研究成果

research

テキストデータを利用した新しい景況感指標の開発と応用

リサーチリーダー

主席研究員 松林洋一 神戸大学大学院経済学研究科教授

 

研究目的

従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、速報性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究ではビッグデータの一つであるテキストデータに着目して、経済の動向を、速報性をもって析出することを試みる。

本研究では、高頻度(日次ベース)で公表される新聞紙上における経済記事に着目し、同記事のテキスト情報から景況感を析出するという手法(=テキストマイニング)を用いて、より速報性の高い景況感指標を作成することを試みていく。

 

研究内容

2017年度の研究成果を受け、多様な語彙を持つ経済用語を数量的に解析するために、深層学習、特にリカレント・ニューラル・ネットワーク(RNN)という分析枠組みを用いる。深層学習とは、人間の脳内における多層段階にわたる思考過程を模倣した数理モデルの総称であり、アルゴリズムとデータを用いてコンピュータで実装される。

深層学習を二段階で実施する。第一段階では、コンピュータにテキストデータ(新聞記事)を大量に読み取らせ、そのデータに対する回答(景況感指数)を人間が教える。第二段階では、新しいデータを読み込ませて、正答を出力できるか確かめる。第二段階で正答が出力されなければ、第一段階に立ち戻る。そこで、アルゴリズムの修正やデータの追加を行い、再度第二段階へ進む。所望の結果が得られるまで、第一段階と第二段階のサイクルを繰り返す。

 

リサーチャー

関 和弘  甲南大学知能情報学部准教授

岡野光洋  大阪学院大学経済学部講師

生田祐介  APIR研究員

木下祐輔  APIR調査役・研究員

 

期待される成果と社会還元のイメージ

テキストデータを利用した、新しい景況感指標のプロトタイプを開発する。このプロトタイプを、APIRが毎月公表している「APIR Economic Insight Monthly」などへ掲載することも予定している。

新しい景況感指数を見ることによって、企業は家計(消費者)の景況感(経済マインド)を、より早くより正確に知ることができるようになる。こうした情報は、自社にとって最適な経営戦略の立案や、マーケティング戦略の実施に役立つはずである。また、政策当局においても、従来の数量的な経済変数だけではなく、テキストデータによる新たな指標に基づき、柔軟かつ精緻な情勢判断を行い、政策決定に生かすことが可能になるであろう。

 

<研究会の活動>

研究会

・2018年9月   第1回研究会開催(予定)

・2018年11月   第2回研究会開催(予定)

・2019年3月   第3回研究会開催(予定)

関連論文

  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:4月レポート

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    インサイト » インバウンド

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    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・4月の関西2府8県別に訪日外客数(推計値)をみると、福井県4人、三重県22人、滋賀県22人、京都府830人、大阪府1,144人、兵庫県183人、奈良県388人、和歌山県33人、鳥取県13人、徳島県7人となった。いずれの府県の訪日外客数も前年同月比-99.9%となった。減少幅は前月から更に拡大し、ほぼ蒸発している状況である。

    ・JNTO訪日外客数推計値によれば、4月総数は2,900人(前年同月比-99.9%)となり、7カ月連続のマイナス。単月の値としては1964年の統計開始以降で過去最少となった。

    ・東アジアの伸び率をみると中国、台湾、香港は3カ月連続、韓国は10カ月連続のマイナス。COVID-19の感染拡大による影響は4月に入り一層厳しくなった。来月以降もしばらく訪日外客が皆無の状況が続こう。

     

    【トピックス】

    ・関西4月の貿易動向を見ると、COVID-19感染拡大による世界経済減速の影響が輸出入ともにみられた。輸出額は前年同月比-5.5%減少し、2カ月連続のマイナス(前月:同-5.2%)。輸入額は同-2.2%減少し7カ月連続のマイナスだが、減少幅は前月(同-4.2%)から縮小した。対中輸入の増加が影響している。結果、関西の貿易収支は3カ月連続の黒字となったが、貿易総額(輸出入合計)は昨年9月を除けば16カ月連続で縮小している。

    ・4月の関空への訪日外客数は前年同月比-99.9%大幅減少し、3カ月連続のマイナス。2019年の関西での外国人消費額は1兆615億円と推計(APIR)されることから、4月のインバウンド需要の損失額は884.1億円(=10,615/12 ×0.999)と推計される。結果、2-4月期インバウンド需要の損失合計は2,309.2億円となる。なお、5月も訪日外客の上陸拒否対象地域が拡大されており、4月と同程度の減少幅が続くと仮定すると、4-6月期の損失合計は2,608億円に増加する。

    ・関空入国者数の伸びをみれば、4月の落ち込みは3月を超えるマイナス幅であった。世界的に人の移動が制限されていることに加え、日本でも入国時の入国規制強化により、有効なワクチンが開発されない現状では、しばらく今月と同等の大幅減が続こう。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:3月レポート

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・3月の関西2府8県別に訪日外客数(推計値)をみると、福井県302人(前年同月比-94.5%)、三重県1,514人(同-90.9%)、滋賀県1,541人(同-90.7%)、京都府5万2,937人(同-91.7%)、大阪府7万4,602人(同-92.3%)、兵庫県1万2,529人(同-91.9%)、奈良県2万3,678人(同-90.3%)、和歌山県2,188人(同-88.7%)、鳥取県874人(同-93.7%)、徳島県577人(同-89.5%)となった。先月に引き続き訪日外客の大幅減少により、各府県で大幅な落ち込みがみられている。

    ・JNTO訪日外客数推計値によれば、3月総数は19万3,700人と前年同月比-93.0%大幅減少し、6カ月連続のマイナス。各国で新型コロナウイルス(以下、COVID-19)による渡航制限や外出禁止などが大きく影響した。

    ・東アジアの伸び率をみると、中国、台湾、香港は2カ月連続、韓国は9カ月連続のマイナス。COVID-19拡大により東アジアを中心に2月を上回る減少幅となった。来月以降も大幅減少が続くと予想されていることから、一層厳しい状況が続くこととなろう。

     

    【トピックス】

    ・関西3月の貿易動向を見ると、COVID-19による世界経済減速の影響が輸出入ともにみられた。輸出額は前年同月比-5.3%減少し、2カ月ぶりのマイナスに転じた(前月:同+0.8%)。輸入額は同-4.2%減少し6カ月連続のマイナスだが、減少幅は前月(同-17.5%)から縮小。結果、関西の貿易収支は2カ月連続の黒字だが、貿易総額(輸出入合計)は昨年9月を除けば15カ月連続で縮小している。

    ・3月の関空への訪日外客数は前年同月比-95.1%大幅減少し、2カ月連続のマイナス。2019年の関西での外国人消費額は1兆610億円と推計(APIR)されることから、3月のインバウンド需要の損失額は840.5億円(=10,610/12×0.951)と推計される。2月の損失額は583.9億円であるから、2-3月損失合計は1,424.4億円となる。なお、4月も3月と同程度の減少幅が続けば、4-6月期の損失合計は2,519.9億円に増加する。

    ・関空入国者数の伸びは、2月に続いて3月の落ち込みも大幅であった。今回の場合は、リーマンショックや東日本大震災のケースと異なる回復パターンとなろう。95%減の水準が最低3カ月続き、以降徐々に回復するパターンを想定するが、完全な回復には1年以上となろう。

    ※英語版はこちら

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:2月レポート

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・2月の関西2府8県別に訪日外客数(推計値)をみると、福井県1,691人(前年同月比-67.6%)、三重県7,421人(同-53.3%)、滋賀県6,466人(同-60.6%)、京都府28万3,118人(同-54.7%)、大阪府41万1,531人(同-55.8%)、兵庫県5万8,021人(同-60.8%)、奈良県14万5,024人(同-36.1%)、和歌山県9,880人(同-56.0%)、鳥取県3,994人(同-66.3%)、徳島県2,391人(同-58.0%)となった。

    ・JNTO訪日外客数推計値によれば、2月総数は108万5,100人と前年同月比-58.3%大幅減少し、5カ月連続のマイナス。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、各国で海外旅行を控える動きがみられるようである。

    ・国籍別に伸び率をみると、中国は17カ月ぶり、台湾は7カ月ぶり、香港は6カ月ぶり、韓国は8カ月連続のマイナス。特に中国は2003年5月以来の減少幅(前年同月比-69.9%)となった。東アジアを中心に新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく現れ、来月以降も更なる大幅減少が予想されていることから、今後の動向には一層の注意が必要。

     

    【トピックス】

    ・2月の関空への訪日外客数は前年同月比-66.0%大幅減少した。2019年の関西での外国人消費額は1兆610億円と推計(APIR)されるから、2月のインバウンド需要の損失額は583.9億円(=10610/12×0.66)と推計される。

    ・関空入国者数の伸びをリーマンショック期、東日本大震災期と今回の新型コロナウイルスの3つの時期を比較すると、今回の落ち込みが最も大きい。各経済ショック発生月の翌月に減少幅が拡大する傾向が見られる。その後、再び訪日外客がプラスとなるまでリーマンショック期で15カ月、東日本大震災期で10カ月を要している。

    ※英語版はこちら

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:1月レポート

    インサイト

    インサイト » インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    インバウンドの「変化の兆し」をいち早く

    ⽉次指標の早期推計︓1⽉レポート

     

    ・1月の訪問率(推計値)を関西2府8県別にみると、前月から訪問率が上昇したのは兵庫県、一方低下したのは三重県、滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県であった。なお、福井県は横ばい。

    ・JNTO訪日外客数推計値によれば、1月総数は266万1,000人と前年同月比-1.1%減少し、4カ月連続のマイナス。訪日韓国人客の大幅減少が続いているが、韓国を除く19カ国では同+23.0%と底堅く推移している。

    ・国籍別に伸び率をみると、中国は16カ月連続、台湾は6カ月連続、香港は5カ月連続でいずれもプラス。一方、韓国は7カ月連続のマイナスだが、前月(同-63.6%)よりマイナス幅は縮小。しかし1月下旬に明らかになった新型肺炎の影響は統計にはまだ出ていないが、動向には注意が必要。
    ※英語版はこちら
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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:12月レポート

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    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    インバウンドの「変化の兆し」をいち早く

    ⽉次指標の早期推計︓12⽉レポート

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:11月レポート

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    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    インバウンドの「変化の兆し」をいち早く

    ⽉次指標の早期推計︓11⽉レポート

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:10月レポート

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    インサイト » インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    インバウンドの「変化の兆し」をいち早く

    ⽉次指標の早期推計︓10⽉レポート

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:9月レポート

    インサイト

    インサイト » インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    インバウンドの「変化の兆し」をいち早く

    ⽉次指標の早期推計︓9⽉レポート

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  • 松林 洋一

    テキストデータを利用した新しい景況感指標の開発と応用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2019年度 » 経済予測・分析軸

    AUTHOR : 
    松林 洋一

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    主席研究員 松林洋一 神戸大学大学院経済学研究科教授

     

    研究目的

    従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、リアルアイム性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究ではビッグデータの一つであるテキストデータに着目して、経済の動向を析出することを試みる。

     

    研究内容

    2018年度から引き続き、人工知能の一種である深層学習(ニューラルネットワークという人間の脳神経回路を模したモデルを構築し、コンピュータに機械学習させること)を、テキストマイニングに用いる。本年度も、深層学習における推定モデルの一つである、リカレント・ニューラル・ネットワーク(Recurrent Neural Network,以下RNN)を、基本の分析枠組みとする。

     

    研究体制

    研究統括

    稲田義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学教授

    リサーチャー

    関 和広  甲南大学知能情報学部准教授

    生田祐介  大阪産業大学経営学部講師

    岡野光洋  大阪学院大学経済学部准教授

    期待される成果と社会還元のイメージ

    テキストデータから景況感を推定するモデルを構築する。政府による既存の景況感指数と比較することで、我々のモデルが有する特徴を明らかにする。その成果として「テキスト版景況感指数」を公表する。

    「テキスト版景況感指数」を見ることで、消費者にとっての景況感を、より深く知ることができるようになる。まずは、企業の経営判断を行う際の議論に使えるようにする。そして、国や自治体に対しても、政策決定に活用して頂くことを検討する。

  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:8月レポート

    インサイト

    インサイト » インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    インバウンドの「変化の兆し」をいち早く

    ⽉次指標の早期推計︓8⽉レポート

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