(Productivity Growth and Industrial Structure in the Pacific Region)
最近まで、先進国・途上国の集計的な生産性成長とその決定要因に関して、大量の文献と多くの論争が展開されてきた。とくに、東アジアの生産性成長に関する論争は、「東アジアの奇跡(World Bank (1993))」が、なぜゼロ生産性成長によって実現できたのか、部外者には分かりづらいほどである(Kim and Lau (1994)、 Krugman (1994) and Young (1995))。他方、この論争に比べると、ミクロ構造の側面、とくに、部門別生産性成長とその産業構造変化へのインパクトについては、必ずしも十分な情報と観察が行われていないのではないかと思われる。それは、1つには、部門別生産性成長については、関連するデータを国際比較可能な形で集積するのが困難であるからかもしれない。 本報告の目的は、その点を認識した上で、現状で入手出来る限りの統計情報に基づいて、次のような側面を検討することにある: