コロナ禍後の消費者行動の変容 -関西居住者と関西来訪者の視点から-

Trend Watch No.101

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ABSTRACT

本稿の目的は、関西2府8県において、コロナ禍とその収束後におけるサービス消費の変容を、Webアンケート調査を行い、関西居住者と関西来訪者の視点から分析したものである。ここでは、本分析の主な結果を整理し、得られた含意を示す。

 

  1. 「居住者調査」の分析によれば、2020年に比べ23年の関西居住者のサービス消費支出額は、経済活動の再開とともに、調査対象の9費目すべてにおいて増加した。特に、「宿泊費」の増加については、コロナ禍後のサービス利用の回復とともに、宿泊料の高騰が影響している。
  2. 自府県での消費支出割合はコロナ禍後の経済活動の再開に伴い低下する一方、県をまたぐ支出割合が上昇した。特に、奈良県ではその傾向が著しい。
  3. 「来訪者調査」の分析によれば、コロナ禍収束後、宿泊を伴う来訪者は「宿泊費」以外のすべての費目でコロナ禍より支出を減らしており、日帰りの来訪者の減少幅はさらに大きい。来訪者の消費行動は居住者のそれと大きく異なるといえよう。
  4. 京都府にビジネスで来訪した人の支出額は、宿泊で増加しているが日帰りで減少している。一方、プライベートの場合、宿泊・日帰りともにコロナ禍に比してその支出額は減少していることがわかった。
  5. この背景には、京都におけるインバウンドの急増(オーバーツーリズム)による国内観光客の減少、宿泊料高騰等が影響していると推察される。これまで我々が指摘してきたことが、Webアンケートの結果からも確認できた。
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