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太平洋地域の現況 (SOTR)/「太平洋経済展望(PEO)2008-09」の発表について

2008-05-29

太平洋地域の現況 (SOTR)/「太平洋経済展望(PEO)2008-09」の発表について

アジア太平洋各国・地域の産学官で組織するPECCの作業部会=太平洋経済展望(PEO)は、域内16ヵ国・地域の2008?09年の経済予測について、別添「State of the Region Report, 1st Quarter Economic Update」の通り、取りまとめ、本日発表しました。
・ PEOでは例年、年1回経済予測を発表し、2四半期後に改定を行なっている。加盟各国/地域の産学官の専門家共同作業の中立的分析が特色である。

・ 今年3月に大阪で開催した国際会議をキックオフ・ミーティングとし、その後幹事国(カナダ)を中心に分析を加え、「State of the Region Report, 1st Quarter Economic Update」として取りまとめたものである。

・ 日本経済の予測については、PEO日本委員会(事務局=(財)関西社会経済研究所)短期予測部門の主査である稲田義久・甲南大学経済学部教授がとりまとめた。
今回の予測のポイントは以下の通り。
* アジア太平洋地域における2008年の実質GDPの経済成長予測を、米国経済の減速による波及効果と金融市場の不安定さにより、前回(2007年11月発表)4.9%から、3.7%成長と下方修正(2007年実績4.9%)。2009年度には反発して4.4%の成長となると予測される。
* 中国はこの3.7%成長に対して1.6%ポイントの貢献となる等、新興国が成長を支える。米国は2007年の2.2%から2008年に1.0%まで減速するが、2008年末を底に2009年には2.5%に回復。
* 主要な問題として、PEO地域のインフレが上昇傾向にあること。2008年アジア太平洋地域全体のCPI上昇率を2.7%から3.6%に上方修正。特にインドネシアと中国のインフレは突出しており、中国では6.0%、インドネシアでは11.7%にまで上昇する。
* ダウンサイドリスクとしては、主要商品価格の更なる上昇、米国の住宅価格の下落の継続、および金融部門における想定していない評価損など。
* 総括としてユエン・パウ・ウー氏(カナダ、State of the Region報告のコーディネータ)は、「インフレの昂進と米国信用収縮に対する終息が見合えない中、地域の政策担当者は経済を回復させる政策余地を失いつつある」と懸念を表明。またチャールズ=モリソン氏(PECC議長)は、「貿易と資本の自由な流れが減速期にあっても、失われないことが決定的に重要」と指摘している。

以上の予測レポートの詳細については、以下のホームページからアクセスできます。
(http://www.kiser.or.jp/peo/jpn/index.html)
[参考]
<太平洋経済協力会議 (PECC=Pacific Economic Cooperation Council)>
アジア太平洋の経済協力の推進に向けて、柔軟で現実的な議論を進めるため、24カ国・地域の産学官の有識者が個人の立場で参画する国際連携組織であり、日本での事務局は日本国際問問題研究所に置かれている。太平洋経済展望(PEO=Pacific Economic Outlook)は、その作業部会の一つで、同地域の短期的な経済予測と、中長期的な構造問題の分析を担当する。
<太平洋地域の現況 (SOTR=State of the Region)>
PECC域内専門家による調査に基づくアジア太平洋地域の課題の評価と、太平洋経済展望 (PEO)による産学官共同による中立的な経済予測の分析で構成されており、APEC(アジア太平洋経済協力会議)への政策提言を目指している。

本件問合わせ先
太平洋経済展望(PEO)日本委員会 事務局
((財)関西社会経済研究所内)
磯野 泰志、藤田 真知子、福井 かよ
TEL:06-6441-0145
E -mail:peo@kiser.or.jp

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