Kansai Economic Insight Monthly Vol.145
-景気は現況悪化だが、先行きは改善が見込まれる: 万博の経済効果期待も米国の関税政策変更が景気下押しリスク-

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ABSTRACT

<総括判断>

  • 関西の景気の現況については、景気動向指数(現況判断CI)は当月の前月差がマイナスとなり、3カ月後方移動平均が3カ月連続で悪化した。このため、基調判断を前月の「下げ止まり」から「悪化」へと下方修正した。
  • 先行きについては、関西CLIは当月の前月差がプラスとなり、3カ月後方移動平均が3カ月連続で改善したため、基調判断を「改善」と据え置いた。

<項目別動向>

  • EXPO2025モニターをみれば、来場者数は開幕41日目(5月23日)に16.4万人と過去最高を記録した。入場チケット販売数では割引キャンペーンの効果もあり、通期パスの売れ行きが堅調となっている。
  • 生産・労働関連のうち、3月の生産は5カ月連続の減産となり、機械関連の減産が大きい。1-3月期は4四半期ぶりの減産で、全国より低下幅は大きい。
  • 3月の失業率は2カ月ぶりに悪化し、就業者数と労働力人口も減少した。ただし、1-3月期平均では、前期から改善し、雇用情勢は持ち直している。
  • 2月の現金給与総額は15カ月連続の前年比増加。名目賃金は4カ月連続で3%台の伸びを維持しているが、実質賃金は減少が続いている。
  • 内需関連のうち、3月の大型小売店販売額は42カ月ぶりに前年を下回った。インバウンド消費の鈍化が百貨店売上を押し下げたためである。結果、1-3月期は前年を上回ったものの、伸びは減速した。
  • 3月の新設住宅着工戸数は5カ月連続で前月から増加した。4月の建築法改正を見据えた駆け込み需要の影響による。
  • 3月の建設工事出来高のうち、公共工事は3カ月連続で前年を下回り、1-3月期は3四半期連続の減少となった。4月の公共工事請負金額も6カ月連続で前年を下回り、低迷が続いている。
  • 景況感をみれば、4月の景気ウォッチャー現状判断DIは4カ月連続の悪化だが、万博開幕の影響もあり全国に比して小幅悪化にとどまった。また、先行き判断DIは米国の関税政策変更の影響もあり、2カ月連続の悪化となった。
  • 外需関連では、4月は輸出入ともに前年比増加となった。米国の関税政策変更後の貿易動向が注目されるが、全国4月の対米輸出は減少し、関西は増加した。その背景には輸出構成品目の違いが考えられる。
  • 4月の関空経由の外国人入国者数は桜の開花時期で訪日旅行需要が高まった影響もあり、過去最高値を更新した。
  • 4月の中国経済は、生産、消費の回復ペースはともに減速がみられた。物価は引き続き低迷、不動産市場においても依然不況から抜け出せていない状況にあり、雇用情勢の改善もみられない。中国当局は「消費振興特別行動プラン」を発表するなど、米国の関税政策変更への対策を行っている。

【関西経済のトレンド】

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