ABSTRACT
1. 2022年7-9月期GDP2次速報によれば、実質GDP成長率は前期比年率-0.8%となり、1次速報(同-1.2%)から幾分上方修正された。季節調整の掛け直しや基礎統計の改定により、過去値が遡及改定された。実質GDP成長率を1次速報と比較すると、22年1-3月期は-2.0%ポイント(同+0.2%→同-1.8%)と大幅に下方修正された。このため、2次速報では7-9月期は4四半期ぶりから2四半期ぶりのマイナスとなった。また22年度の成長率の下駄が1次速報から0.2%ポイント下方修正されたことに注意。
2. 2次速報と同時に2020年度の第二次年次推計値と21年度の第一次年次推計値が発表された結果、20年度実質GDP成長率は1次速報から+0.4%ポイント(-4.6%→-4.1%)、21年度は+0.2%ポイント(+2.3%→+2.5%)、それぞれ上方修正された。また2次速報ではコロナ禍前の実質GDPのピークは2019年7-9月期となった。
3. 7-9月期GDP2次速報と新たな外生変数の想定を織り込み、2022-24年度の日本経済の見通しを改定した。今回、実質GDP成長率を、22年度+1.5%、23年度+1.1%、24年度+1.4%と予測。前回(第140回予測)から、22年度-0.2%ポイント、23年度-0.1%ポイント下方修正し、24年度+0.1%ポイント上方修正した。22年度の下方修正については、成長率の下駄の低下が影響している。
4. 2022年7-9月期実質GDPはコロナ禍前のピークから依然1.9%低い。この主要因は、民間最終消費支出(-3.2%)、民間資本形成(-3.3%)、及びサービス輸出(-15.1%)がピークより低水準にとどまっているためである。予測期間において家計に新たな行動制約が課されない場合、22年度後半は累積した強制貯蓄が取り崩され、サービス支出を中心に民間最終消費支出主導の回復が期待できる。10-12月期以降、海外経済が低迷することからしばらく純輸出の押し上げは期待できないうえに、23年度は民間需要の寄与度が減速するため、同年の成長率は前年から低下すると予測。このため、実質GDPがコロナ禍前のピークを超えるのは24年1-3月期以降となろう。なお、2次速報で過去値が上方修正されたため、コロナ禍前のピークを超えるのが前回予測から2四半期早くなった。
5. エネルギー価格の高騰、円安と輸入品価格上昇による食料品価格高騰の影響で、22年度後半の消費者物価コア指数は前年比3%台後半を上回る勢いで推移する。23年度はエネルギー価格高騰の影響が剥落するため、消費者物価指数の基調はサービス価格の動向が決める。その意味で23年度の賃上げの中身が重要である。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、22年度+3.0%、23年度+1.9%、24年度+1.2%と予測する。前回予測から、足下の状況を反映し22年度を+0.3%ポイント上方修正した。また24年度を-0.1%ポイント下方修正した。