(Infrastructure Development in the Pacific Region)
物的および人的(知的)社会共通資本(伝統的産業基盤、通信革命、教育、再訓練など)に対する投資が、外部効果や学習効果を通じて、どれほど経済成長に貢献するのかを各国の経験をつきあわせて考えてみるものである。投資ファイナンスも含めて社会的損益も視野に入れる。インフラといっても範囲は広く、各経済の発展段階によって必要とされるインフラの種類が異なり、制度上の制約も異なるかもしれない。
PECCの他のタスクフォースをみると、通信、観光、人材育成などセクター別のアプローチはあるが、インフラ投資をひとまとめにしてマクロ的な成長に結びつけた議論を展開するには至っていない。世界銀行では、国際比較可能なインフラデータベースを用いた成長回帰(growth regression)の方法によって国横断的にインフラ投資の成長効果を図っているが、その含意を個別国の文脈で再検討してみる意義は大きいのではないか。
日本では、道路公団問題をはじめ、公共投資の有効性が疑問視され、経済援助でもインフラ投資の効果が再検討されている。そういう時であるからこそ、どのようなインフラがどのような状況で必要とされるのか。そのためのリソースをどう工面するのか。財政再建の努力の中でも、各国の発展段階に応じて長期的潜在成長力を高めるのに有効な資源配分と資源利用の効率化を図るためには、インフラ開発の現代的意義を再構築しておく時機ではないかと思われる。