研究成果

research

テキストデータを利用した新しい景況感指標の開発と応用

リサーチリーダー

主席研究員 松林洋一 神戸大学大学院経済学研究科教授

 

研究目的

従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、リアルアイム性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究ではビッグデータの一つであるテキストデータに着目して、経済の動向を把握することを試みる。

 

研究内容

2019年度から引き続き、人工知能の一種である深層学習(ニューラルネットワークという人間の脳神経回路を模したモデルを構築し、コンピュータに機械学習させること)を、テキストマイニングに用いる。2020年度も、深層学習における推定モデルの一つである、リカレント・ニューラル・ネットワーク(Recurrent Neural Network,以下RNN)を、基本の分析枠組みとする。そうした分析による出力結果が、本年度の研究の出発点となる「S-APIR指数」である。

①低コスト・低タイムラグ

景況感を代理する既存の指数は、CI一致指数や消費者態度指数のように、多大な労力を投入したアンケート調査から構築されて、月次で報じられている。ところで、経済情勢の要因は一カ月単位ではなく、日々刻々と変化している。ある月の景況感指数を見て、結果的に経済情勢が前月と異なることに気付いたとしても、景気の転換局面が“いつ”であったのか、“その時”に気づくことはできない。本研究は、こうした課題を克服するため、「S-APIR指数」という新しい指数を提案する。この指数は2つの特徴を有する。まず、既存の新聞記事から自動的に出力されるため、多くの人員を必要としない(低コスト)。さらに、日次で報じることができるため、日々起こりうる景気の転換局面を把握することが可能となる(低タイムラグ)。

②S-APIR指数の評価

一般に、“景況感そのもの”を表す指標は存在せず、既存のCI一致指数や消費者態度指数は、あくまでも、“景況感らしきもの”を示した代理指標に過ぎない。本研究が提案するS-APIR指数についても、その出力の過程は異なるものの、同様に景況感の代理指標である。このため、S-APIR指数が景況感らしきものを表す指標として、どういった観点から、どの程度信頼できるものなのか、定量的にその特徴を明らかにする。具体的に、S-APIR指数は、様々なデータに対して、常に安定した入出力を繰り返すモデルであるのか、既存の類似する指数と比べてどういった特徴を有しているのか、という点に着目する。

③S-APIR指数を用いたマクロ経済分析

S-APIR指数を利用して、予期せぬイベントの発生によるマクロ経済への影響を把握することを試みる。対象のイベントとして、世界金融危機(2008年9月15日)、東日本大震災(2011年3月11日)、上海株式市場暴落(2016年1月4日)を視野に入れている。これらのイベントへ注目することにより、負のショックに対して消費者や企業がどう反応するかという観点から、「経済の不確実性」の特徴を示す。

 

研究体制

研究統括

稲田義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学教授

リサーチリーダー

松林洋一  APIR主席研究員、神戸大学大学院経済学研究科長・教授

リサーチャー

関 和広  甲南大学知能情報学部准教授

生田祐介  大阪産業大学経営学部講師

期待される成果と社会還元のイメージ

新聞記事のテキストデータから景況感を推定するモデルを構築し、その出力値をS-APIR指数と称している。これを政府による既存の景況感指数と比較することで、我々のモデルが有する特徴を明らかにする。その結果を踏まえて、「S-APIR指数」を一般に公表していく。

「S-APIR指数」を見ることで、消費者にとっての景況感を、より深く知ることができるようになる。まずは、企業の経営判断を行う際の議論に使えるようにする。そして、国や自治体に対しても、政策決定に活用して頂くことを検討する。

<研究会の活動>

研究会

関連論文

  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:6月レポート No.25

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔 / 古山 健大

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、入国制限強化の影響もあり6月の訪日外客総数(推計値ベース)は9,300人と前月から減少し、4カ月ぶりに1万人を下回った。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、4月の総数(暫定値ベース)は10,853人であった。うち、観光客は740人、商用客は1,368人、その他客は8,745人であった。

     

    【トピックス1】

    ・対アジア向けに加え対米、対EU向けの輸出の好調もあり、関西6月の輸出は4カ月連続で増加。また、輸入も5カ月連続で増加した。対中貿易動向をみると、輸出の伸びは13カ月連続で増加し、輸入は3カ月ぶりに増加した。

    ・財貨の輸出入は回復を続けているが、サービスの輸出入は依然低調。6月の関西国際空港への訪日外客数は2,361人で前月から増加したものの低水準が続いている。日本人出国者数は2,518人で前月から減少し、底這いで推移している。

    ・3度目の緊急事態宣言により、サービス業の悪化が続いている。

    5月の第3次産業活動指数は2カ月連続の前月比マイナス。緊急事態宣言の影響で、対面型サービス業指数も2カ月連続の同マイナスと厳しい状況が続く。

    ・第3次産業活動指数のうち、観光関連指数は2カ月連続の前月比マイナスで前月からマイナス幅は拡大。5月の大型連休の旅行需要は低調となり、旅行業や宿泊業を中心に悪影響が表れた。

     

    【トピックス2】

    ・4月の関西2府8県の延べ宿泊者数は3,752.7千人泊で、伸びはコロナ禍の影響がない前々年同月(2019年4月)比で-66.4%となった。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は3,719.3千人泊で伸びは前々年同月比-51.3%と前月からマイナス幅は拡大。外国人延べ宿泊者数は、33.4千人泊で伸びは同-99.1%となり、前月から減少幅は拡大した。

    ・関西の延べ宿泊者数を宿泊者の居住地別でみると、県内の延べ宿泊者数は993.0千人泊、県外は2,597.0千人泊であった。夏休みシーズンに向け、各府県で自府県民を対象とした旅行補助事業が予算化されており、今後、県内宿泊者のシェアは高まっていくことが予想される。

    PDF
  • 松林 洋一

    テキストデータを利用した新しい景況感指標の開発と応用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2021年度 » 経済予測・分析軸

    AUTHOR : 
    松林 洋一

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 松林 洋一 神戸大学大学院経済学研究科長・経済学部長・教授

     

    研究目的

    従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、リアルアイム性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究ではビッグデータの一つであるテキストデータを利用して、経済の動向を把握することを試みる。

     

    研究内容

    本研究で基本となる成果物は、テキストデータから推定された景気関連指数(S-APIR指数)である。指数を推定するため、2020年度から引き続き、人工知能の一種である深層学習を用いる。深層学習のモデルとして、これまでと同様にリカレント・ニューラル・ネットワーク(Recurrent Neural Network、以下RNN)に加え、Google社が開発した最新の学習モデルであるBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)を用いる。BERTは、RNNのように単語の順序を考慮した上で学習することはせず、文中の全ての単語同士の依存関係を学習する。その処理を基本として、S-APIR指数の各バージョンを推定するモデルを構築する。

     

    <研究体制>

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    松林 洋一  APIR上席研究員、神戸大学大学院経済学研究科長・経済学部長・教授

    リサーチャー

    関 和広   甲南大学知能情報学部准教授
    生田 祐介  大阪産業大学経営学部講師

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    新聞記事のテキストデータから景況感を推定するモデルを構築し、その出力値をS-APIR指数と称している。これを政府による既存の景況感指数と比較することで、我々のモデルが有する特徴を明らかにする。その結果を踏まえて、「S-APIR指数」を一般に公表していく。

    景気動向を代理する「S-APIR指数」を見ることで、企業の経営判断を行う際の議論に使えるようにする。そして、国や自治体に対しても、政策決定に活用して頂くことを検討する。具体的に、本研究の成果の一つとして期待できる「単語のデモ・システム」を、ユーザーへ公開する。ユーザー自身が、デモ・システムへ興味ある単語を入力すると、その単語がS-APIR指数にどのような影響を与えているのか知ることができる。例えば、「東京五輪」という単語を入力した場合、ミクロの波及メカニズム(例、建設需要)までは見ることができないが、東京五輪が最終的に景気動向へ正の影響を及ぼすのかどうかを調べるための、きっかけとなる。

  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:5月レポート No.24

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、5月の訪日外客総数(推計値ベース)は10,000人で、前月(10,900人)から減少した。伸びは前々年同月(2019年5月)比でみれば-99.6%となり、依然訪日外客は低迷した状況が続いている。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、3月の総数(暫定値ベース)は12,276人となった。伸びはコロナ禍のない前々年同月(2019年3月)比では、-99.6%と大幅減少が続く。うち、観光客は374人(同-100.0%)、商用客は1,105人(同-99.3%)、その他客は10,797人(同-94.2%)であった。

     

    【トピックス1】

    ・関西5月の輸出は堅調な対中輸出に加え欧米向け輸出の回復もあり、3カ月連続で増加し、伸びは前月から加速した。対中貿易動向をみると、輸出の伸びは12カ月連続の増加だが、輸入は昨年5月のマスク需要の急増を受け、輸入が大幅増加した裏が出たため、2カ月連続の減少となった。

    ・財貨の輸出入は中国や欧米の景気回復により堅調だが、サービスの輸出入は厳しい状況が続いている。

    5月の関西国際空港への訪日外客数は2,001人、日本人出国者数は2,902人でいずれも前月から減少し、低位で推移している。

    ・3度目の緊急事態宣言を受け、サービス業は再び悪化した。

    4月の第3次産業活動指数は98.0で2カ月ぶりの前月比マイナス。4月末に発令された緊急事態宣言により小売業などの対面型サービス業を中心に悪影響が表れた。

    ・第3次産業活動指数のうち、観光関連指数は66.3で2カ月ぶりの前月比マイナス。緊急事態宣言の発令に伴い、飲食サービス業を中心に休業要請が行われたことが悪影響した。

     

    【トピックス2】

    ・3月の関西2府8県の延べ宿泊者数は5,413.3千人泊で、伸びはコロナ禍の影響がない前々年同月(2019年3月)比で-49.9%となった。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は5,356.4千人泊で伸びは前々年同月比-33.3%と前月からマイナス幅は縮小した。外国人延べ宿泊者数は、56.9千人泊で伸びは前々年同月比-98.0%となり、前月から小幅縮小した。

    ・関西の延べ宿泊者数を宿泊者の居住地別でみると、県内の延べ宿泊者数は1,300.0千人泊、県外は3,882.0千人泊であった。延べ宿泊者数に占めるシェアを前年同月で比較すると、県内は上昇している一方で、県外は低下しており、県内比率が高まっていることが分かる。

    PDF
  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:4月レポート No.23

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、4月の訪日外客総数(推計値ベース)は10,900人で、前月(12,300人)から減少したが、2カ月連続で1万人を超える水準となった。伸びはCOVID-19の影響がない前々年同月(2019年4月)比でみれば-99.6%で底這いの状況が続いている。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、2月の総数(暫定値ベース)は7,355人(前年同月比-99.3%)となった。うち、観光客は266人(同-100.0%)、商用客は776人(同-98.9%)、その他客は6,313人(同-94.4%)であった。

    ・世界のワクチン接種状況をみれば、欧米の主要国でワクチンの普及が進み、イタリアや英国では観光に対する規制緩和が行われている。一方、日本の接種状況は欧米各国と比較すると遅れており、入国緩和の目途も依然立っていない状況となっている。

     

    【トピックス】

    ・関西4月の輸出は中国や米国の景気回復もあり、2カ月連続のプラスとなり、伸びは前月から加速した。対中貿易動向をみると、輸出の伸びは11カ月連続のプラスだが、輸入は昨年のマスクの輸入の大幅増加の裏が出たため、3カ月ぶりのマイナスとなった。

    ・財貨の輸出入は回復を示しているが、サービスの輸出入は低迷している。

    4月の関西国際空港への訪日外客数は2,341人で前月から減少。また、同月の日本人出国者数は2,965人であった。インバウンド需要、アウトバウンド需要ともに消失した状況が続く。

    ・財貨の生産は持ち直しの動きがみられるが、サービス業の回復は遅れている。

    3月の第3次産業活動指数は97.5で5カ月ぶりの前月比プラス。1-3月期では3四半期ぶりの前期比マイナスとなり、水準は前年同期から低い状況が続く。

    ・第3次産業活動指数のうち、観光関連指数は68.8で2カ月ぶりの前月比プラス。1月の落ち込みが大きかったため1-3月期では65.4となり、3四半期ぶりの前期比マイナスとなった。前年同期の水準(92.7)と比較すれば27.3ポイント低く、回復が遅れていることがわかる。

     

    ・2月の関西2府8県の延べ宿泊者数は3,077.2千人泊で、伸びは13カ月連続の前年比マイナスとなり、大幅減少が続く。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は3,044.4千人泊で伸びは14カ月連続の前年比マイナス、外国人延べ宿泊者数は、32.8千人泊で13カ月連続の同マイナスとなった。

    ・関西の延べ宿泊者数を宿泊者の居住地別でみると、県内の延べ宿泊者数は853千人泊で伸びは3カ月連続の前年比マイナス、県外は2,063千人泊で伸びは15カ月連続の同マイナス。緊急事態宣言再発令により府県間を跨ぐ不要不急の移動が制限されたことから、特に県外の延べ宿泊者への影響が大きい。

    PDF
  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:3月レポート No.22

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、3月の訪日外客総数(推計値ベース)は12,300人で、前月から増加したものの、水準は依然低い。伸びは前年同月比-93.6%と17カ月連続のマイナス。なお、昨年の水準が低いため、影響のない前々年同月(2019年3月)比でみれば、-99.6%と依然訪日外客は消失した状況が続いている。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、1月の総数(暫定値ベース)は46,522人(前年同月比-98.3%)となった。うち、観光客は547人(同-100.0%)、商用客は3,099人(同-97.3%)、その他客は42,876人(同-83.4%)であった。

    ・その他客をみれば、ベトナムがビジネス目的での往来が緩和されて以降、3カ月連続で1万人を超える水準となっている。しかしながら、1月14日以降、入国制限が厳格化されたため、ビジネス目的での往来緩和も一時停止されており、来月以降は低水準となろう。

     

    【トピックス】

    ・3月の関西国際空港への訪日外客数は3,129人で前月から増加。伸びは前年同月比-99.2%と14カ月連続のマイナスとなった。なお、前々年同月(2019年3月)比では-99.6%となっており、入国者は消失した状況が続いている。

    ・関西3月の輸出は中国を中心としたアジア向け輸出の好調もあり、前年同月比+14.6%で2カ月ぶりのプラス。また輸入は同+6.2%と2カ月連続のプラス。結果、関西の貿易収支は3,809億円と14カ月連続の黒字となった。

     

    1月の関西2府8県の延べ宿泊者数は12カ月連続の前年比マイナス。1月14日から京都府、大阪府、兵庫県に緊急事態宣言が再発令されたため、マイナス幅は前月から拡大した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は2,993.0千人泊で伸びは13カ月連続の前年比マイナスで、前月からマイナス幅は拡大。外国人延べ宿泊者数は、97.1千人泊で12カ月連続の同マイナスとなった。

    ・関西の延べ宿泊者数を宿泊者の居住地別でみると、20年5月に県内・県外(外国人宿泊者含む)ともに大底とし、Go To トラベルキャンペーン事業が開始された7月以降、中でも県外の宿泊者数の増加が特徴的である。21年1月ではCOVID-19感染再拡大(第3波)を受け、事業が一時停止されたこともあり、特に県外からの宿泊者が大幅に減少している。

    PDF
  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:2月レポート No.21

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、2月の訪日外客総数(推計値ベース)は7,400人で17カ月連続の前年比マイナス。緊急事態宣言再発令の期間が延長されたことで、入国制限の措置も継続となったため、水準は前月から大幅減少した。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、12月の総数(暫定値ベース)は58,673人(前年同月比-97.7%)となった。うち、観光客は1,557人(同-99.9%)、商用客は4,051人(同-96.7%)、その他客は53,065人(同-51.8%)であった。

    ・2020年通年の訪日外客数(暫定値ベース)は、411万5,828人(前年比-87.1%)。うち、観光客は331万2,228人(同-88.3%)、商用客は21万6,028人(同-87.7%)、その他客は58万7,572人(同-68.5%)で、前年から大幅減少。落ち込み幅が大きい観光客は2004年以来の低水準となり、9年ぶりに前年比マイナスに転じた。

     

    【トピックス】

    ・2月の関西国際空港への訪日外客数は1,879人で前月から大幅減少。伸びは前年同月比-99.2%と13カ月連続のマイナスとなった。

    ・20年2月~21年1月の関空への入国者数の累計は31万2,548人で、前年同期(839万2,500人)と比較して-96.3%の減少となった。月平均70万人から、昨年は同2.6万人と激減。

    ・関西2月の輸出は中国の春節時期が2月にずれたため、3カ月ぶりの前年比マイナスとなった。一方、輸入は17カ月ぶりの同プラス。生産活動停止による大幅減少の反動で対中輸入が大幅増加したことによる。

     

    ・12月の関西2府8県の延べ宿泊者数は11カ月連続の前年比マイナス。Go To トラベルキャンペーン事業が一時停止された影響で、マイナス幅は前月から拡大した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は5,069.0千人泊で伸びは12カ月連続の前年比マイナスで、前月からマイナス幅は拡大。外国人延べ宿泊者数は、131.2千人泊で11カ月連続の同マイナスとなった。

    ・2020年通年の関西の延べ宿泊者数は、5,629万人泊と4年ぶりに前年比減少。うち日本人延べ宿泊者数は、5,170万人泊と3年ぶりに、外国人延べ宿泊者数は459万人泊と9年ぶりに、いずれも減少した。

    PDF
  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:1月レポート No.20

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、1月の訪日外客総数(推計値)は16カ月連続のマイナス。12月下旬以降、入国制限が厳格化されたため、水準は前月から減少した。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、11月の総数(暫定値)は56,673人(前年同月比-97.7%)となった。うち、観光客は1,030人(同-100.0%)、商用客は4,793人(同-97.2%)、その他客は50,850人(同-59.0%)であった。11月にベトナムや中国との間でビジネスや留学目的などでの入国条件が緩和されたこともあり、その他客は前月から大幅増加している。

    ・11カ国・地域の間で例外的に認可されていたビジネス目的などでの往来が1月14日から一時停止となった。また2月2日に緊急事態宣言再発令の期間が3月7日まで延長されたことで、入国制限の措置も継続となった。このため訪日外客数の動向については厳しい状況が続こう。

     

    【トピックス】

    ・1月の関西国際空港への訪日外客数は10,919人で(前年同月比-98.5%)、伸びは12カ月連続のマイナス。マイナス幅は前月から幾分拡大した。

    ・関空への訪日外客数減少による12月のインバウンド需要の損失額は、2019年の関西での外国人消費額は1兆2,127億円(確報ベース)であるため、995億円(= 12,127/12 ×関空への訪日外客数の減少率)と推計される。結果、20年2月から21年1月までのインバウンド需要の損失合計は1兆1,662億円で、19年の外国人消費額の96%と推計される。

    ・関西1月の輸出総額は対中輸出の伸びの拡大もあり、前年同月比+13.3%で2カ月連続のプラス。対中輸出は昨年の春節が1月であったこともあり同+40.0%と前月から大幅上昇し、8カ月連続のプラスとなった。

     

    11月の関西2府8県の延べ宿泊者数は10カ月連続の前年比マイナスだが、Go To トラベルキャンペーンの影響もあり、マイナス幅は前月から縮小。ただし、12月14日にGo To トラベルキャンペーンが全国的に停止されたため、来月以降、マイナス幅が拡大する可能性が高い。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は6,835.9千人泊で伸びは11カ月連続の前年比マイナスだが、前月からマイナス幅は縮小。外国人延べ宿泊者数は、112.6千人泊で9カ月連続の同マイナスとなり、依然底這いの状況が続く。

    ・11月の延べ宿泊者数(関西2府8県ベース)の減少幅から(関西の)国内旅行消費額の損失額を推計すると、約508億円となる(=4.1兆円/12 ×関西の延べ宿泊者数の当月の減少率)。結果、3-11月期の損失額は約1.6兆円となる。

    ・12月速報値を考慮した延べ宿泊者数(全国ベース)の減少幅から(全国の)国内旅行消費額の損失額を計算すると、約4,459億円となる(=21.9兆円/12 ×全国の延べ宿泊者数の当月の減少率)。結果、3-12月期の損失額合計は約8.4兆円となる。

    PDF
  • 生田 祐介

    テキストデータを利用した新しい景況感指標の開発と応用(下)― 応用編:深層学習を利用したテキスト分析 ―

    ディスカッションペーパー

    ディスカッションペーパー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    生田 祐介 / 関 和広 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    本稿では、テキストマイニングに基づいて、新聞や雑誌の文字情報から景況感指数の計測を行う際の実践的な手続きについて解説していきます。テキストマイニングの基本的概念については、入門編において紹介しました。文字情報から景気動向を抽出するという試みは、魅力的ですが、基本的なテキストマイニングの手法には限界もあります。最も重要な問題点は、新聞記事等の文章に含まれている単語を単体として取り出して、その単語のみで景気の良し悪しを判定することは適当ではないということです。ここでは、深層学習の代表的な手法であるニューラルネットワークと呼ばれるモデル(およびその修正版)について丁寧に解説を行います。あわせて上巻で紹介した内閣府「景気ウォッチャー調査」をもとに、こうした新たな手法を用いた景況感指数の計測を紹介し、その特性を見ていくことにします。

    PDF
  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:12月レポート No.19

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、12月の訪日外客総数(推計値)は15カ月連続のマイナス。2020年通年は411万5,900人で9年ぶりのマイナスとなり、1998年以来(410万6,057人)の低水準。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、10月の総数(暫定値)は27,386人(前年同月比-98.9%)となった。うち、観光客は760人(同-100.0%)、商用客は2,588人(同-98.4%)、その他客は24,038人(同-84.7%)であった。10月は一定条件下で中長期の在留資格を持つ訪日外客の新規入国が全面緩和されたこともあり、留学目的などを含むその他客が2カ月連続で1万人を超えた。

    ・国内でCOVID-19変異株が確認されたため、政府は、これまで条件付きで緩和していた全世界からの新規入国を12月28日に一時停止した。また、1月14日から例外的に認可されていたビジネス目的の往来も一時停止した。このため、1月の訪日外客数は反転減少の可能性が高い。

     

    【トピックス】

    ・12月の関西国際空港への訪日外客数は13,552人(前年同月比-97.9%)で、伸びは11カ月連続のマイナスで依然大幅な減少が続く。2020年通年は101万1,184人と、1996年以来の値(92万491人)となった。

    ・関空への訪日外客数減少による12月のインバウンド需要の損失額は、2019年の関西での外国人消費額は1兆2,127億円(確報ベース)であるため、989億円(= 12,127/12 ×関空への訪日外客数の減少率)と推計される。結果、2-12月期インバウンド需要の損失合計は1兆667億円となり、2019年ベースの外国人消費額の88%を損失したことになる。

    ・関西12月の輸出総額は前年同月比+5.2%で、2カ月ぶりのプラス。

     

    10月の関西2府8県の延べ宿泊者数は9カ月連続の前年比マイナスだが、前月よりマイナス幅は縮小。10月1日より、Go To トラベルキャンペーンの対象に東京都が加えれられたこともあり、マイナス幅は5カ月連続で縮小した。ただし、11月後半からのCOVID-19の感染再拡大(第3波)の影響もあり、先行きは不確実性が強く、注視が必要である。

    ・うち日本人延べ宿泊者数は、5,634.4千人泊で伸びは10カ月連続の前年比マイナス。外国人延べ宿泊者数は、40.7千人泊で8カ月連続の同マイナスとなった。

    ・10月の延べ宿泊者数(関西2府8県ベース)の減少幅から(関西の)国内旅行消費額の損失額を推計すると、約807億円となる(=4.1兆円/12 ×関西の延べ宿泊者数の当月の減少率)。結果、3-10月期の損失額は約1.5兆円となる。

    ・11月速報値を考慮した延べ宿泊者数(全国ベース)の減少幅から(全国の)国内旅行消費額の損失額を計算すると、約2,873億円となる(=21.9兆円/12 ×全国の延べ宿泊者数の当月の減少率)。結果、3-11月期の損失額合計は約7.9兆円となる。

    PDF
  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:11月レポート

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、11月の総数(推計値)は56,700人で、14カ月連続のマイナス(前年同月比-97.7%)。11月1日に日本政府が中国(香港、マカオ含む)、韓国やベトナムなど9カ国・地域の感染症危険度を引き下げたこともあり、訪日外客数は前月から増加した。

    ・JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、9月の総数(暫定値)は13,684人(前年同月比-99.4%)となった。うち、観光客は497人(同-100.0%)、商用客は1,317人(同-99.1%)、その他客は11,870人(同-94.2%)であった。9月は在留資格を持つ訪日外客の再入国が全面緩和されたこともあり、特に留学目的などを含むその他客が前月から増加し、1万人を超える水準となった。

     

    【トピックス】

    ・11月の関西国際空港への訪日外客数は11,945人であった(前年同月比-98.2%)。伸びは10カ月連続のマイナスで依然大幅な減少が続いているが、2020年3月(35,696人)以来の水準。

    ・関空への訪日外客数減少による11月のインバウンド需要の損失額は、2019年の関西での外国人消費額は1兆2,127億円(確報ベース)であるため、993億円(= 12,127/12 ×関空への訪日外客数の減少率)と推計される。

    ・関西11月の輸出総額の伸びは対中輸出の伸びの鈍化が影響したこともあり、2カ月ぶりのマイナス(前年同月比-4.0%)となった。

    ・9月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は8カ月連続の前年同月比マイナス(同-52.1%)。COVID-19感染再拡大が落ち着いていたことに加え、9月後半の連休もあり、マイナス幅は前月(同-63.3%)から縮小した。

    ・うち日本人延べ宿泊者数をみれば、4,665.2千人泊となり9カ月連続の前年同月比マイナス。外国人延べ宿泊者数をみれば、30.7千人泊となり8カ月連続の前年同月比マイナスとなった。

    ・9月の延べ宿泊者数(関西2府8県ベース)の減少幅から(関西の)国内旅行消費額の損失額を推計すると、約1,254億円となる(=4.1兆円/12 ×関西の延べ宿泊者数の当月の減少率)。結果、3-9月期の損失額は約1.4兆円となる。

    ・10月速報値を考慮した延べ宿泊者数(全国ベース)の減少幅から(全国の)国内旅行消費額の損失額を計算すると、約3,183億円となる(=21.9兆円/12 ×全国の延べ宿泊者数の当月の減少率)。結果、3-10月期の損失額合計は約7.6兆円となる。

     

    PDF