研究・論文

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「2015年度」の研究・論文一覧 [ 3/6 ]

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    APIR Commentary No.52<李克強指数と中国の経済成長率>

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     / DATE : 

    ABSTRACT

     最近の中国の経済成長率は世界的に大きな関心事となり、その動向が世界の金融市場にも大きなインパクトを与えている。しかし、中国の国家統計局から公表されるGDP成長率は客観的に中国の経済情勢を反映しない場合が少なくないことが中国内外の研究者や市場関係者から古く指摘されてきている。その代表的な人物がほかならぬ中国の首相李克強氏である。李克強氏は、工業電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行貸出残高の3つのデータに基づく指標を用いて、中国経済の動きを判断しているとし、近年はこの李克強指数について言及される機会が増えてきた。
     しかし、この李克強指数が国家統計局公表のGDP成長率より実態に近いとする根拠はない。また、同指数が中国経済の実態をより正確に反映するためには幾つかの修正が必要と思われる。
     そこで、ここでは李克強指数の再推計を試みた。その結果、既存の同指数が、近年、成長率に比して大きく下方に乖離していたことに対し、本稿で推計した同指数は発表された成長率により近い水準となっていることが分かった。本稿の推計によれば、国家統計局の公表データが中国の経済成長率を過大に評価したとは言いがたい。
     また、中国経済はすでに量的拡大を追求する時代を終えており、日本が高度成長が終了してから平均で4%程度の経済成長を続けていたことを考えれば、中国の7%成長は依然として高い水準にあるといえる。さらに、近年の中国経済の規模は従来よりも大きくなっていることから、例えば2014年度のGDP増分はインドネシア一国のGDP総額に匹敵する。このことからも、中国が世界経済を牽引する力は依然として大きく、成長率の低下について過度に悲観的になる必要はないと考えられる。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.29

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady

    ABSTRACT

    7月の鉱工業生産指数は2カ月連続の上昇も、特殊要に支えられた側面が強い。今後生産は緩やかな減少が予想される。

    ?8月の貿易は、輸出が30カ月連続の前年比増加。輸入は6カ月ぶりの小幅増。結果、貿易収支は6カ月連続の黒字となった。今後は、中国8月のイベントの影響が出てくる可能性が高い。

    ?8月の消費者態度指数は2カ月ぶりに改善した一方、景気ウォッチャー現状判断DIは2カ月連続で悪化した。中国経済の減速による影響から、先行き見通しは大幅に低下している。

    ?5月の関西2府4県の現金給与総額は3カ月ぶりのプラスとなったが、6月の「関西コア」賃金指数は3カ月連続のマイナス。賃金回復の動きはまだ見られない。

    ?7月の大型小売店販売額は4カ月連続の前年比プラス。

    ?7月の新設住宅着工戸数は小幅増加し、3カ月連続のプラス。持家、貸家が増加に貢献している。

    ?7月の有効求人倍率と新規求人倍率はともに前月から上昇。失業率は4カ月連続の前月比悪化となった。生産も弱含んでおり、雇用の回復は力強さを欠く。

    ?8月の公共工事請負金額は2カ月連続で2桁の前年比減。季節調整値も2カ月連続の同マイナス。今後、公共工事は減少トレンドに転じる可能性がある。

    ?中国の8月の製造業購買担当者景況指数(PMI)は、6カ月ぶりに景気判断の分かれ目である50を下回った。PMIは景気転換の「先行指標」であることから、中国経済の景気の下振れは無視できない。

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  • 森 剛志

    データからみた日本とオーストラリアの観光産業の現状

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    森 剛志 / Miles Neale

    ABSTRACT

    日本とオーストラリアの観光産業をTSAなどのデータから分析。国・地域順の訪日観光客数では7位であるが、その平均支出総額は2位のオーストラリア。現在、アジア太平洋では、富裕層を含めた中間層以上の海外旅行客は増加途上にあるが、訪日外国人観光客の支出の少なさが大きな問題点である。「観光立国」を目指す日本の課題とその解決策を、オーストラリアの政府と企業が設立した「全国労働者促進基金」の事例をヒントに探る。

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  • 浅岡さおり

    MICE的観点から見るユニーク・べニューとは?

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    浅岡さおり

    ABSTRACT

    訪日観光戦略構築の有効な手段のひとつとしての「ユニーク・ベニュー」。「オリンピックブームと関西の訪日観光戦略の構築」の研究リサーチャーが、所属する大阪観光局 MICE推進部で試みた『山本能楽堂』における大阪でのユニーク・ベニューの事例を紹介。今ある観光資源を単なる「観光地」「観光施設」としてだけでなく、ポテンンシャルの高い文化施設をレセプション等の開催地として活用することにより、特別感や地域特性を演出し、更なる魅力を発信する切り口を提言する。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.27 <緩やかな回復局面から踊り場を迎える関西経済 先行きは内外需とも弱含み、成長のカギは企業設備投資>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady

    ABSTRACT
    1. 2015年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率-1.6%と、3期ぶりのマイナス成長となった。内需は-0.5%ポイント減少し3期ぶりのマイナス。純輸出は-1.1%ポイントと2期連続のマイナス。内需のうち民間最終消費支出は4期ぶりに減少に転じ、実質成長率を大幅に引き下げた(-1.8%ポイントの寄与)。
    2. 足下の関西経済は、緩やかな回復局面から踊り場に移りつつあることを示唆するシグナルが出始めている。家計部門では所得環境の改善が進まず、消費者心理は足踏みが続いている。域外取引は中国経済の減速を契機とした不透明感が強い。企業部門の景況感は改善しつつあり、設備投資計画も積極的な姿勢がうかがえるが、家計や輸出の状況、株価の推移から判断すると、楽観視はできない。
    3. 最新の日本経済予測の結果を織り込み、関西の実質GRP成長率を2015年度+1.4%、16年度+2.0%、新たに17年度+0.7%と予測する。前回予測から15年度0.6%ポイント、16年度0.3%ポイントのいずれも下方修正となった。日本経済予測と同様に、足下の民需と外需の停滞を織り込んだことによる。
    4. 2015-16年度は民間需要、特に企業設備投資が成長を牽引する。しかし15年度は先行きの不透明感から回復のペースは緩慢で、16年度は駆け込み需要を織り込んだ成長である。17年度は反動減が表れるため、民間需要の貢献は小さい。公的需要は、財政制約から大幅な支出拡大は見込めない。外需も、輸出の低調から力強さに欠く。
    5. リスクシナリオ・シミュレーションとして、日本経済予測と同様に、中国経済や新興国経済の低迷により世界貿易の伸びが半減した場合の影響を検討した。結果、関西の実質輸出は1.3%程度減少し、実質GRPは0.5%程度低下する。日本での影響よりも関西での影響が幾分大きい結果となっている。
    6. 2015年度以降の関西経済は、民間企業設備投資の動向に大きく左右される。この点、日銀短観の設備投資計画の「修正率」や、その他アンケート調査統計を見ていくと、関西企業の設備投資に対する積極的姿勢が確認できる。

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  • 稲田 義久

    第105回景気分析と予測<基本回復シナリオに変化なし、景気は一時的な踊り場へ>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    〈予測のハイライト〉

    1. GDP1次速報値によれば、4-6月期実質GDP成長率は前期比年率-1.6%と3期ぶりのマイナスとなった。CQM最終予測と同じ結果である。アベノミクスが始まった2013年1-3月期以降、10四半期のうち4四半期がマイナス成長である。潜在成長率が低下する中、外的ショックにより成長率はマイナスに陥りやすくなっている。
    2. 4-6月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は-0.5%ポイント減少し3期ぶりのマイナス。一方、純輸出は-1.1%ポイントと2期連続のマイナスとなった。内需のうち、民間最終消費支出は4期ぶりに減少に転じ、実質GDP成長率を大幅に引き下げた(-1.8%ポイントの寄与)。緩やかに回復していた民間最終消費支出は、結果、消費増税直後の水準をわずか0.2%上回る程度にまで低下した。足下、民間消費は停滞色が濃い。
    3. 4-6月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2015年度+1.0%、16年度+1.8%、新たに17年度を+0.7%と予測する。前回(第104回)予測に比して、15年度を0.7%ポイント大幅に、16年度を0.2%ポイント小幅に下方修正した。
    4. 15年度の下方修正には民間最終消費支出と純輸出の大幅見直しが影響している。基本シナリオとしては、消費増税の影響剥落に加え、実質賃金上昇が見込め、原油価格の大幅下落のプラス効果が浸透してくるため、実質所得増を伴った緩やかな民間消費の回復や企業設備の増加を想定している。しかし、足下雇用者所得の回復は幾分遅れており、世界経済の減速、特に中国経済及び新興国経済の減速が最大の懸念材料となっている。
    5. 16年度は15年度と同じように民間需要を中心とする回復パターンとなる。また年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年から幾分加速する。17年度は4月に2%ポイントの再増税を想定しているため経済は減速する。
    6. 消費者物価コア指数インフレ率は2015年度+0.1%、16年度+0.8%、17年度+2.3%となる。国内企業物価指数は-1.9%、+0.7%、+2.7%となる。GDPデフレータは+1.1%、+0.1%、+1.5%と予測している。16年度のインフレ率は日銀目標の2%に至らない。
    7. リスクシナリオ・シミュレーションとして8月の中国経済をめぐるイベントの影響が深刻化するケースを検討した。実質世界貿易の伸びが半減した場合、日本の実質輸出は1.5%程度減少し、実質GDPは0.3%程度低下する。マイナス成長に陥らない(成長率の天井を高める)ためにも、成長戦略の加速が重要な課題となる。
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  • 森 剛志

    日本とオーストラリアのラグビー場の比較 ~2019年ワールド・カップに向けて~

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    森 剛志 / 津崎 章裕 / Miles Neale

    ABSTRACT

    2019年ワールド・カップの開催に向けて、開催地のひとつである花園ラグビー場を見学しました。アジアで初めての開催であり、海外からの訪問客も引き付けるためには、どのような課題があるのか、会場設備について言及します。その後に、日本の会場と対比する形で、ラグビーを国民的スポーツとしているオーストラリアのスタジアム事例を紹介します。オーストラリアのスタジアムでは、Sports Hospitalityと呼ばれる、企業向けの施設やプレミアム・サービスがあります。国際レベルのスポーツ試合では、外国人観客が母国と同じような高級施設のニーズが想定され、日本のスタジアムが海外から来る観客の需要に応じて、新たに高級施設を建設するかどうかはインバウンド需要を増加させる一つの争点と考えます。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.28

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady

    ABSTRACT

    ・ 6月の鉱工業生産指数は3カ月ぶりの上昇も、4-6月期は3期ぶりの前期比マイナス。今後生産は緩やかな減少が予想される。
    ・ 7月の貿易は、輸出が29カ月連続の前年比増加も中国経済の停滞もあり増加幅は縮小。輸入は原油価格の下落もあり、5カ月連続の減少。結果、貿易収支は5カ月連続の黒字となった。
    ・ 7月の消費者態度指数、景気ウォッチャー現状判断DIはともに前月から悪化。中国経済の先行き懸念から見通しは弱含み。
    ・ 4月の関西2府4県の現金給与総額は2カ月連続の前年比マイナス。5月の関西コア賃金指数も2カ月連続の減少となっており、賃金回復の動きはまだ見られない。
    ・ 6月の大型小売店販売額は3カ月連続の前年比プラスも、百貨店販売額は同マイナス。
    ・ 6月新設住宅着工戸数は前年比+19.2%増加し、2カ月連続のプラス。分譲を中心に大幅増加となった。
    ・ 6月の有効求人倍率は前月比横ばい。新規求人倍率は小幅上昇。失業率は3カ月連続の悪化も、新規求職の動きを反映した労働力人口の増加が背景にあり労働市場は堅調である。
    ・ 7月の公共工事請負金額は前年比-18.2%と2カ月ぶりの減少。季節調整値でも大幅マイナス。請負金額は減少に転じた。
    ・ 6月の建設工事は前年比+5.4%と4カ月連続の増加。足下の建設工事は、住宅着工の増加もあり増加となった。
    ・ 7月の製造業購買担当者景況指数(PMI)は、5カ月連続で景気判断の分かれ目である50をかろうじて維持。工業生産は前年比+6.0%と前月から減速し昨年通年の伸びを下回る状況が続いている。うち、電力や自動車産業で生産はマイナスに転じた。年後半の中国経済は一層の減速が予想される。

     

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  • 林 敏彦

    APIR Commentary No.51<民主主義はペイするか>

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    林 敏彦

    ABSTRACT

    世界にはなぜ豊かな国と貧しい国があるのか、過去20年間で最も高い成長を遂げた国はどのような国か。アジアの中所得国は政治的民主化を遂げなければ、高所得国に移行できないのだろうか。こうした問題を解明する上では経済モデルにも限界がある。そこで、経済のパフォーマンスを非経済変数で説明するモデルを考えてみた。初めに、過去20年の平均実質成長率を「人間開発指数(human development index)」「民主主義指数(democracy index)」、「腐敗認識指数(corruption perception index)「グローバル化指数」国際ドルで評価された「一人当たりGDP」の4つの変数で説明することを試みた。

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