ABSTRACT
研究計画
研究の背景
トランプ米大統領は「4月2日は米国『解放の日』として永遠に記憶される」と宣言し、すべての貿易相手国に相互関税を課すための大統領令に署名、米国の貿易赤字の解消と製造業の復活を目指す。日本へは24%、その他アジアの諸国へはそれ以上の相互関税が9日から適用された。世界中の株式市場で株価が下落し、国際自由貿易は根底から崩れ、世界経済を展望することができなくなった。
本プロジェクトでは、経済安保上の利益とグローバル化の経済的利益の間の折り合いをつけながら、国際通商ルールに基づき自由で開かれた経済活動を発展させていくことの重要性を再確認していく。
国際経済学のみならず、国際法学、政治学ならびに企業研究などさまざまな知見を得ながら、アジア太平洋地域における政治・経済協力のあり方について研究を進めていく。
分析の手法または現地調査の詳細
2025年度は昨年度に引き続き、刻々と変化する国際貿易体制の状況を踏まえながら、マクロ的には自由貿易体制の行方、ミクロ的には自由化と国際ルール作りの要点について、学際的な視点から知見を深めていく。
米中対立による地政学的緊張が継続するなか、今年は米中と繋がりながら経済成長を続けるASEANのサプライチェーンに対し、トランプ政権の対外政策がもたらす影響、また、プレゼンスを積極的に高めている中国の政策を検証し、極東アジアの生産ネットワークと、ルールに基づく国際貿易秩序の行方についても検討していく。
木村リサーチリーダーによるASEANと日本についての経済研究を軸に、学識者、研究者並びに実務家に登壇いただき、複眼的な見地に立ったディスカッションへとつなげる。企業の見識を高め、事業活動に資する情報提供の場としたい。
期待される成果と社会還元のイメージ
オープン研究会において、多方面からの理論・実証・政策研究の成果を提供し、企業の方々を中心に還元する。対海外、特にアジア太平洋地域における事業展開戦略の策定に資する。