研究成果

research

テキストデータを利用した新しい景況感指標の開発と応用

リサーチリーダー

主席研究員 松林洋一 神戸大学大学院経済学研究科教授

 

研究目的

従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、速報性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究ではビッグデータの一つであるテキストデータに着目して、経済の動向を、速報性をもって析出することを試みる。

本研究では、高頻度(日次ベース)で公表される新聞紙上における経済記事に着目し、同記事のテキスト情報から景況感を析出するという手法(=テキストマイニング)を用いて、より速報性の高い景況感指標を作成することを試みていく。

 

研究内容

2017年度の研究成果を受け、多様な語彙を持つ経済用語を数量的に解析するために、深層学習、特にリカレント・ニューラル・ネットワーク(RNN)という分析枠組みを用いる。深層学習とは、人間の脳内における多層段階にわたる思考過程を模倣した数理モデルの総称であり、アルゴリズムとデータを用いてコンピュータで実装される。

深層学習を二段階で実施する。第一段階では、コンピュータにテキストデータ(新聞記事)を大量に読み取らせ、そのデータに対する回答(景況感指数)を人間が教える。第二段階では、新しいデータを読み込ませて、正答を出力できるか確かめる。第二段階で正答が出力されなければ、第一段階に立ち戻る。そこで、アルゴリズムの修正やデータの追加を行い、再度第二段階へ進む。所望の結果が得られるまで、第一段階と第二段階のサイクルを繰り返す。

 

リサーチャー

関 和弘  甲南大学知能情報学部准教授

岡野光洋  大阪学院大学経済学部講師

生田祐介  APIR研究員

木下祐輔  APIR調査役・研究員

 

期待される成果と社会還元のイメージ

テキストデータを利用した、新しい景況感指標のプロトタイプを開発する。このプロトタイプを、APIRが毎月公表している「APIR Economic Insight Monthly」などへ掲載することも予定している。

新しい景況感指数を見ることによって、企業は家計(消費者)の景況感(経済マインド)を、より早くより正確に知ることができるようになる。こうした情報は、自社にとって最適な経営戦略の立案や、マーケティング戦略の実施に役立つはずである。また、政策当局においても、従来の数量的な経済変数だけではなく、テキストデータによる新たな指標に基づき、柔軟かつ精緻な情勢判断を行い、政策決定に生かすことが可能になるであろう。

 

<研究会の活動>

研究会

・2018年9月   第1回研究会開催(予定)

・2018年11月   第2回研究会開催(予定)

・2019年3月   第3回研究会開催(予定)

関連論文

  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:2月レポート No.45

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、2月の訪日外客総数(推計値)は147万5,300人と、回復基調が続く。また、1-2月期では297万2,600人と、爆買いが始まった15年1-2月期の水準を上回るペースとなった。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば12月は137万114人。うち、観光客は125万2,391人と、20年1月以来、100万人を超えた。

    ・先行きの訪日外客数の回復については、訪日中国人客の動向が重要となろう。これまで中国との直行便の到着は成田空港、羽田空港、関西国際空港、中部国際空港の4空港に限定されていたが、水際対策緩和に伴い、3月1日以降、上記空港以外の入国も認められた。加えて、成田空港、羽田空港などで中国-日本間の直行便の復便や増便も予定されている。このため今後、訪日中国人客数の回復が期待されよう。

     

    【トピックス1】

    ・関西2月の輸出は2カ月ぶりの前年比増加。また、輸入は25カ月連続の同増加だが、伸びは小幅にとどまった。結果、関西の貿易収支は2カ月ぶりの黒字となった。

    ・2月の関西国際空港への36万9,191人と、3カ月連続で30万人超の水準。1-2月期では74万8,489人となり、全国と同様に15年1-2月期の水準を上回っている。

    ・1月のサービス業の活動は、対面型サービス業を中心に改善。第3次産業活動指数は3カ月ぶりに前月比上昇。また対面型サービス業指数は娯楽業や飲食サービス業が改善し、2カ月ぶりに同上昇した。また、観光関連指数は2カ月連続の同上昇となった。

     

    【トピックス2】

    ・12月の関西2府8県の延べ宿泊者数は9,828.6千人泊、2019年同月比+0.1%と小幅プラスに転じ、コロナ禍前を上回った。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は8,301.0千人泊と3カ月連続でコロナ禍前の水準を上回った。また、外外国人延べ宿泊者数は1,527.6千人泊、2019年同月比-37.7%と減少幅は前月から縮小。府県別にみれば、京都府や大阪府を中心に回復しつつある。

     

     

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  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:1月レポート No.44

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、1月の訪日外客総数(推計値)は149万7,300人と、150万人に迫る水準となり、コロナ禍前の5割強を回復した。なお、訪日中国人客を除いた総数では146万6,100人(同-24.2%)となり、コロナ禍前の7割強である。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば11月は93万4,599人。うち、観光客は77万3,983人と、前月(32万6,699人)から大幅増加し、20年2月(89万8,976人)以来の水準となった。

    ・先行きの訪日外客数については、水際対策の更なる緩和により一層の回復が見込まれよう。これまで続いていた中国からの入国者に対する水際対策の強化が、3月1日から緩和された。このため、これまで回復が遅れていた訪日中国人客数の増加が見込まれ、訪日外客数の回復ペースは加速すると考えられる。

     

    【トピックス1】

    ・関西1月の輸出は中国の春節休暇の時期のズレもあり23カ月連続の前年比減少。一方、輸入は24カ月連続で同増加した。結果、輸関西の貿易収支は5カ月ぶりの赤字となった。

    ・1月の関西国際空港への37万9,298人と2カ月連続の30万人超の水準だが、訪日中国人客の回復が遅れていることもあり、回復のペースは緩やかである。

    ・12月のサービス業の活動は小幅悪化だが、持ち直し傾向を維持。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数はいずもれ3カ月ぶりに前月比低下した。一方、観光関連指数は飲食店、飲食サービス業の上昇もあり、2カ月ぶりに同上昇した。

     

    【トピックス2】

    ・11月の関西2府8県の延べ宿泊者数は10,070.4千人泊、2019年同月比では-7.3%となった。全国旅行支援事業や水際対策緩和の継続により、日本人宿泊者及び外国人宿泊者数が回復しつつある。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は8,915.0千人泊と2カ月連続でコロナ禍前の水準を上回った。また、外国人延べ宿泊者数は1,155.4千人泊と前月(555.9千人泊)から倍増。京都府や大阪府は5割程度の回復となっているが、他府県では2~3割程度の回復にとどまっている。

     

    【トピックス3】

    ・2022年10-12月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆2,651億円となった。10月11日から開始された全国旅行支援事業が国内旅行需要回復に大きく影響した。

    ・2022年通年では4兆2,581億円(19年比+3.1%)と、経済活動の正常化に加え、国内旅行需要喚起策の影響もあり、関西ではコロナ禍前を上回った。

     

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:12月レポート No.43

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、12月の訪日外客総数(推計値)は137万人と前月から大幅増加し、20年2月以来、単月で100万人超の水準まで回復。2022年通年では年後半の水際対策の大幅緩和も影響し383万1,897人と、過去最少となった前年から大幅増加した。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば10月は49万8,646人。うち、観光客は32万6,699人と前月(4万2,108人)から大幅増加し、2020年3月以来の値となった

    ・今後のインバウンドの見通しについては、訪日中国人客の動向が重要となる。中国政府は2月6日以降、団体旅行を一部の国・地域に限って認めると発表したが、日本は今のところ含まれていない。このため、訪日外客の回復については依然不確実性が高い。

     

    【トピックス1】

    ・関西12月の輸出は22カ月連続の前年比増加だが、伸びは前月から減速。また、輸入は23カ月連続で同増加したが、エネルギー価格の落ち着きもあり伸びは前月から減速した。輸出入の伸びが前月からいずれも減速したが、後者の下落幅が前者の下落幅を上回ったため、関西の貿易収支は4カ月連続の黒字となった。

    ・12月の関西国際空港への訪日外客数は33万1,249人と前月(24万7,090人)から増加。2022年通年では、88万5,472人(19年比-89.4%)となった。

    ・11月のサービス業の活動は感染再拡大の影響もあり小幅悪化。第3次産業活動指数は2カ月ぶりの前月比低下。また、観光関連指数も飲食店、飲食サービス業の大幅低下もあり、4カ月ぶりの同低下となった。

     

    【トピックス2】

    ・10月の関西2府8県の延べ宿泊者数は8,708.3千人泊、2019年同月比では-16.0%となった。全国旅行支援事業の開始と水際対策の大幅緩和もあり、減少幅は前月から縮小した。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は8,152.4千人泊、2019年同月比+10.8%とコロナ禍前を上回った。また、外国人延べ宿泊者数は555.9千人泊となり、2019年同月比-81.5%と減少幅は大幅縮小。水際対策の大幅緩和により、大阪府、京都府を中心に外国人宿泊者数が回復している。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:11月レポート No.42

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、11月の訪日外客総数(推計値)は93万4,500人と、前月(49万8,600人)から大幅増加し、100万人に迫る水準まで回復。うち、国・地域別では、韓国が31万5,400人とトップであり、2020年1月以来、単月で30万超の水準となった

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば9月は20万6,641人。うち、観光客は4万2,108人、商用客は5万3,265人、その他客は11万1,268人であった。観光客については前月東京オリンピックが開催された2021年7月以来の水準となった。

    ・12月以降もインバウンド需要は回復傾向が続くと予想されるが、依然として訪日中国人客の回復が課題である。中国政府はゼロコロナ政策の大幅な緩和を発表し、これまで制限されていた中国人の海外旅行についても認可した。一方で日本政府は中国国内の感染拡大を受け、中国からの入国者に対する水際対策の強化を発表した。このため、訪日中国人客の戻りについては依然不透明性が高い。

     

    【トピックス1】

    ・関西11月の輸出は米国向けの建設用・鉱山用機械や医薬品の好調もあり21カ月連続の前年比増加。一方、輸入は22カ月連続の同増加だが、エネルギー価格の落ち着きや鉱工業生産の停滞により伸びは前月から減速。輸入の伸びが前月から減速し、輸出が加速した結果、関西の貿易収支は3カ月連続の黒字だが、黒字幅は縮小した。

    ・11月の関西国際空港への訪日外客数は24万7,090人と、前月から倍増しコロナ禍の影響が出始めた2020年2月の水準を上回った。空港別に訪日外客数の戻りをみてみると、羽田や成田はコロナ禍前の5割程度回復しているが、関空は4割程度の回復にとどまっている。

    ・10月のサービス業の活動は観光需要の増加で対面型サービス業を中心に持ち直している。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数はいずれも2カ月連続の前月比上昇。また、観光関連指数は全国旅行支援事業の開始や水際対策の緩和もあり、3カ月連続で同上昇した。

     

    【トピックス2】

    ・9月の関西2府8県の延べ宿泊者数は7,436.5千人泊。2019年同月比では-24.2%と前月から減少幅は縮小。COVID-19感染拡大が落ち着き、外出機会が増加したことが影響した。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は7,278.4千人泊。2019年同月比では-0.8%と減少幅は前月(同-13.0%)から大幅縮小し、コロナ禍前の水準を回復しつつある。また、外国人延べ宿泊者数は158.0千人泊となり、2019年同月比では-93.6%と減少幅は3カ月連続で縮小。これまで低水準が続いていた外国人宿泊者数は水際対策の緩和が進むにつれ、徐々に持ち直しの動きがみられる。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:10月レポート No.41

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、10月の訪日外客総数(推計値)は49万8,600人と、前月(20万6,500人)から大幅増加し、50万人に迫る水準まで回復。1日当たりの入国者数の上限撤廃、外国人観光客の個人旅行解禁など、これまでの厳格な水際対策が大幅緩和された影響があらわれた。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば8月は16万9,902人。うち、観光客は3万1,441人、商用客は3万7,349人、その他客は10万1,112人となった。

    ・11月以降も水際対策の緩和が継続されることもあり、訪日外客数は持ち直しの傾向が続こう。ただし、コロナ禍前の訪日外客数の30%近くを占めていた中国はゼロコロナ政策の影響で回復が遅れることもあり、訪日外客数全体の戻りは緩慢となろう。

     

    【トピックス1】

    ・関西10月の輸出は20カ月連続の前年比増加だが伸びは前月から減速。一方、輸入は21カ月連続で同増加し伸びは前月から加速。輸出の伸びが減速し、輸入の伸びが加速した結果、関西の貿易収支は2カ月連続の黒字だが、黒字幅は前月から縮小した。

    ・10月の関西国際空港への訪日外客数は11万6,658人と、2020年2月(22万8,987人)以来、単月で10万人超の水準となった。

    ・9月のサービス業の活動は前月から小幅悪化だが、持ち直し傾向が続く。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数はいずれも2カ月ぶりの前月比低下。一方、観光関連指数は2カ月連続で同上昇した。

     

    【トピックス2】

    ・8月の関西2府8県の延べ宿泊者数は8,720.8千人泊。2019年同月比では-31.5%と前月から減少幅は拡大。行動制限のない夏季休暇があったものの、COVID-19の感染再拡大が悪影響した。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は8,598.3千人泊。府県別に2019年同月比をみれば、他府県が減少しているのに対し、京都府が3カ月連続で増加した。また、外国人延べ宿泊者数は122.5千人泊と前月から幾分増加した。

     

    【トピックス3】

    ・2022年7-9月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は9,916.1億円となった。7-8月はCOVID-19の感染状況が悪化していたものの、9月には感染拡大が落ち着いたことで宿泊旅行を中心に回復。府県別では三重県や奈良県は2019年同期比プラスに転じ、和歌山県、鳥取県以外の府県ではマイナス幅が前期より縮小した。

     

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:9月レポート No.40

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、9月の訪日外客総数(推計値)は20万6,500人とコロナ禍の影響が表れ始めた2020年3月の水準(19万3,658人)を上回った。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば7月は14万4,578人となった(2019年同月比-95.2%)。うち、観光客は3万315人、商用客は4万616人、その他客は7万3,647人。

    ・10月以降、水際対策の大幅緩和により訪日外客数の一層の回復が見込まれるが、回復のペースは国・地域によって異なる。特に2019年時に訪日外客の30%を占めていた中国ではゼロコロナ政策の影響で、回復が遅れる可能性が高い。

     

    【トピックス1】

    ・関西9月の輸出は19カ月連続で前年比増加し、伸びは前月から加速。また、輸入は20カ月連続の同増加となり、2桁の高い伸びが続く。輸出の伸びが加速し、輸入の伸びが前月から減速した結果、関西の貿易収支は3カ月ぶりに黒字となった。

    ・9月の関西国際空港への訪日外客数は4万1,456人と前月から増加し、コロナ禍の影響が出始めた2020年3月の水準を上回った。

    ・8月のサービス業の活動は行動制限のない夏季休暇もあり改善した。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数、観光関連指数は、いずれも3カ月ぶりに前月比上昇。夏季休暇による旅行需要増加もあり、宿泊業などが上昇した。

     

    【トピックス2】

    ・7月の関西2府8県の延べ宿泊者数は7,379.2千人泊。2019年同月比-30.4%と減少幅は3カ月連続で縮小した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は7,274.1千人泊で、2019年同月比-1.9%と減少幅は5カ月連続で縮小し、コロナ禍前の水準を回復しつつある。一方、外国人延べ宿泊者数は105.1千人泊で、同-96.7%と依然大幅減少が続く。

     

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:8月レポート No.39

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、8月の訪日外客総数(推計値)は16万9,800人。2019年同月比でみると前月から減少幅は縮小しているが、依然として90%超の減少が続いており、本格的な回復には至っていない。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば6月は12万430人。うち、観光客2万5,879人、商用客6万6,244人、その他客31万4,901人となった。観光客は添乗員付きの団体ツアー客の受け入れ開始の影響もあり、2021年8月以来の水準となった。

    ・10月11日以降、日本の厳格な水際対策が大幅緩和された。1日当たりの入国者数の上限が撤廃され、短期滞在ビザの免除や観光目的の外国人入国者の個人旅行も認可されたこともあり、今後の訪日外客数は、これまで低調であった観光目的を中心に回復が期待されよう。

     

    【トピックス1】

    ・関西8月の輸出は18カ月連続の前年比増加だが伸びは前月から減速。輸入は19カ月連続の同増加となり、2桁の高水準で推移している。輸出の伸びが減速し、輸入の伸びが高水準で推移した結果、関西の貿易収支は2カ月連続の赤字となった。

    ・8月の関西国際空港への訪日外客数は3万4,311人と前月から増加し、コロナ禍の影響が始まった2020年3月と同水準となった。

    ・7月のサービス業の活動はCOVID-19の感染再拡大を受け悪化した。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数、観光関連指数はいずれも2カ月連続で前月比低下。感染状況の悪化に伴い外出機会が減少した影響もあり、飲食店、飲食サービス業、旅行業や宿泊業が低下した。

     

    【トピックス2】

    ・6月の関西2府8県の延べ宿泊者数は6,438.8千人泊。 COVID-19の感染状況が改善されていたこともあり2019年同月比-33.1%と前月から減少幅は縮小した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は6,360.0千人泊で、2019年同月比-5.6%と減少幅は4カ月連続で縮小。京都府を除き各府県で減少傾向が続いている。一方、外国人延べ宿泊者数は78.7千人泊で、同-97.3%と依然大幅減少が続く。

     

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:7月レポート No.38

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、7月の訪日外客総数(推計値)は14万4,500人。4カ月連続で10万人を超える水準だが、同月の訪日外客数を1日当たりに均せば4,661人にとどまっており、1日当たりの入国者数の上限である2万人には満たない状況である。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば5月は14万7,046人。うち、観光客は7,308人、商用客は2万2,743人、その他客は11万6,995人となった。

    ・9月に入り1日当たりの入国者数の上限引き上げや、外国人観光客の新規入国について、添乗員なしの団体ツアーの受け入れ開始等、日本の水際対策が一層緩和された。今後、更なる緩和策(入国者数の上限撤廃、個人旅行の解禁、短期ビザ取得の免除)により訪日外客の増加が期待される

     

    【トピックス1】

    ・関西7月の輸出は17カ月連続の前年比増加だが伸びは前月から幾分減速。一方、輸入は円安の加速や原油高の影響もあり、18カ月連続の同増加となった。輸入の伸びが輸出の伸びを大きく上回った結果、関西の貿易収支は2カ月連続の赤字となった。

    ・7月の関西国際空港への訪日外客数は2万5,189人と4カ月連続で2万人を超える水準だが、全国と同様に依然本格的な回復には至っていない。

    ・6月のサービス業の活動は前月から小幅悪化だが、持ち直し傾向が続く。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数はいずれも4カ月ぶりに前月比小幅低下。一方、観光関連指数は各自治体による旅行需要喚起策も影響し、4カ月連続で同上昇した。

     

    【トピックス2】

    ・5月の関西2府8県の延べ宿泊者数は7,274.3千人泊。3年ぶりに行動制限のない大型連休による影響もあり2019年同月比-33.8%と前月から減少幅は縮小した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は7,170.0千人泊で、2019年同月比-11.2%と前月から減少幅は縮小。また、外国人延べ宿泊者数は104.3千人泊で、同-96.4%と依然大幅減少が続いているが、減少幅は4カ月連続で縮小している。

     

    【トピックス3】

    ・2022年1-3月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は7,893.0億円となった。3年ぶりの行動制限のない大型連休も影響し、22年1-3月期からマイナス幅は縮小。うち、宿泊旅行消費額は、6,053.1億円、日帰り旅行額は1,839.9億円であった。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:6月レポート No.37

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、6月の訪日外客総数(推計値)は12万400人と前月(14万7,000人)から減少するも3カ月連続で10万人超の水準となった。4-6月期では40万6,948人と、1-3月期(10万606人)から増加。しかし、コロナ禍前の2019年4-6月期(857万9,817人)と比べると依然低水準であり、本格的な回復には至っていない。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば4月は13万9,548人となった。うち、観光客は6,166人、商用客は1万2,593人、その他客は12万789人。技能実習生や留学生が含まれるその他客は前月から大幅増加した。

    ・7月以降、団体ツアーに限定した形ではあるものの、外国人観光客の緩やかな増加が見込まれている。しかしながら、依然として個人旅行での新規入国は認められていないため、回復には依然時間を要するだろう。

     

    【トピックス1】

    ・関西6月の輸出は世界的な半導体不足に伴う価格上昇の影響もあり16カ月連続の前年比増加。また、輸入は資源価格高騰の影響が続き、17カ月連続の同増加となった。関西の貿易収支は2カ月ぶりの黒字だが、4-6月期でみれば黒字幅は縮小している。

    ・6月の関西国際空港への訪日外客数は2万3,463人と3カ月連続で2万人超の水準。結果、4-6月期では7万2,240人と、1-3月期(1万7,279人)から大幅増加した。

    ・5月のサービス業の活動は3年ぶりに行動制限のない大型連休もあり持ち直しが続く。第3次産業活動指数は3カ月連続の前月比プラス。大型連休による旅行需要の増加により、飲食店、飲食サービス業、宿泊業や旅行業がいずれも改善した。

     

    【トピックス2】

    ・4月の関西2府8県の延べ宿泊者数は6,275.5千人泊で、2019年同月比-43.8%と前月から減少幅は幾分拡大した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は6,200.1千人泊で、2019年同月比-18.8%と前月から減少幅は幾分縮小。また、外国人延べ宿泊者数は75.2千人泊と、同-97.9%と大幅減少が続く。

    ・先行きについては各自治体の旅行需要喚起策の実施より引き続き宿泊需要は緩やかな回復が見込まれるほか、外国人観光客の新規入国が認められてたこともあり、外国人宿泊者の回復も期待されよう。

     

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:5月レポート No.36

    インバウンド

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、5月の訪日外客総数(推計値)は14万7,000人。前月(13万9,500人)に引き続き10万人を超える水準となった。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば3月は6万6,121人。うち、観光客は3,371人、商用客は5,601人、その他客は5万7,149人であった。

    ・訪日外客数の先行きについては、7月以降、入国者数の上限引き上げなど水際対策の更なる緩和が検討されていることもあり、緩やかな回復がみこまれよう。ただし、個人旅行者の受け入れが再開されない限り、訪日外客数がコロナ禍前の水準を回復するにはしばらく時間を要するだろう。

     

    【トピックス1】

    ・関西5月の輸出は15カ月連続の前年比増加。また、輸入はエネルギー価格高騰もあり、16カ月連続の同増加となった。輸入の伸びが輸出の伸びを大きく上回った結果、関西の貿易収支は4カ月ぶりの赤字に転じた。

    ・5月の関西国際空港への訪日外客数は2万7,161人と2カ月連続で2万人を超える水準となった。

    ・4月のサービス業の活動はCOVID-19の感染状況が落ち着き、行動制限の緩和が進んだことから持ち直しの動きがみられた。第3次産業活動指数は2カ月連続の前月比プラス。行動制限の緩和により、外出機会が増えたこともあり、飲食店、飲食サービス業や宿泊業がいずれも2カ月連続で改善した。

     

    【トピックス2】

    ・3月の関西2府8県の延べ宿泊者数は6,515.5千人泊。三重県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県へのまん延防止等重点措置が解除された影響もあり、2019年同月比は-39.7%と前月から減少幅が縮小した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は6,464.5千人泊で、2019年同月比-19.5%と前月からマイナス幅は縮小。一方、外国人延べ宿泊者数は51.0千人泊と、同-98.2%と大幅な減少が続く。

     

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