研究者紹介
前田 正子2019年4月現在
甲南大学教授
少子化・子育て支援・自治体経営
関西における女性就業率の拡大に向けた提言
「女性は関西で夢を描けるか?鉄は熱いうちに打て」
学歴
- 米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院経営・政策科学研究科修士課程修了
- 慶應義塾大学商学研究科博士課程修了
職歴
- 第一生命経済研究所ライフデザイン部主任研究員(平成6年9月-15年3月)
- 横浜市役所副市長(平成15年4月-19年3月)
- 公益法人横浜市国際交流協会理事長(平成19年4月-22年6月)
- 甲南大学マネジメント創造学部教授(22年9月-)
主な著作物
- 『保育園問題 待機児童、保育士不足、建設反対運動』、中公新書2429、2017年04月。
- 『大卒無業女性の憂鬱―彼女たちの働かない・働けない理由』、新泉社、2017年01月。
- 『みんなでつくる子ども・子育て支援制度 子育てしやすい社会をめざして』 、 ミネルヴァ書房 、 2014年07月。
- 『福祉がいまできること 横浜市副市長の経験から』、 岩波書店 、 2008年06月。
- 『子育てしやすい社会 保育・家庭・職場をめぐる育児支援策』、 ミネルヴァ書房 、 2004年04月。
- 『子育てはいま』 、 岩波書店 、 2003年04月。
- 『保育園はいま』 、 岩波書店 、 1997年05月。
論文一覧
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関西における女性就業率の拡大に向けた提言
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2016年度 » 人口減少下における関西の成長戦略
ABSTRACT
リサーチリーダー
主席研究員 前田正子 甲南大学教授
研究目的
関西では、滋賀県と京都府以外の府県で女性の就業率が全国平均より低く、奈良県・大阪府・兵庫県でワースト3を占めている。関西の女性の就業率が全国平均まで高まれば、就業者数約25万人増加し、関西のGRPは約1.5兆円(約1.8%)増加すると、2014年の関西経済白書で分析した。さらに、アベノミクスの成長戦略では、「女性活躍推進」が目標として掲げられている。
しかし2015年度の本研究会での分析によると、関西は保守的な意識が強く、女性の就業率が全国的に見ても低い一方で、未婚率が高く出生率も低い状況にある。関西から企業の流出とともに正規雇用の場が失われており、大卒女性は関西から流出し、主に首都圏に移動している。さらに、新卒時に正規の職に就けなかった女性は、著しく就業意欲が低く、支援策が講じにくい状況にある。他方で、一度でも正規就労したものの結婚・出産でやむなく離職した女性たちは就業意欲も能力も高い傾向にあり、支援のターゲットとして効果的である。女性の置かれている状況を丁寧に把握し、それぞれに対応する支援策や対策を講じることが必要だと指摘しており、こうした昨年度の分析と提案を深掘りし、地域ごとの状況・意識の違いを分析し、地域別・状況別にみた効果的な対応策を検討する。
研究内容
意識調査:インタビュー調査を、関西内の複数県の女性を対象に行い、地域ごとの違いを比較するとともに、必要な支援策について深掘りする。
データ分析:国勢調査の詳細集計や就業構造基本調査を用い、配偶状態・就業状態などについて分析する。
大阪府(都市部、若年無業女性が多い)、奈良県(周辺部、既婚無業女性が多い)、滋賀県(女性就業率は高いが管理職比率が低い)を取り出して分析することで、日本全体で応用することができる。状況別に課題と対応策を整理し、読者が自分の地域・会社に当てはまるところから取組みを考えることができる。
リサーチャー
長町理恵子 日本経済研究センター 大阪支所主任研究員
オブザーバー
藤原由美 大阪府 商工労働部女性の就業推進チーム課長補佐
佐野由美 21世紀職業財団 関西事務所長
梅村その子 関西経済連合会 労働政策部ダイバーシティ担当部長
九後順子 阪急電鉄株式会社 経営企画部課長
高木和彦 滋賀県 商工観光労働部女性活躍推進課課長補佐
夏原二朗 奈良県 健康福祉部こども・女性局女性活躍推進課課長補佐
幡 恵子 奈良県 健康福祉部こども・女性局女性活躍推進係係長
期待される成果と社会還元のイメージ
提案を含む報告書をまとめ、HPで公開し、成果報告会を行い、広く発信する。対応策は、昨年度の関西の女性の分類に基づき、地域ごとの課題や意識とクロスさせて提案する。各読者はそれぞれ、表の分類により自社や各自の地域で当てはまるところを見て、それぞれの取組に活かす。
各自治体の政策立案、各企業・団体での女性活躍推進のための計画・目標策定や女性活躍推進の必要性の理解(男性も含めて)、教育機関でのキャリア教育やインターンシップ、就活指導などの際の参考となる。特に、関西での女性の長期就業に関する意識形成や、人手不足の企業と意欲ある女性のマッチング促進に資する。
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関西における女性就業率の拡大に向けた提言「女性は関西で夢を描けるか?鉄は熱いうちに打て」
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2015年度 » 関西の成長牽引産業
ABSTRACT
リサーチリーダー
主席研究員 前田正子 甲南大学教授
研究目的
アベノミクスの成長戦略では女性の活躍が重視されている。今後は少子高齢化で労働力人口が減少し人手不足が予想されており、女性の能力は社会に欠かせない。だが、関西には女性が夢を描いて働ける場があるのだろうか。一方、関西の女性は「できれば働きたくない」という人が多いという説もある。
能力のある女性が関西で働く場がないのか、それとも女性が働く意欲を失うのは、本人の責任だろうか、親や周りの大人の責任だろうか、それとも企業の責任だろうか。女性の問題は様々だが、今回の調査では特に関西の大卒女性に焦点を当て、高い教育を受けた女性たちが関西に留まり、その能力を地域の職場で生かす意欲を持ち、それを実現していくためには、何が必要かを探る。
研究内容
女性の活用に関しては様々な提言が出ているが、多くのものが、年金や税制改革・保育所整備・柔軟な働き方・仕事の見える化・成果主義といった同じような項目となっているが、例えばそれを個々の企業や職場に具体的にどう導入するかにはまだ壁がある。また、すでに女性を対象とした様々な調査も実施されている。そこでより関西ならではの課題や問題点を明らかにするために、関西の自治体や企業の聞き取りだけでなく、大学卒業時の女性の進路や大学での進路指導なども踏まえ、関西の女性の実態や職場の課題を明らかにする。また企業で働くことだけでなく、女性自らが社会的起業やNPO設立など、求められる社会的ニーズにこたえる仕事づくりが可能かどうかについても検討する。
そのなかで、関西の女性たちが、その能力を地域や職場で生かす意欲を持ち、それを実現していくためには、何が必要かを探る。
リサーチャー
加藤久和 明治大学教授
長町理恵子 日本経済研究センター 大阪支所主任研究員
オブザーバー
藤原由美 大阪府 商工労働部女性の就業推進チーム課長補佐
森田文子 関西電力 ダイバーシティ推進グループダイバーシティ推進部長
佐野由美 21世紀職業財団 関西事務所長
梅村その子 関西経済連合会 労働政策部ダイバーシティ担当部長
宇野優子 関西経済連合会 労働政策部主任
期待される成果と社会還元のイメージ
報告書をまとめ、高い教育を受けた女性が、その能力を地域の職場で生かす意欲を持ち、それを実現していくためには何が必要か、高校・大学での教育、就職先での経験、自体の施策、等それぞれの段階で提案する。報告会も実施し、企業、自治体、大学等に広く発信する。
高校や大学での女子学生へのキャリア教育を実施する際、企業や自治体での女性育成の際、さらに地域の女性の活性化や地方創生を模索する行政の施策形成に活用されたい。