研究成果

research

インバウンド先進地域としての関西+MICE

リサーチリーダー

数量経済分析センター長 稲田義久 甲南大学教授

 

研究目的

日本経済が人口減少化の下で、将来に亘って持続的な経済成長を実現するためには、新たな成長戦略が必要となる。特に関西経済においては、インバウンド・ツーリズムの戦略的価値が高い。昨年度は、関西におけるインバウンド戦略を検討するための関西基礎統計の整理、マイクロデータによる分析に取り組んだ。

研究の3つの方向:2017年度に引き続き、関西におけるインバウンド戦略を検討するために、以下の4つの軸を中心にバランスよく研究を進める。

①関西基礎統計の整理

②マイクロデータによる分析

③観光戦略の在り方

④MICEに関する調査分析

特に研究の中心は、②である。具体的には、観光庁が訪日外国人客の消費実態等を把握し、観光行政の基礎資料とする目的で実施してきた訪日外国人消費動向調査個票・宿泊旅行統計調査個票(今年度データ取得予定)を用いたマイクロデータの分析である。

 

研究内容

<成長戦略立案のための実証分析>

産業としての「インバウンド・ツーリズム」を確立するために、近畿運輸局などの協力のもと、エビデンスにもとづいた戦略が議論できるための実証分析を行う。

具体的には「訪日外国人消費動向調査」等の個票データを用いて、消費品目別の需要関数を推定し、「爆買い」以降のインバウド需要決定の構造的要因を定量的に考察していく。

<成長戦略立案のための課題の認識>

政策担当官庁、推進組織、民間団体が認識する「爆買い」以降のマーケティング戦略をめぐる課題を議論できる場を提供し、その解決策を発信する。

<関西のインバウンド需要の定量分析と他地域との比較分析>

今年度の個票データを活用した分析により、観光エリアとしての調査分析が可能となり、より詳細な成長戦略立案への具体的な資料提供が可能となる。

<観光施策についてより実現性のある研究>

本研究により観光DMOや観光庁、民間の事業方針とマーケティング分析や効果検証が実現できる。

リサーチャー

大井達雄 和歌山大学観光学部 教授

松林洋一 APIR主席研究員、神戸大学教授

研究協力者

柴谷淳一 国土交通省・近畿運輸局観光部計画調整官

森 健夫 関西観光本部 事務局長

濱田浩一 関西観光本部 事務局次長

角倉洋介 日本旅行業協会 事務局長

筒井千恵 関西エアポート㈱ グループリーダー

 

期待される成果と社会還元のイメージ

・関西インバウンド基礎統計の整備

・マイクロデータによる分析成果

・関西観光戦略の課題の共有化

・関西の観光産業の成長戦略の立案

・観光ハードとソフトのインフラ整備の選択・集中

・DMOのKPIとその検証

 

<研究会の活動>

研究会

・2018年9月   第1回研究会開催(予定)

・2018年11月   第2回研究会開催(予定)

・2019年1月   第3回研究会開催(予定)

・2019年2月   第4回研究会開催(予定)

・2019年3月   第5回研究会開催(予定)

研究成果

  • 2018年度報告書が完成しました。 [ 2019-06-12 ]

関連論文

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.83- 景気は足下悪化・先行きも悪化を見込む –

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / KARAVASILEV, Yani / 野村 亮輔 / 車 競飛 / 吉田 茂一 / CAO THI KHANH NGUYET

    ABSTRACT

    – 景気は足下悪化・先行きも悪化を見込む –

    ・1月の生産は2カ月連続の前月比プラスだが、10-11月の減産からの戻りが遅い。このため、近経局は基調判断を「生産はこのところ弱含み」と前月から据え置いた。
    ・2月の貿易収支は2カ月ぶりに黒字に転じたが、内容は良くない。新型コロナウイルスの影響で対中輸入が急減しており、貿易総額は昨年9月を除けば、2018年12月から縮小している。
    ・2月の景気ウォッチャー現状判断DIは、新型コロナウイルスの感染拡大により、2011年4月以来の低水準となった。特に、インバウンド関連産業を中心に悪化が目立っている。
    ・12月の関西2府4県の現金給与総額は名目で5カ月連続、実質では10カ月連続で前年比減少した。結果、2019年通年では実質賃金は2年連続で減少した。
    ・1月の大型小売店販売額は4カ月連続で前年を下回った。増税後の回復は前回よりも遅れ、百貨店は外商部門、スーパーは季節商品が低迷した。なお、2月の関西百貨店免税売上高は前年比-71.9%と大幅な減少となった。
    ・1月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりの前年比減少。消費増税以後、12月を除きマイナスが続いている。
    ・1月は求人数が減少し、求職者数が増加したため、有効求人倍率(1.50倍)は2カ月ぶりに前月から悪化。完全失業率(2.6%)も3カ月ぶりに悪化した。
    ・1月の建設工事出来高は23カ月連続の前年比増加だが、伸びは減速。2月の公共工事請負金額は7カ月ぶりに同減少した。
    ・新型コロナウイルス感染拡大により、2月の関空への外国人入国者数は前年比-66.0%と大幅なマイナス。2011年4月以来の落ち込みとなった。
    ・新型コロナウイルスの感染拡大により2月の中国の製造業PMIは35.7と大幅悪化し、リーマンショック期の水準を下回った。現在、中国本土では収束傾向が見られるが、その他の国・地域では感染が拡大している。経済活動の低迷が世界的に広がることで、景気の先行き不透明感が急速に強まっている。

     

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:2月レポート

    インサイト

    インサイト » インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・2月の関西2府8県別に訪日外客数(推計値)をみると、福井県1,691人(前年同月比-67.6%)、三重県7,421人(同-53.3%)、滋賀県6,466人(同-60.6%)、京都府28万3,118人(同-54.7%)、大阪府41万1,531人(同-55.8%)、兵庫県5万8,021人(同-60.8%)、奈良県14万5,024人(同-36.1%)、和歌山県9,880人(同-56.0%)、鳥取県3,994人(同-66.3%)、徳島県2,391人(同-58.0%)となった。

    ・JNTO訪日外客数推計値によれば、2月総数は108万5,100人と前年同月比-58.3%大幅減少し、5カ月連続のマイナス。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、各国で海外旅行を控える動きがみられるようである。

    ・国籍別に伸び率をみると、中国は17カ月ぶり、台湾は7カ月ぶり、香港は6カ月ぶり、韓国は8カ月連続のマイナス。特に中国は2003年5月以来の減少幅(前年同月比-69.9%)となった。東アジアを中心に新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく現れ、来月以降も更なる大幅減少が予想されていることから、今後の動向には一層の注意が必要。

     

    【トピックス】

    ・2月の関空への訪日外客数は前年同月比-66.0%大幅減少した。2019年の関西での外国人消費額は1兆610億円と推計(APIR)されるから、2月のインバウンド需要の損失額は583.9億円(=10610/12×0.66)と推計される。

    ・関空入国者数の伸びをリーマンショック期、東日本大震災期と今回の新型コロナウイルスの3つの時期を比較すると、今回の落ち込みが最も大きい。各経済ショック発生月の翌月に減少幅が拡大する傾向が見られる。その後、再び訪日外客がプラスとなるまでリーマンショック期で15カ月、東日本大震災期で10カ月を要している。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.48 -民需の大幅失速で19-20年度は 2年連続のマイナス成長: 新型肺炎の影響とGDP2次速報を織り込み予測を改定-

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰

    ABSTRACT

    1. 3月9日発表のGDP2次速報によれば、10-12月期実質GDPは前期比年率-7.1%と1次速報(同-6.3%)からさらに下方修正された。前回増税時(14年4-6月期:同-7.4%)以来の下げ幅となった。

    2. 関西経済は、昨年10月の消費税率引き上げと新型コロナウイルス感染拡大の影響のダブルショックにより、特に民間部門が急速かつ大幅に冷え込んでいる。またこれまで関西経済を支えてきた2つの輸出、対中輸出とインバウンド需要も失速している。コロナウイルスは欧米でも感染拡大し、世界経済全体の景況感が悪化しており、金融市場で乱高下が見られるなど、リスクが高まっている。

    3. 足下の経済指標やGDP2次速報の改定を反映して、関西の実質GRP成長率を2019年度-0.2%、20年度-0.5%、21年度+1.1%と予測する。19年度20年度と2年連続のマイナス成長となる。新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛活動の広範化の影響を反映し、19年度は-0.3%ポイント、20年度は-0.7%の大幅下方修正とした。21年度は+0.1%の上方修正である。

    4. 2019年度は、成長を下支えるのは公的需要のみとなる。民間需要は-0.3%ポイントと成長を引き下げる。公的需要は消費税対策から+0.5%ポイントと成長に貢献する。域外需要は-0.3%ポイントと成長抑制要因となる。20年度は、民間需要が-1.2%ポイントと2年連続で成長に寄与せず、むしろ抑制要因となる。公的需要は+0.3%ポイントと成長を押し上げる。域外需要は輸入の減少から+0.4%ポイントとプラスに転じる。21年度は、民間需要が+0.5%ポイントと回復に転じ、公的需要+0.2%ポイント、域外需要+0.3%ポイントといずれも成長に寄与する。景気の急回復は期待できない。

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  • 稲田 義久

    127回 景気分析と予測<新型コロナウイルスの影響で2四半期連続の マイナス成長は不可避:2次速報更新後の予測改定>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    1. 3月9日発表のGDP2次速報によれば、10-12月期実質GDPは前期比年率-7.1%と1次速報(同-6.3%)から更に下方修正された。前回増税時(14年4-6月期:同-7.4%)以来の下げ幅となった。

    2. 10-12月期GDP2次速報発表に合わせて、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しが行われ、過去値が改訂された。注意を要するのは、7-9月期が-0.4%ポイント(前期比年率+0.5%→同+0.1%)下方修正された結果、ほぼゼロ成長になったことである。駆け込み需要は前回増税時に比して限定的であったが、その反動減は一部台風の影響もあるとはいえ大きかった。日本経済は消費増税前から景気減速に入っていたといえよう。

    3. 新型コロナウイルス感染拡大は急速に経済を縮小に追い込んでいる。財とサービスの2つの輸出の減少に加え、自粛活動の広範化による民間最終消費支出への影響を今回の予測に反映した。このため、もともと基調の弱い民間最終消費支出の大幅落ち込みにつながった。

    4. 10-12月期GDP2次速報を織り込み、予測を改定した。2019年度の実質GDP成長率は-0.0%、20年度は-0.4%と2年連続のマイナス成長、21年度は+1.2%と回復に転じよう。前回(第126回)予測に比して、今回は(1)7-9月期のほぼゼロ成長、(2)10-12月期大幅マイナス成長の下方修正、(3)1-3月期以降の新型コロナウイルスの民間最終消費支出への影響を反映し、19年度を-0.3%ポイント、20年度を-0.6%ポイントいずれも下方修正。21年度は下方修正からの反動もあり、+0.1%ポイント上方修正した。

    5. 実質GDPの四半期パターンをみれば、2019年10-12月期は5四半期ぶりのマイナス成長。純輸出はプラス寄与となったものの、民間需要が総崩れとなったためである。標準予測(後掲、表2参照)では、新型コロナウイルスの影響で1-3月期は民間需要の戻りが遅いことに加え、純輸出がマイナス寄与に転じるため、2四半期連続のマイナス成長は避けられない。20年度の最初の2四半期はマイナス成長からの反動で比較的高い成長となるが、以降は潜在成長率ないしはそれを幾分下回るペースが持続する。前年同期比でみると、19年10-12月期と20年の最初の3四半期はマイナス成長が避けられない

    6. 新型コロナウイルスの感染拡大の終息は標準予測では4-6月期と想定しているが、終息・回復が一層遅れる可能性もある。その回復の程度は、経済活動の下落幅とその持続期間に依存する。また中国での生産や輸出活動が回復したとしても、風評被害により人の移動の回復が遅れる可能性が高い。2011年東日本大震災の場合は、訪日外客の回復に1年を要した。生産・消費の回復スピードは一様ではない。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.47 – 民需外需の失速が鮮明、正念場迎える関西経済 –

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    1.  2019年10-12月期実質GDPは前期比年率-6.3%(前期比-1.6%)と5四半期ぶりのマイナス成長だった。寄与度を見ると、純輸出は前期比+1.9ポイントと3四半期ぶりのプラスとなったが、国内需要は同-8.3%ポイントと5四半期ぶりのマイナスで、成長を大きく押し下げた。
    2.  2019年10-12月期の関西経済は、民需と外需の失速が鮮明となった。10月の消費税率引き上げ、中国経済の減速を受けて、家計部門、企業部門、対外部門と多くの指標が失速の様相を呈している。これまで堅調だった雇用環境やインバウンド需要も軟調となりつつある。20年1-3月期以降については、さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響が現れてくるため、関西経済は正念場を迎える。
    3.  関西の実質GRP成長率を2019年度+0.1%、20年度+0.2%、21年度+1.0%と予測。消費税率引き上げによる民間消費の停滞、中国経済の減速、新型肺炎による経済活動の縮小といった要因から、19年度20年度は低成長を免れられず、本格的な回復は21年度となる見通しである。
    4.  前回予測に比べて、2019年度は-0.6%ポイントの下方修正、20年度も-0.2%ポイントの下方修正である。下方修正の背景として、19年7-9月期のGDP実績値の大幅下方改定、消費税率引き上げによる影響とそれに伴う足下の景気減速、新型肺炎の影響の織り込みがある。一方21年度は+0.3%ポイントの上方修正とした。
    5.  2019年度については、成長を下支えるのは公的需要のみとなる。民間需要は+0.0%ポイントと成長に貢献しない。公的需要は消費税対策から+0.5%ポイントと成長に貢献する。域外需要は-0.3%ポイントと成長抑制要因となる。20年度は、民間需要が-0.4%ポイントと19年度に続いて成長に寄与せず、むしろ抑制要因となる。公的需要は+0.3%ポイントと成長を押し上げ、域外需要も+0.2%ポイントとプラスに転じる。21年度は、民間需要が+0.3%ポイントと回復に転じ、公的需要+0.2%ポイント、域外需要+0.3%ポイントといずれも成長に寄与する。
    6.  新型コロナウイルスの感染拡大が関西経済に与える影響について、2つの輸出に限定して試算した。回復期間の長短にもよるが、経済損失額は1,782億~5,345億円、名目GRP比では0.2~0.6%に相当する。ただしこの試算にはイベントの中止・延期、レジャー施設の休業などの影響など家計消費への影響は含まれていないため、影響はさらに拡大すると見込まれる。

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  • 稲田 義久

    第126回景気分析と予測<消費増税、新型コロナウイルスの影響で大幅減速>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    1.  CPB World Trade Monitor(25 Feb. 2020)によれば、2019年10-12月期の世界輸出(数量ベース:2010年=100)は前期比+0.1%と2四半期連続のプラスだが小幅にとどまった。12月14日に、米中貿易交渉は第1段階の合意に達し世界貿易の一層の悪化は避けられたが、世界貿易の先行きは依然読みにくい。
    2.  2月17日発表のGDP1次速報によれば、10-12月期実質GDPは前期比年率-6.3%(前期比-1.6%)大幅低下し、5四半期ぶりのマイナス成長マイナス幅は市場コンセンサス(ESPフォーキャスト1月調査)の最終予測同-4.05%を大きく下回った。CQM最終予測は、支出サイドが同-4.2%、生産サイドが同-6.4%、平均同-5.3%となり、生産サイドからの予測が実績に近かった。
    3.  10-12月期1次速報発表に合わせて、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しが行われ、過去値が改訂された。過去1年を振り返ると、18年10-12月期+1.0%ポイント、19年1-3月期0.0%ポイント、4-6月期-0.1%ポイント、7-9月期-1.3%ポイント、それぞれ修正された。特に、7-9月期の下方修正が大きい
    4.  10-12月期GDP1次速報を織り込み、予測を改定した。2019年度の実質GDP成長率は+0.3%、20年度は+0.2%と減速する。21年度は+1.1%と回復に転じよう。前回(第125回)予測に比して、今回は(1)7-9月期の下方修正、(2)10-12月期の大幅マイナス成長と(3)1-3月期以降の新型コロナウイルスの影響を反映し、19年度を-0.6%ポイント、20年度を-0.2%ポイント下方修正。下方修正からの反動もあり、21年度は+0.4%ポイント上方修正した。
    5.  経済政策の影響もあり今回の駆け込み需要は低く出たものの、増税後は駆け込み需要の反動減や10月の台風の影響もあり、消費の落ち込みは相対的に大きかった。そもそも民間最終消費支出の基調は弱く、その後の回復はしばらく緩やかなものにとどまろう。
    6.   米中貿易戦争は一時的な休戦に入ったが、1月下旬に明らかになった中国を発生源とする新型コロナウイルスの感染拡大は日本経済の先行きに大きな影響を与える。その影響はまず財とサービスの輸出に表れる。またその影響の程度は、経済活動の下落幅とその持続期間に依存する。このため、19-20年度の日本経済は大きく減速し、回復に転じるのは21年度である
    7.  物価の先行きについては、エネルギー・非エネルギー価格の動向と消費税増税に加え教育無償化の影響が重要だ。1月における消費増税と幼児教育無償化のCPIに与える影響は+0.4%にとどまった。これらに加え、今後の需給ギャップの動向をふまえ、コアCPIのインフレ率を、19年度+0.6%、20年度+0.5%、21年度+0.4%と予測するる。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.82- 景気は足下悪化・先行きも悪化を見込む –

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / KARAVASILEV, Yani / CAO THI KHANH NGUYET / 吉田 茂一 / 車 競飛

    ABSTRACT

    – 景気は足下悪化・先行きも悪化を見込む –
    ・12月の生産は3カ月ぶりの前月比プラスだが、10-12月期は前期比-6.6%と2四半期ぶりの大幅マイナスとなり、リーマンショック期以来の落ち込みとなった。
    ・1月の貿易収支は8カ月ぶりの赤字に転じた。また、貿易総額は昨年9月を除けば、2018年12月以降縮小が続いている。対中貿易における新型肺炎の影響はこれからである。
    ・1月の景気ウォッチャー現状判断DIは、駆け込み需要が発生した9月以来4カ月ぶりの前月比改善。関西、全国ともに消費増税の影響がやや緩和されてきたものの、先行きはインバウンド市場を中心に新型肺炎感染拡大の影響に警戒感が強まっている。
    ・11月の関西2府4県の現金給与総額は4カ月連続で前年比減少、実質賃金も9カ月連続で同減少した。所得環境は悪化している。
    ・12月の大型小売店販売額は3カ月連続で前年を下回った。増税後の消費の回復は前回よりも遅れている。百貨店、スーパーとも暖冬で季節商品が低調であった。
    ・12月の新設住宅着工戸数は5カ月ぶりに前年比増加。持家と貸家は減少したが、分譲は大幅に増加したため。結果、2019年通年では2年ぶりの減少であった。
    ・12月の有効求人倍率は8カ月ぶりの前月比改善だが、完全失業率は2カ月ぶりの悪化。2019年通年は、有効求人倍率は10年連続、完全失業率は7年連続で改善した。
    ・12月の建設工事出来高は22カ月連続の前年比増加。結果、2019年通年では4年連続で増加した。1月の公共工事請負金額は6カ月連続で前年比増加し、また全ての府県で同増加した。
    ・1月の関空への外国人入国者数は2カ月ぶりの前年比プラス。新型肺炎の影響は統計にはまだ出てきていないが、今後の動向には注視する必要がある。
    ・新型肺炎の影響で中国の統計の発表が遅れている。更なる拡大を防遏するため、外出や移動が制限されている。湖北省以外では2月10日から出社と生産再開が徐々に進んでいるが、景気の先行きについては警戒感が高まっている。

     

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:1月レポート

    インサイト

    インサイト » インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    インバウンドの「変化の兆し」をいち早く

    ⽉次指標の早期推計︓1⽉レポート

     

    ・1月の訪問率(推計値)を関西2府8県別にみると、前月から訪問率が上昇したのは兵庫県、一方低下したのは三重県、滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県であった。なお、福井県は横ばい。

    ・JNTO訪日外客数推計値によれば、1月総数は266万1,000人と前年同月比-1.1%減少し、4カ月連続のマイナス。訪日韓国人客の大幅減少が続いているが、韓国を除く19カ国では同+23.0%と底堅く推移している。

    ・国籍別に伸び率をみると、中国は16カ月連続、台湾は6カ月連続、香港は5カ月連続でいずれもプラス。一方、韓国は7カ月連続のマイナスだが、前月(同-63.6%)よりマイナス幅は縮小。しかし1月下旬に明らかになった新型肺炎の影響は統計にはまだ出ていないが、動向には注意が必要。
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  • 稲田 義久

    新型肺炎の関西経済への影響-逆回転する2つの輸出-

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 木下 祐輔

    ABSTRACT

    本稿では、2020年1月下旬に明らかになった新型コロナウイルス肺炎(corona virus epidemic、以下、新型肺炎)の大流行が関西経済に与える影響を2つの輸出に限定して分析した。分析結果の要約は、以下の通りである。

    1.世界経済に占める中国のプレゼンスは急上昇している。関西経済は中国を中心とするグローバルサプライチェーンに組み込まれているため、対中関係は大きく深化している。

    2. SARS発生時から2019年をみると、関西の対中輸出額は2.0倍に拡大し、中国人の訪日外客数は21.4倍に急拡大した。輸出の急拡大のみならず、人の移動が爆発的に拡大した。関西経済を見る場合、その成長の駆動因である財とサービス(インバウンド需要)の2つの輸出の視点が重要だが、今その駆動因が新型肺炎の発生を契機に逆回転し始めている。

    3. 自然災害等からのこれまでの回復パターンを見ると、1~2四半期で経済活動は前期比プラスに転じている。新型肺炎発生からの回復パターンとして、1四半期で新型肺炎発生前期の経済水準に戻る早期回復ケース1と、2四半期で経済水準を回復する標準ケース2、及び回復の戻りが遅れ3四半期で回復する長期化ケース3を想定する。

    4. 試算の結果、ケース1では、関西の財輸出は986億円、インバウンド需要は796億円で経済損失額の合計は1,782億円と見込まれる。また、ケース2では、損失額はそれぞれ1,972億円、1,591億円、合計3,564億円と見込まれる。ケース3では、それぞれ2,958億円、2,387億円、合計損失額は5,345億円となる。

    5. 新型肺炎が関西経済に与える経済的影響としては、ケース1は2020年度の関西名目GRPを0.2%、ケース2は同0.4%、ケース3は同0.6%それぞれ押し下げることになる。なお、20年度の関西経済名目GRP成長率は+0.6%程度と予測されており、回復が遅れるケース3の場合は内需への影響も考慮すれば、ゼロないしはマイナス成長に陥る可能性がある。

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