補助金が9月末に終了し、タバコ値上げが10月に予定されている。また12月には家電エコポイント制度が終了する。特にその規模から無視でき ない影響が、乗用車販売台数とタバコ販売に発生する。
    *日本経済にとって円高の昂進は大きなリスクである。現行の水準から10円円高に振られた場合、実質GDP成長率は2010年度に0.3%ポイント、2011年度に0.6%ポイントと大きく低下する。この影響はこれまでの政策効果を帳消しにする大きさである。

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  • 稲田 義久

    第83回 景気分析と予測(2010年5月28日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 高林 喜久生

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    今回のポイントは以下の通り。

    *2010年1-3月期実績の評価‥‥実質GDP成長率(一次速報)は、前期比年率+4.9%と、4四半期連続のプラス成長となった。前年同期比で も+4.6%となり、8期ぶりのプラスに転じた。寄与度で見ると、純輸出が+2.7%ポイントと4四半期連続、国内需要が+2.3%ポイントと、2四半期 連続プラス貢献となり、外需の好調が内需へと波及しつつあることが確認できた。しかし今後の海外リスク要因としてはギリシャの債務問題があげられ、他国へ 伝染した場合には、日本の外需へ悪影響を及ぼす懸念がある。

    *2010年度および2011年度の改訂見通し…2010年度の実質GDP成長率は+2.8%、11年度は+1.4%と予測する。前回予測から10年度は0.8%ポイント上方修正、11年度は0.5%ポイント下方修正となる。

    *各需要項目の実質成長率への寄与度をみると、民間需要が10年度+1.5%ポイント、11年度+1.3%ポイントと、景気押し上げ要因に転じることが特 徴である。10年度は、好調な民間最終消費支出に加え、民間住宅が底を打ち、民間企業設備が反転する。また純輸出の寄与度も10年度+1.7ポイントと拡 大する。成長のパターンは、アジアに支えられた外需と政策に支えられた民間消費依存という側面が強い。

    *10年度のコア消費者物価指数(CPI)は前年比?0.7%と予想する。4月から始まった高校無償化は、今後1年間CPIを0.4%?0.5%程度低下 させる要因になる。しかし10年度後半からは、たばこ増税がCPIを0.5%程度引き上げるため、両者はネットで相殺されデフレ加速要因とはならなくな る。これらの結果と景気回復を勘案して、11年度のCPIは前年比+0.2%と3年ぶりにプラス領域への反転を見込む。

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  • 稲田 義久

    第82回 景気分析と予測(2010年02月22日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 高林 喜久生

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    2月15日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受け、2009-2011年度の改訂経済見通しとなっている。

    ポイントは以下の通り。

    *2009年度10-12月期実績の評価‥‥実質GDP成長率(一次速報)は、前期比+1.1%、同年率+4.6%と、3四半期連続のプラス成長となっ た。寄与度で見ると、純輸出が+2.2%ポイントと3四半期連続のプラス寄与となるとともに、国内需要が+2.4%ポイントで、7四半期ぶりに経済成長率 を引き上げ、内需と外需がバランスのとれた回復といえる。

    *2009年度の改訂見通し‥‥10-12月期の実績が上ぶれしたことにより、2009年度の実質GDP成長率を前回予測(▲2.6%)から0.6%ポイ ント上方修正し▲2.0%と予測する。2年連続のマイナス成長であるが、大規模な財政支出と2009年後半からの世界経済の持ち直しにより08年度 (▲3.7%)よりは改善する。

    *2010年度および2011年度の改訂見通し…2010年度の実質GDP成長率は+2.0%と、3年ぶりのプラス成長を予測する(前回予測1.6%から 上方修正)。また、11年度も+1.9%と2年連続のプラス成長となるであろう。実質民間住宅や実質民間企業設備が底打ちすることと、堅調なアジア経済の 回復を中心とした外需の拡大が成長に寄与する。しかしその成長の水準は緩やかで、11年度末になっても、実質GDPはリーマンショック前のピークに至らな い。このため、需給ギャップの縮小には時間がかかり、デフレはしばらく継続する。

    *今回も、2009年度二次補正予算および10年度予算案や税制改正大綱を反映している。新政策は民間最終消費支出や民間住宅を拡大し、10-11年度に 0.7%程度の景気拡大効果を持つ。しかし一方で、財政悪化は深刻で、11年度末には政府債務残高は900兆円を超えることが見込まれる。歳入確保の議論 と成長戦略の具体化が急務となろう。

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    「第81回 景気分析と予測」および「関西エコノミックインサイト 第4号」(2010年1月20日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    「関西エコノミックインサイト」については、関西経済現況の解説と、計量モデルによる将来予測を実施し、原則四半期ごとに発表している。関西経済の予測に あたっては稲田教授および高林教授の監修を得て、当研究所が独自に作成した地域マクロ計量モデル「関西経済予測モデル」を用いており、「景気分析と予測」 の日本経済予測と連動している。

    今回は昨年12月に閣議決定された2010年度予算を織り込み、日本経済(2009/11/26公表)及び関西経済(2009/12/7公表)の予測をそれぞれ改訂している。

    ポイントは以下の通り。

    * 前回予測からの修正点‥‥実質GDP成長率(二次速報値)は、前期比年率+1.3%となり、一次速報値(+4.8%)から大幅下方修正された。また 2009年度二次補正予算および2010年度予算案が閣議決定したことに伴い、政策効果の規模および内容の見直しを行った。

    * 日本経済の改訂見通し‥‥最新予測では、日本経済の09年度実質GDP成長率を▲2.6%、10年度+1.6%、11年度+1.9%と予測する。09年度 はGDP速報値改訂の影響、2010年度は予算の影響を受けている。予測の方向は、実績データが大幅下方修正されたにもかかわらず、大きな変化はない。

    * 関西経済の改訂見通し‥‥関西経済については、09年度実質GDP成長率を▲3.4%、10年度+1.8%、11年度+2.1%と予測する。2009年度 は、公共投資の規模の見直しを行った影響と外需の下押しの影響で日本経済よりも低い成長となる。2010年度・2011年度は、民需の寄与は日本経済より も小さいが、外需が成長を押し上げ、日本経済よりもやや高い成長率となる。

    * 前回予測から予算規模の見直しを行った結果、民主党政策によって、日本経済の実質GDPは2010年度0.09%、2011年度0.12%引き上げられ る。「コンクリートからヒトへ」の政策効果は色濃く出るが、景気拡大の効果は小さい。関西経済の実質GRPに対しては、個々の効果が相殺され、ほとんど影 響をもたらさない。関西経済は家計に対する所得支援中心の民主党の政策の影響が、他地域よりも出にくいという特徴がある。

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    第80回 景気分析と予測(2009年11月26日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    11月16日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受け、2009-2011年度の改訂経済見通しとなっている。
    ポイントは以下の通り。

    * 2009年度7-9月期実績の評価‥‥実質GDP成長率(一次速報)は、前期比+1.2%、同年率+4.8%と、2四半期連続のプラス成長となり、07年1-3月期以来の高い成長となった。堅固な成長の背景には景気対策効果と海外市場の回復がある。

    * 2009年度の改訂見通し‥‥民需のマイナス寄与度は拡大するが、大型補正予算の効果による公的需要が成長引き上げ要因となる。また、世界経済の持ち直し により純輸出のマイナス寄与度が縮小する。この結果、実質GDP成長率は、2008年度の▲3.2%から2009年度は▲2.3%となるが、2年連続のマ イナス成長である(前回予測▲2.6%からは上方修正)。

    * 2010年度の改訂見通しおよび2011年度の予測‥‥大型補正予算の効果が剥落するため、公的需要の貢献は縮小し、民間消費は緩やかな伸びになる。その 一方で、民間企業設備が底打ちし、世界経済の回復により純輸出の寄与がプラスに転じる。2010年度の実質GDP成長率は+1.4%(前回予測0.6%か ら上方修正)となり、3年ぶりにプラスに反転する。また、2011年度も+2.0%と2年連続のプラス成長となるであろう。

    * 今回予測では、旧政権下で決定された2009年度補正予算の一部執行停止および2010年度以降本格的に影響の表れる鳩山新政権のマニフェストをベースと する新政策のシミュレーション結果を盛り込んだ。補正予算一部執行停止は、2009年度実質GDPを0.24%ポイント引き下げる。マニフェストの新政策 効果は、2010年度にはほとんどないが、2年目の2011年には実質GDPを0.22%ポイント拡大する。

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    第79回 景気分析と予測(2009年8月25日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    8月17日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受け、2009-2010年度の改訂経済見通しとなっている。
    ポイントは以下の通り。

    * 2009年度4-6月期実績の評価‥‥実質GDP成長率(一次速報)は、前期比+0.9%、同年率+3.7%と、5四半期ぶりのプラス成長となり、1-3月期が景気の谷となった。今回の景気回復の主な要因は、経済危機対策の効果と純輸出の悪化幅の縮小である。

    * 2009年度の改訂見通し‥‥民間需要の寄与度は大幅に悪化するが、大型補正予算の影響で公的需要が+1.2%の寄与となり、外需(純輸出)の寄与度もマ イナス幅が若干縮小されるため、実質GDP成長率は、2008年度の▲3.2%から2009年度は▲2.6%とマイナス幅が縮小する(前回予測▲2.2% からは下方修正)。

    * 2010年度の改訂見通し‥‥大型補正予算の効果が剥落するため公的需要の貢献は縮小するものの、民間需要の悪化幅は大きく縮小、世界経済の緩やかな回復 により純輸出の寄与がプラスに転じる。2010年度の実質GDP成長率は+0.6%(前回予測▲1.1%から上方修正)となり、3年連続のマイナス成長は 回避できるであろう。

    * 前回予測では、当研究所「経済危機対策」に関するアンケート調査結果(5月13日に記者発表実施)に基づきその効果を検討したが、今回予測では、政策効果 が一部表われた4-6月期の実績を踏まえ、再検討した。低炭素革命関連政策は、所得制約等により、民間消費を+0.60%、実質GDPを+0.38%引き 上げる効果にとどまる(前回予測の民間消費+1.3%、実質GDP+0.7%から下方修正)。

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    第78回 景気分析と予測(2009年5月26日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    5月20日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受け、2009-2010年度の改訂経済見通しとなっている。
    ポイントは以下の通り。

    * 2009年度1-3月期実績の評価‥‥当期の実質GDP成長率(一次速報)は、前期比▲4.0%、同年率▲15.2%と、戦後最大の落ち込みとなり、4期 連続のマイナス成長を記録した。これまで景気の牽引役であった輸出の急激な落ち込みと、民間需要(特に民間最終消費と企業設備)の減少が原因であり、輸出 に大きく依存する日本経済成長モデルの脆弱性が示される。これにより09年度の日本経済は▲4.9%の「成長率のゲタ」を履くことになる。

    * 2009年度の改訂見通し‥‥2009年度の実質GDP成長率は▲2.2%となる(前回予測▲3.7%から上方修正)。海外経済の回復は期待できないが、 大型補正予算による需要の前倒しが起こり、大不況は回避できるであろう。大型補正予算が実現されない場合よりも経済成長率は3.0%ポイント引き上げられ る。

    * 2010年度の改訂見通し‥‥世界経済の緩やかな回復により純輸出の寄与はプラスに転じるものの、大型補正予算の効果が剥落するため、小幅ながらマイナス成長にとどまる。2010年度の実質GDP成長率は▲1.1%と3年連続のマイナス成長となろう。

    * 当研究所では、「経済危機対策」の効果を見積もるにあたり、アンケート調査を実施した(アンケートの調査結果は5月13日に記者発表を行っている)。この 調査結果、ならびに予算内容の精査の結果から、「経済危機対策」は実質GDPを最大で3.2%押し上げる(08年度補正予算を含む)効果を持つと検証され た。

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    第77回 景気分析と予測(2009年2月24日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部長・教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    2月16日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受け、2008-2009年度の改訂および2010年度の最新経済見通しとなっている。
    ポイントは以下の通り。

    * 2008年度10-12月期実績の評価‥‥当期の実質GDP成長率(一次速報)は、前期比▲3.3%、同年率▲12.7%と、第一次オイルショック期 1974年1-3月期に次ぐ急激な落ち込みとなり、3期連続のマイナス成長となった。これまで景気の牽引役であった輸出の急激な落ち込みと、低調な民間需 要が原因であり、輸出に大きく依存する日本経済成長モデルの脆弱性が示唆される。

    * 2008年度、2009年度の改訂見通し‥‥2008年度の実質GDP成長率は▲2.8%と7年ぶりのマイナス成長に転じよう(前回予測▲1.3%から大 幅下方修正)。主要貿易相手国である米国・EU経済のマイナス成長、消費の減速および企業設備の減少による民需の落ち込みの影響である。民需の回復が停滞 し、世界経済の不況が深化するため、2009年度の実質GDP成長率は▲3.7%(前回予測▲1.4%から大幅下方修正)と2年連続のマイナス成長とな る。

    * 2010年度の見通し‥‥2009年後半に一旦プラス成長に戻るが、緩やかながら持続的なプラス成長に転じるのは2010年以降となろう。2010年度の実質GDP成長率は+1.5%となろう。

    * 以上の標準予測に対して、追加的経済対策として定額給付金、住宅ローン減税、法人税減税、その他の財政支出の4つの政策を同時に実施した場合の効果は2009年度の実質GDPを約0.9%程度拡大させると検証された。

    * 関西経済は急激に悪化しており、成長率は2008年度▲2.2%、2009年度▲3.1%、2010年度+1.6%と予測している。

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    第76回 景気分析と予測(2008年12月29日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部長・教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    12月9日の政府四半期別GDP二次速報の発表を受け、2008年末までに公表されたデータを織り込んだ、2008-2009年度の改訂および2010年度の最新経済見通しとなっている。
    ポイントは以下の通り。

    * 2008年度の改訂見通し‥‥2008年度の実質GDP成長率は▲1.3%と7年ぶりのマイナス成長に転じよう(前回予測▲0.2%から大幅下方修正)。 今回の景気回復(2002年2月-2007年10月)のけん引役は純輸出であったが、米国およびEU経済の減速により純輸出が大幅に減速、また雇用環境の 悪化により民間最終消費支出が低迷するため、民需の寄与もマイナスに転じる。

    * 2009年度の改訂見通し‥‥世界経済がゼロないしマイナス成長に陥る可能性が高く、新興諸国の成長率も減速するため、純輸出はさらに低下する。また民需 の回復も期待できず、2009年度の実質GDP成長率は▲1.4%と2年連続のマイナス成長となる。また、原油価格や商品価格の下落によりデフレ圧力が強 まり、2009年度のコア消費者物価指数は前年比▲0.4%、国内企業物価指数は同▲3.7%とデフレに転じる。

    * 2010年度の見通し‥‥2010年度の実質GDP成長率は+1.2%と予測している。物価上昇率がプラスに転じるのは2010年に入ってからとなるであろう。

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    第75回 景気分析と予測(2008年11月25日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部長・教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    11月17日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受けた2008-2009年度の改訂経済見通しとなっている。
    ポイントは以下の通り。

    * 2008年度7-9月期実績の評価‥‥当期の実質GDP成長率(一次速報)は、前期比▲0.1%、同年率▲0.4%と2期連続のマイナス成長となった。 4-6月期も前年比▲0.1%(同年率▲3.7%)と下方修正され、2002年4-6月期以来のマイナスを記録した。家計部門は比較的堅調であったが、こ れまで景気の牽引役であった輸出が前期比でマイナスとなるなど、外的ショック型の景気後退が進行している。

    * 2008年度の改訂見通し‥‥2008年度の実質GDP成長率は▲0.2%と7年ぶりのマイナス成長に転じよう(前回予測+1.0%から大幅下方修正)。 改正建築基準法による民間住宅の落ち込みの影響が剥落するものの、米国およびEU経済の減速により純輸出が大幅に減速、雇用環境の悪化により民間最終消費 支出が低迷するためである。

    * 2009年度の改訂見通し‥‥民需の回復が期待できず、世界経済回復が2010年以降に後ずれすることにより純輸出の寄与も期待できないため、2009年 度の実質GDP成長率は+0.1%とほぼゼロ成長となる。また、2008年後半から原油価格や商品価格の下落によりデフレ圧力が強まり、2009年度のコ ア消費者物価指数は前年比+0.5%、国内企業物価指数は同+4.4%まで低下すると予測している。

    * 以上の標準予測に対して、追加的経済対策を実施した場合の効果も検討したが、予測期間を通じて実質GDPを約0.1%拡大させる程度の効果に留まる。

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    第74回 景気分析と予測(2008年8月20日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部長・教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    8月13日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受けた2008-2009年度の改訂経済見通しとなっている。
    ポイントは以下の通り。

    * 2008年度4-6月期実績の評価‥‥当期の実質GDP成長率(一次速報)は、前期比▲0.6%、同年率▲2.4%と4期ぶりのマイナス成長となり、前期 (同年率+3.2%)からは大幅の低下となった。これまで景気の牽引役であった輸出をはじめ、民間需要、公的需要の総てが減少したことが特徴である。

    * 2008年度の改訂見通し‥‥2008年度の実質GDP成長率は+1.0%となろう(前回予測+1.3%から下方修正)。改正建築基準法による民間住宅の 落ち込みの影響が剥落するものの、米国経済の成長が1%台にとどまるため輸出の伸びが大きく低下するとともに、民間最終消費支出の伸びが低迷するためであ る。また、原油価格や商品価格の急上昇が最終財価格にまで波及してきており、2008年度のコア消費者物価指数は前年比+1.9%、国内企業物価指数は同 7.1%上昇すると予測している。

    * 2009年度の改訂見通し‥‥民需は緩やかに回復するが、世界経済回復の遅れにより純輸出の寄与が低下するため、2009年度の実質GDP成長率は+1.4%と小幅の回復にとどまる。

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    第73回 景気分析と予測(2008年5月20日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部長・教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    5月16日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受けた2007-2009年度の改訂経済見通しとなっている。
    ポイントは以下の通り。

    * 2008年度1-3月期実績の評価‥‥ 当期の実質GDP成長率(一次速報)は、前期比+0.8%、同年率+3.3%と3期連続のプラス成長で、前期(同年率+2.8%)を上回る高成長となっ た。民間最終消費と輸出が成長に貢献したためであるが、閏年効果を除けば、消費の実態は横ばいに近い。

    * 2008 年度の改訂見通し‥‥2008年度の実質GDP成長率は+1.3%となろう(前回予測+1.6%から下方修正)。2008年度の日本経済は、改正建築基準 法による民間住宅の落ち込みの影響が剥落するものの、米国経済の急減速により景気回復のギア(輸出)が逆回転する可能性が高い。また原油価格や商品価格の 急上昇が食料品価格にまで波及しており、ミニスタグフレーションの兆しが出ている。しかし最終需要の弱さからコスト増を完全に転嫁できないため、インフレ の加速が持続することはない。

    * 2009年度の改訂見通し‥‥世界経済の緩やかな回復による輸出の拡大と民間需要の回復により、2009年度の実質GDP成長率は+1.9%に加速する。 ただ、民間最終消費の伸びは徐々に減速する。エネルギー・食料価格の上昇に加え、所得環境の改善の遅れ等が家計に影響するためである。純輸出は米国および EU経済減速の影響が大きく、外需牽引力の回復は小幅となる。

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    第72回 景気分析と予測(2008年2月25日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部長・教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授 )

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    2月14日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受けた2007-2009年度の改訂経済見通しとなっている。
    ポイントは以下の通り。

    * 2007年度10-12月期実績の評価‥‥当期の実質GDP成長率(一次速報)は弱気な市場コンセンサス予測を上回り、前期比+0.9%、同年率+3.7%と2期連続のプラス成長となった。好調な新興市場への輸出と民間企業設備が成長に貢献した。

    * 2007年度、2008年度の改訂見通し‥‥2008年1-3月期経済は減速するものの、2007年10-12月期が比較的好調であったため、 2007年度の実質GDP成長率は+1.8%となろう(前回予測+1.5%から上方改訂)。2008年度の日本経済は、改正建築基準法による民間住宅の落 ち込みの影響が剥落するため民需の貢献は上昇するものの、米国経済の急減速により、景気回復のギア(輸出)が逆回転する可能性が高まる。2008年度の実 質GDP成長率予測は小幅減速の+1.6%と予測する。

    * 2009年度の見通し‥‥世界経済の回復による輸出の拡大と民間需要の回復により、2009年度の実質GDP成長率は+2.0%となろう。ただ、民間最終 消費の伸びは低迷する。エネルギー・食料価格の上昇に加え、所得環境の改善の遅れ、社会保障負担増や定率減税廃止による実質増税等が家計に影響してくるた めである。民間企業設備も2008年度前半に循環的な減速局面に入り、その影響は長引くであろう。

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    第71回 景気分析と予測(2007年11月20日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部長・教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授 )

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    11月13日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受けた2007-2008年度の改訂経済見通しとなっている。
    ポイントは以下の通り。

    * 2007年度7-9月期実績の評価‥‥当期の実質GDP成長率(一次速報)は前期比+0.6%、同年率で+2.6%となり、2期ぶりのプラス成長となっ た。4-6月期の同▲1.6%に対する反動とみられる。好調な輸出と適度な民間最終消費の伸びに支えられた。設備投資は3期ぶりのプラスとなった。

    * 2007年度の改訂見通し‥‥2007年度の実質GDP成長率は+1.5%となろう(前回予測+2.3%から下方改訂)。改正建築基準法施行による民間住 宅の落ち込みで民間需要の寄与度は低下するが、純輸出の伸びによる外需の好調が支える形となっている。2007年度後半は、これまで景気回復の牽引役で あった民間最終消費、民間企業設備、輸出のダウンサイドリスクの高まりに加え、新たなリスクとして民間住宅が加わった。

    * 2008年度の改訂見通し‥‥2008年度の実質GDP成長率は前年度の反動で+2.2%へ加速する。民間住宅および建設投資減少の影響が剥落し、民間最 終消費と民間企業設備が緩やかに回復するためである。米国経済は住宅投資調整が終わる2008年半ばまで潜在成長を下回る水準で推移するが、中国や新興国 が高成長を維持するため、輸出は5.2%と緩やかな伸びとなろう。輸入は内需の伸びが減速するため+3.1%と低調である。

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    第70回 景気分析と予測

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部長・教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授 )

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。 2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    8月13日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受けた2007-2008年度の改訂経済見通しとなっている。
    ポイントは以下の通り。

    * 2007年度4-6月期実績の評価・・・・当期の実質GDP成長率(一次速報)は前期比+0.1%、同年率で+0.5%となり、10期連続のプラス成長と なった。2006年10-12月期の同+5.4%、2007年1-3月期の同+3.2%から2期連続の減速となった。民間企業設備と民間最終消費が成長に 貢献した。

    * 2007年度の改訂見通し・・・・2007年度の実質GDP成長率は+2.3%となろう(前回予測+2.2%から上方改訂)。2006年度の同+2.1% から加速しているようにみえるが、成長のゲタが1.4%あり、実態は景気減速・停滞の感が強い。また、これまで景気回復の牽引役であった民間最終消費、民 間企業設備、輸出のダウンサイドリスクが高まっている。

    * 2008年度の改訂見通し・・・・2008年度の実質GDP成長率は+2.5%へ加速する。雇用や所得の改善により民間最終消費が拡大し、景気の牽引役が 民間企業設備から民間最終消費に移行する。輸出は世界経済の回復が緩やかにとどまるため、輸入は内需の伸びが減速するため、ともに伸び率は鈍化する。純輸 出の寄与度は2007年度並みとなろう。

    ※なお、今回はリスク分析の一例として、株安・円高のシミュレーションを付け加えた(「第70回 景気分析と予測」16ページ表7参照)。