研究者紹介
家森 信善2021年4月現在
神戸大学地域共創研究推進センター センター長・教授
日本の金融システム政策の実証研究、地域経済と地域・中小企業金融の研究、保険業と保険規制の研究、金融経済教育と金融リテラシーの研究
学歴
- 1986年 3月 滋賀大学経済学部経済学科卒業
- 1988年 3月 神戸大学大学院経済学研究科博士課程前期課程修了
- 1996年11月 博士(経済学、名古屋大学)
職歴
- 1989年4月 姫路獨協大学経済情報学部助手
- 1995年4月 名古屋大学経済学部専任講師
- 1996年4月 名古屋大学経済学部助教授
- 2004年2月 名古屋大学大学院経済学研究科教授
- 2008年4月 名古屋大学総長補佐(2014年3月まで)
- 2014年4月 神戸大学経済経営研究所教授(現職)
- 2016年4月 神戸大学経済経営研究所副所長
- 2021年4月 神戸大学経済経営研究所所長(2023年3月まで)
- 2023年4月 神戸大学地域共創研究推進センター センター長(現職)
主な著作物
- 家森信善著『地域金融システムの危機と中小企業金融-信用保証制度の役割と信用金庫のガバナンス-』 2004年3月 千倉書房 pp.156。
- 家森信善編『地域連携と中小企業の競争力-地域金融機関と自治体の役割を探る-』中央経済社 2014年2月。
- 家森信善編『地方創生のための地域金融機関の役割-金融仲介機能の質向上を目指してー』 中央経済社 2018年3月。
- 家森信善編著『地域金融機関による事業承継支援と信用保証制度 地域企業の発展に貢献できる地域金融を目指して』 中央経済社 2020年8月。
主な論文
- Yamori, N., "The relationship between domestic savings and investment: The Feldstein=Horioka test using Japanese regional data," June 1995, Economics Letters 48, 361-366.
- Yamori, N., "A note on the location choice of multinational banks: The case of Japanese financial institutions," Journal of Banking and Finance 22, January 1998, 109-120.
- Yamori,N., and Keishin Murakami, "Does bank relationship have an economic value? The effect of main bank failure on client firms" Economics Letters 65, October 1999, 115-120.
- Nobuyoshi Yamori and Takeshi Kobayashi "Do Japanese Insurers Benefit from a Catastrophic Event? Market Reaction to the 1995 Hanshin-Awaji Earthquake" Journal of Japanese and International Economies 16, March 2002 pp.92-108.
- Mark Spiegel and Nobuyoshi Yamori, "The Evolution of Bank Resolution Policies in Japan: Evidence from Market Equity Values" Journal of Financial Research 27 (1), March 2004, pp.115-132.
- Mark Spiegel and Nobuyoshi Yamori, "Market Price Accounting and Depositor Discipline in Japanese Regional Banks," Journal of Banking and Finance 31 2007 pp.769-786.
- Jianjun Sun and Nobuyoshi Yamori, "Regional disparities and investment-cash flow sensitivity: Evidence from Chinese listed firms." Pacific Economic Review 14, 2009, pp.657-667.
- John Krainer, Mark Spiegel, and N. Yamori "Asset Price Persistence and Real Estate Market Illiquidity: Evidence from Japanese Land Values" Real Estate Economics 38(2), pp.171-196 Summer 2010.
- Hirofumi Uchida, Gregory F. Udell and Nobuyoshi Yamori, "Loan officers and relationship lending to SMEs" Journal of Financial Intermediation 21, pp.97-122, 2012.
- Jianjun Sun, Kozo Harimaya and Nobuyoshi Yamori, "Regional economic development, strategic investors, and efficiency of Chinese city commercial banks," Journal of Banking and Finance 37, pp1602-1611, 2013.
- Yamori, N., Kozo Harimaya, and Kei Tomimura, "The efficiency of Japanese financial cooperatives: An application of parametric distance functions," Journal of Economics and Business 94, November-December 2017, pp. 43-53
- Yamori, N., and J. Sun (2019) "How Did the Introduction of Deposit Insurance Affect Chinese Banks? An Investigation of Its Wealth Effects," Emerging Markets Finance and Trade, 55:9, 2022-2038, July 2019.
- Yamori, N., and T. Aizawa, "The Impact of the First Wave of the COVID-19 Crisis on Small and Medium-sized Enterprises and Credit Guarantee Responses: Early lessons from Japan," COVID-Economics 63, Jan 2021.
所属学会
- 日本金融学会(現在 常任理事)
- 日本保険学会(現在 理事)
- 日本経済学会(現在 代議員)
- 生活経済学会(現在 理事)
- 日本FP学会(現在 理事)
その他
- 受賞
- 2005年 商工総合研究所 第29回 中小企業研究奨励賞・本賞
- 2005年 簡易保険文化財団 第1回 優秀研究賞
- 2015年 日本FP学会・最優秀論文賞
論文一覧
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ポストコロナを見据えた地域金融の課題
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2022年度 » 日本・関西経済軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR上席研究員 家森 信善 神戸大学経済経営研究所教授
研究目的
2014年9月に公表された金融庁の『平成26事務年度 金融モニタリング基本方針』において「事業性評価に基づく融資等」が盛り込まれて以来、金融行政や地域金融機関経営のキーワードとして「事業性評価」が注目を集めるようになった。なお、『2021事務年度 金融行政方針』では、1.コロナを乗り越え、力強い経済回復を後押しする 2.活力ある経済社会を実現する金融システムを構築する 3.金融行政をさらに進化させる と方針が示された。
金融機関は新型コロナウイルス感染症による深刻な影響を受けた経済社会を金融機関が引き続き金融仲介機能を発揮して力強く支えぬくことができるように、また国内外の社会経済・産業をめぐる変化を成長の好機と捉え資金の好循環を実現するとともに、金融サービスの活発な創出を可能とする金融システムを構築することにより、活力ある経済・社会構造への転換を促すことが求められている。また近年、世界的に環境に対して様々な取り組みがなされており、金融機関においても同様に環境に対する取組が強く求められているため、この研究会においては、地域の持続可能性を高めようとする地域金融機関のESGへの取組について研究する。研究内容
2022年度は3回の研究会を実施する。
ESG金融に関しての外部の専門家や実務家の講演会を実施し、講師との質疑を通じて、現状を正
確に把握し、課題についての理解を深める。
具体的には、事業性評価の深化を図りつつ、事業性評価の質的な向上として、ESG要素を含んだ事業性評価への発展を取り上げる。また講師として、ESG金融や事業性評価の外部専門家を招いての研究会実施を予定である。<研究体制>
研究統括
本多 佑三 APIR研究統括、大阪学院大学教授、大阪大学名誉教授リサーチリーダー
家森 信善 APIR上席研究員、神戸大学経済経営研究所所長・教授リサーチャー
西谷 公孝 神戸大学経済経営研究所副所長・教授高屋 定美 関西大学教授播磨谷 浩三 立命館大学教授小塚 匡文 摂南大学教授柴本 昌彦 神戸大学経済経営研究所准教授海野 晋悟 香川大学准教授橋本 理博 愛知学院大学准教授尾島 雅夫 神戸大学経済経営研究所非常勤講師今井 功 APIR総括調査役期待される成果と社会還元のイメージ
報告書やオープン研究会を通じて、地域金融機関の幅広い事業検討や、金融当局による金融仲介機能向上にむけた施策の立案に役立てて頂く。
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関西における地域金融面からの事業支援の課題 ―ポストコロナを見据えた地域金融のあり方―
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2021年度 » 日本・関西経済軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR上席研究員 家森 信善 神戸大学経済経営研究所教授
研究目的
2014年9月に公表された金融庁の『平成26事務年度 金融モニタリング基本方針』において「事業性評価に基づく融資等」が盛り込まれて以来、金融行政や地域金融機関経営のキーワードとして「事業性評価」が注目を集めている。
従来からの事業性評価(事業性評価1.0と呼ぶ)は、外側からみえにくい企業の強みや弱みを十分に見極める点に重点があった。今後もこの点での能力を向上させていくことが必要である。一方で、事業性評価の質的拡大が求められていると考えられる。すなわち、将来の外部環境の変化が急速でかつ大規模であると予想されることから、そうした変化が企業に及ぼす影響を予め検討して、その対応策を企業と一緒になって考え、企業が対応策を実行していく際に伴走していくことが、新しい事業性評価のあり方(事業性評価2.0)だと考えられる。本研究での取り組みを通じて、次のような成果を狙いとしている。①地域経済を支える金融機関の優れた実践を整理し分析して、それを横展開できるように紹介する。②事業性評価2.0の定着に向けた課題として、とくにESG金融に焦点を当てて、ESG金融を浸透させるための課題について検討し、必要な取組を提言する。研究内容
2021年度は5回の研究会を実施する。
研究会の前半では従来型の事業性評価の深化を図り、後半では事業性評価の質的な向上として、ESG要素を含んだ事業性評価への発展を取り上げる。
具体的には、それぞれの研究者が文献や各種のデータを活用して研究を行い、その成果を持ち寄り、議論を重ね、研究の精緻化を図る。また、ESG金融に関しての外部の専門家や実務家の講演会を実施し、講師との質疑を通じて、現状を正確に把握し、課題についての理解を深める。外部専門家の講演として、ESG金融の専門家や進んだ取り組みを実行している金融機関を招いての研究会実施を予定。
<研究体制>
研究統括
本多 佑三 APIR研究統括、大阪学院大学教授、大阪大学名誉教授リサーチリーダー
家森 信善 APIR上席研究員、神戸大学経済経営研究所教授リサーチャー
西谷 公孝 神戸大学経済経営研究所教授高屋 定美 関西大学教授播磨谷 浩三 立命館大学教授小塚 匡文 摂南大学教授柴本 昌彦 神戸大学経済経営研究所准教授海野 晋悟 香川大学准教授橋本 理博 愛知学院大学准教授尾島 雅夫 神戸大学経済経営研究所研究員(2022/3/31現在)芝田 健二 APIR統括調査役期待される成果と社会還元のイメージ
事業性評価の質的向上の優れた実践の紹介や課題の分析を行った書籍の刊行を予定している。
ESG金融に関する分析については、APIR報告書の形で取りまとめた後に、論文や各種の講演の形で社会や金融機関に還元する。 -
マイナス金利環境下における地域金融機関の現状と課題
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2020年度 » 日本・関西経済軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
上席研究員 家森 信善 神戸大学経済経営研究所教授
研究目的
金融庁の分析によれば、2018年度において本業赤字の銀行が45行ある。特に、2016年1月に、日本銀行がマイナス金利政策を採用して以来、状況は一層厳しくなっている。金融庁は、金融機関の経営の持続可能性について大きな関心を払うようになっている。
金融政策の効果波及の重要な経路が銀行であり、銀行の行動を理解しておくことはマイナス金利政策の評価を行う上でも重要である。現在、銀行の貸出金利と預金金利の利鞘が傾向的に低下しており、また、フィンテック企業の台頭などにより、伝統的な銀行の手数料分野(振込手数料など)も浸食されつつある。
こうした厳しい経営環境の下で、地域の代表的な金融機関どのような方針で対応しているのかを、金融機関の財務データ、IR資料、企業側の情報、支援機関の評価などから分析する。あわせて、その行動が金融政策の効果波及経路としてどのような影響を持つのかを検討する。
研究内容
地域金融機関の役割を様々な視点で検証し、地域金融機関がどのように生き残り、社会的な機能を果たしていくのかを、以下のような取り組みを通じて検討するため、銀行アナリスト、金融庁・日本銀行などの当局者、欧州金融事情に詳しい研究者・専門家を講師とし招いた研究会を実施する。
・地域金融機関の現状について把握する。このために、銀行・信用金庫の経営者から経営の現状と対応策についてヒアリングを実施する。
・政府、自治体による地域金融支援状況、地域別の取組状況を把握する。このために、金融庁や日本銀行等に対してヒアリングを実施する。
・現在の地域金融の取組について、銀行アナリスト、研究者からの分析のヒアリングを実施する。
・ヨーロッパのマイナス金利政策について、関連する研究論文等をメンバーで読み解く。
・ヒアリングより得られた結果と、研究会によって得られた我々の解釈を外部の研究者や実務家に対して提示し、そのフィードバックを活用して提言としていく。
研究体制
研究統括
本多佑三 APIR研究統括、大阪学院大学教授、大阪大学名誉教授
リサーチリーダー
家森 信善 APIR上席研究員、神戸大学経済経営研究所教授
リサーチャー
高屋定美 関西大学・教授
水野伸昭 愛知学院大学・教授
播磨谷浩三 立命館大学・教授
小塚匡文 摂南大学教授
柴本昌彦 神戸大学経済経営研究所准教授
海野晋悟 香川大学・准教授
橋本理博 名古屋経済大学・准教授
尾島雅夫 神戸大学経済経営研究所・研究員
芝田健二 APIR研究員・総括調査役
期待される成果と社会還元のイメージ
年次報告書を取りまとめ、アンケート調査を軸にした書籍の刊行を企画している(2020年度内出版を計画するが、年度をまたぐ可能性有)。また、対外的に開かれたシンポジウムを計画(金融庁や近畿財務局の後援を得ることで、金融機関の参加者を増やしたいと考えている)。
それらの成果を、地域金融機関の金融業務以外の事業検討、金融当局による金融仲介機能向上に向けた施策の立案に活用されたい。
・地域経済を支える金融機関の経営課題に関し提言を目指す。
・銀行行動を理解することで、金融政策の効果波及経路についての理解を深め、金融政策のあり方に対しての提言を目指す。
・事業承継を課題として考えている関西の企業に対して、事業承継に成功した企業の事例を紹 介することで、自らの準備のヒントを提供する。
また、研究内容に厚みをつけるために、当該分野の実務家や研究者などを招いた研究会や意見交換会を開催する。
<研究会の活動>
研究会
・2020年 6月24日 第1回研究会開催
・2020年 8月 4日 第2回研究会開催(オンライン)
・2020年 9月25日 第3回研究会開催(オンライン)
・2020年10月28日 第4回研究会開催(オンライン)
・2021年 1月 8日 第5回研究会開催(オンライン)
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関西における地域金融面からの事業承継支援の課題
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2019年度 » 日本・関西経済軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
上席研究員 家森 信善 神戸大学経済経営研究所教授
研究目的
中小企業の事業承継は喫緊の課題とされている。多くの事業承継者にとって、事業承継は「初めて」の体験であり、事業面はもちろん、借入への対処など様々な問題にぶつかる。そのために、高い技術やノウハウを持つ中小企業まで廃業してしまっている実態がある。そこで、政府は事業承継税制の改正を実施するなど、事業承継をしやすい環境を創ろうとして取り組んでいる。金融面においても、民間金融機関、政府系金融機関や信用保証協会などによる事業承継支援の強化が求められている。
そこで本研究会では、兵庫県信用保証協会と連携して実施した兵庫県の中小企業約8,500社(最近事業承継を済ませたと思われる約2250社と近いうちに事業承継が必要だと思われる高齢の経営者の企業約6250社)に対する事業承継に関するアンケート調査(2019年2月実施)を活用し、その調査結果を利用した分析をまとめて、関西における地域金融面からの事業承継支援の課題を明らかにして、政策的な提言を行いたい。
研究内容
中小企業の事業承継について、以下のようなテーマを理論的かつ実証的に解明する。
・現在、わが国で行われている事業承継支援の現状について把握する。このために、行政当局、金融機関、支援機関等の実務家に対するヒアリングを実施する。
・兵庫県の中小企業を具体的な対象にして、実際の事業承継がどのように行われているか、また、どのような点が障害になっているかを把握する。このために、兵庫県信用保証協会と連携して実施したアンケート調査の個票を入手できるので、クロス集計や回帰分析によって回答結果の詳細な分析を行う。
・得られた分析結果およびそれに基づく我々の解釈を、外部の研究者や実務家に対して提示し、そのフィードバックを活用して、精緻な提言としていく。
研究会では、アンケート結果の分析についてメンバー間やゲストスピーカーとの間で議論を行い、報告書の執筆に役立てる。
研究体制
研究統括
本多佑三 APIR研究統括、大阪学院大学教授、大阪大学名誉教授
リサーチャー
岩坪加紋 摂南大学教授
尾島雅夫 神戸大学経済経営研究所研究員 (姫路獨協大学・非常勤講師)
小塚匡文 摂南大学教授
柴本昌彦 神戸大学経済経営研究所准教授
内木栄莉子 愛知学院大学助教
播磨谷浩三 立命館大学教授
中山健悟 APIR研究員・調査役
期待される成果と社会還元のイメージ
・事業承継が必要だが、未実施企業の状況や特徴、事業承継に直面して感じる課題を明らかにして、地域金融機関が効果的な事業承継提案をできるようにどうすれば良いかを提言する。
・事業承継に成功した企業がどういった点で金融機関の支援を評価し、どういった点で不満を感 じているかを明らかにし、地域金融機関のこれまでの取り組みを評価することで、金融行政当局や中小企業政策当局に対する監督および政策立案のための参考資料を提供する。
・事業承継を課題として考えている関西の企業に対して、事業承継に成功した企業の事例を紹 介することで、自らの準備のヒントを提供する。
また、研究内容に厚みをつけるために、当該分野の実務家や研究者などを招いた研究会や意見交換会を開催する。
<研究会の活動>
研究会
・2019年5月8日 第1回研究会開催
・2019年7月31日 第2回研究会開催
・2019年9月11日 第3回研究会開催
・2019年10月4日 第4回研究会開催