地産地消型の地域経済圏
~「食と農」でつなぐコミュニティモデル~

研究プロジェクト 2025年度

ABSTRACT

研究計画

研究の背景

日本全体で人口減少が進む中、都市部と地方部で一体化した新たな地域経済圏の構築が今後必要となる。

現在、日本の農業が置かれている状況は、以下に示す通りである。

  1. 国内の農業就業者は、人口減少と平均年齢の上昇が続き、農業の担い手を増やすことが急務となっている。(図1)
  2. 地方産地では、生産高・出荷高の減少から輸送効率が悪化している。また、食品流通の97%以上をトラックが担っているが、トラックドライバーの高齢化や2024年4月からの時間外労働規制によって、食品流通の現状維持が難しい状況となっている。今後は、「少量生産・小規模輸送でも可能な地産地消型の仕組み」が求められる。(図2)

 

 

本研究では、日本の中でも都市と地方が近接する強みを持つ関西で、『都市と地方を一体化した地産地消型コミュニティによる“儲かる農業”』の実現方法を提案する。

分析の手法または現地調査の詳細

以下の3つの分析観点から、実証を通じたフィールドワーク・ヒアリング調査を進めて、「関西における地産地消型コミュニティモデル」実現に向けた課題を纏める。

  1. 地方部における「労働力の確保」「旅×しごと・地域体験ツアー」のコンセプトで援農者を募集する紀の川市のプロジェクトを通して、地域ファン化⇒援農リピーター獲得の取組みを検証する。
  2. 都市部における「売り先の確保」都市部マルシェの新たな機能実証を進めている「大阪市内の寺カフェ・茶庭」の取組みを通して、都市住民の地域ファン化・産地送客の取組みを評価する。
  3. 地方~都市間における「小規模流通の実現」2024年度に実施したWEBアンケート調査から、「マイカー通勤者による農産物の運搬お手伝い」に可能性がある結果が得られたため、今年度は、今後必要となるシステム要件の洗出しと評価を兵庫県での実証を通じて行う。

 

期待される成果と社会貢献のイメージ

  • コミュニティモデルの事例研究と評価のまとめ(最終報告書)
  • 農産物の小規模流通に関する研究論文
  • 企業各社による、SDGs・地域貢献の観点での取組み/参画方法に利用
  • 地方自治体・行政・農業関係団体による、地方創生の取組みに利用

研究体制

研究統括

本多 佑三  APIR研究統括、大阪大学 名誉教授

 

リサーチリーダー

中塚 雅也  APIR主席研究員、神戸大学大学院農学研究科 教授

 

リサーチャー

石田 奈津子 ブリコルーズ合同会社 代表、駒澤大学 研究員
武田 重昭  大阪公立大学大学院農学研究科 准教授
若菜 千穂  いわて地域づくり支援センター 常務理事
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