研究・論文

search results

「2019年度」の研究・論文一覧 [ 3/4 ]

  • 松林 洋一

    テキストデータを利用した新しい景況感指標の開発と応用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2019年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    松林 洋一

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    主席研究員 松林洋一 神戸大学大学院経済学研究科教授

     

    研究目的

    従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、リアルアイム性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究ではビッグデータの一つであるテキストデータに着目して、経済の動向を析出することを試みる。

     

    研究内容

    2018年度から引き続き、人工知能の一種である深層学習(ニューラルネットワークという人間の脳神経回路を模したモデルを構築し、コンピュータに機械学習させること)を、テキストマイニングに用いる。本年度も、深層学習における推定モデルの一つである、リカレント・ニューラル・ネットワーク(Recurrent Neural Network,以下RNN)を、基本の分析枠組みとする。

     

    研究体制

    研究統括

    稲田義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学教授

    リサーチャー

    関 和広  甲南大学知能情報学部准教授

    生田祐介  大阪産業大学経営学部講師

    岡野光洋  大阪学院大学経済学部准教授

    期待される成果と社会還元のイメージ

    テキストデータから景況感を推定するモデルを構築する。政府による既存の景況感指数と比較することで、我々のモデルが有する特徴を明らかにする。その成果として「テキスト版景況感指数」を公表する。

    「テキスト版景況感指数」を見ることで、消費者にとっての景況感を、より深く知ることができるようになる。まずは、企業の経営判断を行う際の議論に使えるようにする。そして、国や自治体に対しても、政策決定に活用して頂くことを検討する。

  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表の利活用と2015年表に向けての検討

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2019年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    上席研究員 高林喜久生 関西学院大学経済学部教授

     

    研究目的

    APIRでは,前身の関西社会経済研究所の時代から,関西における地域間産業連関表の作成に取り組んでいる.昨年度の自主研究プロジェクト(2011年版・APIR関西地域間産業連関表の作成と活用)では,2011年度に2005年表作成後,7年ぶりに同連関表の改訂作業を実施した。

    「2011年版APIR関西地域間産業連関表(以下2011年表)」は現在暫定版が完成している。2011年表は対象地域の拡大,産業部門数の拡大,交易マトリクスの作成を通じた域外取引の精緻化など,地域の取引実態を正確に反映させるための様々な工夫を行った。その結果,自治体やシンクタンクにおける経済波及効果推計だけでなく、アカデミックな研究としても耐えられる質の高いものとなっている.そこで,今年度は暫定版を確定版へと修正するとともに,産業連関表自体の利活用に重点を置いて取り組む。

     

    研究内容

    1)「2011年版APIR関西地域間産業連関表」確定版への更新

    昨年度の研究成果である2011年表は現在暫定版である.これを自治体の統計担当者へのヒアリングや,各部門の推計に利用した既存統計を再度見直すことで,暫定版を確定版へと修正する.

    2)関西が会場となる大規模イベントの経済波及効果の推計

    2019年度はG20やラグビーワールドカップの開催が予定されている.また,翌年以降もワールドマスターズゲームズ(2021年)やIR開業(2024年)、大阪・関西万博(2025年)など,関西地域が会場となる大規模イベント開催が多数予定されており,これらのイベントがもたらす経済波及効果の推計を行う.

    3)対外的な成果報告

    夏頃を目途に,2011年表(確定版)を基に関西地域における取引構造について報告する成果報告会を実施する.また,各々の立場で2011年表を活用した分析結果を報告することを通じて,積極的な対外発信に努める。

    4)2015年産業連関表作成に向けた交易マトリックスの更新に向けての準備作業

    次の産業連関表のベンチマークイヤーは2015年である.2011年から15年にかけては,2013年以降のアベノミクス,14年以降の外国人観光客急増によるインバウンド需要の高まりなど,関西経済にとって重要な出来事が多く起こった重要な期間でもある.よって,交易マトリックスの更新を行うことで,2015年の関西地域間産業連関表作成の準備作業を行う。

     

    研究体制

    研究統括

    稲田義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、 甲南大学教授

    リサーチャー

    下田 充  日本アプライドリサーチ研究所主任研究員

    下山 朗  奈良県立大学地域創造学部教授

    入江啓彰  近畿大学短期大学部准教授

    藤原幸則  APIR主席研究員

    木下祐輔  APIR調査役・研究員

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    関西全体を一地域として捉えた近畿経済産業局の「近畿地域産業連関表」は2005年表を最後に作成中止となっており,本表が関西地域を対象とする唯一の本格的な2011年表となる.そのため,2011年表を活用した分析結果や対外発表等は非常に価値が高い.

    また,2011年表は政策評価を行う上での基礎資料でもあることから,所内の他の自主研究(インバウンドや地域創生等)とクロスオーバーが期待できる。

    2011年表を確定版へと修正作業を行うとともに,関西経済の構造分析を行い、また今後関西地域で開催が予定されている大規模イベントの経済波及効果の推計についても検討する予定である。こうした作業の過程で蓄積された知見は,トレンドウォッチ,コメンタリーの形で適宜報告を行うとともに,学会などでも対外発表も行いたい。

     

    <研究会の活動>

    研究会・分科会

    ・2019年4月26日  第1回研究会開催

    ・2019年5月17日  第1回分科会開催

    ・2019年6月7日   第2回分科会開催

    ・2019年6月25日  第3回分科会開催

    ・2019年7月30日  第4回分科会開催

    ・2019年10月28日  第5回分科会開催(予定)

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.77 – 景気は足下・先行きともに悪化 –

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / KARAVASILEV, Yani / 野村 亮輔 / CAO THI KHANH NGUYET / 車 競飛

    ABSTRACT

    ・7月の生産(季節調整値)は2カ月ぶりの前月比プラス、原系列は8カ月ぶりの前年比増加となった。近経局は生産の基調判断を「生産は緩やかな持ち直しの動き」と前月から上方修正した。
    ・8月の貿易収支は3カ月連続の黒字だが、輸出入ともに減少し、貿易総額は対中国を中心に9カ月連続で減少。米中貿易摩擦長期化による中国経済の減速の影響が大きい。対韓輸出管理の厳格化が注目されているが影響は今のところ限定的とみている。
    ・8月景気ウォッチャー現状判断DIは、4カ月ぶりに前月比改善だが、先行き判断については2カ月連続で悪化。消費増税前の駆け込み需要への期待や増税後の反動減の懸念の影響がみられる。
    ・6月の現金給与総額は滋賀県が2か月連続、兵庫県が23カ月連続、京都府が4カ月ぶりにそれぞれ増加。一方、奈良県は12カ月連続、和歌山県は5カ月連続でそれぞれ減少した
    ・7月の大型小売店販売額は3カ月ぶりに前年を下回った。インバウンドの高額品購入が好調で百貨店は小幅プラスに寄与。一方、夏物商品が伸び悩み、スーパーはマイナスの寄与となった。
    ・7月の新設住宅着工戸数は4カ月ぶりの前年比増加。分譲は減少したが、持家、貸家は増加した。1-7月期の持家は前年同期比+9.7%増加にとどまり、前回に比して駆け込み需要は小規模。
    ・7月の有効求人倍率は前月比小幅のマイナスだが、求人数は同横ばい、求職者数は3カ月連続で増加した。完全失業率は前月比マイナス。雇用情勢は堅調である。
    ・7月の建設工事出来高は17カ月連続の前年比増加。8月の公共工事請負金額は2カ月ぶりに増加し、持ち直しの動きがみられる。
    ・8月の関空の外国人入国者数は前年比+4.9%で11カ月連続のプラスだが、伸びは前月(同+15.5%)から減速。日韓関係の悪化による航空路線の運休・減便の影響がみられる。
    ・8月の中国経済は減速感が強まっている。社会消費品小売総額の伸びは自動車市場の継続的な低調(前年比-8.1%)の影響を受け、前月より小幅減速。固定資産投資の伸びは2カ月連続で減速し、とりわけ工業部門(同+2.2%)が目立った。米中貿易摩擦が激化しつつ、貿易総額は4カ月連続で縮小している。

     

    ※英語版はこちら

    PDF
  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:8月レポート

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    インバウンドの「変化の兆し」をいち早く

    ⽉次指標の早期推計︓8⽉レポート

    PDF
  • 稲田 義久

    日韓関係の悪化と関西経済:2つの輸出とそのリスク

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 下田 充

    ABSTRACT

    本稿では最近の日韓関係の悪化が関西経済にどのような影響を及ぼすかを「2つの輸出」の視点から分析した。分析から以下の結論が得られた。

    1. 財貨の交易についてみれば、韓国のシェアは関西・全国ともに輸出が約7%、輸入が約4%である。中国のシェアと比較すれば、輸出で約4分の1、輸入で約8分の1である。今後、韓国との交易が停滞したとしても、関西の輸出や景気全体への影響は限定的となろう。足下、関西の輸出では韓国向けと中国向けの下落率が大きい。米中貿易摩擦の昂進とグローバル・バリュー・チェーンを通じた中国経済と韓国経済の連動性に起因していると考えられる。

    2. 2018年関西への訪日外客による消費総額は1兆1,338億円である。関西産品で9,965億円、その他地域で1,373億円が賄われている。これらによる関西経済への波及効果(付加価値ベース)は約9,213億円なり、関西の域内総生産の1.08%を創出したことになる。

    3. 仮に、訪日韓国人客が前年比30%大幅減少したとしても、訪日外客が関西で生み出す付加価値はベースケースより376億円、-4.1%の減少にとどまる。この背景には韓国人の消費単価の低さがある。府県別では、大阪府の影響が大きく269億円減少し、関西の減少幅の72%を説明する。GRPに対する寄与度でみれば、ベースの1.08%から0.044%ポイント低下する。

    最近の日韓関係の悪化が関西経済に及ぼす影響は限定的と見るが、特にインバウンドの観点から、この結論に至るうえで、重要なのは中国の役割である。関西はアジアからの訪日客が圧倒的に多く、中国人客が堅調に伸びる中、日韓関係の悪化からくるインバウンドへの影響は限定的となろう。勿論、訪問率からわかるように、韓国人の訪問率は中国人に比して比較的地方に分散しているため、関西以外ではその影響は厳しめに出る可能性がある。

    PDF
  • 稲田 義久

    日本経済(月次)予測(2019年8月)<7 月の生産統計を更新し、 7-9 月期実質 GDP 成長率予測を3 週連続で上方修正>

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    ※英語版はこちら

    PDF
  • 稲田 義久

    第123回景気分析と予測<深刻度を増す世界貿易、足下堅調も民需先細り懸念>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    深刻度を増す世界貿易、足下堅調も民需先細り懸念

    1. 世界貿易は深刻度を増している。CPB World Trade Monitor(23 August, 2019)によれば、19年4-6月期の世界輸出数量は前期比-0.9%減少し、3四半期連続のマイナス。地域別にみれば、先進国は同-0.5%と2四半期ぶりのマイナス、新興国は同-1.4%と3四半期連続のマイナスを記録した。米国の対中制裁第4弾をめぐり、事態打開は当面期待できない。世界貿易の先行きが読みにくくなっており、米中貿易戦争は世界を巻き込みその影響は長期化かつ深刻化している。
    2. 8月9日発表のGDP1次速報によれば、4-6月期実質GDPは前期比年率+1.8%と3四半期連続のプラス成長。市場コンセンサス(ESPフォーキャスト8月調査)の最終予測(同+0.25%)は実績を大幅下回った。一方、CQM最終予測は、支出サイドが同+1.5%、生産サイドが同+2.1%、平均同+1.8%となり、実績とほぼピンポイントとなった。
    3. 4-6月期の実質GDP成長率は、堅調な内需が低調な純輸出を相殺し、3四半期連続のプラスとなった。民間最終消費支出、民間住宅、民間企業設備、公的需要(政府最終消費支出、公的固定資本形成)が成長率を押し上げる一方で、民間在庫変動や純輸出は押し下げた。4-6月期1次速報発表に合わせて、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しが行われ、過去値が改訂された。19年1-3月期の上方修正と4-6月期の堅調な成長により、19年1-6月期は前期比年率+2.1%と予想を上回る高成長となった。
    4. 4-6月期GDP1次速報を織り込み、2019年度の実質GDP成長率を+1.0%、20年度を+0.5%と予測した。前回(第122回)予測に比して、19年度を0.4%ポイント上方修正した。一方、20年度を-0.1%ポイント下方修正した。19年前半の好調を反映して、19年度全体の予測を上方修正した。内需の下方修正と米中貿易摩擦の長期化予想の影響を受け、20年度は幾分下方修正となっている。
    5. 足下、民間最終消費支出の堅調は大型連休の影響による一時的なものにとどまり、基調は弱い。標準予測では消費増税が予定通り実施されると想定している。このため19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年央であること、政府の手厚い経済対策、オリンピック需要の影響もあり、19年度はマイナス成長を避けられよう。
    6. 物価の先行きについては、エネルギー・非エネルギー価格の動向と消費税増税の影響に加え教育無償化の影響が重要だ。これらを考慮し、コアCPIのインフレ率を、19年度+0.6%、20年度+0.5%と予測する。
    7. 世界経済は減速を避けるために、一連の景気刺激策を打っている。一方、米中貿易摩擦の高進は最大のリスク要因となっている。両国の敵対的行動がさらに進めば、世界経済が同時不況入りするリスクが高まる。

     

    ※英語版はこちら

    PDF
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.44 – 足下底堅く推移しているが不透明感の強まりから先行き弱含み –

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 野村 亮輔 / CAO THI KHANH NGUYET / 馬 騰

    ABSTRACT

    1. 2019年4-6月期実質GDPは前期比年率+1.8%と3四半期連続のプラス成長となった。民間最終消費支出、民間住宅、民間企業設備、公的需要が成長率を押し上げる一方で、民間在庫変動や純輸出は押し下げた。
    2. 2019年4-6月期の関西経済は、基調としては底堅く推移しているが、不透明感の強まりから先行きに関しては弱含みである。米中貿易戦争の行方に代表される国際情勢や、消費増税の影響といった先行きの不透明感は、消費者センチメントや企業の景況感などマインドに関する指標を下押ししている。一方で、インバウンド需要など堅調な部分も見られ、総じて見れば底堅く推移した。
    3. 関西の実質GRP成長率を2019年度+0.6%、20年度+0.5%と予測する。19年度は-0.1%ポイントの下方修正、20年度は+0.1%ポイントの上方修正とした。19年度は年前半の堅調ぶりから民間需要を上方修正としたが、輸出の伸び悩みから域外需要の寄与を大きく下方修正しており、全体では小幅下方修正となる。一方、20年度には外需の回復を幾分見込み、上方修正とした。
    4. 実質GRP成長率に対する各需要項目の寄与度を見ると、2019年度は民間需要が+0.8%ポイントと景気を下支えする。また公的需要も消費税対策の影響から+0.4%ポイントと成長に貢献する。一方域外需要は-0.5%ポイントと成長抑制要因となる。20年度は民間需要+0.3%ポイント、公的需要+0.2%ポイントと前年に引き続いて成長を押し上げるが、小幅である。域外需要は-0.0%ポイントと成長にほとんど寄与しない。
    5. 関西と韓国の交易状況について整理した。関西からの輸出総額に占める韓国のシェアは7%程度で、仮に韓国との交易が停滞が続いたとしても、輸出全体あるいは景気全体への影響は限定的とみられる。なお対中貿易について見られるような関西と全国でのシェアの差異は、対韓貿易については見られない。また関西から韓国への輸出品目は、韓国の製造業の中でウェイトの高い半導体やディスプレイパネル等の製造に関連した品目が多い。

    なお、韓国のトピックについては別添資料参照。

     

    ※英語版はこちら

  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:7月レポート

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    インバウンドの「変化の兆し」をいち早く

    ⽉次指標の早期推計︓7 ⽉レポート

    PDF
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.76 – 景気は足下・先行きともに悪化 –

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / KARAVASILEV, Yani / 馬 騰 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    ・6月の生産は3カ月ぶりに減産となった。結果、4-6期は前期比-0.2%小幅低下した。近経局は生産の基調判断を「生産は底堅い動きがみられる」と前月から据え置いた。
    ・7月の貿易収支は2カ月連続の黒字だが、輸出入ともに減少し、貿易総額は対中国を中心に8カ月連続で減少。米中貿易摩擦長期化による中国経済の減速の影響が大きい。対韓輸出管理の厳格化が注目されているが影響は今のところ限定的とみている。
    ・7月の景気ウォッチャー現状判断DIは、3カ月連続で前月から悪化し、8カ月連続で50を下回った。梅雨明けの遅れによる売行きの悪化に加え、インバウンド消費の勢いが以前と比べて緩やかになっているようである。
    ・5月の関西2府4県の現金給与総額は前年比横ばい。実質現金給与総額は3カ月連続で同マイナスとなった。
    ・6月の大型小売店販売額は2カ月連続で前年を小幅上回った。高額品や家庭用電気製品が好調で百貨店はプラスに寄与した。一方、スーパーは昨年の震災によりレトルト食品の売上が増加したが、今年はその反動がみられ、マイナスの寄与となった。
    ・6月の新設住宅着工戸数は前年比-3.6%と3カ月連続で減少。持家と分譲は増加したが、貸家の大幅減少の影響が大きかった。
    ・6月の有効求人倍率は前月比小幅のマイナスだが、求人数、求職者数ともに2カ月連続で増加した。完全失業率は前月比マイナス。雇用情勢には一服感がみられる。
    ・6月の建設工事出来高は16カ月連続で前年比増加した。7月の公共工事請負金額は4カ月ぶりに同マイナスとなった。
    ・7月の関空の外国人入国者数は前年比10カ月連続で増加し、また2カ月連続の二桁の伸びとなった。
    ・中国7月の製造業購買担当者景況指数(PMI)は49.7となり、3カ月連続で景気分岐点を下回っている。対米貿易黒字は279.7億ドルとなり、3カ月ぶりに縮小した。

     

    ※英語版はこちら

    PDF
  • 稲田 義久

    『訪日外国人消費動向調査』個票データを用いた インバウンド需要の計量分析

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    本稿では観光庁『訪日外国人消費動向調査』の個票データを用いて、インバウンド需要の決定要因について定量的に考察する。具体的には11の国、地域からの訪日外国人の消費額の決定要因を、2015年第1四半期から17年第4四半期までの各期のクロスセクションデータを用いて分析する。分析結果より、為替レートや世帯収入などインバウンド需要の基本的決定要因は有意にプラスの影響を与えていることが明らかとなった。為替レートの変動は訪日外国人の収入の多寡よりも強く作用しており、その影響は自国通貨が円に対して割安であるほど大きくなっていることが確認できた。またビザ緩和は発動当初には強く影響しており、徐々にその効果が低下していく点も明らかとなった。

    PDF
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.75 – 景気は足下・先行きともに悪化 –

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 野村 亮輔 / KARAVASILEV, Yani / 馬 騰 / CAO THI KHANH NGUYET

    ABSTRACT

    ・5月の生産は2カ月連続で増産となった。結果、4-5月平均は1-3月期平均比+0.6%上昇した。近経局は生産の基調判断を「生産は底堅い動きがみられる」と4カ月ぶりに上方修正した。
    ・6月の貿易収支は2カ月ぶりの黒字だが、輸出、輸入ともに減少しており、貿易総額は対中国を中心に7カ月連続で減少。
    ・6月の景気ウォッチャー現状判断DIは、2カ月連続で前月から悪化し、7カ月連続で50を下回った。ゴールデンウィークの反動減の影響やG20サミットによる企業の売上減少がみられる。
    ・4月の関西2府4県の現金給与総額は2カ月連続の前年比マイナス。実質現金給与総額も2カ月連続で同マイナスとなった。
    ・5月の大型小売店販売額は2カ月ぶりに前年を上回った。高額品の好調に加え、気温の上昇の影響で百貨店もスーパーも季節品の売り上げによりプラスに寄与した。
    ・5月の新設住宅着工戸数は前年比-27.5%と2カ月連続で減少。減少幅は2009年8月以来最大。分譲の大幅減少が影響した。
    ・5月の有効求人倍率は前月比小幅のマイナスだが、求人数、求職者数ともに5カ月ぶりに増加した。一方、完全失業率は前月比横ばいだが、労働力人口、就業者数いずれも増加している。雇用情勢に引き続き改善がみられる。
    ・5月の建設工事出来高は15カ月連続で前年比増加した。好調なインバウンド需要は宿泊業の建設投資の増加に寄与している。6月の公共工事請負金額(季節調整値)は3カ月ぶりに前月比減少した。結果、4-6月期は3四半期ぶりに前期比小幅減少した
    ・6月の関空の外国人入国者数は9カ月連続で前年比増加し、2018年6月以来の二桁の伸びだが、前年同月の自然災害の影響が一巡したためである。
    ・中国4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+6.2%で、1992年以降で最低の伸び率であった。また、6月の製造業購買担当者景況指数(PMI)は5月から横ばい、2カ月連続で50を下回っている。

     

    ※英語版はこちら

    PDF
  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:6月レポート

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    インバウンドの「変化の兆し」をいち早く

    PDF
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.74 -景気は足下・先行きともに悪化-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 野村 亮輔 / 馬 騰 / CAO THI KHANH NGUYET

    ABSTRACT

    ・4月の生産は6カ月ぶりの前月比プラス。結果、4月実績は1-3月期平均比-0.5%下落した。近経局は生産の基調判断を「足踏みをしている」と前月から引き続き据え置いた。
    ・5月の貿易収支は4カ月ぶりの赤字。輸出、輸入ともに減少しており、貿易額は6カ月連続で縮小。米中貿易摩擦の影響を受け、対中貿易額は7カ月連続で減少している。
    ・5月の景気ウォッチャー現状判断DIは、2カ月ぶりに前月から悪化し、6カ月連続で50を下回った。月初は大型連休の好影響が見られたが、その後は節約志向が強まった。
    ・3月の関西2府4県の現金給与総額は3カ月ぶりの前年比マイナス。実質現金給与総額も3カ月ぶりに同マイナスとなった。
    ・4月の大型小売店販売額は2カ月ぶりの前年比マイナス。百貨店はインバウンド需要の影響でプラスに寄与したが、スーパーは、気温の影響もあり、季節品の不調によりマイナスに寄与した。
    ・4月の新設住宅着工戸数は主に貸家の大幅減少が影響し、2カ月ぶりに前年同月比減少した。分譲も減少したものの、持家は引き続き増加した。
    ・4月の有効求人倍率は前月比小幅のプラスだが、求人数、求職者数ともに4カ月連続の減少。一方、完全失業率は前月比横ばいだが、労働力人口、就業者数いずれも減少している。雇用情勢には一服感がみられる。
    ・4月の建設工事出来高は14カ月連続で前年比増加した。5月の公共工事請負金額は2カ月連続の増加となった。補正予算の効果が出ている。
    ・5月の関空の外国人入国者数は8カ月連続で前年比増加だが、一桁台の伸びが続いている。国籍別にみると、3月の中国からの入国者は6カ月連続で前年比増加だが、台湾からは2カ月連続、韓国・香港からは10カ月連続でいずれも同減少している。
    ・中国の5月の製造業購買担当者景況指数は2カ月連続で前月から悪化し、3カ月ぶりに景気分岐点を下回った。また、対米貿易収支は4カ月連続で拡大したが、貿易総額は6カ月連続で減少していることに注意。

    ※英語版はこちら

    PDF
  • 稲田 義久

    G20大阪サミットと関西経済 -その経済効果と意義-

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 藤原 幸則 / 下山 朗 / 川本 剣悟 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    2019年6月28・29日、大阪で開催されるG20サミットは、日本で初の開催となり、世界的な課題解決に向けてその存在感を世界に示す重要な機会であるのみならず、開催地大阪・関西にとっては25年の万博開催を見据えたうえでの大きな意義がある。本稿は、経済的効果に限定してその評価を行ったものであり、分析ツールとしては産業連関表を用いている。産業連関表はイベント実施が経済全体にどのように波及して所得や雇用に影響を与えるかを分析できる。分析結果を要約すれば、以下のようになる。

     

    1. G20大阪サミット関連最終需要として支出される金額は428億4,200万円と推計される。
    2. 2016年伊勢志摩サミットと支出内訳を比較すれば、今回はインフラ関係の整備事業額が少ないのが特徴で、既存インフラを活用して経費を抑えたコンパクトな開催となっている。
    3. APIR関西地域間産業連関表(2011年版)を用いた試算によれば、G20大阪サミットの総合効果として生産誘発額は621億4,800万円、粗付加価値誘発額は390億3,600万円、雇用者所得誘発額は234億6,300万円と推計される。いずれも直接効果と間接2次効果を含んでいる。
    4. G20大阪サミットは関西経済に365億6,360万円の付加価値を誘発する。0.04%程度の押し上げ効果となり、減速が予測される関西経済に一定程度の下支え効果を発揮する(ここでの関西経済は、APIR関西経済予測モデルと比較可能となるように2府4県ベースでみている)。なお日本全体の下支え効果は0.01%である。
    5. 単年度の効果としては大きくはないが、関西経済にとっては、2025年大阪・関西万博開催を控え、G20サミット開催の意義は深い。今後一連の経済イベントによる需要拡大が投資を誘発し関西経済の供給力を引き上げるという好循環が期待できる。結果、関西経済の潜在成長率引き上げにつながる意義を持つキックオフイベントとなろう。
    PDF
  • 稲田 義久

    日本経済(月次)予測(2019年5月)<4-6月期実質GDP成長率予測は、徐々に下方トレンドへ>

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    ※英語版はこちら

    PDF
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.43 <一部底堅さも見られるが、先行き不安で弱含み>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    一部底堅さも見られるが、先行き不安で弱含み-米中対立の行方や消費増税の影響など不透明要素が重荷-

    1.2019年1-3月期実質GDP成長率は前期比+0.5%(年率換算+2.1%)と2四半期連続のプラス成長となった。内需で成長率を押し上げたのは民間在庫変動と公的固定資本形成で、民間最終消費支出や民間企業設備はともにマイナスとなった。純輸出(外需)はGDP成長率に対してプラスに寄与した。対中国取引が停滞して輸出が減少したが、輸入が輸出を上回るマイナスとなったためである。

    2.2019年1-3月期の関西経済は、一部にはまだ底堅さも見られるが、景気後退懸念が高まってきている。中国経済の減速から、対中輸出や生産は停滞している。また消費者センチメントや企業の景況感などマインドに関する指標の悪化も目立つ。この背景には、米中対立の行方や消費増税の影響など景気の先行きに対するリスクの高まりがある。

    3.関西の実質GRP成長率を2019年度+0.7%、20年度+0.4%と予測する。前回の予測結果と比べて、19・20年度とも下方修正とした(それぞれ-0.1%ポイント、-0.2%ポイント)。域外需要、特に輸出を見直したためである。なお標準予測に対するリスクとして、米中対立に伴う中国経済の鈍化および影響の長期化、消費増税の影響が考えられる。

    4.実質GRP成長率に対する各需要項目の寄与度を見ると、2019年度は民間需要が+0.5%ポイントと、前年度に比べると幾分小幅となるが、景気を下支えする。また公的需要も政府の消費税対策の影響から+0.3%ポイントと成長に貢献する。一方域外需要は-0.1%ポイントと成長抑制要因となる。20年度は民間需要+0.3%ポイント、公的需要+0.3%ポイント、域外需要-0.1%ポイントとなる。前年度と似た傾向の成長パターンとなるが、民需の貢献はやや小さくなる。

    5.地域経済統計の確報値公表について、時期の遅れや頻度がしばしば課題となる。APIRでは、足下の経済のタイムリーな状況把握を目的として、確報値発表に先行する経済データの作成に取り組んでいる。今回は都道府県別訪日外客数と県内総生産の早期推計を紹介する。

     

    ※英語版はこちら

    PDF
  • 稲田 義久

    第122回景気分析と予測<高まる輸出・投資の縮小スパイラル・リスク>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    高まる輸出・投資の縮小スパイラル・リスク

    1.CPB World Trade Monitorによれば、2019年1-3月期の世界輸出(数量ベース)は前期比-0.3%低下した。15年7-9月期以降18年7-9月期まで13四半期連続で増加したが、足下の2四半期は連続で減少している。1-3月期の機械受注(外需)は2四半期ぶりのマイナス成長、4-6月期も低調が見込まれている。機械受注の先行性を考慮すれば、19年後半も輸出市場は低迷が続く

    2.5月20日発表のGDP1次速報によれば、1-3月期実質GDPは前期比年率+2.1%と2四半期連続のプラス成長となった。1-3月期実績は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト5月調査)の同-0.06%を大幅に上回った。一方、CQM最終予測は、支出サイドが同+0.1%、生産サイドが同+0.8%、平均同+0.5%とかろうじてプラス成長を予測したが、実績から下振れた。

    3.1-3月期の結果はポジティブサプライズとなったが、内容は決してよくない。民間最終消費支出、民間企業設備、輸出が前期比減少する一方で、民間在庫変動の増加、輸入の大幅減が成長率を押し上げたからだ。実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比+0.1%ポイント(うち、民間在庫変動は同+0.1%ポイント)と2四半期連続、純輸出は同+0.4%ポイント(うち、輸入は同+0.9%ポイント)と4四半期ぶりの、プラスとなった。

    4.1-3月期GDP1次速報を織り込み、2019年度の実質GDP成長率を+0.6%、20年度を+0.6%と予測した。前回(第121回)予測に比して、19年度は変化なし、20年度は-0.1%ポイント下方修正した。米中貿易摩擦の長期化予想の影響を受け、20年度は下方修正となっている。

    5.標準予測では消費増税が予定通り実施されると想定している。このため19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年央であること、政府の手厚い経済対策、オリンピック需要の影響もあり、19年度はマイナス成長を避けられよう。

    6.標準予測に対して、最大のリスク要因は米中貿易摩擦の激化と長期化である。これまで日本経済が享受してきた2つの輸出による景気回復に一段と下押し圧力が高まってきている。輸出の減少が企業収益縮小につながり企業設備を抑制するという、輸出・投資の縮小スパイラルに転じる瀬戸際に日本経済は位置している

    7.物価の先行きについては、エネルギー価格の動向と消費税増税の影響に加え教育無償化の影響が重要だ。これらを考慮し、コアCPIのインフレ率を、19年度+0.7%、20年度+0.8%と予測する。

    PDF