研究成果

research

Kansai Economic Insight Quarterly No.47 – 民需外需の失速が鮮明、正念場迎える関西経済 –

1.  2019年10-12月期実質GDPは前期比年率-6.3%(前期比-1.6%)と5四半期ぶりのマイナス成長だった。寄与度を見ると、純輸出は前期比+1.9ポイントと3四半期ぶりのプラスとなったが、国内需要は同-8.3%ポイントと5四半期ぶりのマイナスで、成長を大きく押し下げた。
2.  2019年10-12月期の関西経済は、民需と外需の失速が鮮明となった。10月の消費税率引き上げ、中国経済の減速を受けて、家計部門、企業部門、対外部門と多くの指標が失速の様相を呈している。これまで堅調だった雇用環境やインバウンド需要も軟調となりつつある。20年1-3月期以降については、さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響が現れてくるため、関西経済は正念場を迎える。
3.  関西の実質GRP成長率を2019年度+0.1%、20年度+0.2%、21年度+1.0%と予測。消費税率引き上げによる民間消費の停滞、中国経済の減速、新型肺炎による経済活動の縮小といった要因から、19年度20年度は低成長を免れられず、本格的な回復は21年度となる見通しである。
4.  前回予測に比べて、2019年度は-0.6%ポイントの下方修正、20年度も-0.2%ポイントの下方修正である。下方修正の背景として、19年7-9月期のGDP実績値の大幅下方改定、消費税率引き上げによる影響とそれに伴う足下の景気減速、新型肺炎の影響の織り込みがある。一方21年度は+0.3%ポイントの上方修正とした。
5.  2019年度については、成長を下支えるのは公的需要のみとなる。民間需要は+0.0%ポイントと成長に貢献しない。公的需要は消費税対策から+0.5%ポイントと成長に貢献する。域外需要は-0.3%ポイントと成長抑制要因となる。20年度は、民間需要が-0.4%ポイントと19年度に続いて成長に寄与せず、むしろ抑制要因となる。公的需要は+0.3%ポイントと成長を押し上げ、域外需要も+0.2%ポイントとプラスに転じる。21年度は、民間需要が+0.3%ポイントと回復に転じ、公的需要+0.2%ポイント、域外需要+0.3%ポイントといずれも成長に寄与する。
6.  新型コロナウイルスの感染拡大が関西経済に与える影響について、2つの輸出に限定して試算した。回復期間の長短にもよるが、経済損失額は1,782億~5,345億円、名目GRP比では0.2~0.6%に相当する。ただしこの試算にはイベントの中止・延期、レジャー施設の休業などの影響など家計消費への影響は含まれていないため、影響はさらに拡大すると見込まれる。

関連論文

  • 稲田 義久

    拡張万博の経済波及効果:UPDATE

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 下山 朗 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    2022年関西経済白書の第6章3節において、拡張万博の経済効果について2015年関西地域間産業連関表(暫定版)を用いて分析した。本稿では、消費単価と日帰り客の新たな想定に基づき、大阪・関西万博の経済効果を再推計した。本試算は3つのケース(基準ケース、拡張万博ケース1、拡張万博ケース2)に分けて分析を行った。得られた分析結果と含意は以下のようである。

     

    1. 経済効果を生産誘発額でみれば、基準ケースでは2兆3,759億円、拡張万博ケース1では2兆7,875億円、拡張万博ケース2では2兆8,818億円と試算された。拡張万博の効果を考慮した場合、経済効果は約4千~5千億円程度の上振れが見込まれる。
    2. 拡張万博の経済効果は基準ケースに比べて、大阪府以外の地域ではかなり大きくなる。生産誘発額の地域別シェアをみれば、大阪府のシェアが基準ケースの74.5%から、拡張万博ケース2では62.4%まで低下する。すなわち、拡張万博の展開に伴う延泊と日帰り客の増加により、大阪府以外の地域での経済効果が相対的にも高まることになる。
    3. 関西広域にわたって拡張万博に類する様々な取り組みが広がり、観光客にとって魅力的なコンテンツ、滞在型消費を促すようなインセンティブが高まれば、本試算を上回る経済効果が期待できる。
    4. 大阪・関西万博に代表される大規模なイベントの経済効果は、特定の地域や特定の時期に留まるのではなく、関西広域で中長期的な取り組みがなされていくことが求められる。大阪・関西万博をひとつの「呼び水」として、関西経済の成長に繋げていくことが重要である。

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  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:1月レポート No.44

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、1月の訪日外客総数(推計値)は149万7,300人と、150万人に迫る水準となり、コロナ禍前の5割強を回復した。なお、訪日中国人客を除いた総数では146万6,100人(同-24.2%)となり、コロナ禍前の7割強である。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば11月は93万4,599人。うち、観光客は77万3,983人と、前月(32万6,699人)から大幅増加し、20年2月(89万8,976人)以来の水準となった。

    ・先行きの訪日外客数については、水際対策の更なる緩和により一層の回復が見込まれよう。これまで続いていた中国からの入国者に対する水際対策の強化が、3月1日から緩和された。このため、これまで回復が遅れていた訪日中国人客数の増加が見込まれ、訪日外客数の回復ペースは加速すると考えられる。

     

    【トピックス1】

    ・関西1月の輸出は中国の春節休暇の時期のズレもあり23カ月連続の前年比減少。一方、輸入は24カ月連続で同増加した。結果、輸関西の貿易収支は5カ月ぶりの赤字となった。

    ・1月の関西国際空港への37万9,298人と2カ月連続の30万人超の水準だが、訪日中国人客の回復が遅れていることもあり、回復のペースは緩やかである。

    ・12月のサービス業の活動は小幅悪化だが、持ち直し傾向を維持。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数はいずもれ3カ月ぶりに前月比低下した。一方、観光関連指数は飲食店、飲食サービス業の上昇もあり、2カ月ぶりに同上昇した。

     

    【トピックス2】

    ・11月の関西2府8県の延べ宿泊者数は10,070.4千人泊、2019年同月比では-7.3%となった。全国旅行支援事業や水際対策緩和の継続により、日本人宿泊者及び外国人宿泊者数が回復しつつある。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は8,915.0千人泊と2カ月連続でコロナ禍前の水準を上回った。また、外国人延べ宿泊者数は1,155.4千人泊と前月(555.9千人泊)から倍増。京都府や大阪府は5割程度の回復となっているが、他府県では2~3割程度の回復にとどまっている。

     

    【トピックス3】

    ・2022年10-12月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆2,651億円となった。10月11日から開始された全国旅行支援事業が国内旅行需要回復に大きく影響した。

    ・2022年通年では4兆2,581億円(19年比+3.1%)と、経済活動の正常化に加え、国内旅行需要喚起策の影響もあり、関西ではコロナ禍前を上回った。

     

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  • 稲田 義久

    DMOの観光誘客への取組-マネジメントエリア別の分析:滋賀県の事例から-

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 井原 渉 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    本稿では滋賀県にかかわる観光基礎統計を用いて、県の観光戦略に光をあて、観光地域づくり法人(以下、DMO)の活動に注目し抱える課題を分析した。得られた含意は以下のようにまとめられる。

    1. 滋賀県の各DMOにおける、それぞれの特徴や活動状況、マネジメントエリア、観光資源、誘客ターゲット層に対する取り組みを比較した。注目している観光課題に違いがあるものの、その活動内容から県内広域を活動エリアとするDMOと限定された地域(地場)に密着した活動を行うDMOに分けられる。
    2. びわこビジターズビューロー、近江ツーリズムボード、比叡山・びわこDMOは、滋賀県の認知度向上に向けた情報発信や持続可能な観光を実現させるための環境整備など、県内広域にわたり、周遊滞在型観光の活動に注力している。
    3. 近江八幡観光物産協会、長浜観光協会は、その地域ならではの食文化、暮らし体験や地域住民の郷土愛の醸成等、まちづくりを基軸とした地域密着の交流型観光の活動に注力している。
    4. DMOのマネジメントエリア別に宿泊施設数と稼働率の動向をみれば、宿泊施設数は大津市と高島市を除くエリアで微減ないしは横ばいで推移している。稼働率は、大津市では春と夏に上昇する傾向がある。また、近江八幡市、長浜市、米原市、彦根市では春、夏、秋に上昇する。一方、高島市では夏に高まる傾向がある。季節性の平準化が重要となろう。
    5. コロナ禍を経て観光スタイルが変化してきており、琵琶湖を中心に各地域の自然資源や歴史文化遺産をつなぐ宿泊滞在型観光の促進も重要である。上記季節性の平準化の課題を踏まえれば、各地域ならではの観光資源を活かした閑散期の新たなコンテンツの造成が必要であろう。また、県域DMOと地域連携及び地域DMOが連携し、各地域の観光資源を繋ぐことで、観光客の滞在日数を増やすなど、地域間の連携を意識したコンテンツの造成も必要となろう。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.63 -内需を中心に緩やかな持ち直しの動き続く:物価高と世界経済の行方が攪乱要因-

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    1. 2022年10-12月期の関西経済は、前期から引き続き緩やかに持ち直した。経済活動の正常化に伴い、生産、雇用、公共投資など内需を中心に幅広い項目で堅調な回復が見られた。ただし先行きについては、物価高が家計や企業に影響するほか、米欧中経済の動向が攪乱要因となるなど、力強い回復は見込みづらい。
    2. 家計部門は、物価高が回復の足かせとなっている部分もあるが、各種行動制限が解除となるなど経済活動の正常化により、概ね持ち直している。大型小売店販売、所得・雇用環境、住宅市場など堅調に推移している。センチメントや実質賃金などこれまで低調だった指標でも底打ちの兆しが見られる。
    3. 企業部門は、経済活動が正常化に向かっていることから、概ね緩やかに持ち直した。生産は一進一退で伸び悩んでいるものの、景況感は非製造業を中心に持ち直しており、設備投資計画についても積極的な姿勢がうかがえる。
    4. 対外部門は、財の貿易については輸出・輸入ともに前年を上回ったものの、増加幅は縮小した。輸出を地域別に見ると、米国向けは堅調だったが、EU向けはやや伸び悩み、中国向けは停滞した。関空経由の外国人入国者数・百貨店免税売上などインバウンド需要については、水際対策が緩和されたことで急回復した。
    5. 公的部門では、全国に比べて堅調な動きが続いている。
    6. 関西の実質GRP成長率を2022年度+1.3%、23年度+1.3%、24年度+1.6%と予測。19年度・20年度の2年連続のマイナス成長から、21年度以降は内需が成長を牽引して1~2%のプラス成長が続く。コロナ禍前のGRP水準を回復するのは24年度となり、前回予測に比べて後ずれする。
    7. 成長に対する寄与度を見ると、民間需要は22年度+1.8%ポイント、23年度+1.0%ポイント、24年度+1.3%と成長の牽引役となる。また公的需要も22年度から24年度にかけていずれも+0.2%ポイントと成長を下支える。域外需要は22年度-0.7%ポイントと成長を押し下げる。23年度以降はプラスの寄与となるが、小幅にとどまる。
    8. 実質GRP成長率について前回予測(22年12月19日公表)と比較すると、22年度は-0.19%ポイントの下方修正、23年度は+0.11%ポイントの上方修正としている。24年度は大きな修正はない。
    9. 今号のトピックスは「大阪・関西万博と拡張万博の経済効果:アップデート」として、新たな消費需要の想定に基づく経済効果を試算した。生産誘発額は、基準ケースの2.4兆円に対して、日帰り客数や宿泊数の増加を織り込んだ拡張万博ケースでは2.9兆円となる。

     

    ※説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。

    ①01’01”~02’35” :Executive summary

    ②02’36”~36’39”:第142回「景気分析と予測」<強まるインフレと海外経済減速の影響>

    ③36’40”~53:02:Kansai Economic Insight Quarterly No.63<景気は足下、先行きともに改善を見込む:消費者物価上昇と海外経済減速のリスクに注意>

    ④53’03”~58’54”:トピックス<大阪・関西万博と拡張万博の経済効果:アップデート>

    ※要旨およびフルレポートは以下にてご覧ください

     

  • 稲田 義久

    142回景気分析と予測<強まるインフレと海外経済減速の影響 - 実質 GDP成長率予測: 22年度 +1.3%、 23年度 +0.9%、 24年度 +1.5% ->

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    1. 2022年10-12月期GDP1次速報によれば、実質GDPは前期比年率+0.6%(前期比+0.2%)と2四半期ぶりのプラス成長となった。ただ回復は緩やかで、7-9月期の落ち込みを回復できていない。このためコロナ禍前のピークから依然1.8%低い。10-12月期の実質GDP成長率は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト2月調査)最終予測(前期比年率+2.43%)やCQM最終予測(同+2.2%)から下振れた。
    2. 10-12月期の実質GDP成長率(前期比+0.2%)への寄与度を見ると、国内需要は同-0.2%ポイントと5四半期ぶりのマイナス。うち、民間需要は、民間最終消費支出は堅調であったが、民間住宅、民間企業設備、民間在庫変動が減少したため、同-0.3%ポイントと5四半期ぶりのマイナス寄与、公的需要は同+0.1%ポイントと3四半期連続のプラス寄与。これに比して、純輸出は同+0.3%ポイントと2四半期ぶりのプラス寄与となった。
    3. 8四半期ぶりに交易条件が改善したため実質GDI成長率は10四半期ぶりに実質GDPの伸びを上回った。このため、家計や企業の海外への所得流失は幾分和らいだといえよう。
    4. 10-12月期GDP1次速報と新たな外生変数の想定を織り込み、2022-24年度日本経済の見通しを改定した。今回、実質GDP成長率を、22年度+1.3%、23年度+0.9%、24年度+1.5%と予測。前回(第141回予測)から、22年度-0.2%ポイント、23年度-0.2%ポイント下方修正し、24年度+0.1%ポイント上方修正した。22年度については民間需要、23年度については純輸出の下方修正が影響した。また実質GDI成長率を、22年度-0.4%、23年度+1.7%、24年度+1.5%と予測する。
    5. 予測期間において家計に新たな行動制約が課されないと想定する。インフレが減速する2023年度後半には累積した強制貯蓄が取り崩され、サービス支出を中心に民間最終消費支出主導の回復が期待できる。一方、23年度の海外経済は欧米を中心に低迷することから純輸出のマイナス寄与は避けられず、また民間需要の寄与度が減速するため、同年の成長率は前年から低下すると予測。このため、実質GDPがコロナ禍前のピークを超えるのは24年4-6月期以降となろう。回復に約5年(19四半期)を要することになる。
    6. 足下、消費者物価コア指数は前年比4%を上回る勢いである。政府の経済政策の影響もあり、しばらくはエネルギー価格が消費者物価指数基調のかく乱要因となる。23年度後半は原材料高と円安は落ち着きを見せ、インフレ率は減速する。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、22年度+3.1%、23年度+2.2%、24年度+1.3%と予測する。前回予測から、足下の状況を反映し22年度を+0.1%ポイント、23年度を+0.2%ポイント、24年度を+0.1%ポイントそれぞれ上方修正した。

     

    ※説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。

    ①01’01”~02’35” :Executive summary

    ②02’36”~36’39”:第142回「景気分析と予測」<強まるインフレと海外経済減速の影響>

    ③36’40”~53:02:Kansai Economic Insight Quarterly No.63<景気は足下、先行きともに改善を見込む:消費者物価上昇と海外経済減速のリスクに注意>

    ④53’03”~58’54”:トピックス<大阪・関西万博と拡張万博の経済効果:アップデート>

    ※要旨およびフルレポートは以下にてご覧ください

     

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.118-景気は足下、先行きともに改善を見込む:消費者物価上昇と海外経済減速のリスクに注意-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 山守 信博

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下、先行きともに改善を見込む。足下、生産は3カ月ぶりの増産だが、回復のペースは遅い。雇用環境は持ち直しの動きに一服感がみられる一方で、消費は百貨店を中心に持ち直しが続く。先行きは消費者物価の上昇と海外経済減速による景気下押しリスクに注意が必要である。
    ・COVID-19の新規陽性者数は減少が続く。3月13日よりマスクの着用は個人の判断に委ねられ、5月8日から感染症法上の分類が5類へ変更となる。
    ・12月の生産は3カ月ぶりの前月比上昇だが、小幅増産にとどまった。2022年平均では2年ぶりのマイナスとなり、依然としてコロナ禍前の水準を回復できていない。
    ・22年通年では、失業率は3年ぶりに低下したと同時に、労働力人口と就業者数はともに増加し、雇用の回復は順調に進んだ。しかし、足下12月に失業者数の減少が見られたが、10‐12月期を均してみると、失業率の上昇及び労働力人口と就業者数の減少が同時に見られ、雇用の回復に一服感が出ている。
    ・11月の現金給与総額は21カ月連続の前年比増加。しかし、消費者物価指数の上昇傾向が続き、実質では9カ月連続の減少となった。ただし、一部の企業で賃上げの動きが見られ、賃上げの機運が高まりつつある。今後の実質賃金の動向に注視を要する。
    ・12月の大型小売店販売額は15カ月連続の前年比増加。うち、百貨店は高額品の好調とインバウンド需要の回復により10カ月連続の増加。スーパーは食料品の値上げもあり3カ月連続の増加となった。
    ・12月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前月比増加した。うち、貸家と分譲が全体の増加に寄与した。
    ・12月の建設工事出来高は12カ月連続の前年比増加で全国に比して高い伸びが続いている。関西、全国ともに民間工事は前月から減速、公共工事は加速した。また、1月の公共工事請負金額は3カ月ぶりに増加に転じた。
    ・1月の景気ウォッチャー現状判断DIは2カ月連続で前月比改善した。また先行き判断DIも2カ月連続で改善。インバウンド需要増加の影響もあり、百貨店やホテルなどが好調であった。
    ・1月の貿易収支は5カ月ぶりの赤字。中国の春節時期のずれの影響もあり、輸出は23カ月ぶりに減少し、一方、輸入は24カ月連続で増加したためである。
    ・1月の関空への外国人入国者数は37.9万人。2カ月連続で30万人を超えたが、訪日中国人客の回復が遅れており回復のペースは緩やかである。
    ・1月の中国経済は、経済活動の再開と春節連休による旅行機運の高まりが景況感の回復に繋がり、消費者物価指数からも対面型サービスを中心に個人消費は持ち直しつつあることが窺える。ただし、新規貯蓄が高水準で、消費に慎重な姿勢が続いているため、1-3月期の景気は大きな改善が見込まれない。

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  • 稲田 義久

    都道府県別訪日外客数と訪問率:12月レポート No.43

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 松林 洋一 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、12月の訪日外客総数(推計値)は137万人と前月から大幅増加し、20年2月以来、単月で100万人超の水準まで回復。2022年通年では年後半の水際対策の大幅緩和も影響し383万1,897人と、過去最少となった前年から大幅増加した。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば10月は49万8,646人。うち、観光客は32万6,699人と前月(4万2,108人)から大幅増加し、2020年3月以来の値となった

    ・今後のインバウンドの見通しについては、訪日中国人客の動向が重要となる。中国政府は2月6日以降、団体旅行を一部の国・地域に限って認めると発表したが、日本は今のところ含まれていない。このため、訪日外客の回復については依然不確実性が高い。

     

    【トピックス1】

    ・関西12月の輸出は22カ月連続の前年比増加だが、伸びは前月から減速。また、輸入は23カ月連続で同増加したが、エネルギー価格の落ち着きもあり伸びは前月から減速した。輸出入の伸びが前月からいずれも減速したが、後者の下落幅が前者の下落幅を上回ったため、関西の貿易収支は4カ月連続の黒字となった。

    ・12月の関西国際空港への訪日外客数は33万1,249人と前月(24万7,090人)から増加。2022年通年では、88万5,472人(19年比-89.4%)となった。

    ・11月のサービス業の活動は感染再拡大の影響もあり小幅悪化。第3次産業活動指数は2カ月ぶりの前月比低下。また、観光関連指数も飲食店、飲食サービス業の大幅低下もあり、4カ月ぶりの同低下となった。

     

    【トピックス2】

    ・10月の関西2府8県の延べ宿泊者数は8,708.3千人泊、2019年同月比では-16.0%となった。全国旅行支援事業の開始と水際対策の大幅緩和もあり、減少幅は前月から縮小した。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は8,152.4千人泊、2019年同月比+10.8%とコロナ禍前を上回った。また、外国人延べ宿泊者数は555.9千人泊となり、2019年同月比-81.5%と減少幅は大幅縮小。水際対策の大幅緩和により、大阪府、京都府を中心に外国人宿泊者数が回復している。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.117-景気は足下、先行きともに改善を見込む:不確実性上昇に伴う景気下押しリスクに注意-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 山守 信博

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下、先行きともに改善を見込む。足下、生産は2カ月連続の減産で、弱い動きが続く。雇用環境は持ち直しの動きに一服感がみられる一方で、消費・景況感は持ち直しが続く。先行きは物価や海外経済の見通し不確実性上昇に伴う景気下押しリスクに注意が必要である。
    ・COVID-19の新規陽性者数は1月11日をピークに減少に転じた。また政府は感染症法上の分類を今春に変更する意向を示した。
    ・11月の生産は2カ月連続の前月比低下。特に電子部品・デバイスは3カ月連続で減産しており、全国と比して弱い動きとなっている。
    ・11月は失業者数が増加するとともに、労働力人口と就業者数はいずれも減少した。また、就業率も2カ月連続で低下し、コロナ禍前の水準を下回っている。雇用の回復は停滞している。
    ・10月の関西2府4県の現金給与総額は、名目で20カ月連続の前年比増加。しかし、消費者物価指数の上昇傾向が続き、実質では8カ月連続の減少となった。
    ・11月の大型小売店販売額は14カ月連続の前年比増加。うち、百貨店は高額品の好調とインバウンド回復により9カ月連続の増加。スーパーは食料品の値上げもあり2カ月連続の増加となった。
    ・11月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前月比減少。建設費高騰と円安の影響もあり、分譲と持家が低調だった。
    ・11月の建設工事出来高は11カ月連続の前年比増加で全国に比して高い伸びが続いているが、公共工事・民間工事ともに前月から減速となった。また、12月の公共工事請負金額は2カ月連続で同減少となっている。
    ・12月の景気ウォッチャー現状判断DIは5カ月連続で前月比改善した。また先行き判断DIも2カ月連続で改善。国内旅行需要やインバウンド需要が回復しつつあることから、関連するサービス業が改善した。
    ・12月の貿易収支は4カ月連続の黒字。エネルギー価格の落ち着きや円安修正の影響で、輸入額の伸びは前月から大幅に減少した。このため黒字幅は前月から拡大した。
    ・12月の関空への外国人入国者数は33.1万人とコロナ禍前の5割程度まで回復。22年通年では水際対策の大幅緩和もあったが、年前半の低調により88.5万人にとどまった。
    ・中国の10-12月期実質GDPは前年同期比+2.9%と前期から減速した。その結果、22年通年の経済成長率は+3.0%にとどまり、政府の目標成長率(5.5%)を大幅に下回った。1月に4年ぶりに行動制限のない春節休暇を控え、消費の回復が期待されている一方、更なる感染拡大による混乱が懸念されている。

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