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「東日本大震災」の検索結果

  • 林 敏彦

    経済教室「東日本大震災から3年」バックグラウンドペーパー

    インサイト

    インサイト » 分析レポート

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    林 敏彦

    ABSTRACT

    筆者は2014年3月4日付け日本経済新聞に「(東日本大震災から3年(中))復興の遅れ、『基金』に制約」という論考(以下、新聞論考)を発表した。大西裕隆日本学術会議会長「(東日本大震災から3年(上))復興へ市町村連携・統合を」と姥浦道生東北大学准教授「(東日本大震災から3年(下)都市計画、総合的な調整を)との3連作の一部で、大震災の経済的課題について分析してほしいとの編集部の依頼に応じたものだった。

    新聞論考では、災害からの復興を「被災地の持続的発展」と定義し、大災害から3年が経過した時点での経済的課題を、短期、中期、長期の視点から整理した。短期的課題としては、国の復興予算執行が滞っている問題、中期的には被災地域の地域GRPの持続的成長に必要な条件、長期的には人口変動の要因について取り上げた。

    しかし、新聞という紙幅の制約から、それぞれの論点について十分に展開できなかったため、ここでは新聞論考のバックグラウンドとなった分析をやや詳しく紹介しておきたい。

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    東日本大震災以降の寄付金控除の拡充の検証:「東日本大震災に際しての寄付アンケート」

    ディスカッションペーパー

    ディスカッションペーパー

     / DATE : 

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    東日本大震災に際しての寄付アンケート調査結果(2011年8月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2011年度

    ABSTRACT

    東日本大震災以降、寄付に強い関心が集まり、2011年4月の税制改正で寄付金控除が拡充されました。
    関西社会経済研究所では、寄付金控除とその拡充の政策効果を検証するためにインターネットアンケート調査を実施しましたので、その調査結果をご報告致します。
    なお、本調査は当研究所の税財政研究会(主査:橋本恭之教授(関西大学経済学部))の研究成果の一部です。

    【アンケート調査結果のポイント】
    ・寄付金控除の拡充(上限引き上げ)が寄付行動に及ぼした効果は小さく、
    今回の事象からは不必要な政策であったと判断できる。
    ・寄付金控除は寄付促進効果を持つものの、税収を減少させるマイナス面に留意すべき。
    ・高所得者に有利な現行制度を見直し、税額控除方式に切り替えるべきか否かは、
    寄付金控除の高所得者層に対する寄付促進効果と、控除による税収減少の大小関係を
    詳細に検証する必要がある。

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  • 村上 一真

    東日本大震災からの復興における関西の役割

    インサイト

    インサイト » 分析レポート

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    村上 一真

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  • 稲田 義久

    第6号「東日本大震災による被害のマクロ経済に対する影響」(2011.4.12)

    インサイト

    インサイト » 分析レポート

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 島 章弘 / 戸泉 巧

    ABSTRACT

    東日本大震災の直接的な被害額を推計し、3月18日発表の「日米超短期予測」にて推計した間接的な生産に対する被害額、関西経済への影響の結果とともに、政策レポート第6号としてとりまとめましたので報告いたします。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:3月レポート

    インサイト

    インサイト » インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・3月の関西2府8県別に訪日外客数(推計値)をみると、福井県302人(前年同月比-94.5%)、三重県1,514人(同-90.9%)、滋賀県1,541人(同-90.7%)、京都府5万2,937人(同-91.7%)、大阪府7万4,602人(同-92.3%)、兵庫県1万2,529人(同-91.9%)、奈良県2万3,678人(同-90.3%)、和歌山県2,188人(同-88.7%)、鳥取県874人(同-93.7%)、徳島県577人(同-89.5%)となった。先月に引き続き訪日外客の大幅減少により、各府県で大幅な落ち込みがみられている。

    ・JNTO訪日外客数推計値によれば、3月総数は19万3,700人と前年同月比-93.0%大幅減少し、6カ月連続のマイナス。各国で新型コロナウイルス(以下、COVID-19)による渡航制限や外出禁止などが大きく影響した。

    ・東アジアの伸び率をみると、中国、台湾、香港は2カ月連続、韓国は9カ月連続のマイナス。COVID-19拡大により東アジアを中心に2月を上回る減少幅となった。来月以降も大幅減少が続くと予想されていることから、一層厳しい状況が続くこととなろう。

     

    【トピックス】

    ・関西3月の貿易動向を見ると、COVID-19による世界経済減速の影響が輸出入ともにみられた。輸出額は前年同月比-5.3%減少し、2カ月ぶりのマイナスに転じた(前月:同+0.8%)。輸入額は同-4.2%減少し6カ月連続のマイナスだが、減少幅は前月(同-17.5%)から縮小。結果、関西の貿易収支は2カ月連続の黒字だが、貿易総額(輸出入合計)は昨年9月を除けば15カ月連続で縮小している。

    ・3月の関空への訪日外客数は前年同月比-95.1%大幅減少し、2カ月連続のマイナス。2019年の関西での外国人消費額は1兆610億円と推計(APIR)されることから、3月のインバウンド需要の損失額は840.5億円(=10,610/12×0.951)と推計される。2月の損失額は583.9億円であるから、2-3月損失合計は1,424.4億円となる。なお、4月も3月と同程度の減少幅が続けば、4-6月期の損失合計は2,519.9億円に増加する。

    ・関空入国者数の伸びは、2月に続いて3月の落ち込みも大幅であった。今回の場合は、リーマンショックや東日本大震災のケースと異なる回復パターンとなろう。95%減の水準が最低3カ月続き、以降徐々に回復するパターンを想定するが、完全な回復には1年以上となろう。

    ※英語版はこちら

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:2月レポート

    インサイト

    インサイト » インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・2月の関西2府8県別に訪日外客数(推計値)をみると、福井県1,691人(前年同月比-67.6%)、三重県7,421人(同-53.3%)、滋賀県6,466人(同-60.6%)、京都府28万3,118人(同-54.7%)、大阪府41万1,531人(同-55.8%)、兵庫県5万8,021人(同-60.8%)、奈良県14万5,024人(同-36.1%)、和歌山県9,880人(同-56.0%)、鳥取県3,994人(同-66.3%)、徳島県2,391人(同-58.0%)となった。

    ・JNTO訪日外客数推計値によれば、2月総数は108万5,100人と前年同月比-58.3%大幅減少し、5カ月連続のマイナス。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、各国で海外旅行を控える動きがみられるようである。

    ・国籍別に伸び率をみると、中国は17カ月ぶり、台湾は7カ月ぶり、香港は6カ月ぶり、韓国は8カ月連続のマイナス。特に中国は2003年5月以来の減少幅(前年同月比-69.9%)となった。東アジアを中心に新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく現れ、来月以降も更なる大幅減少が予想されていることから、今後の動向には一層の注意が必要。

     

    【トピックス】

    ・2月の関空への訪日外客数は前年同月比-66.0%大幅減少した。2019年の関西での外国人消費額は1兆610億円と推計(APIR)されるから、2月のインバウンド需要の損失額は583.9億円(=10610/12×0.66)と推計される。

    ・関空入国者数の伸びをリーマンショック期、東日本大震災期と今回の新型コロナウイルスの3つの時期を比較すると、今回の落ち込みが最も大きい。各経済ショック発生月の翌月に減少幅が拡大する傾向が見られる。その後、再び訪日外客がプラスとなるまでリーマンショック期で15カ月、東日本大震災期で10カ月を要している。

    ※英語版はこちら

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  • 稲田 義久

    127回 景気分析と予測<新型コロナウイルスの影響で2四半期連続の マイナス成長は不可避:2次速報更新後の予測改定>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    1. 3月9日発表のGDP2次速報によれば、10-12月期実質GDPは前期比年率-7.1%と1次速報(同-6.3%)から更に下方修正された。前回増税時(14年4-6月期:同-7.4%)以来の下げ幅となった。

    2. 10-12月期GDP2次速報発表に合わせて、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しが行われ、過去値が改訂された。注意を要するのは、7-9月期が-0.4%ポイント(前期比年率+0.5%→同+0.1%)下方修正された結果、ほぼゼロ成長になったことである。駆け込み需要は前回増税時に比して限定的であったが、その反動減は一部台風の影響もあるとはいえ大きかった。日本経済は消費増税前から景気減速に入っていたといえよう。

    3. 新型コロナウイルス感染拡大は急速に経済を縮小に追い込んでいる。財とサービスの2つの輸出の減少に加え、自粛活動の広範化による民間最終消費支出への影響を今回の予測に反映した。このため、もともと基調の弱い民間最終消費支出の大幅落ち込みにつながった。

    4. 10-12月期GDP2次速報を織り込み、予測を改定した。2019年度の実質GDP成長率は-0.0%、20年度は-0.4%と2年連続のマイナス成長、21年度は+1.2%と回復に転じよう。前回(第126回)予測に比して、今回は(1)7-9月期のほぼゼロ成長、(2)10-12月期大幅マイナス成長の下方修正、(3)1-3月期以降の新型コロナウイルスの民間最終消費支出への影響を反映し、19年度を-0.3%ポイント、20年度を-0.6%ポイントいずれも下方修正。21年度は下方修正からの反動もあり、+0.1%ポイント上方修正した。

    5. 実質GDPの四半期パターンをみれば、2019年10-12月期は5四半期ぶりのマイナス成長。純輸出はプラス寄与となったものの、民間需要が総崩れとなったためである。標準予測(後掲、表2参照)では、新型コロナウイルスの影響で1-3月期は民間需要の戻りが遅いことに加え、純輸出がマイナス寄与に転じるため、2四半期連続のマイナス成長は避けられない。20年度の最初の2四半期はマイナス成長からの反動で比較的高い成長となるが、以降は潜在成長率ないしはそれを幾分下回るペースが持続する。前年同期比でみると、19年10-12月期と20年の最初の3四半期はマイナス成長が避けられない

    6. 新型コロナウイルスの感染拡大の終息は標準予測では4-6月期と想定しているが、終息・回復が一層遅れる可能性もある。その回復の程度は、経済活動の下落幅とその持続期間に依存する。また中国での生産や輸出活動が回復したとしても、風評被害により人の移動の回復が遅れる可能性が高い。2011年東日本大震災の場合は、訪日外客の回復に1年を要した。生産・消費の回復スピードは一様ではない。

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  • 林 万平

    災害復興の総合政策的研究

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2016年度 » アジア太平洋地域の経済的ダイナミズムと今後の行方

    AUTHOR : 
    林 万平

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    研究員  林 万平

     

    研究目的

    地震、台風、洪水を始めとする自然災害が近年多発するアジア地域において、総合政策としての復興政策の重要性は高まってきていることを背景に、日本、フィリピン、タイ、インドネシアにおける災害後の復興政策について、経済的、行政的、市民的視点も含めて、求められる政策対応について考察する。

    研究内容

    過去に東日本大震災、フィリピン台風「ハイアン」、タイ洪水の分析を行ってきている(「アジアの自然災害リスク」、「アジアの自然災害リスクへの対処」、「日本企業立地先としての東アジア」、「日本、フィリピン、タイにおける災害復興のあり方」)。今年度はインドネシアの現地調査を行う。

    海外学会参加を通じて、調査研究によって得た分析結果を、海外学会で発表し、ディスカッションを通じて知見を深める。

    過年度の研究報告書(「アジアの自然災害リスク」、「アジアの自然災害リスクへの対処」、「日本企業立地先としての東アジア」、「日本、フィリピン、タイにおける災害復興のあり方」)にて行った2011年のタイ洪水、東日本大震災、2013年フィリピン台風「ハイアン」による被害とその後の復興についての分析を、最新の情報も加えた上で、再度整理する。

    以上の分析を比較し、各大災害の特性を踏まえつつ復興における問題点や課題について整理し、政策提言を行う。また、各分析結果をもとに本の出版に向けた準備を行う。

    統括

    林 敏彦 APIR研究統括

    リサーチャー

    Jose Tiusonco APIRインターン

    Mizan Bustanul Fuady Bisri APIRインターン

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    東日本大震災、タイ洪水、ヨランダ台風、インドネシア地震・津波災害による被害やその復興における問題や課題等についての分析を元に、報告書を執筆し公表する。政府・自治体は今後の災害復興や将来の災害対策に向けた参考にすることができる。市民・企業は、地域における防災体制の構築の上で参考にすることができる。

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  • 澤 昭裕

    エネルギーインフラ研究会

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2014年度 » その他調査研究

    AUTHOR : 
    山本 隆三

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    アジア太平洋研究所 副所長 澤 昭裕

    常葉大学 教授       山本 隆三

    研究目的

    東日本大震災は多くの教訓を残したが、その一つは防災に強い国土建設の必要性であった。特に、電気、ガス、石油のエネルギー関係のインフラを強靭にすることと、同時に他地域での震災に備えバックアップ機能を持たせることの重要性は広く認識された。関西地区での、エネルギーインフラの防災機能の現状を調査し、強靭化する方策を検討する。

    研究内容

    1.関西地区のエネルギーインフラの現状能力を把握する。具体的には次の点を調査する。

    ・供給能力(製造設備、供給設備の能力)

    ・製造、供給設備の配置

    ・海外からの燃料受け入れ

    ・関西以外の地域との連携状況

     

    2.阪神大震災、東日本大震災の経験を踏まえて、南海トラフ地震に備え、工学的な見地からの設備の具体的な強靭化策と、政策面の検討を行う。

    リサーチャー

    能島暢呂 岐阜大学工学部社会基盤工学科教授

    鍬田泰子 神戸大学大学院工学研究科准教授

    橋爪吉博 石油連盟総務部

     

    オブザーバー

    大阪ガス

    関西電力

    期待される成果と社会還元のイメージ

    エネルギーインフラ強靭化の提言を示し、官公庁、企業関係者及び研究者を対象に広く発信する。

  • 林 万平

    日本、フィリピン、タイにおける災害復興のあり方

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2015年度 » アジア太平洋地域の制度インフラとリスク分析

    AUTHOR : 
    林 万平

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    研究員  林 万平

     

    研究目的

    アジア地域の大きなリスクのひとつである自然災害への備えを研究する。

    研究内容

    過去に行った東日本大震災、タイ洪水の分析研究(「アジアの自然災害リスク」、「アジアの自然災害リスクへの対処」、「日本企業立地先としての東アジア」)をベースに、最新の情報を加えつつ、フィリピンのヨランダ台風のケースについても調査分析を行うことで、各災害の比較研究を行う。

    リサーチャー

    Jose Tiusonco APIRインターン

    Mizan Bustanul Fuady Bisri APIRインターン

    林 敏彦 APIR研究統括

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    東日本大震災、タイ洪水、ヨランダ台風による被害やその復興における問題や課題等についての分析を元に、報告書を執筆し公表する。政府・自治体は今後の災害復興や将来の災害対策にむけた参考にすることができる。市民・企業は、地域における防災体制の構築の上で参考にすることができる。

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  • 林 万平

    アジアの自然災害リスクへの対処

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2014年度 » アジア太平洋地域の経済成長と発展形態

    AUTHOR : 
    林 万平

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    研究員  林 万平

     

    研究目的

    アジア地域の大きなリスクのひとつである自然災害への備えを研究する。

    研究内容

    自然災害がその後の被災地の経済成長にどのようなインパクトを与えるのか、東日本大震災等を例に研究する。近年、様々な実証研究により、自然災害がマクロ経済に与える影響についての蓄積が進んできている。本研究では、それら先行研究を整理した上で、東日本大震災等を例にとり、理論・実証的に検討する。

    リサーチャー

    外谷英樹 名古屋市立大学教授

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ?国の復興政策の推進により、東北の経済的復興には政策当局だけでなく、企業の関心も高まっている。経済発展の観点から復興政策のあり方について政策提言することで、企業が被災地への投資を行うための情報提供を行い、復興政策への提案に資する。

     

  • 小川 一夫

    関西企業におけるイノベーションと人材

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2013年度 » イノベーション

    AUTHOR : 
    小川 一夫

    ABSTRACT

    研究成果概要

    本プロジェクトでは、高い生産性の伸びを維持している関西企業を抽出して、ヒアリング調査を通じて高生産性の秘訣を探りました。この調査の大きな特徴は2つあります。第1に、生産性の指標として全要素生産性(TFP; Total factor productivity 付加価値に対する労働や資本といった生産要素の貢献以外の部分)を取り上げ、個別企業の財務データを使用して定量的な分析により各企業の生産性の伸び率を算出し、グローバル金融危機や東日本大震災といった大きなショックが発生した2009年度から2011年度について全国の平均的な企業よりも生産性の伸びが高い関西企業を抽出したことです。

    第2に、抽出された関西企業を対象にヒアリング調査を施し、何が高生産性をもたらしたのか定性的な分析を行った点です。高生産性企業ではさまざまなイノベーションが打ち出されていることがわかりましたが、さらにイノベーションを推進する上で優秀な人材をいかに確保し、企業組織内でどのように活用しているのかという点についても検討を加えました。

    その結果、多様な人材が持つ遠心力と企業の基本理念の共有化という求心力が備わって始めて、組織の実行力が高められる中で多様な人材の能力が最大限に発揮され、企業の生産性の向上が実現することがわかりました。詳細はこちら

    目的

    ・TPPに象徴される地域経済協定の進展により各国間で貿易への制約が撤廃された場合、企業が生き残っていくためには、絶え間なく高い生産性を維持し、新製品開発により積極的なイノベー ションを推進していかなければならない。こうした企業の創造的活動を推進する上では人材や柔軟な企業組織が果たす役割は大きい。

    ・高い生産性を誇る関西企業が、優秀な人材をいかに確保して企業組織内でどのように配置することによってイノベーションの創造に成功しているのか、外国人財の活用、大学・地方自治体の役割も考察に入れながら、分析を進めていく。

    ・読者としては企業、大学そして地方自治体が対象となる。

    内容

    ・大学・研究機関、企業、行政、シンクタンク等をメンバーとするオープンな研究チームを組織し以下の調査を実施する。

    (1)企業財務データから生産性を算出するためのデータ収集と分析

    (2)関西の高生産性企業へのヒアリング

    (3)生産性向上に大学や地方自治体が果たす役割について調査

    ・財務データという客観的なデータに基づいて高生産性企業を特定するとともに、ヒアリングを通してデータに表れない企業内の無形の工夫を調べ、イノベーション企業の特徴を明らかにする。

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ・関西企業の中の高生産性企業を特定し、その人材採用、活用、企業組織における配置といった特徴を明らかにすることにより、企業が生産性の向上を図るために必要な方策を提示する。これは、企業戦略を立案する上で貴重な情報となりうる。

    ・企業の生産性向上ため、大学や地方自治体とどのような連携を行うべきかについても提言として纏める。

     

  • 林 万平

    アジアの自然災害リスク

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2013年度 » アジア太平洋地域軸

    AUTHOR : 
    林 万平

    ABSTRACT

    研究成果概要

    本研究では、Hsiao et al. (2010)の手法により、東日本大震災の被災三県(岩手県、宮城県、福島県)の、同震災が発生しなかった場合に実現されていたであろう名目及び実質GRPの推計を行いました。これと、速報的に発表されている被災三県GRPとの比較を行い、同震災が被災地の経済活動に与えた影響の定量把握を試みました。

    阪神・淡路大震災以降、復興計画の重要な目的の一つとして、間接経済被害の極小化が挙げられます。そのため、産業連関分析や一般均衡分析を駆使した先行研究の蓄積は多くあります。しかし、全体として復興政策や被災地の回復過程が間接被害の軽減にどの程度貢献しているか知るためには、それらの影響を含んだ被災地GRPの実測値と、大規模自然災害が発生しなかった場合に達成されていたであろう被災地GRP(カウンターファクチュアル値)の比較を行う必要があります。

    近年、そのようなアプローチにより災害の間接被害を計測する手法が提案されてきています。Dupont and Noy (2012)は、Abadie et al. (2010)が提案しているSynthetic Control Methodを用いて阪神・淡路大震災の間接経済被害の推計を行いました。その結果、先行研究の主張に反して、被災後15年が経過しても、兵庫県GRPには負の影響があることを発見しています。

    本年度は、Hsiao et al. (2010)の手法に基づき東日本大震災の2011年GRPのカウンターファクチュアル値を推計し、実測値との差分を計測しました。なお、同手法により2010年以前の被災三県GRPのシミュレーションも行いましたが、名目及び実質GRPの両方において実測値との誤差が少ない良好な結果が得られました。分析の結果、岩手県、宮城県では、カウンターファクチュアルGRPと実測値の差分は小さいことが分かりました。被災後の復旧活動や需要増等による効果が大震災によるストック滅失や取引機会の逸失等による効果が相殺しあっている様子がうかがえます。しかし、福島県においては、GRP実測値がカウンターファクチュアル値を大きく下回り、原発事故等による復興政策の遅れが間接経済被害を拡大させていることが分かりました。詳細はこちら

    目的

    アジア地域は自然災害多発地域である。途上国における災害被害には、人的被害や構造物被害の規模が大きいという特徴がある。防災インフラの建設や避難計画等の整備とともに、自然災害による被害を軽減する上で地域社会の社会的脆弱性を減じることの重要性が明らかになってきた。本研究では、アジア各国における自然災害被害と経済・社会的要因の関連性についての実証分析をもとに、災害被害の軽減に有効な経済・社会的要因を検討する。主な読者は、各国の政策関係者、企業家、地域コミュニティの参加者を想定する。

    内容

    アジア地域の自然災害とその被害、経済・社会統計を国別に整理し、各国の災害被害と経済・社会的要因の関連性について分析する。アジア地域における大規模災害等について、その被害の実態と復興政策のあり方、及びその問題点について調査する。 復興政策の目的を経済発展の問題として捉え、阪神・淡路大震災や東日本大震災といった先進国型の大規模災害を経験してきた日本の知見を踏まえた研究を行うことで、特徴のある研究プロジェクトとする。

    期待される成果と社会還元のイメージ

    アジア各国では防災・減災政策に対する関心が高いため、アジア諸国の災害によるカントリーリスク、および取り上げる国の社会的脆弱性による地域リスクに関する情報を、相手国政府および自治体に提供することによって、関西企業の立地交渉の一助とすることができる。

  • 大西 裕

    環太平洋経済協力をめぐる日・米・中の役割

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2012年度 » アジア太平洋地域軸

    AUTHOR : 
    大西 裕

    ABSTRACT

    リサーチリーダー
    大西 裕 神戸大学教授

    研究成果概要
    本研究は、主要国の政権交代による通商政策への影響を踏まえながら、環太平洋経済協力に対する各国の政策基調を考察し、米中など関係国で高まる政治的不確実性に対する情報を提供し、TPP等で日本の積極的役割が求められていることを示しました。詳細はこちら

    研究目的
    国際政治、国際協力、政治経済学、災害復興協力等の視点から、環太平洋経済協力に対し、日本が果たすべき役割を考察。地域の長期展望を得て、日本及び関西が主導すべき政策的方向性を提言。

    研究内容
    ○日本・外国の研究者、産業界、政府関係者の協力のもと研究会・ミニシンポジウムを開催
    ○中国での現地調査
    ○多国間交渉における日本の外交的役割として、日本がどのような説得力を発揮できるかを考察
    ○日米中韓の国内的政治経済状況について、パワーゲームと各々の主張、さらに今年の政権交代が与えるインパクトや選挙結果を分析
    ○東アジアにおける戦略的災害復興協力体制について提案。 東日本大震災の国際協力の実態も整理・分析

    メンバー
    林 敏彦 (同志社大学)
    大矢根聡 (同志社大学)
    三宅康之 (関西学院大学)
    多湖 淳 (神戸大学)
    西山隆行 (甲南大学)
    穐原雅人 (ひょうご震災記念21世紀研究機構)

    期待される研究成果
    ・米中韓の選挙・政権交代について、選挙の争点及び選挙結果を分析。今後の政治的展望、対外経済政策を見通す。
    ・過去の貿易自由化交渉を検証し、国際政治経済学の理論に基づいた戦略的視座を得る。
    ・東日本大震災における防災・復興に関する国際協力の検証により、より有効な支援のあり方を考える。

     

  • 稲田 義久

    2011年度マクロ経済分析プロジェクト特別研究

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2011年度

    AUTHOR : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    (主査:稲田義久・甲南大学経済学部教授、高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)
    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加による研究会を組織し、稲田主査指導のもとマクロ計量モデ ルによる景気予測を行なうとともに、高林主査指導のもと時宜に適ったテーマを取り上げ、特別研究を実施している。2011年度は各メンバーが自らテーマを 設定し活動を進めた。

  • 熊坂 侑三

    今月のエコノミスト・ビュー(2012年2月)

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    <「学校年度」を考える?東大秋入学構想を受けて?>

    東大が学部の秋入学への全面移行を目指すという構想をまとめた。国際標準となっている秋入学に移行することで、国際化を進めることがねらいだ。海外から優 秀な学生を受け入れたり、逆に海外に送り出したり、また研究などで海外の大学との提携を促進するための有効な手立てとして秋入学は期待されている。
    私たちは、桜の季節の4月に学校年度と財政年度が同時にスタートすることをごく当然のこととして過ごしてきた。しかし、そのことは国際的に見るとほとんど 例外と言ってよいのだ。財政年度も図表1に見るように国によって違いがある。4月開始の財政年度をとる主要国は日本のほか、英国がそうであるが、学校年度 は9月始まりだ。そもそも学校年度が4月始まりという国はほとんど無く、国際的には学校年度と財政年度が一致していないのが普通なのである。


    学校年度や財政年度も重要な「制度」にほかならないが、「制度」が経済のパ フォーマンスに影響を与えることは経済学的にも疑いの余地はない。例えば、設備投資や人的投資(教育投資など)、技術進歩が中長期的な経済成長の要因であ るが、制度の違いがそれらの収益率に影響を与えるため、制度が経済成長を左右することになるのだ。
    人的投資による収益率が学校年度という制度によって大きく影響を受けている例を示そう。図表2は、1950年から2002年の間について、総出生数10 万人当たり何人のプロ野球選手数を輩出したかを生まれ月別に集計したものだ(このデータは、阪神球団の総合トレーニングコーチを務めたこともある中山悌一 氏の手による)。この図からは、4月生まれから生まれ月が遅くなるにつれてプロ野球選手になる確率が一貫して下がっていくことがわかる。4月生まれと3月 生まれとでは倍以上の開きがある。当然、4月生まれと3月生まれに能力の違いがあることなど考えられない。小学校低学年では1年間の体力や理解力の違いが 大きく、4月生まれの方がチャンスを貰いやすく、それが後々まで影響を及ぼすものと考えられる。すなわち、野球選手になるために同じ投資をしても本人の生 まれ月で収益率が変わってくることを意味しているのだ。わが国のプロ野球の場合、選手育成をほぼ全面的に学校や社会人のアマチュア野球に委ねているため に、学校年度の影響をとくに強く受けることになるのだろう。
    もちろん、仮に秋学期が学校年度のはじまりであったとしても、学校野球・社会人野球による育成システムがベースにある限り、10月生まれがピークになっ ただけだろう。しかし、ここで読み取りたいことは、制度というものは、われわれが考える以上に、人々の選択とその成果に様々な大きな影響を与えている可能 性があるということなのだ。現在の学校年度が国際化の抑制要因となってきたことを軽視することはできないと思うのだ。東大の秋入学の構想は、大学の国際化 にとどまらず、就職・雇用慣行、学校年度全体など日本の社会制度のあり方にも影響を及ぼす可能性があり、制度改革への問題提起としても大きな意味を持つと いえるだろう。

    [高林喜久生 マクロ経済分析プロジェクト主査 関西学院大学]

    日本
    <日本経済は踊り場を経て緩やかな回復軌道へ>

    2月13日発表のGDP1次速報値によれば、10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率-2.3%となった。2期ぶりのマイナス成長となり、市場コン センサス(ESPフォーキャスト2月調査:同-0.4%)を大きく下回った。前年同期比で見ても-1.0%と4期連続のマイナスとなり、マイナス幅は前期 (-0.5%)より幾分拡大している。10-12月期のマイナス成長は、東日本大震災からの回復過程に海外経済減速(特にEUのマイナス成長)とタイ洪水 の影響が重なった結果と考えられる。したがって、マイナス成長は一時的であり今回は踊り場とみてよい。
    実際、10-12月期の実質GDPの中身を見ると、実質GDP成長率を最も押し下げたのは純輸出と民間在庫品増減であった。純輸出の寄与度は前期比年率 -2.6%ポイントと2期ぶりのマイナスとなった。一方、国内需要の寄与度は3期連続のプラスとなったが、前2期から大幅に低下し同+0.2%ポイントに とどまった。
    最終週(2月6日)における超短期モデル(支出サイド)の予測は同-2.7%と実績とほぼ同じ結果となった。超短期モデルの予測動態を振り返ると、 10-12月期の基礎月次データがまだ発表されない9月初旬の段階では、マーケットコンセンサスと同様+2%台半ばの成長率を予測していた。ところが、 10月のデータが発表され始める11月末には、-2%台の低成長へと予測はシフトした。以降、予測最終週まで-2%台の予測を継続しており、超短期モデル は2ヵ月程度早く正確に予測できた。一方、興味のあるのはマーケットコンセンサスの動向である。実績値が発表される直前には予測値は小幅のマイナスに転じ たものの、それ以前は一貫してプラス成長を予測していたことに注意。
    2月14日の(支出サイドモデルによる)超短期予測では、1-3月期の実質GDP成長率は、純輸出は引き続き縮小基調にあるが、内需の増加幅が拡大するた め前期比+0.3%、同年率+1.4%と予測する。この結果、2011年度実質GDP成長率は-0.5%となろう。一方、4-6月期の実質GDP成長率 は、純輸出の減少幅が縮小し内需の拡大ペースが維持されるため、前期比+0.6%、同年率+2.4%と予測する。復興需要も見込まれることから少なくとも 年前半は回復基調を維持しよう。
    1-3月期の国内需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比+0.3%増加する。実質民間住宅は同-4.0%減少するが、実質民間企業設備は 同+0.8%増加する。実質政府最終消費支出は同+0.4%、実質公的固定資本形成は同+11.6%となる。補正予算の効果が実感できる状況である。この ため、国内需要の実質GDP成長率(前期比+0.3%)に対する寄与度は+0.6%ポイントと前期から拡大する。
    一方、財貨・サービスの実質輸出は同+0.4%、実質輸入は同+2.4%増加する。このため、実質純輸出の実質GDP成長率に対する寄与度は-0.3%ポイントと前期からマイナス幅が縮小する。

    [[稲田義久 APIR研究統括・マクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]]

    米国
    <雇用増、所得増、個人支出増の好循環の始まり?>

    2月4日の失業保険新規申請件数は358,000と大きく低下し、堅調な下降トレンドを形成している。今後の労働市場の改善が期待できる。また、グラフか らわかるように1-3月期の実質GDP成長率を所得サイドから見ると、1月の雇用統計更新の後3%程度にまで上昇している。夏の間、一時停滞した製造業、 非製造業も共にISM指数を見る限り、11月頃より再び上昇し始め、景気が再び回復してきたことを示している。このことは、ダラス連銀、カンザスシティー 連銀などの多くの地域連銀の製造業調査にも同じことが言える。支出サイドから予測した経済成長率が低いのは、11月、12月の輸入が非常に大きく伸び、そ れがARIMA予測に影響し1月-3月の輸入が過大に予測されていることが理由として考えられる。GDP以外の実質アグリゲート指標(総需要、国内需要、 最終需要)で見ると、1-3月期のそれらの実質成長率は2%?3%へと拡大してきている。今後、雇用の改善、所得増、個人消費支出増という好循環が生ま れ、持続的な経済成長の可能性がでてきた。
    しかし、連銀エコノミストの間では今もってハト派が優勢であり、ゼロ金利解除などは考えも及ばない。何しろ、政策金利の上昇を2014年以降と考えている 連銀エコノミストは17人中11人にも上る。今もって、シカゴ連銀のCharles Evans総裁などは更なる数量的緩和QE3を主張している。もちろん、タカ派のダラス連銀のRichard Fisher総裁は今の経済状態をみれば、ゼロ金利を維持する正当性は無いと主張している。同じタカ派のフィラデルフィア連銀のCharles Plosser総裁も今後3年近くも異常な低金利政策を維持すれば、連銀への信頼を失い混乱を招くと言い、いつものように金融政策はカレンダーによって決 まるのではなく、経済状況によって決まるものと主張しつづけている。ゼロ金利政策を長期間続けることにはインフレ期待の上昇ばかりか他のリスクもある。そ れは、革新をもたらすようなハイリスク-ハイリターンの投資がなされなくなる可能性である。これは、長期間低成長を続けると、高成長ができないと人々が思 うようになる”Moral Consequence of Economic Growth”に対して、”Moral Consequence of Monetary Policy”と呼べるのではないだろうか。すなわち、超低金利政策のもとでは、ローリスク-ローリターンの投資が多くなり、長期的な高い経済成長率を達 成することが難しくなる。

    [[熊坂侑三 ITエコノミー]]

  • 熊坂 侑三

    今月のエコノミスト・ビュー(2012年1月)

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    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    <財政再建の議論では、成長を促進するためのエネルギー政策を最優先に>

    日本企業が海外競争相手に比して、経営環境で負っている大きなハンディキャップを「六重苦」と表現することが多い。(1)超円高、(2)高い法人税 率、(3)厳しい労働規制、(4)温暖化ガス排出抑制、(5)海外との経済連携の遅れ、(6)電力不足を指す。これらの多くは従来から指摘されているが、 (5)と(6)は東日本大震災以降に新たに加わったものであり、また(1)も新たなハンディに加えてもよい。
    今日、社会保障と税の一体改革が大きく議論されているが、財政再建だけの議論が中心で財政再建の中身と成長戦略がリンクしていないようである。特に、財政 再建は成長を促進するものでなくてはならない。全体として歳出削減自体は景気抑制的であるが、そのメニュー次第で成長促進的になり得ることを意識しなけれ ばならない。というのも、日本経済の現況は財政再建の実現するための許容度が大きく低下しているからである。その許容度を引き下げている要因の1つが、 「六重苦」のうちの電力不足であり、これが日本経済の大きな成長制約要因となっている。
    東日本大震災以降、日本経済は電力不足に直面してきた。これを回避するために節電に取り組み夏季には前年比で10%近くの電力需要削減を実現した。冬季に も引き続き節電が実施されている。一方、供給側ではこれまで電源構成(発電ベース)の3割近くを占める原子力発電が短期的にはほぼゼロになるという状況下 で火力発電が不足分を代替している。これは、日本経済に追加的な燃料コストが発生し、結果的には海外へ所得移転となる。つまり所得成長がこれまでより低下 し、担税能力が低下し、先行き財政再建をさらに困難にするのである。
    具体的に数字で見てみよう。2009年の原子力発電量は279,750百万kWhであるから、これを火力発電で全量代替すれば単純計算で年3.2兆円程度 の追加コストが発生する。平均代替コストはkWh当たり11.5円で計算している(2011年7月29日エネルギー・環境会議想定に基づく)。東日本大震 災以降(2011年4-11月累計)の貿易動向(通関ベース)を前年同期比で見ると、財輸出は1.7兆円減少し、財輸入は5.2兆円増加している。輸出減 には世界経済の低迷が大きく影響している。一方、輸入増のうち、鉱物性燃料輸入増は3.2兆円と輸入増の62%を説明しており、発電燃料代替によるコスト 増の影響が明瞭に見られる。
    世界経済の先行きを俯瞰すれば、足下米国経済は堅調であるが持続性に問題がある。EU経済はすでに不況下にあり2012年はマイナス成長が予想されてい る。したがって、日本にとってこの1-2年の輸出市場は成長抑制的である。一方、輸入はエネルギー政策に大きな変化がない限り、やはり成長抑制的である。 純輸出は当面日本経済にとって成長を引き下げる要因であることを強く意識しなければならない。現時点では2014年4月から消費税率8%への増税が政府の 議論では想定されているが、この増税議論にかける以上の労力を成長促進するための財政政策の議論に向けられなければならない。特に、先を見据えたエネル ギー政策が最優先順位である。
    以上の議論からはっきりするように、エネルギー政策の中心は(1)省エネルギーの促進(節電のみならず効率的な熱供給が重要)と(2)化石燃料起源のエネ ルギーから再生可能エネルギーへの転換とならざるを得ない。社会保障と税の一体改革による財政再建が実現されるには、経常収支が黒字であることが重要なポ イントとなるが、現状は厳しくその許容度が低下している。社会保障と税の一体改革による財政再建を進めるためには、成長戦略の議論と分離不可能であり、成長を促進するエネルギー政策とセットでなければならない。

    日本
    <10-12月期日本経済は米国とは対照的に低調なパフォーマンス>

    2012年新年を迎えたが、2011年10-12月期日本経済の超短期予測には前月と比較して大きな変化はない。また同期の米国経済の超短期予測(5%程度の高成長)とは対照的である。
    現時点では10-12月期GDPを説明する基礎データは公的固定資本形成や政府最終消費支出関連データを除き11月までがすでに発表されている。
    1月16日の(支出サイドモデルによる)予測では、10-12月期の実質GDP成長率は、内需は小幅拡大するが、純輸出は大幅縮小するため前期比 -0.5%、同年率-1.9%と予測する。日本経済は7-9月期の高成長(+5.6%)から一時的な踊り場へと局面を移すことになろう。一方、2012年 1-3月期の実質GDP成長率は、純輸出は横ばいに転じ内需の増加幅が拡大するため、前期比+0.6%、同年率+2.4%と予測する。この結果、2011 暦年の実質GDP成長率は-1.0%、2011年度は-0.7%となろう。12月予測と変化はない。
    10-12月期の国内需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比+0.2%へと減速する。実質民間最終消費支出をよく説明する消費総合指数を見れば、 11月は前月比-0.4%と2ヵ月ぶりのマイナスとなった。内訳を見れば、10月の耐久消費財(前月比+5.8%)、サービス支出(同+1.0%)はとも に好調であったが、11月は耐久消費財(同-4.0%)が大幅減少しサービス支出も横ばいとなったからである。この結果、消費総合指数の10-11月期平 均は7-9月期平均比+0.2%と減速したがマイナス成長とはならず意外と貢献している。実質民間住宅は同+2.7%増加するが、実質民間企業設備は同 -1.0%減少する。実質政府最終消費支出は同+0.5%、実質公的固定資本形成は同+0.7%となる。補正予算の効果がまだまだ実感できない状況であ る。このため、国内需要の実質GDP成長率(前期比-0.5%)に対する寄与度は+0.2%ポイントと小幅にとどまる。
    一方、財貨・サービスの実質輸出は同-5.3%減少し、実質輸入は同-1.4%減少する。このため、実質純輸出の実質GDP成長率に対する寄与度は-0.7%ポイントと景気を大きく押し下げる。
    米国経済の高成長持続可能性には問題があり、EU経済はすでに景気停滞に入っている現状では、日本経済にとって、当面は純輸出の低調が景気抑制要因となる。加えて補正予算の効果が意外と小さいとなれば、先行き日本経済のダウンサイドリスクはますます高まる。現時点では2011年度末にかけて一時的な踊り場と超短期予測は見ているが、ダウンサイドリスクが高まれば、日本経済は2012年前半に停滞局面に入る可能性に留意しておかなければならない。

    [[稲田義久 APIR研究統括・マクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]]

    米国
    <いつまで続けられるかFRBのゼロ金利政策>

    1月13日予測では、米国経済(2011年10-12月期)は前週の予測(前期比年率5.1%)からは下方修正されたものの同3.9%(1月13日 予測)と堅調な拡大を続けている。下方修正には11月の貿易統計の影響が反映されている。GDP以外の実質アグリゲート指標をみても、米国経済の強い回復 が見て取れる。しかし、今もってQE3(第3次数量的金融緩和)の可能性を語るエコノミストもいる。FRBの中でさえ更なる金融緩和を支持するエコノミス トもいる。ニューヨーク連銀のWilliam Dudley総裁、ボストン連銀のEric Rosengren総裁、FRBエコノミストのElizabeth Dukuなどのハト派である。例えば、Dudleyは”frustratingly slow”な景気回復、”unacceptably high”失業率と言い、更なるモーゲッジ担保証券の購入を通して、住宅金利の引き下げを唱えている。一方、セントルイス連銀のJames Bullard総裁は景気回復はすでに力強く、これ以上国債を購入することによって長期金利を低下させ経済回復をサポートする必要はないと言う。
    5%にも達する経済回復の中で、何故更なる金融緩和策が必要なのであろうか?実際に住宅金利はすでに十分に低いし、これ以上引き下げてもそれによる住宅市 場の刺激には限界がある。むしろ、最近の新規・中古住宅販売件数を見る限り、住宅市場はまだ水準は低いが改善の方向に向かい始めた。金融当局にとって重要 なことは、できるだけ早く異常な低金利政策から正常な金利水準に戻ることである。これを行っていれば、今後欧州債務危機が悪化したとしても即座の対応が可 能になる。
    1月24日、25日とFOMCミーティングがある。1月27日には2011年10-12月期のGDPが発表される。このFOMCミーティング時には、 FRBエコノミストも同期の経済成長率が高くなることを認めざるをえないだろう。例えば、4%を超える経済成長率が可能になったにもかかわらず、FRBが 更なる金融緩和策の維持をできるだろうか? ハト派のエコノミストが多いFOMCにおいて、その可能性は高いといえる。しかし、現在のような強い経済拡大 が続く中で、FRBが異常なゼロ金利政策を何処まで続けられるのであろうか?連銀にとって重要なことは、今の力強い景気回復を認めそれが持続するようなコミュニケーションを市場と行うことが重要である。FRBが強引なゼロ金利政策に固執すれば、市場からの信頼を失うことになるだろう。

    [[熊坂侑三 ITエコノミー]]

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    2011年度マクロ経済分析プロジェクト特別研究(2012年2月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2011年度

    ABSTRACT

    (主査:稲田義久・甲南大学経済学部教授、高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加による研究会を組織し、稲田主査指導のもとマクロ計量モデ ルによる景気予測を行なうとともに、高林主査指導のもと時宜に適ったテーマを取り上げ、特別研究を実施している。2011年度は各メンバーが自らテーマを 設定し活動を進めた。

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  • 熊坂 侑三

    今月のエコノミスト・ビュー(2011年10月)

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    米国やEUの政治的な機能不全(Japanization)や政策失敗リスクの高まりに加え、連日の悪い経済ニュースでマーケットは混乱している。著名な 経済学者や多くのエコノミスト達は世界経済が不況に陥る可能性が急速に高まっており、リーマンショックのような大不況再来となる可能性もあるとコメントし ている。
    特に米国とEUの不況入りの確率は高いとみられている。市場の不確実性が急速に高まり、これが金融機関、企業、消費者の態度を用心深くさせているからだ。 ただ景気の落ち込みは深くはないであろう。何故なら在庫が大幅に積み上がり資本設備の過剰感が急速に高まるとい状況ではないからだ。7-9月期については 米国やEU経済はマイナス成長を避けることができよう。今月の米国経済超短期予測が示すように緩やかな回復の可能性が高まっている。にもかかわらず、市場 の不確実性が急速に高まることから(各経済主体の用心深さが高まり)、数ヵ月後には米国、EU経済は不況入りすると予測されている。というのも、米国では 雇用の増加トレンドが大きく減速しており、この結果、消費者心理は過去30年で最も以上の低い水準にまで落ちている。これは民間消費にとっては強力な逆風 である。また足下(9月)のEUの製造業購買担当者景況指数(PMI)は50を割り込んでいる(不況を意味する)。このような経済ニュースは市場の不確実 性を高め、加えて、緊縮財政と欧州債務問題、エネルギー価格の高止まりが、米国とEUの金融機関、企業、家計の行動を押し並べて圧迫するからだ。
    このような理由で米国とEU経済の不況入りの見方が高まっている。その確率をイメージ的に示せば、緩やかな景気回復の可能性が50%を下回り、不況入りの 確率が50%を上回っている状況といえよう。また不況入りの確率のうちリーマンショックのような厳しい不況の確率は高くはないものの徐々に高まってきてい るのが特徴といえよう。
    一方良いニュースは、日本経済はサプライチェーンの復旧による輸出・生産の回復と今後の補正予算の効果で比較的高い成長が期待され、中国やその他アジア経済では減速するものの引き続き高成長が期待されることである。
    世界経済の先行きは今しばらく混乱の時代となろう。今月の米国超短期予測コラムが述べているように、中央銀行は限られた政策手段の中、市場・消費者とのコミュニケーションを上手くすすめ、市場の用心深さを反転させ、景気回復を本格化させることが重要である。

    [稲田義久 KISER所長・マクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]

    日本
    <足下は急速な景気回復、先行きは厳しさを増す>

    10月3日発表の日銀9月短観によると、サプライチェーンの復旧による輸出・生産の回復と地デジ移行前の駆け込み需要により、企業の景況感は前回調 査から大きく改善した。最も注目される業況判断指数(DI)は、大企業製造業で+2となり、前回調査から11ポイント大幅改善した。また大企業非製造業 DIも前回から6ポイント改善し+1となった。一方、中小企業の業況判断DIは、製造業で-11と前回調査から10ポイント、非製造業では-19と前回か ら7ポイントそれぞれ改善した。経済活動水準はほぼ震災前に戻りつつあり、今回の落ち込みは東日本大震災による一時的な落ち込みであることを調査結果は示 唆している。ただ景気の先行きについては、これまでの復興事業は遅れており、超円高の定着、加えてグローバル経済の減速懸念が高まっていることから、企業 は比較的厳しい見方をしている。
    超短期予測の足下の見方は9月短観の見方と整合的である。今週の(支出サイドモデルによる)予測では、7-9月期の基礎データのうちほぼ8月までの分が更 新されている。その結果、7-9月期の実質GDP成長率を、内需は引き続き拡大し、純輸出も増加に転じるため前期比+1.4%、同年率+5.9%と予測す る。また10-12月期の実質GDP成長率を、内需は引き続き拡大するが純輸出は縮小するため、前期比+0.6%、同年率+2.5%と予測する。この結 果、2011暦年の実質GDP成長率は-0.4%となろう。ちなみに、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト10月調査)は7-9月期同+5.33%、 10-12月期同+2.30%である。
    実際、7-9月期の国内需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比+0.7%と比較的堅調である。実質民間住宅は同+8.2%、実質民間企業設備は 同+1.9%増加する。実質政府最終消費支出は同+0.6%、実質公的固定資本形成は同+3.2%となる。このため、国内需要の実質GDP成長率(前期 比+1.4%)に対する寄与度は+1.3%ポイントと内需の貢献が大きい。
    一方、財貨・サービスの実質輸出は同+5.4%増加し、実質輸入は同+5.9%増加する。このため、実質純輸出の実質GDP成長率に対する寄与度はプラスに転じるものの+0.2%ポイントと小幅にとどまる。
    一方、主成分分析モデルによれば、7-9月期の実質GDP成長率を前期比年率+5.8%と支出サイドモデル予測とほぼ同じ結果となっている。ただ 10-12月期については同-0.1%と支出サイドモデルより厳しい予測結果となっている。このよう、支出サイド、主成分分析、両モデルとも、先行きにつ いては景気の減速を予測している。先行きについては、第3次補正予算、超円高、グローバル経済の動向が重要で、予断を許さない状況となっている。

    [[稲田義久 KISER所長・マクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]]

    米国
    <緩慢な景気回復を示し始めた米国経済>

    グラフに見るように、景気は7月の半ばから8月の半ばまで急減速し、市場もリセッションを懸念しはじめた。今もって、かなりのエコノミストがダブル ディップ・リセッションを懸念している。しかし、超短期モデルでは支出サイドから予測した実質GDP成長率が7月半ばから8月半ばに底を打ち、その後上昇 トレンドを形成している。更に、所得サイドから予測した実質GDP成長率も約1ヵ月遅れで底を打ち、その後同じように上昇トレンドを形成し始めた。これは 超短期モデルによる典型的な景気回復の(予測)パターンである。
    10月14日の超短期予測では、支出サイドからの7-9月期実質GDP成長率(前期比年率)が2.2%となったことから、10月27日に発表される同期の 実質GDP成長率(速報値)が2%を超える可能性もでてきた。実質総需要、国内需要、最終需要の予測も9月半ばから上昇トレンドを形成し、景気が底を打ち 回復し始めたことを示している。しかし、今週の超短期予測ではそれらの成長率は1.0%?2.0%の範囲にあり、極めて緩やかな景気回復と言える。すなわ ち、リセッション懸念は薄らぎ、景気はポジティブなモメンタムを示し始めたことを、超短期予測は示唆している。
    このように景気が緩やかに回復し始めたものの、消費者心理は非常に弱い。10月14日に発表されたミシガン大学の消費者センチメントの期待指数は過去30 年以上の低い水準にまで落ちている。それゆえ、FRBはこの景気回復のモーメントをうまく捉え、市場と消費者にうまくコミュニケートし彼らの景気回復への 信頼を高めることが必要である。バーナンキFRB議長は10月4日の上下両院の合同経済委員会における「景気見通しと最近の金融政策」の証言において”景 気回復が”close to faltering”とコメントをして、景気回復に非常に悲観的な見方を示した。10月12日に公表されたFOMC議事録をみても、FRBはこれ以上景気 が悪くなった時の対策を議論している。今、FRBにとって大事なことは市場と消費者に景気回復への信頼感を高めるためのコミュニケーションをうまくとるこ とである。例えば、バーナンキ議長はすぐにも”close to faltering”の見方を打ち消し、“緩やかながらも景気は回復し始めた”と訂正することである。すぐに、ハロウィン、サンクスギビング、クリスマス とホリデーシーズンに入るのであるから、FRBはこれまでの景気への悲観的な見方から注意深い楽観的な見方に転じ、市場・消費者とのコミュニケーションを 上手くすすめ、ゆっくりと始まった景気回復を本格化させることである。

    [ [熊坂有三 ITエコノミー]]