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「2022年度」の研究・論文一覧

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    景気討論会レポート 2022

    その他の活動・出版物紹介

    その他の活動・出版物紹介 » 出版物紹介

     / DATE : 

    ABSTRACT

    APIRでは、最新の日本・関西経済の見通しを四半期毎に報告するとともに、時宜に適ったテーマで有識者による景気討論会を毎年開催しています。

     

    2022年度は以下2回に分けて開催し、成果をレポート(冊子)にまとめました。

     

    ・APIR景気討論会〈日本経済編〉

    「生産性と賃金上昇の同時実現策を追求する―シン・景気好循環とは―」

    2022年12月15日(木)15:00~16:30

     

    ・APIR景気討論会〈関西経済編〉

    「関西のシン・景気好循環の実現に向けて」

    2023年3月13日(月)15:00~16:30

     

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  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:2月レポート No.45

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、2月の訪日外客総数(推計値)は147万5,300人と、回復基調が続く。また、1-2月期では297万2,600人と、爆買いが始まった15年1-2月期の水準を上回るペースとなった。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば12月は137万114人。うち、観光客は125万2,391人と、20年1月以来、100万人を超えた。

    ・先行きの訪日外客数の回復については、訪日中国人客の動向が重要となろう。これまで中国との直行便の到着は成田空港、羽田空港、関西国際空港、中部国際空港の4空港に限定されていたが、水際対策緩和に伴い、3月1日以降、上記空港以外の入国も認められた。加えて、成田空港、羽田空港などで中国-日本間の直行便の復便や増便も予定されている。このため今後、訪日中国人客数の回復が期待されよう。

     

    【トピックス1】

    ・関西2月の輸出は2カ月ぶりの前年比増加。また、輸入は25カ月連続の同増加だが、伸びは小幅にとどまった。結果、関西の貿易収支は2カ月ぶりの黒字となった。

    ・2月の関西国際空港への36万9,191人と、3カ月連続で30万人超の水準。1-2月期では74万8,489人となり、全国と同様に15年1-2月期の水準を上回っている。

    ・1月のサービス業の活動は、対面型サービス業を中心に改善。第3次産業活動指数は3カ月ぶりに前月比上昇。また対面型サービス業指数は娯楽業や飲食サービス業が改善し、2カ月ぶりに同上昇した。また、観光関連指数は2カ月連続の同上昇となった。

     

    【トピックス2】

    ・12月の関西2府8県の延べ宿泊者数は9,828.6千人泊、2019年同月比+0.1%と小幅プラスに転じ、コロナ禍前を上回った。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は8,301.0千人泊と3カ月連続でコロナ禍前の水準を上回った。また、外外国人延べ宿泊者数は1,527.6千人泊、2019年同月比-37.7%と減少幅は前月から縮小。府県別にみれば、京都府や大阪府を中心に回復しつつある。

     

     

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.119-景気は足下改善、先行きも改善を見込む:海外経済減速による景気下振れリスクが懸念材料-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 山守 信博

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下改善、先行きも改善を見込む。足下、生産は大幅減産し、弱い動きとなった。雇用環境は持ち直しの動きに一服感がみられる一方で、消費・景況感は持ち直している。先行きは改善を見込むものの、欧米を中心とした海外経済減速による景気の下振れリスクに注意が必要である。
    ・1月の生産は2カ月ぶりに前月比低下。生産用機械や輸送用機械が大幅減産となり、中国ロックダウンの影響が大きかった22年5月以来の低水準となった。
    ・1月は失業率が低下したと同時に、就業者数の増加と非労働力人口の減少が見られた。雇用情勢は持ち直しの動きを維持している。なお、新規求人数はサービス業を中心に大幅に増加したことから、今後も人手不足感が続こう。
    ・12月の現金給与総額は22カ月連続の前年比増加。しかし、消費者物価指数の上昇傾向が続き、実質では10カ月連続の減少となった。今春闘で、多くの大手企業は労働組合の要求に応じて賃上げを実現した。ただし、賃上げが全体に波及するかは中小企業における動向が重要である。
    ・1月の大型小売店販売額は16カ月連続の前年比増加。うち、百貨店は高額品の好調とインバウンド需要の回復により11カ月連続の増加。スーパーは食料品の値上げもあり4カ月連続の増加となった。
    ・1月の新設住宅着工戸数は2カ月連続で前月比増加した。うち、マンションが好調で全体の増加に大きく寄与した。
    ・1月の建設工事出来高は13カ月連続の前年比増加で、伸びは2カ月連続で加速した。特に公共工事は22年3月以来の2桁の伸びとなった。また、2月の公共工事請負金額は2カ月連続で同増加となっている。
    ・2月の景気ウォッチャー現状判断及び先行き判断DIはいずれも3カ月連続の前月比改善。インバウンド需要の増加や感染状況の落ち着きにより、ホテルや百貨店などを中心に景況感が改善した。
    ・1月は春節の影響を受けたため貿易収支は赤字となったが、2月は2カ月ぶりの黒字。ただし、1-2月を均してみれば赤字にとどまった。
    ・2月の関空への外国人入国者数は36.9万人、3カ月連続で30万人超の水準となった。中国人客の戻りが依然遅れていることもあり、回復のペースは緩慢。
    ・1-2月期の中国経済は、生産の回復が加速したことに加え、個人消費も対面型サービスを中心に大幅に改善した。しかし、民間企業が先行き不安を払拭し雇用拡大に踏み込むまで、景気回復のカギとなる雇用の改善は見込めない。そのため、1-3月期の景気回復が持続可能となるかは民間企業次第である。

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  • 稲田 義久

    拡張万博の経済波及効果:UPDATE

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 下山 朗 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    2022年関西経済白書の第6章3節において、拡張万博の経済効果について2015年関西地域間産業連関表(暫定版)を用いて分析した。本稿では、消費単価と日帰り客の新たな想定に基づき、大阪・関西万博の経済効果を再推計した。本試算は3つのケース(基準ケース、拡張万博ケース1、拡張万博ケース2)に分けて分析を行った。得られた分析結果と含意は以下のようである。

     

    1. 経済効果を生産誘発額でみれば、基準ケースでは2兆3,759億円、拡張万博ケース1では2兆7,875億円、拡張万博ケース2では2兆8,818億円と試算された。拡張万博の効果を考慮した場合、経済効果は約4千~5千億円程度の上振れが見込まれる。
    2. 拡張万博の経済効果は基準ケースに比べて、大阪府以外の地域ではかなり大きくなる。生産誘発額の地域別シェアをみれば、大阪府のシェアが基準ケースの74.5%から、拡張万博ケース2では62.4%まで低下する。すなわち、拡張万博の展開に伴う延泊と日帰り客の増加により、大阪府以外の地域での経済効果が相対的にも高まることになる。
    3. 関西広域にわたって拡張万博に類する様々な取り組みが広がり、観光客にとって魅力的なコンテンツ、滞在型消費を促すようなインセンティブが高まれば、本試算を上回る経済効果が期待できる。
    4. 大阪・関西万博に代表される大規模なイベントの経済効果は、特定の地域や特定の時期に留まるのではなく、関西広域で中長期的な取り組みがなされていくことが求められる。大阪・関西万博をひとつの「呼び水」として、関西経済の成長に繋げていくことが重要である。

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  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:1月レポート No.44

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、1月の訪日外客総数(推計値)は149万7,300人と、150万人に迫る水準となり、コロナ禍前の5割強を回復した。なお、訪日中国人客を除いた総数では146万6,100人(同-24.2%)となり、コロナ禍前の7割強である。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば11月は93万4,599人。うち、観光客は77万3,983人と、前月(32万6,699人)から大幅増加し、20年2月(89万8,976人)以来の水準となった。

    ・先行きの訪日外客数については、水際対策の更なる緩和により一層の回復が見込まれよう。これまで続いていた中国からの入国者に対する水際対策の強化が、3月1日から緩和された。このため、これまで回復が遅れていた訪日中国人客数の増加が見込まれ、訪日外客数の回復ペースは加速すると考えられる。

     

    【トピックス1】

    ・関西1月の輸出は中国の春節休暇の時期のズレもあり23カ月連続の前年比減少。一方、輸入は24カ月連続で同増加した。結果、輸関西の貿易収支は5カ月ぶりの赤字となった。

    ・1月の関西国際空港への37万9,298人と2カ月連続の30万人超の水準だが、訪日中国人客の回復が遅れていることもあり、回復のペースは緩やかである。

    ・12月のサービス業の活動は小幅悪化だが、持ち直し傾向を維持。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数はいずもれ3カ月ぶりに前月比低下した。一方、観光関連指数は飲食店、飲食サービス業の上昇もあり、2カ月ぶりに同上昇した。

     

    【トピックス2】

    ・11月の関西2府8県の延べ宿泊者数は10,070.4千人泊、2019年同月比では-7.3%となった。全国旅行支援事業や水際対策緩和の継続により、日本人宿泊者及び外国人宿泊者数が回復しつつある。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は8,915.0千人泊と2カ月連続でコロナ禍前の水準を上回った。また、外国人延べ宿泊者数は1,155.4千人泊と前月(555.9千人泊)から倍増。京都府や大阪府は5割程度の回復となっているが、他府県では2~3割程度の回復にとどまっている。

     

    【トピックス3】

    ・2022年10-12月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆2,651億円となった。10月11日から開始された全国旅行支援事業が国内旅行需要回復に大きく影響した。

    ・2022年通年では4兆2,581億円(19年比+3.1%)と、経済活動の正常化に加え、国内旅行需要喚起策の影響もあり、関西ではコロナ禍前を上回った。

     

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  • 稲田 義久

    DMOの観光誘客への取組-マネジメントエリア別の分析:滋賀県の事例から-

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 井原 渉 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    本稿では滋賀県にかかわる観光基礎統計を用いて、県の観光戦略に光をあて、観光地域づくり法人(以下、DMO)の活動に注目し抱える課題を分析した。得られた含意は以下のようにまとめられる。

    1. 滋賀県の各DMOにおける、それぞれの特徴や活動状況、マネジメントエリア、観光資源、誘客ターゲット層に対する取り組みを比較した。注目している観光課題に違いがあるものの、その活動内容から県内広域を活動エリアとするDMOと限定された地域(地場)に密着した活動を行うDMOに分けられる。

    2. びわこビジターズビューロー、近江ツーリズムボード、比叡山・びわこDMOは、滋賀県の認知度向上に向けた情報発信や持続可能な観光を実現させるための環境整備など、県内広域にわたり、周遊滞在型観光の活動に注力している。

    3. 近江八幡観光物産協会、長浜観光協会は、その地域ならではの食文化、暮らし体験や地域住民の郷土愛の醸成等、まちづくりを基軸とした地域密着の交流型観光の活動に注力している。

    4. DMOのマネジメントエリア別に宿泊施設数と稼働率の動向をみれば、宿泊施設数は大津市と高島市を除くエリアで微減ないしは横ばいで推移している。稼働率は、大津市では春と夏に上昇する傾向がある。また、近江八幡市、長浜市、米原市、彦根市では春、夏、秋に上昇する。一方、高島市では夏に高まる傾向がある。季節性の平準化が重要となろう。

    5. コロナ禍を経て観光スタイルが変化してきており、琵琶湖を中心に各地域の自然資源や歴史文化遺産をつなぐ宿泊滞在型観光の促進も重要である。上記季節性の平準化の課題を踏まえれば、各地域ならではの観光資源を活かした閑散期の新たなコンテンツの造成が必要であろう。また、県域DMOと地域連携及び地域DMOが連携し、各地域の観光資源を繋ぐことで、観光客の滞在日数を増やすなど、地域間の連携を意識したコンテンツの造成も必要となろう。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.63 -内需を中心に緩やかな持ち直しの動き続く:物価高と世界経済の行方が攪乱要因-

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    1. 2022年10-12月期の関西経済は、前期から引き続き緩やかに持ち直した。経済活動の正常化に伴い、生産、雇用、公共投資など内需を中心に幅広い項目で堅調な回復が見られた。ただし先行きについては、物価高が家計や企業に影響するほか、米欧中経済の動向が攪乱要因となるなど、力強い回復は見込みづらい。
    2. 家計部門は、物価高が回復の足かせとなっている部分もあるが、各種行動制限が解除となるなど経済活動の正常化により、概ね持ち直している。大型小売店販売、所得・雇用環境、住宅市場など堅調に推移している。センチメントや実質賃金などこれまで低調だった指標でも底打ちの兆しが見られる。
    3. 企業部門は、経済活動が正常化に向かっていることから、概ね緩やかに持ち直した。生産は一進一退で伸び悩んでいるものの、景況感は非製造業を中心に持ち直しており、設備投資計画についても積極的な姿勢がうかがえる。
    4. 対外部門は、財の貿易については輸出・輸入ともに前年を上回ったものの、増加幅は縮小した。輸出を地域別に見ると、米国向けは堅調だったが、EU向けはやや伸び悩み、中国向けは停滞した。関空経由の外国人入国者数・百貨店免税売上などインバウンド需要については、水際対策が緩和されたことで急回復した。
    5. 公的部門では、全国に比べて堅調な動きが続いている。
    6. 関西の実質GRP成長率を2022年度+1.3%、23年度+1.3%、24年度+1.6%と予測。19年度・20年度の2年連続のマイナス成長から、21年度以降は内需が成長を牽引して1~2%のプラス成長が続く。コロナ禍前のGRP水準を回復するのは24年度となり、前回予測に比べて後ずれする。
    7. 成長に対する寄与度を見ると、民間需要は22年度+1.8%ポイント、23年度+1.0%ポイント、24年度+1.3%と成長の牽引役となる。また公的需要も22年度から24年度にかけていずれも+0.2%ポイントと成長を下支える。域外需要は22年度-0.7%ポイントと成長を押し下げる。23年度以降はプラスの寄与となるが、小幅にとどまる。
    8. 実質GRP成長率について前回予測(22年12月19日公表)と比較すると、22年度は-0.19%ポイントの下方修正、23年度は+0.11%ポイントの上方修正としている。24年度は大きな修正はない。
    9. 今号のトピックスは「大阪・関西万博と拡張万博の経済効果:アップデート」として、新たな消費需要の想定に基づく経済効果を試算した。生産誘発額は、基準ケースの2.4兆円に対して、日帰り客数や宿泊数の増加を織り込んだ拡張万博ケースでは2.9兆円となる。

     

    ※説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。

    ①01’01”~02’35” :Executive summary

    ②02’36”~36’39”:第142回「景気分析と予測」<強まるインフレと海外経済減速の影響>

    ③36’40”~53:02:Kansai Economic Insight Quarterly No.63<景気は足下、先行きともに改善を見込む:消費者物価上昇と海外経済減速のリスクに注意>

    ④53’03”~58’54”:トピックス<大阪・関西万博と拡張万博の経済効果:アップデート>

    ※要旨およびフルレポートは以下にてご覧ください

     

  • 稲田 義久

    142回景気分析と予測<強まるインフレと海外経済減速の影響 - 実質 GDP成長率予測: 22年度 +1.3%、 23年度 +0.9%、 24年度 +1.5% ->

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    1. 2022年10-12月期GDP1次速報によれば、実質GDPは前期比年率+0.6%(前期比+0.2%)と2四半期ぶりのプラス成長となった。ただ回復は緩やかで、7-9月期の落ち込みを回復できていない。このためコロナ禍前のピークから依然1.8%低い。10-12月期の実質GDP成長率は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト2月調査)最終予測(前期比年率+2.43%)やCQM最終予測(同+2.2%)から下振れた。
    2. 10-12月期の実質GDP成長率(前期比+0.2%)への寄与度を見ると、国内需要は同-0.2%ポイントと5四半期ぶりのマイナス。うち、民間需要は、民間最終消費支出は堅調であったが、民間住宅、民間企業設備、民間在庫変動が減少したため、同-0.3%ポイントと5四半期ぶりのマイナス寄与、公的需要は同+0.1%ポイントと3四半期連続のプラス寄与。これに比して、純輸出は同+0.3%ポイントと2四半期ぶりのプラス寄与となった。
    3. 8四半期ぶりに交易条件が改善したため実質GDI成長率は10四半期ぶりに実質GDPの伸びを上回った。このため、家計や企業の海外への所得流失は幾分和らいだといえよう。
    4. 10-12月期GDP1次速報と新たな外生変数の想定を織り込み、2022-24年度日本経済の見通しを改定した。今回、実質GDP成長率を、22年度+1.3%、23年度+0.9%、24年度+1.5%と予測。前回(第141回予測)から、22年度-0.2%ポイント、23年度-0.2%ポイント下方修正し、24年度+0.1%ポイント上方修正した。22年度については民間需要、23年度については純輸出の下方修正が影響した。また実質GDI成長率を、22年度-0.4%、23年度+1.7%、24年度+1.5%と予測する。
    5. 予測期間において家計に新たな行動制約が課されないと想定する。インフレが減速する2023年度後半には累積した強制貯蓄が取り崩され、サービス支出を中心に民間最終消費支出主導の回復が期待できる。一方、23年度の海外経済は欧米を中心に低迷することから純輸出のマイナス寄与は避けられず、また民間需要の寄与度が減速するため、同年の成長率は前年から低下すると予測。このため、実質GDPがコロナ禍前のピークを超えるのは24年4-6月期以降となろう。回復に約5年(19四半期)を要することになる。
    6. 足下、消費者物価コア指数は前年比4%を上回る勢いである。政府の経済政策の影響もあり、しばらくはエネルギー価格が消費者物価指数基調のかく乱要因となる。23年度後半は原材料高と円安は落ち着きを見せ、インフレ率は減速する。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、22年度+3.1%、23年度+2.2%、24年度+1.3%と予測する。前回予測から、足下の状況を反映し22年度を+0.1%ポイント、23年度を+0.2%ポイント、24年度を+0.1%ポイントそれぞれ上方修正した。

     

    ※説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。

    ①01’01”~02’35” :Executive summary

    ②02’36”~36’39”:第142回「景気分析と予測」<強まるインフレと海外経済減速の影響>

    ③36’40”~53:02:Kansai Economic Insight Quarterly No.63<景気は足下、先行きともに改善を見込む:消費者物価上昇と海外経済減速のリスクに注意>

    ④53’03”~58’54”:トピックス<大阪・関西万博と拡張万博の経済効果:アップデート>

    ※要旨およびフルレポートは以下にてご覧ください

     

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.118-景気は足下、先行きともに改善を見込む:消費者物価上昇と海外経済減速のリスクに注意-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 山守 信博

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下、先行きともに改善を見込む。足下、生産は3カ月ぶりの増産だが、回復のペースは遅い。雇用環境は持ち直しの動きに一服感がみられる一方で、消費は百貨店を中心に持ち直しが続く。先行きは消費者物価の上昇と海外経済減速による景気下押しリスクに注意が必要である。
    ・COVID-19の新規陽性者数は減少が続く。3月13日よりマスクの着用は個人の判断に委ねられ、5月8日から感染症法上の分類が5類へ変更となる。
    ・12月の生産は3カ月ぶりの前月比上昇だが、小幅増産にとどまった。2022年平均では2年ぶりのマイナスとなり、依然としてコロナ禍前の水準を回復できていない。
    ・22年通年では、失業率は3年ぶりに低下したと同時に、労働力人口と就業者数はともに増加し、雇用の回復は順調に進んだ。しかし、足下12月に失業者数の減少が見られたが、10‐12月期を均してみると、失業率の上昇及び労働力人口と就業者数の減少が同時に見られ、雇用の回復に一服感が出ている。
    ・11月の現金給与総額は21カ月連続の前年比増加。しかし、消費者物価指数の上昇傾向が続き、実質では9カ月連続の減少となった。ただし、一部の企業で賃上げの動きが見られ、賃上げの機運が高まりつつある。今後の実質賃金の動向に注視を要する。
    ・12月の大型小売店販売額は15カ月連続の前年比増加。うち、百貨店は高額品の好調とインバウンド需要の回復により10カ月連続の増加。スーパーは食料品の値上げもあり3カ月連続の増加となった。
    ・12月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前月比増加した。うち、貸家と分譲が全体の増加に寄与した。
    ・12月の建設工事出来高は12カ月連続の前年比増加で全国に比して高い伸びが続いている。関西、全国ともに民間工事は前月から減速、公共工事は加速した。また、1月の公共工事請負金額は3カ月ぶりに増加に転じた。
    ・1月の景気ウォッチャー現状判断DIは2カ月連続で前月比改善した。また先行き判断DIも2カ月連続で改善。インバウンド需要増加の影響もあり、百貨店やホテルなどが好調であった。
    ・1月の貿易収支は5カ月ぶりの赤字。中国の春節時期のずれの影響もあり、輸出は23カ月ぶりに減少し、一方、輸入は24カ月連続で増加したためである。
    ・1月の関空への外国人入国者数は37.9万人。2カ月連続で30万人を超えたが、訪日中国人客の回復が遅れており回復のペースは緩やかである。
    ・1月の中国経済は、経済活動の再開と春節連休による旅行機運の高まりが景況感の回復に繋がり、消費者物価指数からも対面型サービスを中心に個人消費は持ち直しつつあることが窺える。ただし、新規貯蓄が高水準で、消費に慎重な姿勢が続いているため、1-3月期の景気は大きな改善が見込まれない。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:12月レポート No.43

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、12月の訪日外客総数(推計値)は137万人と前月から大幅増加し、20年2月以来、単月で100万人超の水準まで回復。2022年通年では年後半の水際対策の大幅緩和も影響し383万1,897人と、過去最少となった前年から大幅増加した。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば10月は49万8,646人。うち、観光客は32万6,699人と前月(4万2,108人)から大幅増加し、2020年3月以来の値となった

    ・今後のインバウンドの見通しについては、訪日中国人客の動向が重要となる。中国政府は2月6日以降、団体旅行を一部の国・地域に限って認めると発表したが、日本は今のところ含まれていない。このため、訪日外客の回復については依然不確実性が高い。

     

    【トピックス1】

    ・関西12月の輸出は22カ月連続の前年比増加だが、伸びは前月から減速。また、輸入は23カ月連続で同増加したが、エネルギー価格の落ち着きもあり伸びは前月から減速した。輸出入の伸びが前月からいずれも減速したが、後者の下落幅が前者の下落幅を上回ったため、関西の貿易収支は4カ月連続の黒字となった。

    ・12月の関西国際空港への訪日外客数は33万1,249人と前月(24万7,090人)から増加。2022年通年では、88万5,472人(19年比-89.4%)となった。

    ・11月のサービス業の活動は感染再拡大の影響もあり小幅悪化。第3次産業活動指数は2カ月ぶりの前月比低下。また、観光関連指数も飲食店、飲食サービス業の大幅低下もあり、4カ月ぶりの同低下となった。

     

    【トピックス2】

    ・10月の関西2府8県の延べ宿泊者数は8,708.3千人泊、2019年同月比では-16.0%となった。全国旅行支援事業の開始と水際対策の大幅緩和もあり、減少幅は前月から縮小した。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は8,152.4千人泊、2019年同月比+10.8%とコロナ禍前を上回った。また、外国人延べ宿泊者数は555.9千人泊となり、2019年同月比-81.5%と減少幅は大幅縮小。水際対策の大幅緩和により、大阪府、京都府を中心に外国人宿泊者数が回復している。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.117-景気は足下、先行きともに改善を見込む:不確実性上昇に伴う景気下押しリスクに注意-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 山守 信博

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下、先行きともに改善を見込む。足下、生産は2カ月連続の減産で、弱い動きが続く。雇用環境は持ち直しの動きに一服感がみられる一方で、消費・景況感は持ち直しが続く。先行きは物価や海外経済の見通し不確実性上昇に伴う景気下押しリスクに注意が必要である。
    ・COVID-19の新規陽性者数は1月11日をピークに減少に転じた。また政府は感染症法上の分類を今春に変更する意向を示した。
    ・11月の生産は2カ月連続の前月比低下。特に電子部品・デバイスは3カ月連続で減産しており、全国と比して弱い動きとなっている。
    ・11月は失業者数が増加するとともに、労働力人口と就業者数はいずれも減少した。また、就業率も2カ月連続で低下し、コロナ禍前の水準を下回っている。雇用の回復は停滞している。
    ・10月の関西2府4県の現金給与総額は、名目で20カ月連続の前年比増加。しかし、消費者物価指数の上昇傾向が続き、実質では8カ月連続の減少となった。
    ・11月の大型小売店販売額は14カ月連続の前年比増加。うち、百貨店は高額品の好調とインバウンド回復により9カ月連続の増加。スーパーは食料品の値上げもあり2カ月連続の増加となった。
    ・11月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前月比減少。建設費高騰と円安の影響もあり、分譲と持家が低調だった。
    ・11月の建設工事出来高は11カ月連続の前年比増加で全国に比して高い伸びが続いているが、公共工事・民間工事ともに前月から減速となった。また、12月の公共工事請負金額は2カ月連続で同減少となっている。
    ・12月の景気ウォッチャー現状判断DIは5カ月連続で前月比改善した。また先行き判断DIも2カ月連続で改善。国内旅行需要やインバウンド需要が回復しつつあることから、関連するサービス業が改善した。
    ・12月の貿易収支は4カ月連続の黒字。エネルギー価格の落ち着きや円安修正の影響で、輸入額の伸びは前月から大幅に減少した。このため黒字幅は前月から拡大した。
    ・12月の関空への外国人入国者数は33.1万人とコロナ禍前の5割程度まで回復。22年通年では水際対策の大幅緩和もあったが、年前半の低調により88.5万人にとどまった。
    ・中国の10-12月期実質GDPは前年同期比+2.9%と前期から減速した。その結果、22年通年の経済成長率は+3.0%にとどまり、政府の目標成長率(5.5%)を大幅に下回った。1月に4年ぶりに行動制限のない春節休暇を控え、消費の回復が期待されている一方、更なる感染拡大による混乱が懸念されている。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:11月レポート No.42

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、11月の訪日外客総数(推計値)は93万4,500人と、前月(49万8,600人)から大幅増加し、100万人に迫る水準まで回復。うち、国・地域別では、韓国が31万5,400人とトップであり、2020年1月以来、単月で30万超の水準となった

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば9月は20万6,641人。うち、観光客は4万2,108人、商用客は5万3,265人、その他客は11万1,268人であった。観光客については前月東京オリンピックが開催された2021年7月以来の水準となった。

    ・12月以降もインバウンド需要は回復傾向が続くと予想されるが、依然として訪日中国人客の回復が課題である。中国政府はゼロコロナ政策の大幅な緩和を発表し、これまで制限されていた中国人の海外旅行についても認可した。一方で日本政府は中国国内の感染拡大を受け、中国からの入国者に対する水際対策の強化を発表した。このため、訪日中国人客の戻りについては依然不透明性が高い。

     

    【トピックス1】

    ・関西11月の輸出は米国向けの建設用・鉱山用機械や医薬品の好調もあり21カ月連続の前年比増加。一方、輸入は22カ月連続の同増加だが、エネルギー価格の落ち着きや鉱工業生産の停滞により伸びは前月から減速。輸入の伸びが前月から減速し、輸出が加速した結果、関西の貿易収支は3カ月連続の黒字だが、黒字幅は縮小した。

    ・11月の関西国際空港への訪日外客数は24万7,090人と、前月から倍増しコロナ禍の影響が出始めた2020年2月の水準を上回った。空港別に訪日外客数の戻りをみてみると、羽田や成田はコロナ禍前の5割程度回復しているが、関空は4割程度の回復にとどまっている。

    ・10月のサービス業の活動は観光需要の増加で対面型サービス業を中心に持ち直している。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数はいずれも2カ月連続の前月比上昇。また、観光関連指数は全国旅行支援事業の開始や水際対策の緩和もあり、3カ月連続で同上昇した。

     

    【トピックス2】

    ・9月の関西2府8県の延べ宿泊者数は7,436.5千人泊。2019年同月比では-24.2%と前月から減少幅は縮小。COVID-19感染拡大が落ち着き、外出機会が増加したことが影響した。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は7,278.4千人泊。2019年同月比では-0.8%と減少幅は前月(同-13.0%)から大幅縮小し、コロナ禍前の水準を回復しつつある。また、外国人延べ宿泊者数は158.0千人泊となり、2019年同月比では-93.6%と減少幅は3カ月連続で縮小。これまで低水準が続いていた外国人宿泊者数は水際対策の緩和が進むにつれ、徐々に持ち直しの動きがみられる。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.116-景気は足下、先行きともに改善を見込む:物価の高止まりと海外経済減速がリスク要因-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 山守 信博

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下、先行きともに改善を見込む。足下、生産は減産で、回復のペースは遅い。雇用環境・消費・景況感は持ち直しが続く。先行きは物価の高止まりに加え、海外経済減速がリスク要因となろう。
    ・COVID-19の新規陽性者数は12月中旬より再度増加傾向に転じた。また6都県においてインフルエンザ流行期入り。ツインデミック(同時流行)が現実となりつつある。
    ・10月の生産はプラスチック製品や電子部品・デバイスなどの減産もあり、3カ月ぶりの前月比低下。7-9月平均比小幅上昇だが、回復のペースは遅い。
    ・10月は失業者数が増加するとともに、労働力人口と就業者数はいずれも減少に転じた。また、就業率も前月より微減した。雇用の回復は一服したとみられる。なお、新規求人数が大幅に増加したことから、今後も人手不足感が続こう。
    ・9月の関西2府4県の現金給与総額は、名目で19カ月連続の前年比増加。一方、消費者物価指数の上昇により、実質では7カ月連続の減少となった。物価高は当面続くと見込まれるため、実質賃金はマイナスで推移し続けるだろう。
    ・10月の大型小売店販売額は13カ月連続の前年比増加。うち、百貨店は高額品と秋冬衣料品の販売が好調で8カ月連続の増加。スーパーは食料品の値上げもあり3カ月ぶりの増加となった。
    ・10月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前月比増加。一方、建設資材の高騰による価格転嫁が進んでおり、先行きは住宅購入意欲の低下が懸念される。
    ・10月の建設工事出来高は10カ月連続の前年比増加と全国と比して堅調。公共工事・民間工事ともに増加基調が続いている。一方、11月の公共工事請負金額は2カ月ぶりに同減少している。
    ・11月の景気ウォッチャー現状判断DIは4カ月連続で前月比改善した。また先行き判断DIも2カ月ぶりの改善。国内旅行需要やインバウンド需要の増加もあり、サービス関連を中心に回復した。
    ・11月の貿易収支は3カ月連続の黒字。輸出の伸びが前月より加速し、輸入の伸びが減速したため。1月からの累計をみれば、輸出入額ともに19兆円を超えており、年別過去最高額を更新している。
    ・11月の関空への外国人入国者数は24万7,090人と前月から倍増。水際対策の大幅緩和が継続されていることもあり外国人入国者数は着実に回復が進む。
    ・11月の中国経済は、感染急拡大に応じて多くの地域で行動制限が強化された影響もあり、生産回復の減速と個人消費の大幅な減少が見られた。12月にゼロコロナ政策の大幅な緩和など明るい動きもあるが、先行き不透明感は依然として強いため、10-12月期の景気は悪化するだろう。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.62 -GDP2次速報を反映し関西経済予測を改定 :22年度+1.5%、23年度+1.2%、24年度+1.5%-

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    1. 2022年7-9月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比-0.2%(同年率-0.8%)となり、1次速報の前期比-0.3%(同年率-1.2%)から上方修正された。民間在庫変動・政府消費・輸出が上方修正、個人消費・住宅投資・公共投資が下方修正となった。なお過去値が遡及改定されたことにより、コロナ前のピークは2019年7-9月期となった。22年7-9月期の実質GDPは、3年前のコロナ前ピーク時の水準を約10兆円下回っている。
    2. GDP2次速報を反映し関西経済予測を改定。関西の実質GRP成長率を2022年度+1.5%、23年度+1.2%、24年度+1.5%と予測する。19年度・20年度の2年連続のマイナス成長から、21年度以降は1%台のプラス成長が続く。回復の勢いは弱く、コロナ禍前のGRP水準を回復するのは23年度までかかる。前回予測(11月29日公表)に比べて、22年度は-0.3%ポイントと下方修正、23年度・24年度はそれぞれ+0.1%ポイント上方修正とした。
    3. 実質GRP成長率に対する寄与度を見ると、民間需要が2022年度+1.7%ポイント、23年度+0.9%ポイント、24年度+1.2%と成長の牽引役となる。また公的需要も22年度から24年度にかけていずれも+0.2%ポイントと成長を下支える。域外需要は、22年度は-0.4%ポイントと成長を押し下げ、23年度・24年度もそれぞれ+0.1%ポイントと成長に対する貢献は大きくない。

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  • 稲田 義久

    141回景気分析と予測<7-9月期GDP2次速報を更新し、日本経済見通しを改定 - 実質GDP成長率予測:22年度+1.5%、23年度+1.1%、24年度+1.4% ->

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    1. 2022年7-9月期GDP2次速報によれば、実質GDP成長率は前期比年率-0.8%となり、1次速報(同-1.2%)から幾分上方修正された。季節調整の掛け直しや基礎統計の改定により、過去値が遡及改定された。実質GDP成長率を1次速報と比較すると、22年1-3月期は-2.0%ポイント(同+0.2%→同-1.8%)と大幅に下方修正された。このため、2次速報では7-9月期は4四半期ぶりから2四半期ぶりのマイナスとなった。また22年度の成長率の下駄が1次速報から0.2%ポイント下方修正されたことに注意。
    2. 2次速報と同時に2020年度の第二次年次推計値と21年度の第一次年次推計値が発表された結果、20年度実質GDP成長率は1次速報から+0.4%ポイント(-4.6%→-4.1%)、21年度は+0.2%ポイント(+2.3%→+2.5%)、それぞれ上方修正された。また2次速報ではコロナ禍前の実質GDPのピークは2019年7-9月期となった。
    3. 7-9月期GDP2次速報と新たな外生変数の想定を織り込み、2022-24年度の日本経済の見通しを改定した。今回、実質GDP成長率を、22年度+1.5%、23年度+1.1%、24年度+1.4%と予測。前回(第140回予測)から、22年度-0.2%ポイント、23年度-0.1%ポイント下方修正し、24年度+0.1%ポイント上方修正した。22年度の下方修正については、成長率の下駄の低下が影響している。
    4. 2022年7-9月期実質GDPはコロナ禍前のピークから依然1.9%低い。この主要因は、民間最終消費支出(-3.2%)、民間資本形成(-3.3%)、及びサービス輸出(-15.1%)がピークより低水準にとどまっているためである。予測期間において家計に新たな行動制約が課されない場合、22年度後半は累積した強制貯蓄が取り崩され、サービス支出を中心に民間最終消費支出主導の回復が期待できる。10-12月期以降、海外経済が低迷することからしばらく純輸出の押し上げは期待できないうえに、23年度は民間需要の寄与度が減速するため、同年の成長率は前年から低下すると予測。このため、実質GDPがコロナ禍前のピークを超えるのは24年1-3月期以降となろう。なお、2次速報で過去値が上方修正されたため、コロナ禍前のピークを超えるのが前回予測から2四半期早くなった。
    5. エネルギー価格の高騰、円安と輸入品価格上昇による食料品価格高騰の影響で、22年度後半の消費者物価コア指数は前年比3%台後半を上回る勢いで推移する。23年度はエネルギー価格高騰の影響が剥落するため、消費者物価指数の基調はサービス価格の動向が決める。その意味で23年度の賃上げの中身が重要である。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、22年度+3.0%、23年度+1.9%、24年度+1.2%と予測する。前回予測から、足下の状況を反映し22年度を+0.3%ポイント上方修正した。また24年度を-0.1%ポイント下方修正した。

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  • 稲田 義久

    ゼロコロナ政策による中国経済減速と関西経済への影響

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    1. 2022年に入り中国におけるCOVID-19陽性者数が急増している。1-3月期では吉林省が全陽性者数の約6割を、4-6月期では上海市が約7割強を占めるなど、陽性者数の増加が顕著な省及び直轄市で、厳格なロックダウンが行われた。7-9月期は一旦感染状況が落ち着いたが、10-11月期では広東省、北京市、重慶市で感染が拡大しており景気への悪影響が懸念される。
    2. ゼロコロナ政策によるロックダウンの影響は非常に大きい。特に制限が厳しかった上海市や吉林省では、いずれも実質GDP成長率がマイナスとなった(2022年1-9月期、それぞれ前年同期比-1.4%、同-1.6%)。また、広東省(同+2.3%)、江蘇省(同+2.3%)など経済規模が最大の2省(対GDPシェア21.1%)は、中国全体のGDP成長率(同+3.0%)を下回っている。
    3. 中国ゼロコロナ政策による経済的影響を考える上で関西および日本経済の対中貿易シェアは重要である。2021年における対中輸出をみれば、関西(26.2%)の方が全国(21.6%)より全体に占めるシェアは高い。すなわち、関西は全国に比べ対中輸出シェアが高いがゆえに、中国経済の減速は貿易を通して大きな影響を受ける。
    4. 中国経済の減速が関西の輸出を通じて関西経済全体にどのような影響をもたらすかについて、輸出関数を推定した。結果は中国の実質GDPが1%下落すると、関西の実質輸出は0.46%程度下落すると試算される。
    5. シミュレーションでは、標準予測における関西の実質輸出が2022-24年度にわたって0.462%減少する結果、関西の実質GRPは2022年度-0.12%、23年度-0.13%、24年度-0.13%減少する。金額ベースでは年度当たり943億円~1,082億円程度減少する。

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