研究成果

research

テキストデータを利用した新しい景況感指標の開発と応用

リサーチリーダー

主席研究員 松林洋一 神戸大学大学院経済学研究科教授

 

研究目的

従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、速報性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究ではビッグデータの一つであるテキストデータに着目して、経済の動向を、速報性をもって析出することを試みる。

本研究では、高頻度(日次ベース)で公表される新聞紙上における経済記事に着目し、同記事のテキスト情報から景況感を析出するという手法(=テキストマイニング)を用いて、より速報性の高い景況感指標を作成することを試みていく。

 

研究内容

2017年度の研究成果を受け、多様な語彙を持つ経済用語を数量的に解析するために、深層学習、特にリカレント・ニューラル・ネットワーク(RNN)という分析枠組みを用いる。深層学習とは、人間の脳内における多層段階にわたる思考過程を模倣した数理モデルの総称であり、アルゴリズムとデータを用いてコンピュータで実装される。

深層学習を二段階で実施する。第一段階では、コンピュータにテキストデータ(新聞記事)を大量に読み取らせ、そのデータに対する回答(景況感指数)を人間が教える。第二段階では、新しいデータを読み込ませて、正答を出力できるか確かめる。第二段階で正答が出力されなければ、第一段階に立ち戻る。そこで、アルゴリズムの修正やデータの追加を行い、再度第二段階へ進む。所望の結果が得られるまで、第一段階と第二段階のサイクルを繰り返す。

 

リサーチャー

関 和弘  甲南大学知能情報学部准教授

岡野光洋  大阪学院大学経済学部講師

生田祐介  APIR研究員

木下祐輔  APIR調査役・研究員

 

期待される成果と社会還元のイメージ

テキストデータを利用した、新しい景況感指標のプロトタイプを開発する。このプロトタイプを、APIRが毎月公表している「APIR Economic Insight Monthly」などへ掲載することも予定している。

新しい景況感指数を見ることによって、企業は家計(消費者)の景況感(経済マインド)を、より早くより正確に知ることができるようになる。こうした情報は、自社にとって最適な経営戦略の立案や、マーケティング戦略の実施に役立つはずである。また、政策当局においても、従来の数量的な経済変数だけではなく、テキストデータによる新たな指標に基づき、柔軟かつ精緻な情勢判断を行い、政策決定に生かすことが可能になるであろう。

 

<研究会の活動>

研究会

・2018年9月   第1回研究会開催(予定)

・2018年11月   第2回研究会開催(予定)

・2019年3月   第3回研究会開催(予定)

関連論文

  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:10月レポート No.29

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔 / 古山 健大

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、10月の訪日外客総数(推計値)は22,100人と入国後の隔離措置期間の短縮などの入国緩和策の影響もあり前月(17,700人)から増加。なお、前々年同月比では-99.1%と大幅減少が続いている。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、8月25,916人となった。うち、観光客は13,304人、商用客は1,374人、その他客は11,238人。東京パラリンピック開催の影響もあり、短期滞在者扱いとなる観光客が1万人を超える水準となった。

    ・日本ではワクチン接種を完了したビジネス目的の短期滞在者や留学生などの新規入国を認めており、今後、ビジネス目的などの訪日外客を中心に増加が見込まれよう。しかし、入国後の隔離措置が依然とられていることに加え、観光目的の入国制限が続いているため、訪日外客の急回復は望めない状況が続こう。

     

    【トピックス1】

    ・関西10月の輸出は8カ月連続で前年比増加した。半導体等製造装置と半導体等電子部品の好調で、輸出額は単月過去最高額。輸入は9カ月連続の同増加。結果、貿易収支は21カ月連続の黒字となり、輸出の伸びは横ばいであったが、輸入の伸びが減速したため、黒字幅は2カ月ぶりに拡大した。

    ・9月の関西国際空港への訪日外客数は1日当たりの入国者数の上限が緩和された影響もあり、3,743人と前月(3,079人)から増加した。

    ・9月のサービス業ではCOVID-19の感染状況が落ち着き、消費者心理の改善により、前月から活動指数が上昇した。第3次産業活動指数は、COVID-19の新規陽性者数の減少や、緊急事態宣言解除の見通しがたったことで個人向けサービス等の改善が好影響した。

    ・第3次産業活動指数のうち、対面型サービス業指数、観光関連指数はいずれも2カ月ぶりの前月比プラス。娯楽業や道路旅客運送業が改善に影響した。

    ・コロナ禍前のピーク(19年10-12月期)と比較すれば、第3次産業は5.2ポイント、対面型サービス業指数は23.1ポイント、観光関連指数は36.3ポイントといずれも低水準。

     

    【トピックス2】

    ・8月の関西2府8県の延べ宿泊者数は5,720.5千人泊、コロナ禍の影響がない前々年同月比は-55.1%と前月の減少幅(同-49.5%)から拡大。感染状況の悪化で、緊急事態宣言が発令された府県が拡大し、夏の帰省シーズンではあったが、旅行手控えにより低調となった。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は5,681.6千人泊で、前々年同月比-42.5%と前月の減少幅(同-28.3%)から拡大した。外国人延べ宿泊者数は38.9千人泊と、同-98.6%減少した。

    ・緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が全国で終了し、各都道府県は独自の旅行需要喚起策を開始、再開した。関西各府県では早いところで10月から割引適用を実施しており、三重県(11月30日まで)、奈良県(22年2月28日まで)を除き、12月31日までを宿泊割引の適用期間としている(2021年11月24日時点)。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:9月レポート No.28

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔 / 古山 健大

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、9月の訪日外客総数(推計値ベース)は17,700人となった(前月:25,900人)。年前半の月平均(16,049人)を上回ったものの、東京オリンピック・パラリンピックが閉幕したこともあり、9月は2カ月連続で減少した。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、7月の総数(暫定値ベース)は51,055人となった。うち、観光客は42,621人、商用客は941人、その他客は7,493人であった。東京オリンピック開催で参加選手や関係者が入国したこともあり観光客が前月(1,657人)から大幅増加した。

     

    【トピックス1】

    ・関西9月の輸出は7カ月連続の前年比増加だが、前月から減速した。輸入は8カ月連続の同増加。結果、貿易収支は20カ月連続の黒字だが、輸入の伸びが輸出の伸びを上回ったため黒字幅は前年比縮小した。7カ月ぶりのマイナス。

    ・9月の関西国際空港への訪日外客数は3,079人と、前月(2,476人)から幾分増加した。政府が1日当たりの日本への入国者数の上限を2,000人から3,500人に緩和した影響が表れたようである。

    ・8月のサービス業は緊急事態宣言の対象地域拡大により前月から悪化した。8月の第3次産業活動指数は2カ月連続の前月比マイナス。COVID-19感染再拡大(第5波)により緊急事態宣言の対象地域が拡大されたことが悪影響した。

    ・第3次産業活動指数のうち、対面型サービス業指数、観光関連指数はいずれも3カ月ぶりの前月比マイナス。飲食店、飲食サービス業、旅行業や宿泊業の悪化が大きく影響した。

     

    【トピックス2】

    ・7月の関西2府8県の延べ宿泊者数は5,356.3千人泊、コロナ禍の影響がない前々年同月比は-49.5%と前月の減少幅(同-65.7%)から大きく縮小した。京都府、大阪府、兵庫県に発令された3度目の緊急事態宣言が6月20日に解除され、行動規制の緩和や東京五輪開催に伴う外国選手団事前合宿の実施が要因となり、国内外の宿泊者数が回復した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は5,314.6千人泊で、前々年同月比-28.3%と前月の減少幅(同-51.5%)から大きく縮小した。府県別では特に、京都府や奈良県の減少幅が前月から大きく縮小。外国人延べ宿泊者数は41.7千人泊と、同-98.7%減少した。

    ・関西の延べ宿泊者数を宿泊者の居住地別でみると、県内の延べ宿泊者数は1,414.1千人泊(前々年同月比+4.2%)、県外は3,746.5千人泊(同-56.5%)であった。なお、県内の伸びは前月(同-32.1%)からプラスに転じ、県外の減少幅は前月(同-71.1%)から縮小したことに注意。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:8月レポート No.27

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔 / 古山 健大

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、8月の訪日外客総数(推計値ベース)は東京パラリンピックの選手や関係者が入国したこともあり25,900人であった。21年前半の月平均(16,049人)を2カ月連続で上回ったものの、前々年同月比では-99.0%となっている。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、6月の総数(暫定値ベース)は9,251人であった。うち、観光客は1,657人、商用客は1,121人、その他客は6,473人であった。

     

    【トピックス1】

    ・関西8月の輸出は6カ月連続で前年比増加。品目別にみれば、アジア向けを中心に半導体等電子部品の輸出額が8月として過去最高額。また、対米、対EU向けでは住宅建設やインフラ整備に用いられる建設用・鉱山用機械が好調であった。

    ・8月の関西国際空港への2,476人となった。前月から減少し、21年前半の月平均(3,722人)を依然下回る状況が続いている。

    ・7月のサービス業はCOVID-19感染再拡大による緊急事態宣言で悪化したものの、一部業種では改善も見られた。7月の第3次産業活動指数は2カ月ぶりの前月比マイナス。4度目の緊急事態宣言が発令され、小売業などを中心に悪影響した。

    ・第3次産業活動指数のうち、対面型サービス業指数、観光関連指数はいずれも2カ月連続の前月比プラス。東京オリンピックの開催等の影響もあり宿泊業やその他生活関連サービス業等が改善した。

     

    【トピックス2】

    ・6月の関西2府8県の延べ宿泊者数は3,297.4千人泊で、伸びはコロナ禍の影響がない前々年同月(2019年6月)比-65.7%と前月の減少幅(同-72.2%)から縮小。京都府、大阪府、兵庫県に発令された3度目の緊急事態宣言が6月20日に解除されたが、依然弱含みでの推移が続いている。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は3,264.4千人泊で伸びは前々年同月比-51.5%と前月から減少幅は縮小。外国人延べ宿泊者数は、33.0千人泊で伸びは同-98.9%となった。

    ・関西の延べ宿泊者数を宿泊者の居住地別でみると、県内の延べ宿泊者数は913.2千人泊、県外は2,252.3千人泊であった。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:7月レポート No.26

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔 / 古山 健大

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、東京オリンピック・パラリンピック開催により7月の訪日外客総数(推計値ベース)は51,100人となった。前月(9,300人)から大幅増加し、7カ月ぶりに5万人を上回る水準。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、5月の総数(暫定値ベース)は10,035人であった。うち、観光客は1,057人、商用客は1,323人、その他客は7,655人であった。

     

    【トピックス1】

    ・関西7月の輸出は5カ月連続で前年比増加し、輸入は6カ月連続の同増加となった。品目別にみれば、旺盛なスマートフォンなどの製造需要を受け、前月に引き続き半導体等電子部品の輸出額が単月として過去最高を記録。また、米国、欧州の景気回復に伴い対米、対EU向けの建設用・鉱山用機械が好調であった。

    ・7月の関西国際空港への訪日外客数は東京オリンピックの参加選手や関係者が入国したこともあり2,776人となった。前月から増加したが、低水準が続く

    ・COVID-19の新規感染者数の増加が落ち着いたこともあり、6月のサービス業は改善した。6月の第3次産業活動指数は3カ月ぶりの前月比プラス。3度目の緊急事態宣言が6月20日に解除されたことが改善に影響した。

    ・第3次産業活動指数のうち、観光関連指数は3カ月ぶりの前月比プラスに転じた。緊急事態宣言の解除を受け、5月の大型連休で落ち込んだ生活娯楽サービス業や宿泊業などが改善した。

     

    【トピックス2】

    ・5月の関西2府8県の延べ宿泊者数は3,056.4千人泊で、伸びはコロナ禍の影響がない前々年同月(2019年5月)比で-72.2%となった。京都府、大阪府、兵庫県に発令された3度目の緊急事態宣言の影響で減少幅は前月から拡大した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は3,015.7千人泊で伸びは前々年同月比-62.6%と前月から減少幅は拡大。外国人延べ宿泊者数は、40.7千人泊で伸びは同-98.6%となった。

    ・関西の延べ宿泊者数を宿泊者の居住地別でみると、県内の延べ宿泊者数は911.8千人泊、県外は2,015.8千人泊であった。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:6月レポート No.25

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔 / 古山 健大

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、入国制限強化の影響もあり6月の訪日外客総数(推計値ベース)は9,300人と前月から減少し、4カ月ぶりに1万人を下回った。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、4月の総数(暫定値ベース)は10,853人であった。うち、観光客は740人、商用客は1,368人、その他客は8,745人であった。

     

    【トピックス1】

    ・対アジア向けに加え対米、対EU向けの輸出の好調もあり、関西6月の輸出は4カ月連続で増加。また、輸入も5カ月連続で増加した。対中貿易動向をみると、輸出の伸びは13カ月連続で増加し、輸入は3カ月ぶりに増加した。

    ・財貨の輸出入は回復を続けているが、サービスの輸出入は依然低調。6月の関西国際空港への訪日外客数は2,361人で前月から増加したものの低水準が続いている。日本人出国者数は2,518人で前月から減少し、底這いで推移している。

    ・3度目の緊急事態宣言により、サービス業の悪化が続いている。

    5月の第3次産業活動指数は2カ月連続の前月比マイナス。緊急事態宣言の影響で、対面型サービス業指数も2カ月連続の同マイナスと厳しい状況が続く。

    ・第3次産業活動指数のうち、観光関連指数は2カ月連続の前月比マイナスで前月からマイナス幅は拡大。5月の大型連休の旅行需要は低調となり、旅行業や宿泊業を中心に悪影響が表れた。

     

    【トピックス2】

    ・4月の関西2府8県の延べ宿泊者数は3,752.7千人泊で、伸びはコロナ禍の影響がない前々年同月(2019年4月)比で-66.4%となった。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は3,719.3千人泊で伸びは前々年同月比-51.3%と前月からマイナス幅は拡大。外国人延べ宿泊者数は、33.4千人泊で伸びは同-99.1%となり、前月から減少幅は拡大した。

    ・関西の延べ宿泊者数を宿泊者の居住地別でみると、県内の延べ宿泊者数は993.0千人泊、県外は2,597.0千人泊であった。夏休みシーズンに向け、各府県で自府県民を対象とした旅行補助事業が予算化されており、今後、県内宿泊者のシェアは高まっていくことが予想される。

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  • 松林 洋一

    テキストデータを利用した新しい景況感指標の開発と応用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2021年度 » 経済予測・分析軸

    AUTHOR : 
    松林 洋一

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 松林 洋一 神戸大学大学院経済学研究科長・経済学部長・教授

     

    研究目的

    従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、リアルアイム性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究ではビッグデータの一つであるテキストデータを利用して、経済の動向を把握することを試みる。

     

    研究内容

    本研究で基本となる成果物は、テキストデータから推定された景気関連指数(S-APIR指数)である。指数を推定するため、2020年度から引き続き、人工知能の一種である深層学習を用いる。深層学習のモデルとして、これまでと同様にリカレント・ニューラル・ネットワーク(Recurrent Neural Network、以下RNN)に加え、Google社が開発した最新の学習モデルであるBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)を用いる。BERTは、RNNのように単語の順序を考慮した上で学習することはせず、文中の全ての単語同士の依存関係を学習する。その処理を基本として、S-APIR指数の各バージョンを推定するモデルを構築する。

     

    <研究体制>

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    松林 洋一  APIR上席研究員、神戸大学大学院経済学研究科長・経済学部長・教授

    リサーチャー

    関 和広   甲南大学知能情報学部教授
    生田 祐介  大阪産業大学経営学部講師

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    新聞記事のテキストデータから景況感を推定するモデルを構築し、その出力値をS-APIR指数と称している。これを政府による既存の景況感指数と比較することで、我々のモデルが有する特徴を明らかにする。その結果を踏まえて、「S-APIR指数」を一般に公表していく。

    景気動向を代理する「S-APIR指数」を見ることで、企業の経営判断を行う際の議論に使えるようにする。そして、国や自治体に対しても、政策決定に活用して頂くことを検討する。具体的に、本研究の成果の一つとして期待できる「単語のデモ・システム」を、ユーザーへ公開する。ユーザー自身が、デモ・システムへ興味ある単語を入力すると、その単語がS-APIR指数にどのような影響を与えているのか知ることができる。例えば、「東京五輪」という単語を入力した場合、ミクロの波及メカニズム(例、建設需要)までは見ることができないが、東京五輪が最終的に景気動向へ正の影響を及ぼすのかどうかを調べるための、きっかけとなる。

  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:5月レポート No.24

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、5月の訪日外客総数(推計値ベース)は10,000人で、前月(10,900人)から減少した。伸びは前々年同月(2019年5月)比でみれば-99.6%となり、依然訪日外客は低迷した状況が続いている。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、3月の総数(暫定値ベース)は12,276人となった。伸びはコロナ禍のない前々年同月(2019年3月)比では、-99.6%と大幅減少が続く。うち、観光客は374人(同-100.0%)、商用客は1,105人(同-99.3%)、その他客は10,797人(同-94.2%)であった。

     

    【トピックス1】

    ・関西5月の輸出は堅調な対中輸出に加え欧米向け輸出の回復もあり、3カ月連続で増加し、伸びは前月から加速した。対中貿易動向をみると、輸出の伸びは12カ月連続の増加だが、輸入は昨年5月のマスク需要の急増を受け、輸入が大幅増加した裏が出たため、2カ月連続の減少となった。

    ・財貨の輸出入は中国や欧米の景気回復により堅調だが、サービスの輸出入は厳しい状況が続いている。

    5月の関西国際空港への訪日外客数は2,001人、日本人出国者数は2,902人でいずれも前月から減少し、低位で推移している。

    ・3度目の緊急事態宣言を受け、サービス業は再び悪化した。

    4月の第3次産業活動指数は98.0で2カ月ぶりの前月比マイナス。4月末に発令された緊急事態宣言により小売業などの対面型サービス業を中心に悪影響が表れた。

    ・第3次産業活動指数のうち、観光関連指数は66.3で2カ月ぶりの前月比マイナス。緊急事態宣言の発令に伴い、飲食サービス業を中心に休業要請が行われたことが悪影響した。

     

    【トピックス2】

    ・3月の関西2府8県の延べ宿泊者数は5,413.3千人泊で、伸びはコロナ禍の影響がない前々年同月(2019年3月)比で-49.9%となった。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は5,356.4千人泊で伸びは前々年同月比-33.3%と前月からマイナス幅は縮小した。外国人延べ宿泊者数は、56.9千人泊で伸びは前々年同月比-98.0%となり、前月から小幅縮小した。

    ・関西の延べ宿泊者数を宿泊者の居住地別でみると、県内の延べ宿泊者数は1,300.0千人泊、県外は3,882.0千人泊であった。延べ宿泊者数に占めるシェアを前年同月で比較すると、県内は上昇している一方で、県外は低下しており、県内比率が高まっていることが分かる。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:4月レポート No.23

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、4月の訪日外客総数(推計値ベース)は10,900人で、前月(12,300人)から減少したが、2カ月連続で1万人を超える水準となった。伸びはCOVID-19の影響がない前々年同月(2019年4月)比でみれば-99.6%で底這いの状況が続いている。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、2月の総数(暫定値ベース)は7,355人(前年同月比-99.3%)となった。うち、観光客は266人(同-100.0%)、商用客は776人(同-98.9%)、その他客は6,313人(同-94.4%)であった。

    ・世界のワクチン接種状況をみれば、欧米の主要国でワクチンの普及が進み、イタリアや英国では観光に対する規制緩和が行われている。一方、日本の接種状況は欧米各国と比較すると遅れており、入国緩和の目途も依然立っていない状況となっている。

     

    【トピックス】

    ・関西4月の輸出は中国や米国の景気回復もあり、2カ月連続のプラスとなり、伸びは前月から加速した。対中貿易動向をみると、輸出の伸びは11カ月連続のプラスだが、輸入は昨年のマスクの輸入の大幅増加の裏が出たため、3カ月ぶりのマイナスとなった。

    ・財貨の輸出入は回復を示しているが、サービスの輸出入は低迷している。

    4月の関西国際空港への訪日外客数は2,341人で前月から減少。また、同月の日本人出国者数は2,965人であった。インバウンド需要、アウトバウンド需要ともに消失した状況が続く。

    ・財貨の生産は持ち直しの動きがみられるが、サービス業の回復は遅れている。

    3月の第3次産業活動指数は97.5で5カ月ぶりの前月比プラス。1-3月期では3四半期ぶりの前期比マイナスとなり、水準は前年同期から低い状況が続く。

    ・第3次産業活動指数のうち、観光関連指数は68.8で2カ月ぶりの前月比プラス。1月の落ち込みが大きかったため1-3月期では65.4となり、3四半期ぶりの前期比マイナスとなった。前年同期の水準(92.7)と比較すれば27.3ポイント低く、回復が遅れていることがわかる。

     

    ・2月の関西2府8県の延べ宿泊者数は3,077.2千人泊で、伸びは13カ月連続の前年比マイナスとなり、大幅減少が続く。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は3,044.4千人泊で伸びは14カ月連続の前年比マイナス、外国人延べ宿泊者数は、32.8千人泊で13カ月連続の同マイナスとなった。

    ・関西の延べ宿泊者数を宿泊者の居住地別でみると、県内の延べ宿泊者数は853千人泊で伸びは3カ月連続の前年比マイナス、県外は2,063千人泊で伸びは15カ月連続の同マイナス。緊急事態宣言再発令により府県間を跨ぐ不要不急の移動が制限されたことから、特に県外の延べ宿泊者への影響が大きい。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:3月レポート No.22

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、3月の訪日外客総数(推計値ベース)は12,300人で、前月から増加したものの、水準は依然低い。伸びは前年同月比-93.6%と17カ月連続のマイナス。なお、昨年の水準が低いため、影響のない前々年同月(2019年3月)比でみれば、-99.6%と依然訪日外客は消失した状況が続いている。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、1月の総数(暫定値ベース)は46,522人(前年同月比-98.3%)となった。うち、観光客は547人(同-100.0%)、商用客は3,099人(同-97.3%)、その他客は42,876人(同-83.4%)であった。

    ・その他客をみれば、ベトナムがビジネス目的での往来が緩和されて以降、3カ月連続で1万人を超える水準となっている。しかしながら、1月14日以降、入国制限が厳格化されたため、ビジネス目的での往来緩和も一時停止されており、来月以降は低水準となろう。

     

    【トピックス】

    ・3月の関西国際空港への訪日外客数は3,129人で前月から増加。伸びは前年同月比-99.2%と14カ月連続のマイナスとなった。なお、前々年同月(2019年3月)比では-99.6%となっており、入国者は消失した状況が続いている。

    ・関西3月の輸出は中国を中心としたアジア向け輸出の好調もあり、前年同月比+14.6%で2カ月ぶりのプラス。また輸入は同+6.2%と2カ月連続のプラス。結果、関西の貿易収支は3,809億円と14カ月連続の黒字となった。

     

    1月の関西2府8県の延べ宿泊者数は12カ月連続の前年比マイナス。1月14日から京都府、大阪府、兵庫県に緊急事態宣言が再発令されたため、マイナス幅は前月から拡大した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は2,993.0千人泊で伸びは13カ月連続の前年比マイナスで、前月からマイナス幅は拡大。外国人延べ宿泊者数は、97.1千人泊で12カ月連続の同マイナスとなった。

    ・関西の延べ宿泊者数を宿泊者の居住地別でみると、20年5月に県内・県外(外国人宿泊者含む)ともに大底とし、Go To トラベルキャンペーン事業が開始された7月以降、中でも県外の宿泊者数の増加が特徴的である。21年1月ではCOVID-19感染再拡大(第3波)を受け、事業が一時停止されたこともあり、特に県外からの宿泊者が大幅に減少している。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:2月レポート No.21

    インバウンド

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、2月の訪日外客総数(推計値ベース)は7,400人で17カ月連続の前年比マイナス。緊急事態宣言再発令の期間が延長されたことで、入国制限の措置も継続となったため、水準は前月から大幅減少した。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、12月の総数(暫定値ベース)は58,673人(前年同月比-97.7%)となった。うち、観光客は1,557人(同-99.9%)、商用客は4,051人(同-96.7%)、その他客は53,065人(同-51.8%)であった。

    ・2020年通年の訪日外客数(暫定値ベース)は、411万5,828人(前年比-87.1%)。うち、観光客は331万2,228人(同-88.3%)、商用客は21万6,028人(同-87.7%)、その他客は58万7,572人(同-68.5%)で、前年から大幅減少。落ち込み幅が大きい観光客は2004年以来の低水準となり、9年ぶりに前年比マイナスに転じた。

     

    【トピックス】

    ・2月の関西国際空港への訪日外客数は1,879人で前月から大幅減少。伸びは前年同月比-99.2%と13カ月連続のマイナスとなった。

    ・20年2月~21年1月の関空への入国者数の累計は31万2,548人で、前年同期(839万2,500人)と比較して-96.3%の減少となった。月平均70万人から、昨年は同2.6万人と激減。

    ・関西2月の輸出は中国の春節時期が2月にずれたため、3カ月ぶりの前年比マイナスとなった。一方、輸入は17カ月ぶりの同プラス。生産活動停止による大幅減少の反動で対中輸入が大幅増加したことによる。

     

    ・12月の関西2府8県の延べ宿泊者数は11カ月連続の前年比マイナス。Go To トラベルキャンペーン事業が一時停止された影響で、マイナス幅は前月から拡大した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は5,069.0千人泊で伸びは12カ月連続の前年比マイナスで、前月からマイナス幅は拡大。外国人延べ宿泊者数は、131.2千人泊で11カ月連続の同マイナスとなった。

    ・2020年通年の関西の延べ宿泊者数は、5,629万人泊と4年ぶりに前年比減少。うち日本人延べ宿泊者数は、5,170万人泊と3年ぶりに、外国人延べ宿泊者数は459万人泊と9年ぶりに、いずれも減少した。

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