Kansai Economic Insight Monthly Vol.150
-景気の現況、先行きともに上方への局面変化を見込む: 万博閉幕後の景気腰折れに注意-

洞察・意見 » 経済予測 » 月次レポート(関西)

ABSTRACT

<総括判断>

  • 関西の景気の現況については、景気動向指数(現況判断CI)は当月の前月差がプラス、7カ月後方移動平均も4カ月の連続のプラスとなった。このため、基調判断を前月の「下げ止まり」から「上方への局面変化」へと上方修正した。
  • 先行きについては、景気先行指数(関西CLI)の当月の前月差がプラス、7カ月後方移動平均も3カ月連続で改善した。結果、基調判断を前月の「下げ止まり」から「上方への局面変化」へと上方修正した。

<項目別動向>

  • 【EXPO2025レビュー】期間中の累計来場者数は2,557.9万人であった。最大値は閉幕直前の22.5万人、最小値は開幕直前の4.8万人となっている。9月第2週は平均来場者数21.9万人と高水準を記録したが、来場者数の加速が期待された9月第3週以降は横ばいとなったため、目標来場者数の2,820万人を下回った。
  • 【生産・労働関連】8月の生産は2カ月連続の減産。7-8月平均を4-6月平均と比較すると大幅低下しており、生産は弱含んでいる。同月の失業率は2カ月連続の悪化となった。足下労働力人口と就業者数がともに減少し、7-8月平均を4-6月平均と比較しても減少している。7月の現金給与総額は20カ月連続の増加。実質賃金は3カ月連続の増加となった。
  • 【内需関連】8月の大型小売店販売額はインバウンド需要の回復により6カ月ぶりに前年を上回った。新設住宅着工戸数は3カ月連続で前月比増加したものの、3月の水準を依然回復できていない。建設工事出来高は5カ月連続で前年を下回った。9月の公共工事請負金額は3カ月連続で前年を上回ったが、7-9月期では前期比小幅減少した。
  • 【景況感】9月の景気ウォッチャー現状判断DIは2カ月連続で改善。大阪・関西万博の駆け込み効果もあり、景況感の改善に寄与した。一方、先行き判断DIは万博閉幕後の需要の減少が懸念されており、3カ月ぶりに悪化した。
  • 【外需関連】9月の輸出は12カ月連続で前年を上回ったが、輸入が2カ月連続で下回ったため、貿易収支は8カ月連続の黒字。同月の関空経由の外国人入国者数は2カ月連続で2桁の伸びを維持しており、堅調に推移している。
  • 【中国経済】9月の生産の回復ペースは加速したが、消費は減速した。内需低迷で物価はマイナス。不動産市場は依然低迷、雇用情勢も大きな改善がみられず、景気減速が鮮明に表れている。7-9月期の実質GDP成長率は前期の伸びから減速し、国内需要の停滞を受け、デフレ圧力が強い状態が続いている。

 

【関西経済のトレンド】

pagetop
loading