研究成果

research

APIR Commentary No.53<人口減少国ドイツと日本>

Abstract

日本の人口減少が始まってしばらく経つ。人口のピークは2009年だった。そこから2100年まで、日本の人口は継続的に減少すると予測されている。しかし、実は、人口減少を経験するのは日本だけではない。

国連が新しく改定した人口推計の2015年版を調べてみると、人口が21世紀中のどこかで最大値を記録し、2100年にかけて減少していく国の数は155カ国。データに収録されている231カ国のうち、実に67%に当たる。世界の総人口は2100年まで増加を続けるが、ヨーロッパやアジアの高所得国から上位中所得国では人口減少こそが常態となる。

関連論文

  • 林 敏彦

    Population as a Source of Long-Term Growth: From Malthus to Japan’s Postmodern Regime

    ディスカッションペーパー

    ディスカッションペーパー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    林 敏彦

    ABSTRACT

    This paper introduces a simple macroeconomic time series model incorporating a key concept of? GDP elasticity with respect to population (population elasticity). Using this model, we conducted empirical analyses of 158 countries each covering 25 to 180 years of history. As a result, we found first that the estimated population elasticity demarcated the countries according to regime, showing clearly whether a country was in the ‘Malthusian regime’, in the ‘modern growth regime’ or in the ‘postmodern regime’. We found that the poorest countries as well as some oil-rich countries were in the Malthusian regime. The modern growth regime prevailed in most European, Asian and American countries in the 20th century. We then predicted long-term real GDP for each country while they stayed in modern growth regimes. Third, we observed that both Germany and Japan went into a postmodern regime after a demographic transformation. Focusing on Japan, we argued that if the nation remained in the modern growth regime, it would face a precipitous decline in GDP. We suggested that Japan must reduce dependence on population as a source of growth in the postmodern era. This lesson might be important for the two thirds of countries in the world that are expected to enter a postmodern regime around the middle of this century.

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  • 稲田 義久

    ツーリズム先進地域・関西をめざして

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2016年度 » 人口減少下における関西の成長戦略

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久 / 林 敏彦

    ABSTRACT

    研究の目的

    ツーリズム先進諸国との比較・分析を踏まえ、観光資源豊富な関西地域にとってツーリズムが重要な成長分野であることを ”産業”、”雇用機会”、”文化発信”等の各視点から客観的に捉えると共に、今後基幹産業として育成していく上での様々な課題をハード・ソフト両面から総合的に検討・把握した上で、関西がツーリズム先進地域として今後さらに飛躍していくための長期的な観光投資戦略のあり方に関する提言をめざす。

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  • 林 敏彦

    世界経済超長期予測 2016年版

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2016年度 » 経済予測・分析、シミュレーション

    RESEARCH LEADER : 
    林 敏彦

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    研究統括 林 敏彦

     

    研究目的

    2015年度は、国連の人口推計2015年版への改定、および世界銀行各国GDPデータの改定を取り入れ、また、基本モデルを改定して、世界155カ国の実質GDPを2100年まで予測するためのAPIR超長期データベースの大改定を行った(以下、「APIR超長期データベース2015年版」と呼ぶ)。2016年度は、このデータベースをウェブで活用できる形に仕上げると同時に、そのデータを用い、同時に行うアジア進出日系企業に関するネット調査を通じて、マクロとミクロの視点から、日本企業の投資先の選択に指針を示す。

    研究内容

    APIR超長期データベースに関しては、今年度インターン数名を指導してデータのアップデートと計量経済学的分析を行い、各種レポートを執筆するなど、研究所内での作業が中心となる。

    平行して行うウェブ調査では、アジア諸国に進出した日本企業の「好感度」調査を行い、消費者ではなく、B to B の視点から、ビジネスパートナーとしての日本企業に対する評価と批判点を明らかにしたい。

    リサーチャー

    島 章弘  APIRシニアプロデューサー

    辻 俊晴  APIR総括調査役

    門野尚誉  APIR総括調査役

    松川純治  APIR総括調査役

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    APIR超長期データベース2015年版を国際的に認知してもらうことを目的として、英文学会誌に成果論文を発表する。

    同データベースを用いた分析と各国経済の超長期見通しを、「アジア太平洋と関西」やコメンタリー、ポリシーブリーフなどのAPIRが発行する媒体を通じて、会員企業および政策担当者向けに提供する。

    データベースを通じて得られた分析と、別に行うネット調査の結果を、新聞、雑誌、「共同ウィークリー」などのメディアを通じて、幅広い読者に向けて発信する。

    研究の全体を取りまとめた報告書を作成する。

  • 林 敏彦

    Democracy and Globalization Are not Prerequisites for Higher Income: A Cross Country Analysis

    ディスカッションペーパー

    ディスカッションペーパー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    林 敏彦

    ABSTRACT

    This paper reports results from a cross country econometric analyses over 150 countries pertaining to possible correlation between per capita GDP and democracy, corruption, globalization and human development indices. Our findings include 1) of the four indices, the human development index has the strongest influence on per capita GDP and its growth, 2) fighting corruption pays as higher levels of cleanliness and transparency tend to raise per capita GDP, but less so in lower income economies, 3) the globalization index does not show any significant correlation with per capita GDP, and 4) the democracy index is not significantly correlated with per capita GDP or growth. but in some country it can hinder growth. The moral of our investigation is that economic growth does not automatically lead to better democracy, and higher per capita income does not warrant higher level of democracy. Democracy is not a means to higher income, but rather, it is an independent value in itself.?

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  • 林 敏彦

    Policy Brief No.1 <大阪にTPP本部創設を>

    政策提言

    政策提言

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    林 敏彦

    ABSTRACT

    日本政府は、TPP交渉の合意がなった今、職員総数300名、年間運営予算100億円規模の常設本部を日本に置く用意があることを宣言し、その実現について参加国に協力を働きかけるべきである。

    日本政府はTPP本部のために必要な土地・建物を大阪市内に確保すべきである。

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  • 林 敏彦

    APIR Commentary No.51<民主主義はペイするか>

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    林 敏彦

    ABSTRACT

    世界にはなぜ豊かな国と貧しい国があるのか、過去20年間で最も高い成長を遂げた国はどのような国か。アジアの中所得国は政治的民主化を遂げなければ、高所得国に移行できないのだろうか。こうした問題を解明する上では経済モデルにも限界がある。そこで、経済のパフォーマンスを非経済変数で説明するモデルを考えてみた。初めに、過去20年の平均実質成長率を「人間開発指数(human development index)」「民主主義指数(democracy index)」、「腐敗認識指数(corruption perception index)「グローバル化指数」国際ドルで評価された「一人当たりGDP」の4つの変数で説明することを試みた。

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  • 林 敏彦

    APIR Commentary No.49<長期停滞仮説論争>

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    林 敏彦

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  • 林 敏彦

    APIR世界経済超長期予測2015年版

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2015年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    林 敏彦

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    研究統括 林 敏彦

     

    研究目的

    これまでに国連の2012年版人口推計をベースとして、アジア太平洋を含む世界180カ国の一人当たりGDPを2100年まで予測したデータベース(DB)を構築し、APIRのウェブサイトで公開すると共に、そのDBを活用した資料をAPIRフォーラムやイラク、韓国、米国、英国、タイ、オーストラリア、ミャンマーなど多くの国からの訪問客に提供し、学術論文としても発表してきた。

    国連の人口推計は2年ごとに改定予定で、今年前半には2014年版が発表されることになっている。改定値の発表に伴い、APIRのDBを再計算、再推定の上、アップデートする。

    新しいDBは、アップデートされたデータに基づいて、「中所得国の罠」(高中所得国における経済発展上の壁)が本当に存在するのかを明らかにし、比較分析によって中所得国の将来的経済発展の可能性を予測することができよう。

    データベース改定作業が年度内に終われば、派生的に生まれると期待される分析と合わせてその結果を随時ホームページに掲載する。また、予測結果は関西企業が海外進出時にカントリーリスクを評価する上で参考になると思われるため、メディア、シンポジウム、新聞記事等を通じて内外に発信する。

    研究内容

    現地への出張調査は行わず、国ごとに異なる人口とGDPとの統計的関係から、将来の一人当たりGDPをできるだけ長期にわたって予測する。

    21世紀中葉までのG7など主要国に関する長期予測は、IMFや世界銀行においても行われているが、その多くは直近数年のトレンドに基づいたナイーブな予測となっているため、人口大転換の影響を考慮に入れない極めて楽観的な予測となっている。本研究がアップデートしようとしているDBは、基礎となるモデルがオリジナルであるだけでなく、カバーする国の多さと予測期間の長さにおいて世界のいかなる機関の予測よりも包括的であり、他のシンクタンク等の予測に対抗する軸を提供する。

     

    リサーチャー

    James Brady APIR研究員

     

    インターン

    Jose Tiusonco

    金 賢九

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    「APIR世界経済超長期予測2015年版」データベースおよびDP「アジアにおける中所得国の罠」を公表予定。また、これらの成果に基づいたワークショップを開催。

    超長期データベースは、研究者、国際機関、経済団体等が世界経済の長期見通しを立てる上で有用であり、企業にとっては海外進出戦略の立案上参考になる。

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  • 林 敏彦

    APIR Commentary No.48<日本経済は長期的に2%成長を維持できるか>

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    林 敏彦

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  • 林 敏彦

    日本経済の超長期予測

    ディスカッションペーパー

    ディスカッションペーパー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    林 敏彦

    ABSTRACT

    日本の人口は2009年をピークとして既に減少に転じ、国立社会保障・人口問題研究所や国連の人口推計によればこの傾向は21世紀の終わりまで続くという。しかし、人口減少の影響は将来の問題として、GDPや一人あたりGDPの短中期の予測にはほとんど取り入れられていない。

    本稿では、われわれが独自に開発した人口とGDPに関する簡単なモデルを使って、2100年までの日本のGDPを推計し、1)過去140年の日本に固有なX 効率性が今後も不変とすれば、GDPは長期にわたって年平均1.3%減少する、2)GDPを2010年の水準に保とうとすれば、X効率性は年平均1?2%上昇しなければならない、3)一人あたりGDPを2010年の水準に保つためには、X効率性の上昇率は0.9%でよい、という結論を得る。

    本論の結論はOECDが2060年まで予測している安定的経済成長仮説を否定するものである。これからアジアをはじめ世界各国で人口減少が始まるという「人口大転換期」を迎えて、本稿が示したような超長期予測の必要性は高まっていくと思われる。

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