研究成果

research

第71回 景気分析と予測(2007年11月20日)

Abstract

「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
(主査: 稲田義久・甲南大学経済学部長・教授
高林喜久生・関西学院大学経済学部教授 )

当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
11月13日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受けた2007-2008年度の改訂経済見通しとなっている。
ポイントは以下の通り。

* 2007年度7-9月期実績の評価‥‥当期の実質GDP成長率(一次速報)は前期比+0.6%、同年率で+2.6%となり、2期ぶりのプラス成長となっ た。4-6月期の同▲1.6%に対する反動とみられる。好調な輸出と適度な民間最終消費の伸びに支えられた。設備投資は3期ぶりのプラスとなった。

* 2007年度の改訂見通し‥‥2007年度の実質GDP成長率は+1.5%となろう(前回予測+2.3%から下方改訂)。改正建築基準法施行による民間住 宅の落ち込みで民間需要の寄与度は低下するが、純輸出の伸びによる外需の好調が支える形となっている。2007年度後半は、これまで景気回復の牽引役で あった民間最終消費、民間企業設備、輸出のダウンサイドリスクの高まりに加え、新たなリスクとして民間住宅が加わった。

* 2008年度の改訂見通し‥‥2008年度の実質GDP成長率は前年度の反動で+2.2%へ加速する。民間住宅および建設投資減少の影響が剥落し、民間最 終消費と民間企業設備が緩やかに回復するためである。米国経済は住宅投資調整が終わる2008年半ばまで潜在成長を下回る水準で推移するが、中国や新興国 が高成長を維持するため、輸出は5.2%と緩やかな伸びとなろう。輸入は内需の伸びが減速するため+3.1%と低調である。