Kansai Economic Insight Quarterly No.74
-緩やかな持ち直し続くも、内外需とも足取り鈍い 回復の持続性に不透明感、先行き成長減速は必至-

洞察・意見 » 経済予測 » 四半期レポート(関西)

ABSTRACT

  1. 2025年1-3月期の関西経済は、依然として緩やかに持ち直しているが、回復の持続性の不透明感から内外需とも足取りは鈍い。家計部門では物価高の影響で消費マインドが悪化、実質賃金もマイナスが続いている。企業部門は、生産は弱含みで、景況感や投資意欲もやや慎重な姿勢。対外部門は、輸出は堅調であるが、免税売上は弱含みとなった。
  2. 家計部門は、全体として勢いに欠き、弱い動きが見られる。物価上昇が長期化する中で、暮らし向きに対する不安感が根強く、センチメントは悪化している。雇用環境も緩慢な動きである。賃上げが定着しつつある一方、物価高により実質賃金はマイナス圏の推移が続いている。
  3. 企業部門は、先行きに対する警戒感から慎重姿勢が広がり、企業活動は総じて鈍化している。生産は、総じて停滞しており、全国に比して弱い動きが目立つ。設備投資計画や景況感でも慎重な見方が広がっている。
  4. 対外部門のうち、財部門では輸出入ともに持ち直している。輸出はアジア向けが大きく伸びており、中でもASEAN向けの半導体関連品目が好調である。またインバウンド関連では、変調の兆しがみられる。訪日客数は堅調である一方、購買単価が円高の影響から低下している。
  5. 公的部門は、弱含みとなっている。万博需要の剥落もあり、公共工事請負金額・出来高とも全国の伸びを下回っている。
  6. 関西の実質GRP成長率を2025年度+0.3%、26年度+0.8%と予測。25年度は外需の停滞により減速。26年度は緩やかな持ち直しを見込む。前回予測に比べて、25年度-0.8%ポイント、26年度-0.6%ポイントとそれぞれ大幅な下方修正とした。25年度・26年度とも域外需要の下方修正が主因である。
  7. 成長に対する寄与を見ると、民間需要は25年度+1.0%ポイント、26年度+1.1%ポイントとなり、力強さに欠くものの成長を押し上げる。公的需要は25年度・26年度とも小幅寄与にとどまる。域外需要は25年度-0.7%ポイント、26年度-0.4%ポイントと成長抑制要因となる。
  8. 日本経済予測と比較すると、25年度・26年度とも関西と全国で概ね近い成長率となる見通し。いずれも民間需要が成長の牽引役となる。
  9. 今号のトピックスでは「関西各府県GRP早期推計」を取り上げ、2023-24年度の関西2府4県におけるGRP早期推計結果を示している。

 

予測結果表

DETAIL

※右欄の説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。

①00’00”~02’39”: Executive summary

②02’39”~10’07”: Kansai Economic Insight Quarterly No.74

<緩やかな持ち直し続くも、内外需とも足取り鈍い 回復の持続性に不透明感、先行き成長減速は必至>

③10’07”~23’05”: 第153回「景気分析と予測」

<米国の関税政策変更により内需の景気牽引役は一層限定的に-関税引き上げ幅は縮小するがセンチメントへの影響は大->

④23’05”~49’16”: トピックス<EXPO2025モニター、万博関連求人数の比較>

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