研究・論文

search results

「2009年度」の研究・論文一覧 [ 3/3 ]

  • 熊坂 侑三

    今月のトピックス(2009年6月)

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    <本当に1-3月期が景気の底か?>

    【景気は1-3月期に底打ち?】
    この数週間、日本経済は1-3月期に底打ちしたのではないかという意見が民間エコノミストの間で主流となりつつある。政府や日銀からもそのようなコメン トがなされ、株価も1万円台をつけ先行きの明るさを示唆しているかのようである。今月の日本経済の見通しで示したように、現時点でわれわれの超短期予測は この見方に対して慎重になっている。以下、その理由を示そう。

    【月次データの結果はミックス】
    最近の経済指標を一瞥すれば、”景気底打ち”との見方を支持できそうである。鉱工業生産指数は3月、4月と2ヵ月月連続して前月比プラスを記録した。ま た好調な生産、出荷の影響で、4月の一致指数(CI)は前月比1.0ポイント上昇し、11ヵ月ぶりの改善となった。単月では判断しがたいが、これらは景気 の底打ちを示唆するデータといえよう。4月の輸出数量指数は前月比+10.3%と2ヵ月連続で上昇した。輸出は3月、4月に底打ちしたようである。
    またセンチメントが大きく改善している。5月の消費者態度指数は、5ヵ月連続で前月比プラスとなり、前年比でも30ヵ月ぶりの改善となった。5月の景気ウォッチャー調査でも、現状判断DIは5ヵ月連続の前月比改善となり、前年比でも2ヵ月連続のプラスとなった。
    このように、全体的にみると生産や出荷指数は2ヵ月連続で改善している。しかし、財別に見ると違う姿がうかがわれる。4月の資本財出荷指数は前月比 -10.1%低下し、7ヵ月連続のマイナスとなった。民間企業設備の基調は非常に弱い。また4月のコア機械受注は前月比-5.4%と減少し、2ヵ月連続の マイナスとなった。民間企業設備の先行きも明るくない。
    たしかに、消費者センチメントの悪化は止まり改善の方向に進んでいるが、最終需要の勢いは極めて弱い。またデフレ圧力の高まりで、今後1年の物価につい て、横ばいないし下落と見る消費者の割合は、初めて50%を超えた。景気ウォッチャーの見方でも、景気を「やや悪くなっている」と「悪くなっている」と評 価する割合は全体の5割弱もあることに注意しなければならない。これらはいずれも民間消費を押し上げるにはインパクトに欠ける。
    月次データの結果には良いものと悪いものとが入り交ざっており、同じデータでも両面が垣間見られる。景気回復期のデータの特徴といえよう。たしかに、この時期、景気診断は非常に難しいが、具体的でなければならない。

    【超短期予測の見方】
    われわれの超短期モデル予測の特徴を一言でいえば、”Go by the Numbers”である。予測において、月次データと四半期GDPを統計的にリンクしているのである。したがって、毎週、具体的に数字で示すことができ る。現時点では、4月の実績と5月、6月の月次データの予測値からGDPを予測している。今月の日本経済の見通しで示したように、4-6月期予測の特徴 は、純輸出の前期からの減少幅が縮小傾向にあるが、民間需要、特に、民間住宅と民間企業設備が弱い点である。今後2ヵ月で、公的需要と純輸出の回復が、ど こまで民間需要の弱さを相殺できるかが、実質GDP成長がプラスに転換できるかのポイントになる。たしかに、景気は改善の方向にあるが、経済がプラス成長 に転換しているかの判断は難しい。現時点での民間エコノミストの見方は、好調な鉱工業生産統計の影響を大きく受けていると思われる。鉱工業生産の経済全体 に占めるシェアは高々20%であることに注意しなければならない。〔稲田義久]

    日本
    <マーケットは1-3月期が景気の底、超短期予測は慎重>

    6月11日発表のGDP2次速報値によれば、1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率-14.2%となり、1次速報値(同-15.2%)から1%ポイ ントの上方修正となった。この結果、2008年度の実質GDP成長率は1次速報値の-3.5%から-3.3%へと上方修正された。
    実質GDP成長率上方修正の主要因は、民間企業設備及び民間在庫品増加である。実質民間企業設備は1次速報値の前期比-10.4%から同-8.9%へと 上方修正され、実質GDP成長率に対する寄与度は、-1.6%ポイントから-1.3%ポイントへと0.3%ポイント上昇した。また民間在庫品増加も1次速 報値の-0.3%ポイント(寄与度ベース)から-0.2%ポイントへ上方修正された。
    6月15日の予測では、1-3月期GDP2次速報値と12日までの月次データが更新された。支出サイドモデル予測によれば、4-6月期の実質GDP成長 率は、純輸出の減少幅は縮小するが、民需(特に、民間住宅、民間企業設備)が不調となるため、前期比-1.4%、同年率-5.5%となる。
    7-9月期の実質GDP成長率は、前期比-2.5%、同年率-9.7%と予測している。実質GDP成長率のマイナス幅が7-9月期に拡大するのは、内需 の減少幅は縮小するが、実質輸入の大幅増加により純輸出が再び悪化するためである。足下の輸入物価の大幅下落の影響を受け、7-9月期の輸入物価予測値が 大幅下落するため、実質輸入の予測値が上振れする。
    主成分分析モデルは、4-6月期の実質GDP成長率を前期比年率-2.6%と予測している。また7-9月期を同-6.2%とみている。
    支出サイド・主成分分析モデルの実質GDP平均成長率(前期比年率)は、4-6月期が-4.1%、7-9月期が-7.8%となる。図から明らかなように、この4週間、4-6月期の予測は上昇トレンドにあるが、依然としてマイナス成長にとどまっている。
    一方、別のアグリゲート指標である実質総需要(国内需要+輸出)の動きをみれば、4-6月期は前期比年率-4.5%、7-9月期同-3.8%と減少幅は緩やかに縮小している。このように成長率のマイナス幅は縮小の傾向にあるが、依然としてマイナス領域にある。
    マーケットでは、1-3月期が景気の底(したがって、4-6月期がプラス成長)という見方が広まっているが、超短期予測はそれほど楽観的ではない。

    [[稲田義久 KISERマクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]]

    米国
    6月5日の超短期予測では、同日に発表された5月の雇用統計までを更新している。グラフからわかるように、4月22日以来の実質GDP成長率の下降トレ ンドが止まり、上昇トレンドへの反転の可能性を示した。これはGDPのみならず、総需要、国内需要、最終需要などの他のアグリゲート指標についても同様に 見られた。6月5日の超短期予測の1回だけの予測結果によって景気の転換点を判断するには無理があるが、これまでの深刻な景気後退が緩やかになってきたこ とは認めてよいだろう。マーケットでは、5月の雇用減がコンセンサスの525,000人よりかなり低い345,000人となったことから、リセッションが 終結に向かいつつあるとの楽観的な見方がでてきた。
    しかし、景気先行指標としての平均週労働時間は、4月の33.2時間から5月には33.1時間へと減少した。もちろん、景気の遅行指標としての失業率は 今もって上昇を続けており5月には9.4%にまでなった。これは1983年8月以来の高さである。さらに、雇用減少は18ヵ月連続して続いている。これは 1981-82年のリセッション時と同じ記録である。
    このように労働市場の停滞を反映して、超短期モデルによる賃金・俸給の予測は、今期・来期とそれぞれマイナスの伸びを予想しており、個人消費支出の増加 に期待がもてない。しかし、6月5日の超短期予測では、4月の所得サイドの統計を更新することによって、政府から個人への移転所得の急増、個人の税支払い の減少が予測され、個人所得が今期、来期にそれぞれ1.9%、1.7%伸びると予測している。すなわち、景気刺激策の個人所得への効果がでてくる。一方、 最近の消費者センチメント・コンフィデンスの急速な高まりを考えると、個人所得の増加が個人消費の増加に結びつく可能性も高い。そうなれば、今回の超短期 予測で示された景気の転換点がより現実的となるだろう。

    [[熊坂侑三 ITエコノミー]]

  • -

    関西エコノミックインサイト 第1号(2009年6月9日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析?関西経済の現況と予測?」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    「関西エコノミックインサイト」は、関西経済の現況の解説と、計量モデルによる将来予測を行ったレポートです。関西社会経済研究所が公表する日本経済予測と連動しており、原則として四半期ごとに公表いたします。

    第1号(2009年6月)の概要は以下の通りです。

    1. 関西経済は、世界経済の低迷に伴う輸出の急激な落ち込みにより、総じて停滞している。ただし中国経済に回復の兆しが見られることや、生産・在庫の調整が緩やかに進んでおり、景気の下げ止まりを示唆する指標が出始めている。

    2. 関西経済の実質GRP成長率は2009年度-1.8%、2010年度-0.3%と予測する。景気対策による民間消費の刺激および公的需要の大幅拡大を織り 込んでいるが、それでもなおマイナス成長となる。仮に景気対策が行われなかったとすると、2009年度の関西GRP成長率は-3.7%となる。

    3. 2010年度は景気対策の効果が剥落し、-0.3%と小幅ながらマイナス成長となる。ただし世界経済の回復と関西地域での企業設備投資が堅調であることから、日本経済より落ち込みは緩やかに推移する。

    PDF
  • 入江 啓彰

    第1号 関西エコノミックインサイト

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    入江 啓彰 / 武者 加苗

    PDF
  • -

    第78回 景気分析と予測(2009年5月26日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    5月20日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受け、2009-2010年度の改訂経済見通しとなっている。
    ポイントは以下の通り。

    * 2009年度1-3月期実績の評価‥‥当期の実質GDP成長率(一次速報)は、前期比▲4.0%、同年率▲15.2%と、戦後最大の落ち込みとなり、4期 連続のマイナス成長を記録した。これまで景気の牽引役であった輸出の急激な落ち込みと、民間需要(特に民間最終消費と企業設備)の減少が原因であり、輸出 に大きく依存する日本経済成長モデルの脆弱性が示される。これにより09年度の日本経済は▲4.9%の「成長率のゲタ」を履くことになる。

    * 2009年度の改訂見通し‥‥2009年度の実質GDP成長率は▲2.2%となる(前回予測▲3.7%から上方修正)。海外経済の回復は期待できないが、 大型補正予算による需要の前倒しが起こり、大不況は回避できるであろう。大型補正予算が実現されない場合よりも経済成長率は3.0%ポイント引き上げられ る。

    * 2010年度の改訂見通し‥‥世界経済の緩やかな回復により純輸出の寄与はプラスに転じるものの、大型補正予算の効果が剥落するため、小幅ながらマイナス成長にとどまる。2010年度の実質GDP成長率は▲1.1%と3年連続のマイナス成長となろう。

    * 当研究所では、「経済危機対策」の効果を見積もるにあたり、アンケート調査を実施した(アンケートの調査結果は5月13日に記者発表を行っている)。この 調査結果、ならびに予算内容の精査の結果から、「経済危機対策」は実質GDPを最大で3.2%押し上げる(08年度補正予算を含む)効果を持つと検証され た。

  • 熊坂 侑三

    今月のトピックス(2009年5月)

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    <2009年度補正予算のマクロ経済への効果とその含意: アンケート調査に基づく検討>

    【はじめに】
    関西社会経済研究所(KISER)では、麻生内閣による経済危機対策についてアンケート調査(ウェブベース)を行い、5月13日に速報結果を報告した。一 方、5月20日発表された1-3月期の実質GDP(1次速報値)は前期比年率-15.2%と戦後最大の落ち込みとなった。これをうけて、KISERは26 日に日本経済の四半期見通しを発表する。これまで財政・金融政策の効果をマクロモデルのシミュレーションを通じて分析してきたが、より正確を期すために、 昨年以来、マクロ・ミクロの両アプローチから検討している。今回のアンケート結果のミクロ情報がマクロモデル分析に援用される。本コラムでは、先般発表し たアンケート調査結果を精査し再検討した結果から、その政策効果や含意に焦点を当ててみよう。

    【アンケート結果の精査と政策効果の推計】
    アンケート調査では、経済危機対策(補正予算)のうち、低炭素革命関連、(1)エコカー購入への補助、(2)グリーン家電普及促進、(3)太陽光発電システム購入への補助、(4)住宅などの購入にかかわる贈与税の減免などを取り扱った。
    補正予算(財政政策)の効果により発生する需要の推計は、基本的にはアンケートによる回答率に母集団である世帯数(エコカーは保有台数)を乗じて計算し ている。1,000というサンプルから出来るだけ正確に母集団の行動を推計するため、速報発表後に回答率の精査を行うとともに母集団の選択にも注意を払っ た。さらに、政策に関係なく購入する予定者の割合から潜在的な需要を割り出し、それが業界の最近の販売量と大きく相違しないかチェックも行っている。
    1.エコカー
    今回の精査では、車を持っている人のうち(車歴13年以上90、13年未満631)、今後1年以内の車の購入予定がないと答え、さらに、新車購入の予定 はなかったがこの政策により新車を購入すると答えた人(車歴13年以上3、13年未満16)のみをカウントした。この比率を車歴13年以上、13年未満の それぞれの台数に乗じる。ちなみに、2008年3月末の乗用車登録台数は4,147万台(車歴13年以上817万台13年未満3,330万台)である。

    スクラップ促進策とエコカー減税による追加的な需要創出効果は、合計、111.7万台となる。これに1台あたり200万円(インサイト、プリウスの最も安いランクの価格を参考とする)をかけると、約2兆2,334億円が政策効果となる。
    2.グリーン家電
    現在グリーン家電(テレビ、冷蔵庫、エアコン)のいずれも購入予定はないが、制度が実施されるならエコ家電を購入したいと答えた人の中で、それぞれのエ コ家電を購入すると答えた人のみが今回の政策による追加的購入の該当者とみなしている。全サンプルに対する割合は、テレビは8.5%、エアコンは 6.6%、冷蔵庫は7.0%である。この割合を2009年3月時点の世帯数(労働力調査)に乗じて追加需要を、さらに当該エコ家電の平均単価を乗じて金額 を推計している。エコ家電のうち、テレビとエアコンについては全世帯数を母集団としているが、冷蔵庫については2人以上の一般世帯を母集団としている。

    グリーン家電普及促進策による追加的な需要創出効果は、合計、1,010.4万台となり、約1兆480億円が政策効果となる。
    3.住宅用太陽光発電システム
    2005年国勢調査によると、全世帯4,906万世帯のうち、持家一戸建の世帯は2,539万世帯である。全世帯数は、直近2009年3月時点には、 5,059万世帯になっている。全世帯数の伸び率から、直近の持家一戸建数は2,618万戸と推計できる(2,539×5,059/4906)。この世帯 数が補助金対象になる。補助金対象者のうち、アンケートで太陽光発電システムをぜひ設置したいと答えた人の割合(24/494=4.9%)をかけると、 128.3万戸となる。
    これに実現可能性バイアスを考慮する。一戸建住宅を所有していると答えた人と太陽光発電システム補助金制度を利用したことがある、と答えた人の比率は 5.5%(=25/458)である。これに直近の持家一戸建推計数2,618万戸をかけると、142.9万戸となる。しかし実際には、1997-2005 年度の累積設置戸数は25.3万戸程度で利用実績は小さい(財団法人新エネルギー財団のデータ調べ)。すなわち、17.7%(=25.3/142.9)し か実際には設置されていないことになる。
    これを修正係数とすると、アンケートベースの128.3万戸に17.7%をかけた22.7万戸が新しく太陽光発電設備を設置する戸数になる。結局、250万円/戸×22.7万戸=5,675億円が追加的な需要効果と推計できる。

    最後に、贈与税制度の拡充による住宅投資創出効果をアンケートから推計しようとしたが、質問が正確に理解されていない可能性があり、今回は推計しなかっ た。グリーン家電や乗用車のような耐久消費財については、経済条件が多少変化しても購入意思が実現される可能性は高いが、住宅のような高額な買い物につい ては別物であると判断した。この政策の効果の推計には不確実性が付きまとうためである。

    【アンケート結果の経済政策への含意】
    以上の推計結果は、速報の段階よりはスケールダウンされたが、われわれは経験上確度の高い結果であると考えている。低炭素革命関連の補正予算により、民 間最終消費支出に3兆8,489億円の追加需要が2009年度に発生すると考えられる。2008年度の民間最終消費支出は290.6兆円であるから、民間 最終消費支出を1.3%引き上げることになる。経済全体では0.7%程度の引き上げとなろう。
    もっともこのアンケートは4月時点での経済情勢にもとづく消費者の追加需要を推計していることに注意しなければならない。最近発表されている夏のボーナ スの予測を見れば、前年比20%程度の減少を避けられないようである。大型の耐久消費財(big ticket items)の購入にはボーナスが決定的に重要である。これからは所得制約が強まることがはっきりしているから、ここで示した推計には上方バイアスがか かっている可能性があることを指摘しておこう。
    最後に、低炭素革命関連の補正予算の効果で2009年度に発生する追加需要は2010年度には消滅することを忘れてはいけない。ちょうど消費税引き上げ の駆け込み需要と同じである。その結果、2009年度には民間最終消費支出は成長促進要因となるが、2010年度には0.7%程度の抑制要因に転じるので ある。仮にその部分を世界経済の回復による外需が相殺してくれれば、日本経済は大不況からうまく脱出できることになる。結局、外需頼みの回復といえよう。 景気回復はダブルディップ型になる可能性が高いことを指摘しておこう。 (稲田義久・入江啓彰)

    日本
    <4-6月期日本経済、楽観は禁物>

    5月20日に発表された1-3月期GDP1次速報値によれば、同期の実質GDPは前期比-4.0%、同年率-15.2%と前期(-14.4%)を上回る 大幅なマイナスとなった。下落率は戦後最悪となり、昨年4-6月期以来4四半期連続のマイナス成長を記録した。この結果、2008年度の成長率は -3.5%となった。実績は直近の超短期モデル予測(支出サイドモデル、主成分分析モデルの平均値:-17.4%)やマーケットコンセンサス予測(ESP フォーキャスト:-15.9%)を小幅下回る結果となった。超短期モデル予測の動態を見れば、2月の月次データが利用可能となった2月末の予測において は、すでに-14%程度の大幅な成長率予測へ下方シフトが起こっている。超短期予測は2ヵ月程度早く大幅落ち込みを予測できたことになる。
    1-3月期の成長率が戦後最大の落ち込み幅となった主要因は、輸出の急激な落ち込みと低調な民間需要(民間最終消費支出と民間企業設備)である。日本の 景気の落ち込み幅は、他の先進国、米国(年率-6.1%)やEU(約年率-10%)のそれを大きく上回っている。これは、輸出に大きく依存した日本経済成 長モデルの脆弱性を引き続き示したことになる。
    ただ、3月には生産や輸出が前月比でプラスに転じたことにより、マーッケトでは4-6月期は前期比でプラス成長になる可能性がささやかれている。
    1-3月期のGDPを更新した今週の支出サイドモデル予測によれば、4-6月期の実質GDP成長率は、内需と純輸出が引き続き縮小するため、前期比-1.9%、同年率-7.5%と予測される。前期よりマイナス幅は縮小するものの依然としてマイナス成長が続くとみている。
    4月の多くのデータが利用可能ではなく、予測モデルでは時系列モデルによる予測値を用いているため、今回のようにほとんどデータが急激な下方トレンドを 示している状況では転換点の予測は後ずれする。4月のデータが利用可能となれば、実質GDP成長率のマイナス幅が縮小することは予想できるが、プラスに転 じるかについては次回の予測を待ってみたい。プラス要因として補正予算の効果が期待できるが、新型インフルエンザ等マイナスの要因もあるからである。

    [[稲田義久 KISERマクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]]

    米国
    米景気に対して注意深いながらも楽観的な見方が広まってきた。最も良い例は5月5日のバーナンキFRB議長の議会両院経済委員会での証言である。彼は  ”昨年秋以降の急激な景気悪化のペースがかなり緩やかになってきた”とコメントをし、景気が2009年4-6月期において安定化することを示唆した。確 かに、最近の新規失業保険申請件数の増加はピークを打ち、雇用減少の緩和、製造業の平均週労働時間の上昇、NAHB(全米住宅建設業者協会)住宅市場指数 の1月以降の反転している。景気後退の象徴となっていた労働市場・住宅市場のこれ以上の悪化が止まる兆候をみて、マーケットは彼の証言を受け入れている。
    市場エコノミストの4-6月期経済成長率の予測は-0.5%から-1.5%の範囲にある。これは今週の超短期モデルの予測値と近い(前期比年率-1.1%)。
    景気判断するのにトレンドが重要である。ミシガン大学の消費者コンフィデンス指数、特に将来指数は2月の50.5から急速に上昇し始め、6月には 69.0にまでなっている。グラフが示すように、超短期モデル予測も3月6日の予測から4月24日の予測まで、4-6月期実質GDP伸び率の予測値が緩や かな上昇トレンドを示し、米景気の安定化を示していた。しかし、5月1日以降になるとこれまでの緩やかな上昇トレンドが急速に下降トレンドに転換し始め た。超短期モデルの予測が景気の転換点を示すのに少なくとも市場より1ヵ月早いことが理解できる。今後の超短期予測にもよるが、おそらく1ヵ月後には、” 第2四半期における景気安定化”という注意深い楽観的な見方が幾分悲観的な見方に変わる可能性が高い。

    [[熊坂侑三 ITエコノミー]]

  • -

    経済危機対策(2009年度1次補正予算)に関する1000人アンケート結果 (2009年5月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2009年度

    ABSTRACT

    財団法人関西社会経済研究所(所長:本間正明)では、麻生内閣による経済危機対策(2009年度補正予算案:エ コカー購入への補助、グリーン家電普及促進、太陽光発電システム購入への補助、住宅などの購入にかかわる贈与税の減免など)についてインターネット調査を 実施した。
    今回の対策は、乗用車や家電の買い替えといった具体的な商品の購入意欲を高める振興策が中心となっているが、全国の一般消費者を対象とした1000人を抽出して実施したアンケート調査からは、全ての施策で大きな需要創出効果があるという結果となった。

    <アンケートの実施方法>
    ・調査方法:    ウェブアンケート形式
    ・実施日:    2009年4月28日?4月30日
    ・調査サンプル:・層化抽出法(年齢区分を全国平均に近づける調整)により抽出した1000名。

    【質問と回答(抜粋)】
    設問1.エコカーへの普及促進策(車齢13年超車からの買換えは、普通車で25万円の補助等)について、あなたの考えは下記のうちどれに一番近いですか。

    (1)車齢13年以上の車を保有している回答者(90名)の内、「新車購入の予 定はなかったが、この政策により新車を購入することにする」と回答したのは16名(17.8%)、「この政策が発表されたので当初考えていた車より高価な 車を選ぶ」と回答したのは6名(6.7%)、「H21年4月10日以降で新車を購入したので補助を受けたい」と回答したのは5名(5.6%)であり、今回 の補助政策で購入行動を変えたものは27名に上る。これは車歴13年以上の車を保有している回答者の30%にあたる。旧式の燃費の悪い車をエコカーに転換 するという今回の政策が有効であることを示している。

    (2)国土交通省「初年度登録年別自動車保有車両数」によると平成20年3月末現在、乗用車の登録車両数は4147万台であり、うち車歴13年以上は817万台と19.7%を占める。
    今回のアンケート結果に基づく購入行動が開始されれば、817万台×17.8%=145万台(1年間)の追加的需要創出効果が可能となる。1台平均単価を200万円とすれば、145万台×200万円=2兆9000億円となる。

    設問2.グリーン家電(テレビ、エアコン、冷蔵庫のうち省エネラベル4つ星以上の製品)の普及促進策について、あなたの考えは下記のうちどれに一番近いですか。

    <テレビ>
    (1)2009年度の補正予算の普及促進策によって、グリーン家電(テレビ)を購入と回答したのは、153名であり、15.3%の追加的需要創造が可能となる。
    (2)これを全国世帯数3600万世帯(二人以上世帯)に引き伸ばせば、3600万世帯×15.3%=551万台(1年間)に相当する。1台平均単価を13万円とすれば、551万台×13万円=7163億円となる。
    (3)ジーエフケーマーケティングサービスジャパン㈱の「2008年度家電およびIT市場の販売動向調査」によれば、テレビの販売台数は1007万台である。これは、この政策が、総需要を50%以上引き上げることが可能であることを示している。

    <冷蔵庫>
    (1)今回のグリーン家電促進策で冷蔵庫を購入すると答えたのは90名(9.0%)である。
    (2)テレビと同様に、グリーン家電(冷蔵庫)の追加的需要を試算すると、3600万世帯×9.0%=324万世帯(1年間)となる。1台平均単価を9万円とすれば、324万台×9万円=2916億円となる。
    (3)ジーエフケーマーケティングサービスジャパン㈱の「2008年度家電およびIT市場の販売動向調査」によれば、冷蔵庫の販売台数は460万台である従ってこの政策により需要を70%引き上げることが可能となる。

    <エアコン>
    (1)今回のグリーン家電促進策でエアコンを購入すると答えたのは89名(8.9%)である。
    (2)テレビ、冷蔵庫と同様に、グリーン家電(エアコン)の追加的需要を試算すると、3600万世帯×8.9%=320万世帯(1年間)となる。1台平均単価を8万円とすれば、320万台×8万円=2500億円となる。
    (3)(社)日本冷凍空調工業会「2008年 国内出荷実績」によれば、エアコンの販売台数は775万台である。従ってこの政策によって需要を40%引き上げることが可能となる。

    ※以下詳細については別紙資料を参照願います。

     

    PDF
  • 熊坂 侑三

    今月のトピックス(2009年4月)

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    <中国の財政刺激策は関西経済にとって救世主となるか?>

    関西経済予測のアウトライン:2009-2010年度
    関西社会経済研究所(KISER)は2月22日、10-12月期GDP1次速報値を織り込んだ第77回景気予測を発表した(HP参照)。今回われわれは、日本経済予測と整合的な形で、関西経済についても予測を行った。ベースラインを要約すれば、以下の様である。
    関西の実質GRP成長率は2009年度▲3.2%、2010年度+0.7%と予測する。第77回景気予測では、日本経済の実質GDP成長率について 2009年度▲3.7%、2010年度+1.5%と予測されていることから、関西経済は、日本経済と比較して落ち込み幅は緩やかに留まるが、回復局面では スピード感に欠く、といった予測のストーリーである。
    需要項目の中で、特徴的な予測結果となっているのは企業設備投資である。2009年度▲13.6%、2010年度▲0.8%と予測している。ただし、大阪湾ベイエリア地域での環境関連投資が進めば、上ぶれする可能性があることに注意しておこう。
    関西経済にとっての中国の役割
    また、輸移出については、2009年度▲2.6%、2010年度+1.6%と予測している。関西の輸出においては、アジア、特に中国が大きな役割を担っ ている。ここで、関西における輸出構造を中国を中心に確認しておこう。下図は2008年における関西の輸出相手地域のシェアを示したものである。関西の輸 出16.5兆円のうち、アジアは約10兆円で6割を占めており、特に中国はその3分の1(3.3兆円)を占めている。中国に対する輸出を品目別にみると、 電気機器や原料別製品といった品目の割合が高い(それぞれ32.1%、19.4%)。一方、輸送用機器はあまり輸出されておらず、ウェイトが低い (1.0%)。

    中国の財政刺激策の大きさ
    最近、中国の財政刺激策にスポットライトが当っている。ただし、財政規模4兆元が一人歩きをしている感がある。この規模の財政刺激策が実現した場合、ど の程度の経済拡張効果があるか見てみよう。2008年の名目GDPが30.067兆元であるから、4兆元は13.3%に相当する規模である。仮に乗数(国 民所得の拡大額÷有効需要の増加額)を1.5とした場合、6兆元の追加的な需要となり、名目GDPを約20%引き上げるという計算になる。
    ここで注意が必要である。意外と看過されているのは、この財政支出期間が2年を目処にしており、一部は昨年末から前倒しされていることである。なかには 単年度で4兆元が支出されてその効果を計算していると読める分析もある。それにしても、4兆元が仮にすべて真水として支出された場合、1年間で名目GDP を最大約10%押し上げる効果をもつと考えてよい。
    中国の財政刺激策は関西経済にとって救世主となるか
    われわれは関西経済の予測とともに、中国経済の実質成長率がベースラインから加速した場合、関西経済に与える効果(中国経済高成長ケース:シミュレー ション1)を計算している。ベースラインでは中国の実質GDP成長率を2009年+6.2%、2010年+8.3%と想定しているが、これが両年にわたっ て8.5%にシフトアップするケースをシミュレーションしている。
    シミュレーション結果によれば、中国経済が政府の目標に近い成長率(ここでは8.5%)を実現できた場合、関西経済の輸出を2009年度0.3%、 2010年度0.42%拡大するにとどまる。金額(2000年実質価格ベース)にして、それぞれ、336億円、479億円である。実質GRPは、2009 年度0.03%、2010年度0.05%の増加にとどまる。金額にしてそれぞれ283億円、411億円である。意外と効果は小さいのである。
    KISERの関西経済モデルでは実質輸出関数が推計されている。所得弾力性は0.864、価格弾力性は-0.651となっている。所得変数としては、中 国、米国、EUの実質GDPを2005年の3ヵ国の輸出シェアで加重平均したものを用いている。中国経済の成長率2.3%ポイントの上昇(6.2%から 8.5%へ)は、関西の実質輸出を0.3%押し上げることになる。
    中国経済に加えて、米国とEUの成長率がベースラインより2%ポイント上昇した場合、関西の実質輸出はベースラインから1.8%拡大することになる(シ ミュレーション2)。これらのシミュレーションが示唆するものは、関西経済にとって確かに中国経済の回復はそれなりの効果を持つが、決して大きくない。大 事なのは世界経済が一致して拡張的な財政・金融政策をとらない限り、大不況から脱出できないのである。16日に中国の1-3月期経済成長率が発表された が、前年同期比+6.1%に減速した。4半期ベースでは統計がさかのぼれる1992年以来の低い伸びにとどまった。この現実からも、中国経済の財政刺激策 の効果に過度の期待をかけないほうが無難である。(稲田義久・入江啓彰)

    日本
    <先行指標に一部明るさがみられるが1-3月期は前期を上回る2桁のマイナス>

    4月20日の予測では、3月の一部と2月のほぼすべての月次データが更新された。3月のデータで特徴的なのは、一部の先行指標に改善が見られたことであ る。3月の消費者態度指数は3ヵ月連続の前月比プラスを記録し、同月の景気ウォッチャー調査の現状判断DIも3ヵ月連続で改善した。このように企業や消費 者の心理は2008年12月に底を打ち改善傾向を示しているが、水準は昨年秋口の値に等しく依然として低い。すなわち、前年同月では引き続き低下している が、悪化幅が縮小し始めたのであり、秋口以降の急速な落ち込みが減速しているのである。このように先行きに明るさが見られるものの、現状は非常に厳しいと いえる。
    支出サイドモデル予測によれば、1-3月期の実質GDP成長率は、内需が大幅縮小し純輸出も引き続き縮小するため、前期比-4.7%、同年率 -17.5%と予測される。10-12月期を上回るマイナス成長が予想され、この結果、2008年度の実質GDP成長率は-3.2%となろう。ちなみに4 月14日に発表された4月のESPフォーキャスト調査によれば、1-3月期実質GDP成長率予測のコンセンサスは前期比年率-12.76%となっている。 われわれの超短期予測はコンセンサスから5%ポイント程度低いといえよう。
    1-3月期の国内需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比-0.8%となり、2期連続のマイナス。実質民間住宅は同-8.6%と3期ぶりのマイナス となる。実質民間企業設備は同-12.2%と5期連続のマイナスとなる。実質民間企業在庫品増加は2兆8,400億円となる。実質政府最終消費支出は同 0.4%増加し、実質公的固定資本形成は同0.6%増加する。国内需要の実質GDP成長率(前期比-4.7%)に対する寄与度は-2.8%ポイントとな る。
    財貨・サービスの実質輸出は同22.1%減少し、実質輸入は同11.4%減少にとどまる。このため、純輸出の実質GDP成長率に対する貢献度は-1.9%ポイントとなる。
    4-6月期の実質GDP成長率については、内需は停滞し、純輸出も引き続き縮小するため、前期比-1.5%、同年率-5.7%と予測している。
    一方、主成分分析モデルは、1-3月期の実質GDP成長率を前期比年率-16.0%と予測している。また4-6月期を同-9.5%とみている。
    この結果、支出サイド・主成分分析モデルの実質GDP平均成長率(前期比年率)は、1-3月期が-16.7%、4-6月期が-7.6%となる。両モデルの平均で見れば、2009年後半は引き続きマイナス成長となり、当面景気回復の糸口が見つからないようである。

    [[稲田義久 KISERマクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]]

    米国

    4月29日に2009年1-3月期のGDP速報値が発表される。その2週間前における同期の実質GDP伸び率(前期比年率)に対する市場のコンセンサス は-4%?-5%である。一方、超短期モデルは実質GDP伸び率を、支出サイドから-0.2%、所得サイドから-1.7%、そしてその平均値(最もありえ る値として)を-0.9%と予測している。
    この超短期予測が正しいとすれば、2008年10-12月期(実質GDP成長率:-6.3%)を米国経済の景気の底と見ることができる。実際に、バーナ ンキFRB議長のように、景気をそのようにみるエコノミストもいる。しかし、世界的なリセッションによる大幅な輸出入の減少が2009年1-3月期の数字 上の景気判断を難しくしている。
    名目輸出入に関しては2009年の1月、2月の実績値が既に発表されている。従って、この2ヵ月の平均値を10-12月期の月平均値と比べることができ る。名目財輸出、同サービス輸出、同財輸入、同サービス輸入の減少率は、前期比年率でそれぞれ-45%、-16%、-57%、-17%となる。超短期予測 は時系列モデル(ARIMA)で3月以降を予測している。財とサービスを合わせた名目輸出、同輸入の下落率はそれぞれ-37%、-51%となる。すなわ ち、輸出入が共に3月に減少すると予測している。一方、輸出入価格は季節調整前だが、3月までの実績値がそろっており、前期比年率でそれぞれ-9%、 -24%である。
    その結果、超短期予測は1-3月期の実質輸出、同輸入の下落率を前期比年率でそれぞれ-32%、-51%と予測している。すなわち、世界的なリセッショ ンの結果このような実質輸出入の大幅な減少が生じており、米国では更に実質輸入の落ち込みが実質輸出の落ち込みを大きく超えることから、数値上実質GDP の伸び率が高くなる。実質輸出入がこのようにそれぞれ大幅に減少するとき、純輸出の予測には多くの不確実性が伴う。
    そのため、正しい景気判断をするにはGDPから純輸出を除いた実質国内需要で景気を判断するのが良い。超短期予測は1-3月期の実質国内需要の伸び率を -5.7%と予測しており、これは2008年10-12月期-5.9%とほとんど変化はない。すなわち、1-3月期の実質GDPの伸び率が市場のコンセン サスよりも高くなっても、同期の経済状況は前期と同じように悪かったと判断すべきであり、米国経済の底は2008年10-12月期から更に深くなっている と見るべきである。超短期予測が1-3月期の実質GDPが市場のコンセンサスに近くなるのは、季節調整後の輸入価格と3月の輸入を超短期予測が共に過小評 価している場合である。

    [[熊坂侑三 ITエコノミー]]

  • -

    基礎年金保険料の税方式化について

    ディスカッションペーパー

    ディスカッションペーパー

     / DATE : 

    PDF
  • -

    マクロモデル研究会で報告(2009年7月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2009年度

    ABSTRACT

    2009年7月24-25日、日本経済研究センター(東京)で開催されたマクロモデル研究会において、当研究所の入江研究員が「関西経済予測モデルの開発と応用」というテーマで報告を行いました。報告論文はディスカッションペーパーNo.15に公開しています。

    また、マクロモデル研究会に参加した当研究所分析チームスタッフが業務と関連の深い報告をピックアップしてレポートとしてまとめました(研究会の全ての報告概要は、日本経済研究センターのホームページでご覧になれます)。

    PDF
  • -

    2009年版関西のプロジェクト動向調査

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2009年度

    ABSTRACT

    この度、文献調査とアンケート調査をもとに、2009年(2009年1?12月)における関西(2府5県)のプロジェクトの実態を調査し、結果をとりまとめました。

    (1)プロジェクトの件数・事業費の推移
    ○2009年12月末時点のプロジェクトの件数は475件であった。
    前年よりトータルで20件の減少となり、1996年1月の917件をピークに減少を続けている

    (2)新規プロジェクトの件数、事業費の推移
    ○2009年の新規プロジェクトは71件となっており、2008年をやや下回った。
    うち、事業費判明件数は47件、総事業費は4,397億円、平均事業費は94億円で、平均事業費は低い水準となったが、総事業費では、1998年1月以降で4番目の額となった。

    PDF
  • -

    大阪府庁舎のWTC移転案に関するアンケート結果

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2009年度

    ABSTRACT

    財団法人関西社会経済研究所(所長:本間正明)が、1月14日、15日にわたって大阪府民を対象に、大阪府庁舎の大阪ワールドトレードセンタービルディング(以下WTCと表記)への移転案に関するアンケートを実施したところ、71.4%が賛成する意向を示した。
    サンプル数:大阪府在住の500名
    調査方法:ウェブアンケート方式

    現在、大阪府庁舎の老朽化に伴う対策が急務となっているが、橋下大阪府知事がWTCへの移転を提案していることを知っていると答えた人は、86.6%で あった。さらに全員に対し、その他の対応案も含めた3案(大阪府発表、詳細については下段の「大阪府庁舎のWTC移転案に関するアンケート結果」を参照の こと)を示し、どれが望ましいかを聞いた。

    その結果、
    A案(WTCへの移転) 71.4%
    B案(耐震補強のみで小規模庁舎へ建替え) 13.4%
    C案(同じ場所で全面建替え) 2.8%
    その他の意見  1.6%
    わからない  10.8%
    となった。


    また、A案を選んだ人(357名)に、その理由をきいた(複数回答)ところ、多い順に、府の負担額が最も少ない(88.2%)、WTC地域と府庁跡 地の周辺地域を活性化することで経済発展が期待できる(51.8%)、大阪市がWTCの売却先を探しており、府と市の連携強化の面からもWTC移転が望ま しい(42.6%)であった。

    一方、B案を選んだ人(67名)及びC案を選んだ人(14名)は、「WTC地域は交通の便が悪く、府民が利用しにくい」という理由を第一にあげており、それぞれ76.1%(51名)、85.7%(12名)であった。

    ちなみに、昨年1年間で大阪城の西にある府庁を訪問した人は、12%(60名)であった。
    その内訳は、「仕事の目的で訪問した」が40%(24名)、「仕事以外の目的で訪問した」が42%(25名)、「両方の理由で訪問した」は18%(11名)であった。

    詳細の調査結果はこちら

     

    PDF