ABSTRACT
<総括判断>
- 関西の景気の現況については、景気動向指数(現況判断CI)は当月の前月差がプラス、3カ月後方移動平均も4カ月の連続のプラスとなった。このため、基調判断を前月の「悪化」から「下げ止まり」へと上方修正した。
- 先行きについては、景気先行指数(関西CLI)は当月の前月差がプラス、3カ月後方移動平均も3カ月連続で改善した。結果、基調判断を前月の「下方への局面変化」から「下げ止まり」へと上方修正した。
<項目別動向>
- 【EXPO2025モニター】累計来場者数は2,100万人を超え、閉幕を控えた駆け込み需要が発生している。仮に1日20万人ペースが続けば、最終的には累計来場者数2,500万人を達成することが予想される。好調な万博来場者の伸びを反映し、4-6月期の大阪府の日帰り旅行消費額は過去最高値を更新した。
- 【生産・労働関連】7月の生産は2カ月ぶりの減産。4-6月平均と比較しても低下となっており、四半期の最初の月としては弱い。同月の失業率は2カ月ぶりの悪化となった。労働力人口と就業者数がそれぞれ3カ月ぶりの増加だが、4-6月平均と比較すると、増加幅はいずれも縮小。6月の現金給与総額は19カ月連続の増加。実質賃金も2カ月連続の増加となった。
- 【内需関連】7月の大型小売店販売額は5カ月連続で前年を下回った。新設住宅着工戸数は2カ月連続で前月比回復したものの建築基準法・建築物省エネ法改正により依然として低水準。建設工事出来高は4カ月連続で前年を下回った。8月の公共工事請負金額は2カ月連続で前年を上回ったが、7-8月平均は4-6月平均比小幅減少した。
- 【景況感】8月の景気ウォッチャー現状判断DIは2カ月ぶりに改善。大阪・関西万博の来場者の増加やインバウンド消費の下げ止まりが改善に寄与。先行き判断DIは万博閉幕前の来場者増の期待から、2カ月連続の改善となった。
- 【外需関連】8月の輸出は増加、一方で輸入が減少したため、貿易収支は2カ月連続で拡大した。同月の関空経由の外国人入国者数はスクールホリデーの影響もあり3カ月ぶりに2桁の伸びとなった。
- 【中国経済】8月の生産と消費はともに減速した。内需低迷で物価は再び前年同月比マイナスに転じた。不動産市場は依然低迷しており、雇用情勢も改善がみられず、景気減速が表面化している。中国政府は9月に新たな経済対策を発表し、外国人観光客の呼び込み等でサービス消費拡大を狙っている。