大阪・関西万博の経済波及効果の検証 一般財団法人関西観光本部との共同プロジェクト調査の結果から

Trend Watch No.103

洞察・意見 » トレンドウォッチ

ABSTRACT

  • 大阪・関西万博は、2025年4月13日に開幕し10月13日に閉幕した。本稿の目的はこの半年間の万博の経済波及効果を検証するものである。
  • すでに稲田他(2024)においてその試算結果を示した。同試算は最新の情報に基づいて万博関連事業費と来場者消費の発生需要を推計し、APIR関西地域間産業連関表を用いて、その経済波及効果を推計した。
  • 今回は来場者消費を具体的な現時点で利用可能な実績データ(消費単価と来場者人数)に基づき推計し、前回に示した試算結果の検証を行うものである。
  • なお、万博関連事業費については今後政府から発表される確報値を待つこととし、今回の万博の経済波及効果の検証では、主に来場者消費に光を当てている。

※詳細な分析内容については本文を参照

DETAIL

はじめに

2025 年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)の成果を議論する場合、1)万博関連事業(会場整備・運営等)と来場者消費からの経済波及効果といった短期的な側面に加え、2)万博会場で展開された新規技術の社会実験、ビジネスマッチングや青少年の啓蒙等といった将来的に発生する効果にも注意しなければならない。特に、後者の場合、中長期的な経済・社会の活性化や持続的成長につながる。本稿では、主として1)の効果に限定して分析を行うものである。 大阪・関西万博は、2025 年4月13日に開幕し10月13日に閉幕した。本稿の目的はこの半年間の万博の経済波及効果を検証するものである。すでに稲田他(2024)においてその試算結果を示した2。同試算は最新の情報に基づいて万博関連事業費と来場者消費の発生需要を推計し、APIR 関西地域間産業連関表を用いて、その経済波及効果を推計した。今回は来場者消費を具体的な現時点で利用可能な実績データ(消費単価と来場者人数)に基づき推計し、前回に示した試算結果の検証を行うものである(図表0-1)。なお、万博関連事業費については今後政府から発表される確報値を待つこととし、今回の万博の経済波及効果の検証では、主に来場者消費に光を当てている。 本稿の展開は以下の通りである。1.において、万博会場来場者数の推計について説明する。2.においては、来場者一人当たりの消費金額(消費単価)の推計を説明する。なお消費単価の推計は、万博開催期間中に来場した日本人と外国人に実施した 2 回のアンケート結果から計算されている。3.においては、消費単価と来場者数の積である来場者の消費金額(発生需要)の推計が説明される。また発生需要の経済波及効果を地域別に検証するため、4.では発生需要を府県ベースに変換する。5.ではこれとAPIR関西地域間産業連関表を用いて各府県への経済波及効果を検証する。本調査では、日本人と外国人の発生需要が推計されているので、各府県の経済波及効果については日本人と外国人の寄与を確認できる。

 

1. 来場者数について:日本人と外国人の比較

(1) 来場者数の動向 まず開催期間(4月13日~10月13日)における来場者実績(一般来場者+関係者)を確認しよう。2025 年日本国際博覧会協会(以下、協会)によると、大阪・関西万博開催期間中の総来場者数は2,902 万人で、うち一般来場者数は2,558 万人、関係者(AD 証入場者)は344 万人だった(図表11)。なお、開催前に想定していた来場者数は、国内客 2,470 万人、海外客 350 万人、計2,820 万人であった。

週ごとの1日当たり来場者数をみれば、最も少ない来場者数は4月第1週の7.5万人で、最も多い来場者数は9月第3週の22.1万人であった。

来場者数の動向をみると、4月は2005年愛・地球博と同様に低調な出足であったが、5月以降、10万人超のペースで加速した。夏場は猛暑の影響もあり、減速ペースに転じた。8月中旬以降、猛暑にも関わらず比較的好調に推移した。しかし、加速が期待された会期終盤においては、予約システムの制約や輸送力の課題もあり、来場者数は伸び悩んだ。最後の4週は平均20万人を超える来場者数を記録したものの、横ばいで推移した(図表1-2)。

(2) 府県別日本人来場者数及び外国人来場者数の推計 4 月13日~10月13日までの一般来場者数の実績値を用いて、府県別日本人来場者数及び外国人来場者数を推計し、整理したのが図表 1-3 である。推計の流れとしては、まず 1)外国人来場者数を決定し、次に2)一般来場者数全体から外国人来場者数を控除して日本人来場者数を推計した。これに配分比率を用いて各府県の来場者数を推計した。

 

【外国人来場者数の推計】

10 月 7 日に公表された公益社団法人 2025 年日本国際博覧会協会(2025)によれば、一般来場者のうち、ID所持者は73.8%、ID非所持者は26.2%である。これを一般来場者総数(2,558万人)に乗じて、ID所持者を1,887万人、ID非所持者を670万人と推計した。また、ID所持者の国籍比率については、国内が93.9%、海外が6.1%となっている。これらの情報を基に、前述したID所持者数に海外比率を乗じることで、まずID所持者の外国人来場者数(115万人)を推計した。一方、ID非所持者の海外客比率については、万博協会からの詳細な情報が公表されていない。そこで、APIR が行った現地調査等を参考に 25.0%と想定し、ID非所持者の外国人来場者数を 168 万人と推計した。以上よりID所持者及びID非所持者を合計した外国人来場者数は283万人と推計される。

 

【日本人来場者数の推計】

日本人来場者数は、まず全体を一般来場者総数(2,558 万人)から上記で求めた外国人来場者数(283 万人)を差し引いて、2,275 万人と推計した。次に、この日本人来場者数を関西各府県とその他地域へ割り振り、府県別来場者数を推計する。ここでは、三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング(以下、MURCと略す)(2025)のレポートで示された人口1万人あたりの来場者数(図表1-3(1)列)と2024 年人口推計データ(図表1-3(2)列)を用いて府県別来場者数を推計し、配分比率を算出した(図表 1-3(3)列)。この配分比率を日本人来場者数(2,275 万人)に乗じることで、各府県の来場者数を4気温と来場者数の関係については、後掲参考図表2に示されている。参考図表2は1970年大阪万博、2005年愛・地球博と2025年の大阪・関西万博の最高気温を比較したものである。特徴的なのは、地球温暖化の影響が垣間見られることである。すなわち、6月中旬から7月にかけて70年大阪万博を比較すると、5~10℃の上振れがみられる。また、愛・地球博を比較しても、お盆の一時期を除き、恒常的に大阪・関西万博が上回っていたことが確認できる。 5我々はID非所持者の外国人来場者数を25%と想定したが、他の正確な情報が公表されれば、この分は変化することに注意。 6MURCの各府県人口1万人当たりの来場者数を2024年人口推計に乗じて総来場者数を求め、各府県の配分比率とした。 4 推計した(図表1-3(4)列)。なお、図表1-3(5)列には一般来場者全体に占める府県別日本人及び外国人の比率が示されている。

なお、関西2府4県からの日本人来場者数は1,642万人と全体の約64.2%、2府8県については65.8%となっている。前出の図表1-1と比較すれば、近畿圏内(関西2府4県)からの想定来場者数は 1,559 万人であったが、実績はそれを上回ったことになる。一方、近畿圏外(633万人)及び外国人来場者(283万人)の実績は、それぞれの想定(911万人、350万人)を下回ったことになる。

 

2. 消費単価について:会期の前半と後半の比較から

(1) 消費単価の推計

APIR では大阪・関西万博の来場者消費の経済波及効果を検証するため、日本人及び外国人に対して2回のアンケート調査を実施した7。 来場者消費は、万博会場内と会場外で発生する。前者については、買物代と飲食費を調査対象とした。後者については、買物代、飲食費、娯楽サービス費と宿泊費を対象とした。また、外国人についてはアンケート調査から得られた1人1泊当たりの単価に関西における平均泊数(前半:6泊、後半:7.8泊)を乗じて計算している。 なお、交通費については、各居住者の旅行パターンを想定し、以下の通り算出した。 7標本数については前半と後半の調査を合わせて、日本人(18歳以上)は800、外国人は1,162である。なお、アンケート調査の質問項目等の詳細については、後掲参考図表3を参照のこと。

 

【大阪府在住者の交通費】

大阪府在住者の交通費は、まず公共交通機関の主要経路にかかる費用を計上した。主要経路は JR大阪駅-大阪メトロ夢洲駅の往復運賃1,120円、大阪メトロ本町駅-同夢洲駅の往復運賃760円、及びシャトルバスの往復平均運賃2,000円とし、それぞれの単純平均を算出した。 加えて、パーク&ライドの料金として、駐車料金(5,000円)に利用率(8.6%)を乗じた486円を1人当たり消費単価として計上した。

 

【大阪府以外の関西在住者の交通費】

大阪府以外の関西在住者については、パーク&ライドの費用に加え、各府県からの移動を考慮し、各府県の主要駅(京都駅、三宮駅、近鉄奈良駅)から夢洲駅までの運賃を単純平均して算出して計上した。

 

【関西以外在住者の交通費】

関西以外在住者の交通費については、大阪府内での移動費に加え、1)東京-新大阪、2)名古屋新大阪、3)広島-新大阪、4)博多-新大阪の新幹線料金を考慮し、MURC(2025)の関西以外在住者の来場比率を用いて加重平均した2万465円を算出し、計上した。

 

【外国人の交通費】

大阪府在住者と同様に 1)大阪府内の移動費に加えて、2)大阪市から京都市、神戸市、奈良県への移動費を外国人のアンケート調査で得られた関西における宿泊パターンを用いて、加重平均し追加した。また、今回のアンケート調査では関空を出国する外国人を対象としていることもあり、3)大阪市、京都市、奈良県、神戸市から関西国際空港までの移動費(電車及びバス)が発生すると想定し、前述した宿泊パターンで加重平均し、追加計上した。 結果、1 人当たり平均単価をみれば、会期前半については日本人のうち、大阪府在住者は 8,591円、大阪府以外の関西在住者は1万5,504円、関西以外在住者は6万19円、また外国人は13万4,204 円となる(図表2-1-A)。 会期後半については日本人のうち、大阪府在住者は1万7,440円、大阪府以外の関西在住者は2万3,073円、関西以外在住者は5万8,095円、また外国人は16万1,744円と推計される(図表21-B)。 後半の単価は、前半に比して総じて増加しているが、特に大阪府在住者の会場内の買物代が急増していることが特徴的である。一方、会場内の飲食費については顕著な増加はみられない。 8ここでの大阪府以外の関西とは、1府8県(福井県、三重県、滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県)を指す。 9ここでの1人当たり平均消費単価は、初回訪問者とリピーターを含んだ単価であることに注意。このため、リピーターは初回訪問の時よりも単価及び消費項目の比率が変化する可能性が高い。 6 また、万博関係者の消費需要も経済波及効果を推計するうえで重要であるため、本試算では平均飲食費と交通費を想定した。飲食費については、関係者用の食堂の平均飲食費を調査し、ランチ代を1シフト制2,400円と仮定している。交通費については大阪府下からの移動費を計上している。

 

 

(2) 消費単価(通期)の推計

一般来場者の前半(4月13日~7月31日)と後半(8月1日~10月13日)の比率(48.3%、51.7%)を用いて、前半と後半の各費目の消費単価を加重平均し、通期の消費単価を推計した(図表2-2)。 通期の消費単価の合計をみれば、日本人のうち、大阪府在住者は1万3,162円、大阪府以外の関西在住者は1万9,414円、関西以外在住者は5万9,025円である。また、外国人は14万8,430円を支出している。関西以外在住者の消費単価を家族ベース(1家族4人と想定)でみると、20万円超の支出となる。この金額が意味するところは、所得が伸びない状況においても、適切なイベントには、この程度支出するということである。すなわち、大阪・関西万博という世界的なイベントは消費者にとって、手ごろな海外旅行ともいえよう。

 

3. 発生需要について

2.で推計した消費単価及び各府県の来場者数を乗じて来場者消費額を推計したのが図表 3-1 である。来場者消費の費目を合計すると、日本人のうち、大阪府在住者は 1,433 億円、大阪府以外の関西在住者は1,154 億円、関西以外在住者は 3,496 億円、外国人は 4,196 億円を支出した。結果、一般来場者の消費総計は1兆279億円、関係者も含めた総消費は1兆404億円となる。なお、後掲図表4-2 に示されているように、アジア太平洋研究所(2024)で示した来場者消費による発生需要の試算値は8,913億円であり、実績はその想定値を上回った。

 

4. 発生需要の府県ベースへの変換

3.で推計した居住者の項目別消費額を、アンケート調査の結果を基に関西各府県及びその他地域での生産地域別の需要(これを「府県産品別需要」とよぶ)を求めた結果が図表4-1である(配分方法については後掲補論を参照)。なお、外国人の項目別消費額については、観光庁『インバウンド消費動向調査』の2025年4-6月期における各府県の費目別消費パターンで各府県に配分した。

2025 年推計と基準ケースでの発生需要の差は、推計の前提となるデータの差に起因している。2024 年推計に用いたデータは、単価については観光庁の『旅行・観光消費動向調査』と『訪日外国人消費動向調査』(現インバウンド消費動向調査)の 2023 年 1-9 月平均値と想定来場者数を用いている。一方、2025年推計はアンケート調査と来場者実績に基づいている。

 

5. 大阪・関西万博の経済波及効果:来場者消費の経済波及効果を中心に

図表5-1はAPIR関西地域間産業連関表と4.で示した発生需要を用いて、万博関連事業費及び来場者消費の経済波及効果を整理したものである。

 

 

【2025年推計:来場者消費】

2025 年推計の来場者消費(含む関係者)による生産誘発額は 1 兆 6,439 億円、粗付加価値誘発額は9,052 億円、雇用者所得誘発額は4,186 億円となる(図表5-2)。なお、前回の 2024 年推計(基準ケース)は、生産誘発額が1兆3,355億円、粗付加価値誘発額が7,792億円、雇用者所得誘発額が3,726 億円であり、2025年推計の経済波及効果は、基準ケースを上回った。 経済波及効果(来場者消費)を府県別でみれば、生産誘発額1兆6,439億円のうち、大阪府7,697億円、京都府1,892 億円、兵庫県996 億円、三重県244億円、滋賀県171億円、奈良県152億円、和歌山県125億円、福井県109億円、徳島県60億円、鳥取県29億円発生。なお、その他地域では4,964億円発生した(図表5-3)。 生産誘発額のシェアをみれば、2 府 8 県で 69.8%、その他地域が 30.2%である。2 府 8 県(100%)におけるシェアをみると、大阪府67.1%、京都府16.5%、兵庫県8.7%、三重県2.1%、滋賀県1.5%、奈良県1.3%、和歌山県1.1%、福井県0.9%、徳島県0.5%、鳥取県0.3%となる。

 

府県別来場者別経済波及効果を日本人と外国人に分けてみれば、日本人は 9,963 億円(60.6%)、外国人6,475億円(39.4%)となっている(図表5-4)。 府県別にみれば、日本人シェアが高いのは、福井県(79.7%)、滋賀県(69.1%)と兵庫県(64.0%)であり、外国人シェアが高いのは、京都府(80.9%)、鳥取県(61.8%)と奈良県(54.1%)である。鳥取県について経済波及効果は大きくはないものの、外国人の寄与が目立つのが特徴的である。なお、三重県、大阪府、和歌山県、徳島県は内外バランスが取れている。 前回推計した基準ケースと比較すると、今回の万博の経済波及効果は想定を上回ったが、依然大阪府(75.5%→46.8%)、京都府(1.1%→11.5%)に効果が集中しており(参考図表 6 参照)、広域経済圏への経済波及効果の均霑という意味では課題を残したといえよう。

なお、図表5-5は来場者消費の経済波及効果を産業別に示したものである。1兆6,439億円のうち、大阪府は7,697億円、大阪府以外のその他地域は8,741億円となる。産業別寄与をみると、大阪府では主としてサービス業・その他(45.2%)、運輸・通信業(19.5%)と商業(17.5%)への効果が大きい。その他地域では、サービス業・その他(36.7%)、製造業(20.4%)と運輸・通信業(18.5%)への効果が大きい。全体では、サービス業・その他(40.7%)、運輸・通信業(19.0%)と製造業(14.6%)となる。

 

【2025年推計:経済波及効果の総合効果】

今回の来場者消費と前回推計の万博関連事業費の発生需要から推計される経済波及効果は以下の通りとなる(図表5-6)。 生産誘発額は3兆541億円、粗付加価値誘発額は1兆7,107億円、雇用者所得誘発額は8,818億円と推計される。 なお、2024年推計の基準ケースでは、生産誘発額が2兆7,457億円、粗付加価値誘発額が1兆5,847 億円、雇用者所得誘発額が8,357億円と試算した。

 

【経済波及効果の総合効果への寄与】

経済波及効果の来場者消費と万博関連事業の寄与を見ると(図表5-7)、万博関連事業費では、生産誘発額が1兆4,102億円、粗付加価値額が8,055億円、雇用者所得誘発額が4,632億円となる。来場者消費では、生産誘発額が1兆6,439億円、粗付加価値額が9,052億円、雇用者所得誘発額が4,186 億円となっている。

経済波及効果(生産誘発額)を府県別にみると(図表5-8)、大阪府とその他地域以外の府県では、来場者消費の経済波及効果が大部分を占める。一方、万博関連事業費の経済波及効果は、大阪府とその他地域で発生しており、来場者消費では大阪府、京都府、兵庫県が大きくなっている。

 

おわりに

大阪・関西万博の経済波及効果をアンケート調査に基づいて推計し、検証した。検証結果を整理し、得られた含意を要約すれば以下の通りとなる。

1. 一般来場者数をみれば、実績(2,558 万人)は想定(2,820 万人)を下回った。後半に加速がみられたものの、予約システムの制約が影響したようである。想定来場者と実績の内訳を比較すれば、関西来場者は想定を上回ったが、関西以外の地域と外国人の来場者は下回った。

2. アンケート調査から算出した消費単価をみれば、会期後半において上昇がみられた。中でも、買物代の上昇が顕著。関西以外の地域からの来場者が後半増加したこともその一因。関西以外在住者の消費支出は家族ベースでは20万円を上回っている。所得制約が厳しい現況では手ごろな海外旅行といえよう。

3. 来場者と関係者の発生需要を試算すると、2025 年推計(1兆 404 億円)は基準ケース(2024 年試算:8,913 億円)を上回り、拡張万博ケース(2024年試算:1兆2,411億円)に近い結果となった。来場者数は想定に届かなったが、消費単価の上昇が需要増に寄与した。

4. 経済波及効果(来場者消費分)をみると、生産誘発額 1 兆 6,439 億円、粗付加価値額 9,052 億円。結果、万博関連事業費を考慮した総経済波及効果は生産誘発額3兆541億円、粗付加価値額1兆7,107億円となる。

5. 経済波及効果(1兆6,439億円)を府県別にみれば、大阪府7,697億円、京都府1,892億円、兵庫県996億円、三重県244億円、滋賀県171億円、奈良県152億円、和歌山県125億円、福井県109 億円、徳島県60億円、鳥取県29億円発生。なお、その他地域では4,964億円発生した。

6. 経済波及効果への寄与を日本人と外国人で分けてみると、日本人9,963億円(60.6%)、外国人6,475 億円(39.4%)。府県別では、福井県、滋賀県と兵庫県は日本人の寄与が大きく、京都府、鳥取県と奈良県では外国人の寄与が大きい。三重県、大阪府、和歌山県、徳島県は内外バランスがとれている。

7. 検証から得られる含意としては、今回の万博は経済波及効果の一層の取り込みに成功したといえよう。ただし、事前に想定していた拡張万博ケースの規模には至らなかったことから、関西広域での観光については依然課題が残り、今後の広域観光の一層の磨き上げが必要となろう。

8. 本稿では経済波及効果を短期的な視点からみた。中長期的な観点からみれば、大阪・関西万博の成果を関西、日本の今後の持続的な経済成長に繋げていくためには、ビジネスマッチングや新技術の社会実装により、投資を拡大する企業家精神や政策措置の後押しが必要である。その意味で関西経済反転の種はまかれたが、成果を一層確実なものとするためにも持続的な努力が必要となろう。

 

 

補論:府県別費目別発生需要の変換

居住地域ベースの消費額(𝑓𝑗 𝑘)を需要地域ベース(𝐹𝑖 𝑘)への変換にあたっては、アンケート調査から計算した配分比率(𝑟𝑖𝑗 𝑘)を用いている。

参考文献

稲田義久・多田稔子・野村亮輔・松林洋一(2025),『インバウンドツーリズム-持続可能な発展のメカニズム-』,中央経済社,2025年9月19日。

稲田義久・野村亮輔・APIR 関西地域間産業連関表プロジェクトチーム(2024),『大阪・関西万博の経済波及効果-最新データを踏まえた試算と拡張万博の経済効果-』,(https://www.apir. or.jp/research/post15592/, 2025 年 12 月 16 日),APIR Trend Watch No.92,2024年1月24日

気象庁 HP,「過去の気象データ検索」,(https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/, 最終閲覧日:2025年12月16日)

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公益社団法人2025年日本国際博覧会協会HP(2025),「来場者数と入場チケット販売数について」,(https://www.expo2025.or.jp/news/news-20251014-01/, 最終閲覧日:2025年12月16日),2025年10月23日

公益社団法人2025年日本国際博覧会来場者輸送対策協議会(2023),『大阪・関西万博 来場者輸送具体方針 アクションプラン第3版』,(https://www.expo2025.or.jp/wp/wp-content/ uploads/expo2025_raijyoushayusougutaihousin_03_honpen_231120_240425.pdf, 最終閲覧日:2025年12月16日),2023年11月

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参考図表

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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